更新日:00年09月04日

北九州市乳幼児医療費支給条例(2000年9月議会)



市が1999年実施した「少子化問題を考える市民意識詞査」でも、「医療サービスの充実」が44.1%、「経済的支援充実」が55%となっており、市民の切実な要望を生かすため、児童福祉法の精神に基づき、児童の健全な育成と「子育て支援」の一環として、患者家庭の医療費負担の軽減を図るために、条例を提案しました。


 

2000年9月議会で「乳幼児医療費支給条例」案の
提案理由説明を柳井誠議員が行いました。

条例案の柱は、第一に乳幼児医療費助成制度の対象年齢を現行の通院3歳未満、入院4歳未満から一挙に就学前までに引き上げること、第二に平成8年7月に導入された所得制限は撤廃すること、第三に初診料等の自己負担金も無料にすることです。

◆条例提案する目的は

乳幼児医療費助成制度の改善は、本市議会においても複数の会派から繰り返し取り上げられてきた懸案であります。また今期市議会に市民団体及び医療団体から2件の請願・陳情が提出されてきました。また福岡県保険医協会・歯科保険医協会から政府に対して、小学校入学前までの医療無料制度を求める要望が行われています。これは子育て世代の強い要望であります。

他の自治体でも都道府県及び市町村の事業を組み合わせて、本市制度を上回る改善が急速にすすんでいます。

政令市のうち川崎、横浜、大阪、福岡では、4歳未満まで通院助成を引き上げています。千葉、大阪、福岡では、小学校就学前まで入院助成を引き上げています。さらに、川崎、横浜では中学校卒業まで入院助成を引き上げています。

6政令市で自己負担金はありません。本市における自己負担金は、1回900円から1400円程度の初診料などであります。

4政令市で所得制限がありません。福岡県内では本市のみが所得制限を行っています。 このように本市の制度は政令市のなかで相対的に遅れていると言わざるをえません。

また、特に、歯科診療への助成金額は全体の2.5%に過ぎません。それは、3歳未満の時期ではまだ歯が生えそろっていないためこの制度が利用できないためです。せっかくの子育て支援の制度を、実際に虫歯に悩む就学前の子供の歯科診療に役立つようにするため助成年令引き上げが求められます。

今年7月の北九州市少子社会懇談会提言では、『市における経済的な子育て支援』の項で、乳幼児医療費助成制度をとりあげ『国の動向や、他の施策との整合性に十分配慮しながら』その改善をはかることを今後の検討課題としています。この提言にも改善の必要性がしめされています。

◆最後に、財政的裏付けについてのべます。

本条例案の実施に要する追加の費用は、入院・通院とも就学前まで引き上げる費用として7億4千万円、所得制限廃止の費用として2億6千万円、自己負担金廃止の合計であります。その合計は10億円強であります。この程度の費用は、市の子育て支援策として負担すべきであります。

この4年間、市当局は行財政改革大綱にもとづき福祉医療制度見直しをすすめてきました。乳幼児医療費助成制度は平成8年7月より所得制限が導入され、1億5千万円削減されています。一方、平成11より段階的に6歳未満まで入院の助成対象年令を引き上げることになりましたが、必要とする費用は、わずか1億5千万円であります。入院のみの改善は、助成金額においても、助成件数においてもきわめて不十分であります。

我が党議員団は、こうした状況を踏まえ、制度改善にむけた機は熟していると判断し、ここに明確な改善内容を条例提案するものであります。

議員各位のご賛同をお願い致しまして提案理由の説明を終わります。

議員提出議案第19号

北九州市乳幼児医療費支給条例

平成12年9月6日

提出者 北九州市議会議員 橋本 和生

〃      〃    田村 貴昭

〃      〃    原田 里美

〃      〃    荒川  徹

〃      〃    柳井  誠

〃      〃    水町 勝利

〃      〃    野依 勇武

〃      〃    有馬 和子

〃      〃    石田 康高

〃      〃    原  博道

(目的)

第1条 この条例は、乳幼児の疾病又は負傷に係る医療費(以下「乳幼児医療費 」という。)を支給することにより、乳幼児の健康の保持と健やかな育成を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 乳幼児 6歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者をいう。

(2) 受給資格者 第5条第2項の規定により登録された者をいう。

(3) 保険医療機関等 健康保険法(大正11年法律第70号)第43条第3項各号に掲げる病院、診療所又は薬局及び同法第44条第1項第1号に規  定する特定承認保険医療機関をいう。

(支給要件)

第3条 乳幼児医療費の支給を受けることができる者は、市の区域内に住所を有する乳幼児で次の各号のいずれかに該当するものとする。

(1) 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)の規定による被保険者

(2) 別表に掲げる法律(以下「社会保険各法」という。)の規定による被扶養者

2 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するときは、医療費の支給を受けることができない。

(1) 乳幼児が生活保護法(昭和25年法律第144号)による保護を受けている世帯に属しているとき。

(2) 満3歳に達した(満3歳に達する日の属する月の末日までの期間を除く。)乳幼児が北九州市母子家庭等医療費支給要綱(昭和58年北九州市告示第283-2号)の規定により母子家庭等医療費の支給を受けることができる者であるとき。

(支給額)

第4条市は、乳幼児の疾病又は負傷について国民健康保険法又は社会保険各法の規定による医療に関する給付(入院時食事療養費に関する給付を除く。)が行われた場合において、当該医療に要する費用のうち国民健康保険法及び社会 保険各法の保険者、共済組合又は共済事業団が負担すべき額(国若しくは地方公共団体が法令等(国民健康保険法及び社会保険各法を除く。)の規定により別に負担する額がある場合又は国民健康保険法及び社会保険各法の保険者、共済組合若しくは共済事業団が被保険者、組合員若しくは加入者に対し医療に関する付加給付を支給している場合は、これらを加えて得た額)が当該医療に要する費用の額に満たないときは、その満たない額に相当する額を乳幼児医療費として支給する。

2 前項の医療に要する費用の額は、健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法(平成6年厚生省告示第54号)の例により算定した額とする。ただし、現に要した費用の額を超えることができない。

(申請及び登録等)

第5条 乳幼児医療費の支給を受けようとする者は、規則で定めるところにより、市長に申請し、登録を受けなければならない。

2 市長は、前項の申請があった場合において、第3条に規定する支給要件に該当すると認定したときは、乳幼児の氏名等を登録し、当該受給資格者に医療証 を交付するものとする。

(更新)

第6条 市長は、受給資格者が毎年8月1日現在において、第3条に規定する支 給要件に該当するかどうかを審査するものとする。

2 市長は、前項の規定による審査の結果、第3条に規定する支給要件に該当す ると認定したときは、当該受給資格者の医療証を更新するものとする。

(支給の期間)

第7条 乳幼児医療費の支給は、第5条の規定により登録を受けた日(以下「登録日」という。)の属する月の初日(出生により第3条に規定する支給要件に 該当することとなった者がその出生日から起算して1箇月以内に登録を受けた場合はその出生日)から始めるものとする。ただし、登録日の属する月の初日において、市の区域内に住所を有しない者、第3条第1項各号のいずれにも該 当しない者及び同条第2項各号のいずれかに該当する者については、それぞれ市の区域内に住所を有することとなった日、同条第1項各号のいずれかに該当することとなった日又は同条第2項各号のいずれにも該当しないこととなった 日から始めるものとする。

2 乳幼児医療費の支給は、第3条に規定する支給要件に該当しないこととなった日の前日で終わるものとする。ただし、市の区域内に住所を有しないこととなった者及び死亡した者については、それぞれ市の区域内に住所を有しないこととなった日又は死亡した日で終わるものとする。

(支給の方法)

第8条 乳幼児医療費の支給は、第4条の額を保険医療機関等の請求に基づき受給資格者に代えて当該保険医療機関等に支払うことにより行うものとする。

2 前項の規定による支払があったときは、受給資格者に対し乳幼児医療費の支給があったものとみなす。

3 第1項の規定にかかわらず、市長が特別の理由があると認めるときは、受給資格者に支払うことができる。

(医療証の提示)

第9条 受給資格者は、保険医療機関等において医療を受けようとするときは、当該保険医療機関等に医療証を提示するものとする。

(届出)

第10条 受給資格者は、第3条に規定する支給要件に該当しないこととなったとき又は次に掲げる事項に変更があったときは、規則で定めるところにより、その旨を速やかに市長に届け出なければならない。

(1) 住所

(2) 氏名

(3) 世帯主等の氏名

(4) 被保険者証、組合員証又は加入者証の記号番号

(5) 前各号に掲げるもののほか市長が特に必要と認める事項

(損害賠償との調整)

第11条 市長は、乳幼児医療費の支給理由が第三者の行為によって生じた場合において、受給資格者が第三者から損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、乳幼児医療費の全部若しくは一部を支給せず、又は既に支給した乳幼児医療費の額に相当する額を返還させることができる。

(不正利得の返還)

第12条 市長は、偽りその他不正の手段により乳幼児医療費の支給を受けた者があるときは、その者から、その支給を受けた額に相当する額の全部又は一部を返還させることができる。

(受給権の譲渡又は担保の禁止)

第13条 この条例による支給を受ける権利は、譲り渡し、又は担保に供してはならない。

(委任)

第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

付 則

(施行期日)

1 この条例は、規則で定める日から施行する。

(経過措置)

2 この条例は、この条例の施行の日以後に受けた医療に係る乳幼児医療費について適用する。

3 この条例の施行の日の前に北九州市乳幼児医療費支給要綱(昭和48年北九州市告示第107号)の規定により行われた登録の申請、支給要件の認定、登録台帳への登載、医療証の交付その他の行為は、この条例の相当規定により行 われたものとみなす。

別表(第3条関係)

1 健康保険法

2 船員保険法(昭和14年法律第73号)

3 私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)

4 国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)

5 地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)

各小児科医師様

2000年10月16日

日本共産党北九州市会議員団

団  長  野 依 勇 武

乳幼児医療費支給条例案の提案について(9月議会報告)

大変ご無沙汰いたしています。日頃より子たちの健康を守るためにがんばっておられる先生方のご苦労に敬意を表します。

日本共産党市議団は、9月議会で乳幼児医療費支給条例案(別紙)を提出し、子育て支援を強化する提案をおこないました。

子育てや子どもの教育にかかわる経済的な負担の大きさが、子どもをもつことへの不安につながっているとの声が多く寄せられています。また、せめて子どもには医療費の心配なく、治療を受けさせたいと親ならだれでも思っています。こうした中で、子育てにかかわる経済的な負担の軽減にむけた、国や市の支援が強くもとめられています。

現在、北九州市の乳幼児医療費支給制度は、3歳未満まで入院・通院が対象とされ、4歳未満は入院のみ、平成14年に5歳未満、平成17年には6歳未満まで(入院のみ)を対象に医療費を支給することとなっています。

一方、川崎市、横浜市、大阪市、福岡市では、4歳未満まで通院助成を引き上げていることや、千葉市、大阪市、福岡市では小学校就学前まで、川崎市、横浜市では中学校卒業まで入院助成を引き上げている等、全国的にも少子化対策の強化に向け乳幼児医療費制度の充実がすすめられています。(別紙資料)

今回、党市議団が提案した「乳幼児医療費支給条例」は、入院・通院の両方を対象に、ただちに就学前までに拡大し、初診料の徴収や所得制限のワクをはずす提案となっています。これに必要な財源は約14億円であり、市の子育て支援策として負担するべきであると考えています。

この内容は、医療を受ける側からの改善要求であり、医療を提供する病院や医師の側からの検討が充分ではないと考えています。少子化がすすむ現状での小児医療のあり方等について、ご意見やご指導をいただければ幸いです。

尚、9月議会では党市議団提案の「乳幼児医療費支給条例案」は継続審議となっています。引き続き、市に対してみなさんの要望や意見を生かすため全力をあげる決意です。是非ご感想などお寄せ下さい。

連絡先 日本共産党北九州市議団 北九州市小倉北区城内1-1

電話582―2646 Fax 582―4113 メールjcpksigi@mocha.ocn.ne.jp

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