更新日:16年01月06日

2015年12月定例会 田中光明議員の一般質問(30分)



2015年12月7日(月)

◎田中光明議員の一般質問(30分)

みなさん、こんにちは。日本共産党市会議員団を代表して質問します。

(1)はじめに子ども医療費の助成制度拡充について質問します

9月議会で当局は子どもの医療費の通院助成拡充について、2016年10月から助成対象を小学6年まで拡充することを基本に検討することとし、自己負担や所得制限及び現物支給についても併せて検討する旨答弁しました。

一方、福岡県も2016年10月から、子供医療費の助成を小学6年まで拡充する方針を表明し、これが実施されれば、本市への県からの補助金は小学生で推計約2.4億円増えることになります。

子ども医療費の助成制度は全国的にも県内においても、短期間の間に驚くほど拡充が進んでいます。全国の子ども医療費助成の主流は、第1に助成対象は中学3年まで、第2に所得制限なし、第3に現物支給、第4に自己負担なしの4点で、わが党はこの4点の早急な実施を度々求めてきました。

まず助成対象です。厚生労働省が発表した2014年4月1日現在の「乳幼児等医療費に対する援助の実施状況」によると、通院費助成を中学3年まで以上を対象に実施しているのは1,134市町村で、全国1,742市町村の65%を占めています。また、2015年12月現在、政令市では通院費助成中学3年までが9市ですが、そのうち本市と同様に県の補助率4分の1である千葉市は中学3年まで、県の補助がない静岡市と浜松市も中学3年まで通院費を支給しています。本市と隣接する自治体では、みやこ町が18歳まで、行橋市と苅田町が中学3年まで通院費を助成しています。県の通院費助成が小学6年まで拡充すれば、県内の自治体はさらに拡充が進むと考えられます。つぎに自己負担です。厚労省調査では、自己負担なしは986市町村で、57%を占めています。

厚生労働省が2014年7月にまとめた「国民生活基礎調査」によると、日本の子どもの相対的貧困率は2012年時点で16.3%。およそ6人に1人が貧困状態に置かれています。本市における生活保護の教育扶助を受給する子どもの数は本年度で1,278人でした。また、母子家庭の世帯数は2011年度においては15,733世帯で、2006年度の調査と比較して5年間で613世帯増加しています。さらに、2014度に教育扶助及び就学援助の対象となった生徒数は15,881人で、公立小中学校の全児童生徒数のうち21.9%、5人に1人が教育扶助又は就学援助を受給しています。

このように市内でも子供の貧困化が進む中、子どもの病気の早期発見・早期治療のためにも、子どもの心身の健全な発達を促すためにも、いつでも、どこでも、医療費の心配なく安心して医療を受けられるようにすることが強く求められています。貧困のために子供たちが医療を受けられないという事態を防がなければならなりません。

県の通院助成拡充を契機に、通院費の助成対象を中学3年まで拡大し、併せて、自己負担を無料にすべきと考えますが、答弁を求めます。①

 

(2)次に「マイナンバー制度」について質問します

マイナンバー制度を進める政府の本当のねらいは、第1に社会保障の給付制限です。把握した預金や収入、資産に応じて、年金など社会保障の給付を制限し、医療・介護保険等の自己負担を増やすなどです。第2に収入や経費を正確に把握することによって、徴税を強化することです。第3に財界向けの新しい公共事業です。初期費用は3000億円で、民間を含めると1兆円。年間の運営費は300億円。3兆円規模のビジネスチャンスを大企業にばらまくことです。第4に軍事国家づくり、自衛隊入隊の勧誘などでの利用です。

内閣府のマイナンバー等分科会のロードマップ(案)をみると、3年後には銀行などの預金口座に任意でマイナンバーが付番されるほか、個人番号カードの利用を健康保険証、運転免許証、医師免許、学歴証明などにも拡大し、国民がカードを持たざるを得ないようにして、政府が国民を管理・監視しようとしています。

わが党はこの制度に反対しました。理由は、①情報漏洩を100%防ぐシステムは不可能、②意図的に情報を盗み売る人がいる、③一度漏れた情報は流通売買され取り返しがつかなくなる、④情報は集積されるほど利用価値が高まり、システムが攻撃されやすくなるからです。

ドイツ、フランス、カナダなどは税や社会保障に限定しており、イギリスは人権侵害として廃止されました。アメリカは社会保障番号が流出し、不正ななりすまし犯罪が2006年から2008年の3年間で1,170万件発生し、その被害額は年間平均5兆円と言われています。人口5千万人の韓国は、7年間で人口の4倍の2億人分が情報流出しています。

市民の利便性が向上するかのように喧伝されていますが、コンビニで住民票や印鑑証明が取れる、年金の支給申請が楽になるなど、その効果は極めて限られたものであり、マイナンバーは自分の番号というよりは、むしろ政府ナンバー、国民総背番号制そのものです。

事業者の皆さんにも不安が広がり、質問もたくさん寄せられています。1人の従業員でも事業者は「個人番号関係事務実施者」として、①従業員・パート(扶養家族を含む)などからマイナンバーの提供を受け、②厳格な本人確認、③源泉徴収票等にマイナンバーを記載して提出、④外部に流出しないように日常的に管理、⑤従業員などが退職した場合はマイナンバーの確実な廃棄が義務付けられています。情報を漏らした場合、最長4年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。

求められる機密の水準をつくるためには、5人ほどの会社で数十万円、大きくなると数百万円の負担になると専門家は指摘しています。費用と労力は自己負担で、漏洩すれば罰金という、事業者にとって何のメリットもない、政府に厄介な仕事を一方的に押し付けられたという感はぬぐえません。自己防衛のために、事業者は従業員などからマイナンバーの提示を求めない、源泉徴収票などにマイナンバーを記載しない方が良いという有識者もいます。

そこで質問します。事業者が行う種々の手続きや届け出などに、マイナンバーの記載がない場合において、本市はどのように対応するのか。また記載がない場合に業者にどのような不利益があるのか。答弁を求めます。③

同様に、市内の事業者等からの問合せが多い税務署や日本年金機構などの関係機関がどのような対応をするのか、市として調査・把握し、答えられるようにすべきではないか。答弁を求めます。④

 

(3)次に、35人以下学級の推進について質問します

今年4月からはじめた校長の裁量制による35人以下学級の編制について、35人以下学級を進めるという教育委員会の姿勢は評価できますが、教員を増やさずに進めることには無理があることを指摘してきました。結果は、中学3年生は21校中3校、7分の1しか実施されませんでした。比較的対応しやすい小学4年生でも、28校中19校での実施に止まりました。現在、中学3年生は18校、小学4年生は9校が35人以下学級ではない状態です。

根本的には、国の35人以下学級の取組みの遅れという問題がありますが、全国的には自治体独自の努力で35人以下学級は子ども医療と同様年々前進しています。県内では2015年5月1日時点で、小学校全校実施が23市町村、中学校全校実施が15市町村あり、そのうち小中学校全校実施は13市町村です。

小学4年生と中学3年生で、2016年度の35人以下学級をどのように進めるのか。答弁を求めます。⑤

 

田中光明議員の質問への答弁

■市長

マイナンバー制度について)

今後事業者や市民に対して行う手続きの中にも、法律などによってマイナンバーの記載が義務づけられる手続きがあります。こうした手続きにおいてマイナンバーの記載がない場合には指導させていただくことになりますが、マイナンバーの記載がないことのみをもって、市が届け出などを受理しないということはない。また、マイナンバーの記載がないことに対して、事業者に対しする罰則はない。特段の不利益は生じませんが、記載していただけるよう繰り返し指導させていただくことになります。

税務署や年金機構など他の機関において、マイナンバーの記載がない場合にどう取り扱うかについても、すでに国税庁や厚生労働省からマイナンバーの記載がないことを理由に届け出などを受理しないということはないとの見解が示されている。現在事業者などからもしもお尋ねがあった際には、その旨をお伝えしている。こうしたどの機関でもマイナンバーの取り扱いについては、今後も国などから示される情報を適時収集しながら問い合わせに対応してまいる。更に具体的な手続きに関する相談になった場合には、税務署などの関係窓口につなぎます。今後も事業者の皆様に対して、商工会議所、中小企業支援センター、税務署などの関係機関と協力しながら、引き続き丁寧に対応していく。

 

■子ども家庭局長

 (子ども医療費の拡充について)

通院費の助成対象を中学校3年生まで拡大し、自己負担を無料についてであるが、安心して子どもを産み育てる環境づくりのために、乳幼児等医療費支給制度が果たしている役割は重要だと考えている。当制度につきましては、多くの議員会派が拡充の要望がなされたほか、他の政令市や近隣市町村におきましても、小中学生まで助成対象を拡充している。さらに福岡県におきましても現在、通院・入院とも小学校就学前となっている助成対象を平成28年夏から通院・入院との小学校6年生まで拡充することが公表されている。

このような状況を踏まえて、本市としても通院医療費の拡充について検討を進めており、今年9月議会において、現在小学校就学前となっている通院医療費の助成対象を小学校6年生まで拡充することを基本に検討している、実施時期については、県と合わせた平成28年10月から実施したいと考えていると答弁をしたところである。自己負担についても持続可能で安定的な制度とするための財源確保などについて、重要な課題と認識しており他市町村の動向を踏まえながら引き続き検討を行っているところである。当制度に対する市民の皆様の期待が大きいことは十分に承知をしており、今後も引き続き議員の皆様をはじめ関係者の意見を十分に伺いながら制度全般について検討を進めてまいりたい。

 

教育長

(35人学級の今後の推進について)

今年度からはじめた裁量制度の35人以下学級の実施状況であるが、小学校4年生では28校中約70%の19校、中学校3年生では21校中15%の3校でした。

 

そこで中学校3年生が対象となる学校の校長に、35人以下学級をしなかった理由を確認したところ、学級増により、授業実数が増えるために、教科により、教員が余裕を持った指導ができなくなるという人員配置上の理由も上げられましたが、その他には例えば児童が落ち着いているため、35人以下学級を行うよりは、少人数指導などを行う方が学校運営がスムーズに行える。あるいは少人数指導によりここ数年確実に学力が向上しているために少人数指導を継続するのがのぞましい。生徒の状況から個別指導が行える少人数指導が効果的と判断した。こういった理由があげられており、教育委員会としては人員配置の状況だけは、その判断理由だけではなかったと考えている。

現在も国の40人を基本とする学級編成基準のもとでは、これ以上学級担任を受け持つ教員を確保するのはなかなかむずかしい状況がある。

このような状況の中で、少しでも多くの学年で35人以下学級編成が実施できるよう、学校現場の意見を踏まえて裁量性を導入したところである。学校現場からは一定の評価を得ていると考えている

政令市の35人学級の導入状況を見てみると、裁量性を含め小学校4年生以上で実施しているのは本市含めた20都市中13都市。中学校で2学年以上実施は8都市。先進とまではいかないにしても一定の努力はしていると認識している。

来年度であるが、校長会から裁量制を導入してまだ1年目であり、まずは各学校の状況を見たうえで今後に繋げたいとの意見が出されたことから、今年度と同様の学年で裁量制を継続していくこととしている。

今後どのようにして35人以下学級を推進していくのかは、引き続く学校現場と意見交換を行いながら検討してまいりたい。いずれにしても、本市としては35人以下学級の拡充では、国の制度の充実が不可欠と考えている。引き続き国に対しては、市だけでなく指定都市の教育長会議などを通じて、すべての学年での35人以下学級の実現に向けた学級編成基準の見直しや教職員の配置充実について要望してまいりたい。

 

≪第2質問への答弁≫

■子ども家庭局長

 (他都市、周辺自治体は拡充しており、中学3年までの拡充を求める)

 議員ご指摘のとおり全国的に自治体の取り組みとしては、当制度の拡充の傾向であることは私どもの承知している。ただ乳幼児医療制度は、助成対象も大変重要なポイントですが、自己負担・所得制限あるいわ現物支給等、いろんなポイントがあり自治体によって現行制度のもとでも、進みぐわいがバラバラであり、私どものこの制度は、通院で就学前までの助成であり、これからいっきに中3までの提案ですけれど、この3年分の経費が当然必要となる上に、県の方の見直しの内容であるが、現状では小学校6年までという発表があっており、中学生までと拡充となれば県の補助は入ってこないということになると、丸々一般財源の持ち出しと言うことになるかと思う。制度の拡充にあたってのポイントと思っているのは、持続可能性と言うところで、財源の確保が重要なポイントになるのではないかと思っている。繰り返しで恐縮ですが、現時点では小学校6年生まで拡充を基本に検討さしていただいているのでご理解いただきたい。

≪第3質問への答弁≫

■子ども家庭局長

 (制度拡充による償還方式の経費について)

手元に細かな試算はないが、入院のみが助成対象であり通院ほど利用頻度は多くないこと、また年齢が上がっていることで受診件数が減る傾向にある、現行制度では償還払い制度を取っている。

 

≪第4質問への答弁≫

■子ども家庭局長

 (制度拡充で、償還方式ではなく現物支給への改善を)

現物支給の件ですが、9月議会でも答弁させてもらった。当制度の大きなポイントでもあり、しっかり検討していく課題であるという認識を持っている。助成対象、自己負担とともに、あわせてしっかり検討していきたい。

 

≪第5質問への答弁≫

■子ども家庭局長

 (償還払いの試算をしていないと理解していいか)

いま細かな数字を持っていないということで、ご理解願いたい。

 

≪第6質問への答弁≫

■子ども家庭局長

(所得制限についての検討状況は)

 所得制限についても、4つのポイントのうちの1つであり、あわせてしっかりと来年10月に向けて検討させていただいている。

 

≪第7質問への答弁≫

■総務企画局長

 (マイナンバーで事業者にとってメリットは何か)

事業者のメリットであるが、企業には法人番号が割り振られている。28年1月からですが法人税のポータルにおいて、取引先の情報を収集活用できるということがあげられている。これは先の話ですが、従業員の源泉徴収票とか支払い報告書の提出、手続きが簡素化されるケースがあると言われている。

 

 

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