更新日:16年01月06日

2015年12月定例会 柳井誠議員の一般質問(30分)



2015年12月7日(月)

◎柳井誠議員の一般質問(30分)

介護保険制度がはじまって15年経過しましたが、家族の介護負担は依然として重く「介護離職」は毎年全回で10万人以上に上るなど深刻な状況です。

そうしたなかで、改正介護保険法により、要支援者のホームヘルプサービスとデイサービスは、予防給付から市の介護予防・日常生活支援総合事業に移る予定です。わが党は、この改正のねらいを要支援者のサービスだけにとどまらない、2025年にむけて軽度者を給付からのぞく第1歩となること、多様なサービスの提供によりコストを削減すること、生活支援と介護予防の主な担い手を地域住民主体の互助サービスに縮小すること、として反対しました。

骨太の方針2015では、軽度者の地域支援事業への移行を検討する、とされ国の狙いが明らかになってきています。市は、サービス内容の決定、事業者の指定手続き、区役所窓口の研修のあと来年度途中から実施するスケジュールです。

そこで、見直し後の予防給付と総合事業の相談・申請についてうかがいます。

昨年12月議会の局長答弁では、窓口は「明らかに要介護認定が必要な場合」は要介護認定申請の手続きにつなぐが、総合事業のサービスのみ利用する場合は、要介護認定を省略して基本チェックリストを活用して判断する仕組みとの説明でした。改正後の介護保険の仕組みは複雑になり、サービス内容を理解していない高齢者や、予防給付の利用を意思表示できない高齢者が、窓口においてチェックリストを使った判断で振り分けられる懸念があります。「明らかに要介護認定が必要」とは、例えば4月から総合事業を始めている東京都の自治体では、「明らかに要介護1以上と判断できる場合」としています。本市でも、要支援と判断される軽度者には申請が勧められないのではないか。チェックリストによる判定は、迅速になる反面、主治医意見書等による医師の関与はなく、わずか25項目には介護者や家族の状況はでてこないので支援が必要かどうかはわからず、職員によっては厳しい判定となる危険性があります。判定結果やサービス内容について不服審査の仕組みがないことも説明すべきです。市が申請権を侵害してはならないことは当然として、申請の希望が尊重できることを理解できるまで説明することで申請の意志の確認をチェックし、安易な振り分けや申請抑制、いわゆる「水際作戦」の温床とならないため、要介護認定を全員に受けさせるべきです。

 

つぎに、介護予防・日常生活支援総合事業費についてうかがいます。

国のガイドラインによると、従来どおりの予防給付で毎年5~6%の費用の自然増予測がされているところを、総合事業と予防給付の伸びを後期高齢者ののび3~4%程度に抑えることがめざされています。H29年度から平成37年度にかけての本市の第1号被保険者のうち後期高齢者は(15%増)となり、その間、介護予防・生活支援サービス事業の延人数・延件数は、同様に増加の見込みです。一方、平成29年度の総合事業費44億円は、要支援からそのまま総合事業に移行する金額が反映されていますが、平成37年度見込みでは41億円に7%下がっています。高齢者の増加と利用の増加に反比例する総合事業費の低下はなぜ起こるのでしょうか。国は平成37年には緩和型サービスを50%にする目標ですが、41億円に占める内訳について、訪問型サービスおよび通所型サービスの予防給付型と生活支援型の比率をどのように見込んでいるのか、本市は目標設定する方針なのかうかがいます

 

つぎに、10月の議会常任委員会に報告された、総合事業の枠組みをうかがいます。

市長は、昨年12月議会で、総合事業についての「昨年の調査では、介護事業者の約6割、NPO法人や民間企業の約3割が参入意向があり、事業の受け皿は確保できる」と答弁されました。今年の調査では、訪問介護事業所78のうら、現行単価と同額の予防給付型を「積極的に検討」は33%、7割程度の単価の生活支援型を「積極的に検討」は19%です。通所介護事業所126のうら、現行単価と同額の予防給付型を「積極的に検討」は43%、7割程度の単価の生活支援型を「積極的に検討」は13%です。調査では共通して、「もっとも重視する条件」に「サービス単価」をあげており、市の提案では事業が成り立たず、撤退する意向が浮き彫りになっています。調査からは、予防給付型でも受皿が乏しく、生活支援型はNPO、民間企業が主体の受皿にならざるをえないが、それでも厳しいといえるのではないでしょうか。7割になることは、いま30%以上黒字を出している事業所以外は潰れることになります。安い単価で緩和型が多数という状況は長続きしません。

この調査結果を踏まえて、ホームヘルパーサービス・デイサービスの緩和型であるサービスAの単価設定は事業継続性を保障しない低単価になっていることについて。事業者指定の見通しにつての見解をうかがいます。

今年の調査では、介護予防ケアマネジメントについて、居宅介護支援事業者139の意向のうら、新規の積極的引受は10%、現在の担当の未継続は35%、現在の担当のうら、今後、総合事業のみは地域包括支援センターに引き受けてもらいたいとする事業者は44%です。ケアマネジメントの受皿がなくなり、地域包括支援センターに業務が移行する可能性が高<なる状況にあります。

介護予防ケアマネジメントの目的は、要支援状態からの自立の促進や重症化予防の推進とされ、本人が目標を立て、達成に向けて取り組み、達成後はより自立に向けた次のステップに移るとされています。そして、「自立支援」にむけた介護予防ケアマネジメントに本人が同意してはじめて事業利用対象者となります。したがって、総合事業のサービスも継続的利用ではなく自立への自己努力を求めるものです。常識的に、高齢者は加齢にともなって、短期的にはよくなっても、長期的には衰えて死を迎えるものであり、介護保険から卒業を迫ることは、長期的には衰えて死を迎えるものであり、サービス利用の意向を尊重し、卒業を強制しないことを求めます。答弁を求めます。

最後に、利用者の希望によるサービスの選択についてうかがいます。

総合事業で、国は選択の幅が広がる、利用者の希望は勘案する、と説明していますが、現行相当のホームヘルプとデイサービスは「専門的なサービスを必要とする人」に提供されるとなり、利用者の希望は勘案する、とされているだけです。

法改正の参議院附帯決議では「利用者のサービス選択の意志を十分に尊重するとともに、地域間において格差が生じないように」とされています。サービスの選択権はあくまで利用者であることを前提に、指定業者によるホームヘルプとデイサービスを土台にプラスαで多様なサービスの利用できる制度にすべきです。答弁を求めます。

 

柳井誠議員の質問への答弁

■市長

(介護保険総合事業費の内訳、目標設定の有無について)

平成27年度から29年度の第6期の介護保険事業計画においては、国の基本的な指針の改定に伴い、計画期間の3年間だけでなく平成37年度の関する中長期的な推計も行うこととされた。お尋ねの総合事業費の推計については、計画を策定した時点では、本市の総合事業に制度設定を検討する前の段階であったこと、また、事業移行前で利用状況の見込みが困難であったことからサービスごとの単価や利用者数の内訳についての条件を仮定した上であくまで参考として推計を行ったものである。

具体的には単価について、従来の給付相当のサービスである予防給付型を現行と同じ単価、掃除や洗濯などの生活支援型を現行の8割の単価と仮定し、利用者数の内訳にいては計画策定時に国のガイドライン案における試算に合わせて、予防給付型・生活支援型の利用がそれぞれ5割づつだと仮定した。それにより37年度の総合事業費は訪問型サービス・通所型サービスなどをあわせて、約41億円と推計した。

一方で平成29年度の総合事業については、国が示した移行期の特例により27年度の予防関係見込み額に10%を上乗せした額などをもとに、上限額として算定した約44億円を推計値とした。その結果、平成37年度の総合事業費は29年度と比較して、利用者数の増加にもかかわらず事業費としては減少したものである。

この中・長期的な推計は、目標設定ではなくあくまで参考である。今後のサービス利用は介護保険料の算定などに影響するものではない。なお介護保険事業計画は3年ごとに見直しを行うため総合事業についても今後、事業計画期間ごとに単価や利用状況などを勘案したうえで、改めて推計を行う。

議員お尋ねの生活支援型サービスの利用の割合については、目標設定することは考えていないが、適切なケアマネジメントにより利用者の状態などに応じたサービスを提供することで重度化予防を推進していき、あわせて筋力向上や低栄養予防などの介護予防事業の充実を図ることで、要介護状態に至らない健康な高齢者の割合を高め、結果として費用の効率化につなげていきたいと考えている。

 

■保健福祉局長

(認定申請の意思を確認し、安易な振り分けや申請抑制とならないよう要介護認定を全員にうけさせるべき)

平成27年度の介護保険制度改正では、要支援者はそれに準じる状態の高齢者の多様な生活支援ニーズに対応するため、訪問介護及び通所介護は保険給付から市町村が実施をする介護予防日常生活支援総合事業のサービスに移行することとなっている。

総合事業の利用にあたっての手続きについては、訪問介護は福祉用具貸与等の保険給付と総合事業を併用する場合には、要介護認定の申請が必要となる。一方で総合事業のみを利用する場合には、要介護認定を省略し、基本チェックリストを用いて事業対象者とすることが可能であるが、この場合でも要介護認定を希望する場合には、いつでも申請は可能とされている。こうした点を踏まえ、本市ではサービス申し込みの入り口となる、地域包括支援センターや区役所窓口において、本人の状態や希望するサービスなど本人の意向を確認したうえで、要介護認定の申請や基本チェックリストの記入を進めることとしている。したがって、議員指摘の安易な振り分けや認定申請を抑制することにはならないと考えているが、新制度時への移行に関しては、その内容についての周知が充分ではいえないことが課題であると認識している。そのため今後、総合事業の移行にむけて、区役所職員や地域包括支援センター等の全職員を対象にした窓口対応研修、高齢者生き生き相談は出前トーク等のきめ細かな市民周知、ケアマネジャーや訪問型サービス・通所型サービスを行う指定事業者等に対する説明会の実施などを通じて、制度の内容や利用手続きについて周知徹底を図ってまいりたい。

 

(事業継続性を保障しない低単価となることで、事業者指定の見通しについて)

市内の介護保険事業者を対象にした今年7月のアンケートは、サービス単価について、従来の予防給付相当のサービスは従来の給付相当の単価を維持し、緩和した基準のサービスについては従来の給付相当を下回る単価とする国のガイドラインを前提に実施した。

その結果、予防給付相当のサービスについては、約3割から4割の事業者から関心があり積極的に検討をしたいとの回答があった。前向きな回答が昨年の1割から増加をしており、総合事業に対する一定の理解がすすんできたものと考えている。

また、緩和した基準のサービスについて単価は7割程度と例示しましたが、その場合でも訪問型サービスは約2割、通所型サービスは約1割の事業者から、関心があり積極的に検討したいとの回答があっている。

加えて現在指定を受けているNPO・民間企業を対象とした説明会を今年8月に開催したところ、45事業者の参加があり予防給付相当のサービスは4事業者、緩和した基準へのサービスは3事業者から参入に前向きな回答を得ている。

サービス単価は事業者が参入にあたり特に重視をする点であり、介護保険事業者等への事業説明及びアンケート実施、要支援者3000人を対象としたサービス利用意向調査等を通じて、関係者の意見を集約するとともに、市議会のご意見を踏まえ今年度中に単価を決定したいと考えている。

その上で事業者の確保については、予防給付相当のサービスは報酬単価が従来と変わらないということを改めて説明することで、十分確保できると見込んでいる。また緩和した基準によるサービスについも資格がなくても一定の研修を受講すれば仕事に従事することが可能であり、元気な高齢者等の雇用にもつながること、そして事業者によっては、掃除や洗濯といった生活支援サービスを報酬単価以下で現在でも提供できているという実態があることなどから、多様な担い手によるサービスの継続を働きかけ、総合事業開始時において、必要な事業者数を確保したいと考えている。

 

(サービス意向を尊重し、卒業を強制しないこと)

総合事業のサービス利用では、保険給付と同様に地域包括支援センターのケアマネジャーがサービス利用のケアプランを作成する、いわいるケアマネジメントを行うこととなっている。このケアプラン作成は現在生活上で困っていることや、サービスを利用しながらどのような生活を送りたいかを聞き取り、利用者の移行を十分確認したうえで、必要なサービスを組み合わせるものであり、サービスからの卒業を強制するものではない。

また、サービスはホームヘルプやデイサービスの従来のサービスに訪問型サービスと通所型サービスそれぞれに、3つの累計が新たに加わることになり、種類が増えることとなる。具体的には移動時介助などの身体介護とは別に、掃除・洗濯などの生活支援、半日程度のデイサービスなどが、新たな選択肢と加わりサーブビスによっては自己負担になるケースもある。今後各サービス組み合わせのルールなどについて、様々な意見を伺い制度の詳細を固めていきたいと考えている。

なおケアプランを作成する居宅介護支援事業者の総合事業への参入については、報酬の減額を懸念して参入意向が少なかったことが推測されますが、従来と変更のない報酬単価を提示することで、積極的な検討を促し総合事業の円滑な実施の協力を求めてまいる。平成28年度中の総合事業の開始に向けて、利用者がその人らしく生き生きと安心した生活を継続できるよう、利用者や介護保険事業者等への説明、地域包括支援センターはケアマネジャー等の研修を重ね、しっかりと準備をすすめてまいりたい。

 

≪第2質問≫

■保健福祉局長

 (総合事業の性格・基本点の市民説明を)

ご指摘の市民への説明については、今現在、厚生労働省のガイドラインが段階的に示されているということで、私共といたしましても、総合事業の進め方につきまして、事業計画・その事業の内容について、そのガイドラインに沿った形で段階的に検討せざるを得ないという状況にあった。かなり骨格がみえてまいりましたので、今後市民に対しては、その内容を、制度設計をなるべく早い時期に決めまして、市民に対してきちんと説明を行いたいと思っている。

介護保険の予防給付から総合事業に移行するわけで、ご指摘いただいた手続的には、そのような外形的には、形になりますけれど、あくまで介護予防という観点で行われるものであるので、地域包括支援センターは行政の保健師、社会福祉士、主任ケアマネの3者で構成されているけれど、予防給付についていずれも熱意をもった職種が担当している。ご指摘のような卒業を強制するような、そういう仕組みにはしないような運営を考えていきたい。これについては市民に対して、今後説明をしていきたいと考えている。

 

≪第3質問≫

■保健福祉局長

 (総合事業を開始したのちの対応)

 現在、要支援の方がサービスを受けられる場合は、現在の状況を尊重するという形で、移行期でございますので、進めていくことが前提である。その上で議員ご指摘の手続きにおきましても、第一答弁で回答したように要介護認定の申請もできるわけで、これは窓口できちんと説明したいと思っている。

 

≪第4質問≫

■保健福祉局長

 (「申請権の侵害をしないという」担保はなにか)

生活保護の公的扶助については、措置として行われるもので、介護保険は社会保険として行われていて、今回は保険給付から市町村の事業に移行するということである。私どもは何よりを介護予防するということは重視をしている。総合事業から卒業を形成するということは窓口では全く考えていない。これは窓口でも地域包括支援センター等でも、対応になりますけれど、基本的に予防については、すすめていくというそういうスタンスで考えている。

 

≪第5質問≫

■保健福祉局長

 (現段階で単価の見込みは)

細かな数字は持っていませんが、計画段階で示した数字は国のガイドラインに沿った形で、あくまで仮定で作ったもので、あくまで目安として、参考として計算したということで、実態とは違うものと考えている。

以上

 

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