更新日:15年06月28日

2015年6月定例会 藤沢加代議員の一般質疑(30分)



2015年6月定例会 本会議一般質疑と当局答弁

2015年6月定例会 本会議一般質疑と当局答弁(6月15日 月曜日)

藤沢加代議員の一般質疑(30分)

日本共産党市会議員団を代表して一般質疑を行います。

学援助と奨学金制度について質問します。

まず学援助制度についてです。

「教育費の負担軽減」は子育て世代の切実な要望です。

就学援助は、学校教育法にもとづき、家計が苦しい世帯の小中学生に学用品、修学旅行、給食費などの費用を支給する制度です。2012年度は、全国で、生活保護世帯約15万人、低所得世帯約140万人の合計約155万人がこの制度を利用し、利用率は約16%、小中学生のおよそ6人に1人が援助を受けている計算です。厚生労働省が発表した2013年度の国民生活基礎調査によれば、17歳以下の子どもの貧困率は2012年に16.3%に上昇し、過去最悪となりました。子どもの貧困が社会問題となるなか、子どもの教育を支える大きな役割を果たしているのが就学援助制度です。

2013年6月、国会では「子どもの貧困対策推進に関する法律」が全会一致で成立しましたが、その一方で、安倍内閣は2013年8月から、3年計画で生活保護費の6.5%削減(消費税増税対応分を除く)を強行しました。市町村では就学援助の支給の所得基準を生活保護基準の1・3倍未満などと定めているため、生活保護基準引き下げに連動し、所得は変わらないにも関らず、前年まで使えた就学援助の対象外となる世帯が出てくる懸念が生じます。本来就学援助制度の拡充を図っていくべきなのに、国は地方にこの影響が出ないようにと依頼するだけです。無責任のそしりを免れません。

本市は2014年度に続き、15年度も就学援助の支給について、生活保護基準切り下げ以前の基準を継続しているものの、来年度以降の対応については未確定としています。既に国は2005年からこの制度を一般財源化しており、自治体によって差が開いています。昨年4月の消費税増税とともに本市では学校給食費も値上げされるなど、保護者の負担は確実に増えています。

そこで3点質問します。

第1に本市は、来年度以降も引き続き就学援助の支給について現行基準を維持するとともに、国に対して自治体間格差が出ない制度とするよう求めるべきです。答弁を求めます。①

第2に、入学準備金の前倒し支給を求めます。現在、本市では、新入学学用品費の支給が4月以降となっていますが、入学準備金の支給が入学後ではせっかくの制度の意味が減じます。もっと早く支給して欲しいとの要望が以前から出ています。本議会においても同様の要望が昨年6月議会で出され、研究課題とする旨の答弁がありました。福岡市では今年から、入学準備金の3月支給を開始しています。本市も、急ぎ改善すべきです。この1年間にどんな検討がなされたでしょうか。答弁を求めます。②

第3に、国は2010年度から就学援助支給の対象にクラブ活動費、生徒会費、PTA会費を加えましたが、本市は追加していません。神奈川県大和市、東京都墨田区など自治体によってはメガネやコンタクトレンズなど独自の項目を増やしているところもあります。本議会においても、子どものメガネの保険適用を求める陳情が出されるなど、その要望は高まっています。本市でも就学援助の支給対象項目を拡大するよう求め、見解を伺います。③

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次に本市奨学金制度についておたずねします。

わが国の学費の高さは世界でも異常と言われています。しかも、国には、給付型奨学金制度がないため、奨学金を受ける多くの学生は、高校や大学を卒業すると同時に大きな借金を背負うことになります。不安定な非正規雇用が拡大するなか、経済的理由で進学を諦めなければならない若ものが増えるなら、日本の未来は暗いと言わなければなりません。国の制度として、給付型奨学金制度を作ることは喫緊の課題ですが、横浜市、川崎市、大阪市などは自治体独自で「給付型の高校奨学金」制度を創設しています。

国では、民主党政権時代に高校授業料の「無償化」を行いましたが、現在は、公立と私立を一本化した「高等学校等就学支援金制度」として、所得制限が設けられ、市町村民税所得割額が30万4,200円未満の世帯に授業料支援として支援金が支給されることになりました。モデル世帯では、年収約910万円未満となります。なお、私立高校の学生には世帯収入に応じて1.5~2.5倍の加算があります。また、非課税世帯等など低所得世帯には授業料以外の教育費が支給される返済義務のない「高校生等奨学給付金」が創設され、2014年4月の入学者から対象となりました。

本市の高校生が受けられる県と市の奨学金制度はいずれも貸与型です。県は中学3年生在学中に予約募集を実施し、入学後も4月に再募集しています。本市は高校入学後の6月募集で、必要な世帯に漏れがないよう配慮されており、市の制度は県の制度の補完的な役目を果たしていると言えます。昨年度、本市における高校生の市奨学金貸与件数は106件で、市内の高校生で県の奨学金を利用している数は予約募集1249件と在学募集272件あわせて1521件です。県の枠が大きいのは、旧「日本育英会」が独立行政法人「日本学生支援機構」に移行するに当たり、高校奨学金業務が2005年度より都道府県に移管されたことによるものです。

本市の高校奨学金貸与数は「無償化」開始以来、減少傾向にあるということです。また、大学奨学金の平成27年度の申請件数が新規貸付枠を下回ったとのことですが、これは、日本学生支援機構の無利子貸付枠が広がったためではないかと教育委員会は判断しています。今後、子どもが経済的理由により希望する進学を断念することが無いよう、奨学金制度の拡充が求められます。そこで、本市奨学金制度の改善を求め3点質問します。

第1に申請時の保証人基準の緩和です。本市奨学金の申請には、高校では保証人は親1人でよいことになっていますが、大学は連帯保証人が2人必要で、1人は保証能力のある人との要件があります。この制度が出来たのは、本市発足時ですから50年前です。人間関係が希薄になっている現代社会にあって、保証人探しに苦労する例が増えています。保証人がいないために奨学金が借りられない事態があってはなりません。最初から保証人がいないということで応募を諦めている世帯もあるのです。大学も高校と同様の要件にすべきです。答弁を求めます。④

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第2に返還猶予の相談にきめ細かく応じるよう求めます。

ある母子家庭の例を紹介します。この世帯は、子どもが18歳になるまでは夫の遺族年金で15年間暮らしてきました。長男も、母親も障害を持っており、精神科に通院中です。母親はパニック障害で仕事ができず、長男は仕事をしていましたが、体調不良で退職、次の仕事を探しています。次男は、県立高校、専門学校を卒業し、この春から仕事に就くことができ、現在、他県で研修を受けています。次男は、高校時代に県の奨学金を1年受け、その後2年間は市の奨学金に借換え、専門学校時代の2年間は社会福祉協議会奨学金制度を利用しました。いずれも卒業後6ヶ月で奨学金の返済義務が発生します。返済期間は借りた年数の3倍の期間です。この事例は高校奨学金を借り換えたことで、借り換えなければ返済先が2箇所だったところが3箇所になり、返済期間が重複するなど厳しくなってしまっています。

県と社協は母親の訴えに耳を傾け、返済方法の変更に応じましたが、本市の対応は規則どおりの冷たいものでした。奨学金の返済にあたっては、個々の世帯の状況を勘案し、場合によっては返済方法を変更するなど、きめ細やかに対応すべきと考えますが、答弁を求めます。⑤

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第3に給付型制度の創設を求め見解を伺います。日本学生支援機構の奨学金も無利子枠の拡大や返還滞納の延滞金の利率を10%から5%に引き下げるなどわずかながら改善され、自治体による給付型高校奨学金制度創設も進み始めた現在、本市でも給付型高校奨学金創設の検討を始める時期に来ているのではないでしょうか。答弁を求めます。⑥

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藤沢加代議員への答弁(2015年6月15日)

 

■市長

(奨学金制度の改善について)

お答えする。いずれも教育委員会所管の問題だが、私からは、奨学金制度について予算調整権の立場から基本的な考え方を申し述べたい。

本市の奨学金制度は経済的理由により高校、大学などへの就学が困難な子弟に対し、教育の機会均等の理念をもとに優秀な人材育成をはかるため、就学に必要な額資金の一部を無利子で貸し付ける制度だ。この奨学金は昭和39年度から50年以上の長きにわたって運営し、これまで数多くの奨学生にたいし高校、大学などにおける就学機会の確保や人材育成に大きな役割を果たしてきた。ちなみに昨年度は、高校、大学あわせて668人の奨学生に貸し付けを行った。

本市の奨学金制度は、貸付金額や貸付人数など政令市のなかでも充実した制度であると考えている。奨学金制度は本市以外でも様々な制度が運営されているが、国の奨学金制度として大学奨学金については旧日本育英会、現在の日本学生支援機構がおこなう奨学金制度が全国的に大規模は貸付枠を持っており、年々充実が図られてきている。

また高校奨学金については、旧日本育英会が実施していたものが、平成17年度から高校奨学金の貸し付けについては都道府県に業務が移管され、あわせて国から財源措置が行われている。福岡県においても大きな貸付枠を持った高校奨学金制度が運営されている。

このようなことから本市では、大学については日本学生支援機構奨学金、高校については福岡県奨学金に活用が基本であると考え、本市奨学金はこれらの制度を補完する制度として位置づけ、これまで運営されてきた。

本市奨学金制度は、教育委員会が運営しているが、予算調整権を持つ立場から今後とも連携を密にしていく。

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■教育長

(就学援助の改善)

まず就学援助の認定基準だが、本市の修学援助の認定基準は前年度4月1日時点の生活保護基準額等により算定した基準額を判定に用いている。そのため認定基準を変更しなければ今年度の認定基準額は昨年度より下がることになっていた。しかしながら国から生活保護基準の見直しに伴い、できる限り他制度に影響が及ばないようにするため、各自治体に対して国の取り組みやその趣旨を理解して判断するようにという通知があっている。こうしたことから今年度、就学援助認定基準について検討を行ってきた。

その結果、今年度の就学援助認定基準の算定は生活保護基準見直し前の基準額を用いることとし、基準見直しの影響が及ばないよう措置を取ったところだ。

来年度以降の認定基準については、今後の国や他の政令市などの動向を踏まえて判断したいと考えている。

就学援助は従前、国庫補助制度にもとづいて認定基準や処理などの基準が示されていたが、17年度に国庫補助制度が見直されて、準要保護世帯に対する就学援助は各自治体の単独事業となった。修学援助の認定基準等については各自治体の判断により定めることになっていることから、国に自治体間格差が出ない制度を求めることは考えていない。

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(入学準備金の入学前支給について)

本市の就学援助は3月から申請を受け付けている継続申請者へ4月末に支給できるように対応している。また4月からの受け付けとなる新規の申請者では、早ければ5月末の支給としているが、他の殆どの政令市において支給時期は6月以降となっている。また本市では、当初の支給の際に新入学学用品費、いわゆる入学準備金だけではなくて年間分の学用品費などを一括してあわせて支給している。福岡市の例があったが、確かに今年度から3月に入学学用品費を支給することになっているが、学用品費等については7月以降に学期ごとに支給するという形だ。

このように他の政令市の実情を見ても、年間分の学用品費等を含め就学援助費全体としてみてみると、本市の支給時期は政令市の中では早い方ではないかと考えている。

就学援助の認定は、本来できうる限り直近の経済状況により審査する必要があり、本市では前年の世帯の所得額を基準としている。

新入学学用品費を入学前の3月に支給するためには、申請時期を大幅に早める必要があり、その際、就学援助の認定の際に前年の所得額で計算することになる。就学援助制度の本来の趣旨を踏まえると前前年の所得額を審査することは、世帯の直近の経済状況を反映しているとは言えないと考えている。

以上のことから、入学前に新入学学用品費を支給することは困難だが、なるべく早くという気持ちは理解できるところだ。現行制度のなかでできうる限り支給時期を早められるよう努めていきたい。

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(就学援助の対象拡大について)

就学援助制度は、平成17年度の国庫補助制度の見直しにより、準要保護世帯への就学援助が自治体単独の事業となっている。このためその時に財政的負担を大きくなって支給額の減額や基準の引き下げなどの見直しを行った自治体もあった。そうした中で本市としては、就学援助制度の必要性を踏まえ国庫補助制度廃止後も引き続き従来の支給額や認定基準等を縮減することなく、市の単独事業として運営してきたところだ。

このような中、国は平成22年度から要保護児童生徒援助費補助金の補助対象にクラブ活動費、生徒会費、PTA開扉の項目を追加している。これら3項目の経費を支給対象とする場合に、国庫補助の対象となるのは要保護世帯のみで、就学援助の大半を占める準要保護世帯については市の単独事業になってしまう。そのために大きな財政負担を伴うことになる。

またメガネやコンタクトレンズについては、学校での学習にも確かに使用するものではあるが、日常生活全体にわたって使用する日用品としての性格が強いもので就学援助の対象としていない。以上のことから、支給対象項目を拡大する考えはない。

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(奨学金制度の改善)

まず連帯保証人の要件を大学も一人にしてはどうかということだが、本市の奨学金制度における連帯保証人は、高校奨学金では保護者一人、大学奨学金では二名の連帯保証人、ただしその内の一人は保護者でも可能ということだ。

保護者が連帯保証人となる場合は、保護者の年齢要件、所得要件は問わないこととしていることから、従って大学奨学金の連帯保証人は実質的には一人であると考えている。

奨学金の貸し付け制度を維持していくためには、新たな貸し付けのための原資として過去に奨学金貸し付けを受けた方から確実に返還していただくことが重要だと考えている。特に大学奨学金については、貸付金額が多額になることから現行の連帯保証人二名の要件は必要と考えており、これを保護者一名とするのは難しいと考えている。

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(奨学金返済での柔軟性)

本市の奨学金は特別な事情のため奨学金の返還が困難な場合は、返還を猶予することができる制度となっていて、具体的には例えば大学など学校に在学中の場合、疾病、負傷、災害等により返還が困難な場合、あるいは所在不明の場合、無収入で求職中の場合、こういった場合には返還が猶予される。

そういったケースについては、担当課に相談いただくようお願いしており個別に状況を詳細に聞いたうえで該当するようであれば手続きを行っていただくなど適切に対応しているところだ。

しかしながら本市の奨学金は、過去に貸し付けた貸付金の返還を原資として運営していることから、基本的には一定の所得があり返還金の支払い能力がると思われる方には、返還していただくようにお願いしている。

また奨学金返還中の方から経済状況の変化などにより、毎月の返還額を支払うことが困難となったという相談があった場合には、返還者の経済状況や連帯保証人の状況等を十分踏まえ、分割納付の相談にも応じるなど決め細かの対応を行っているところだ。

今後とも引き続ききめ細かな対応を行っていきたいと考えている。

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(高校の給付型奨学金について)

本市の奨学金制度は、日本学生支援機構や福岡県の奨学金制度を補完する制度として運営している。こうした他の制度との整合に配慮しながら運営してきた。本市の現行の貸し付け型制度では返還金が次に奨学金を必要とする人や他の貸付金の原資となっており、これまで円滑な制度運営が行われてきている。

その中で、給付型奨学金を創設する場合に、大きな財政負担を伴うことからこれまでのような安定的な財政運営が難しくなるのではと考える。現在、政令市において高校の給付型奨学金制度を導入している市は8市あるが、いずれにしても給付額が貸付額と比べると少額になるということ、そして給付型を実施しているところはすべて貸し付け型奨学金制度は運営していないと、こういった実情がある。

こうした中で国では、平成26年度から新たに授業料以外の教育費の支援として、都道府県を実施主体とした奨学給付金制度を創設して、低所得世帯に対して支援をすることになった。この制度で、調べてみると、福岡県でも昨年度の高校入学者から実施されているが、県内全体で1学年が4万5000人おり、そのうち8800人がこの対象となって給付を受けている。県において創設された奨学給付金によって数多くの生徒に支援が行われているといいうことから、本市で新たに給付型奨学金制度を創設する考えはない。

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<第2質問への答弁>

■教育長

(教育の機会均等が盛り込まれた法律をどう認識するか)

子どもの貧困対策の法律だが、その趣旨は私も全く同感だし、非常に重要な法律だと考えている。特に生活支援、経済的支援、そして保護者の就労支援、教育支援の4つあるが、教育委員会としても特に経済的支援あるいは教育の支援を中心にしっかり取り組んでいかなければならない大変重要な課題だと考えている。

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<第3質問への答弁>

■教育長

(進学率は低く、中退率は高い本市の状況について)

高校への進学率、あるいは高校の中退率、これはご紹介いただいた通りの数字だ。大変厳しい状況だと認識している。その中で子ども貧困対策、市全体で子ども家庭局、保健福祉局、教育委員会を中心に取り組んでいくわけだが、経済的要因あるいは学力の問題両方あると思う。教育委員会としては経済的支援ということで就学援助あるいは奨学金、こういう制度を適切に運用していくことがまず第一だ。教育支援については、学力をしっかりつけていただくということできめ細かないろいろの学習支援をしっかりする、あるいは学校でのスクールソーシャルワーカーなどの配置を適正にしていく、さらには学力の補充するための全生徒対象の学習支援をやっていく、こういうことで取り組んでいきたいと思う。

以上

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