更新日:16年04月19日

2016年2月定例会 山内涼成議員の一般質疑(60分)



2016年3月4日(金)

 ◎山内涼成議員の一般質疑(60分)

皆さんこんにちは。日本共産党の山内涼成です。私は会派を代表して一般質疑を行います。

まず、障害者権利条約締結を受けた本市の取り組みについて伺います。

2006年に採択された国連の障害者権利条約は、どんなに重い障害があっても、障害のない市民と同様に地域で暮らし、学び、働き、スポーツ・旅行・趣味を楽しみ、情報のやり取りをする権利の保障などを掲げています。日本は2007年に同条約に署名したのち、2014年1月に批准し、同年2月から国内での効力が発生しました。

締約国は、障害者の権利実現に必要な措置をとることが義務付けられています。国内での効力発生後2年以内に1回目の締約国報告を国連に提出することが求められています。

報告する内容として国連が締約国に求めていることは、障害者の権利確保のためにどんな法整備をしたか、それによる障害者の生活の変化、障害のない市民との格差の縮小の度合いなどです。ところが外務省が昨年9月に公表した政府報告案は、法整備などについては詳しく述べているものの、障害者の生活実態の変化についてはほとんど触れていません。

本市ではどうでしょうか。 国の障害者に対する法整備に対応するため、その都度、障害者支援計画を見直してきました。現在は平成24年度を初年度とする平成29年度までの障害者支援計画が進められていますが、この計画も国の動向を踏まえながら必要に応じて計画を見直すとしています。

この計画の中では、平成18年度から23年度までの主な実績に基づく現状と課題が整理されています。実績として様々な施策や利用人数の増加が紹介され、現状と課題については、実態調査に基づいて、「買い物」「ドライブや旅行」「映画やコンサート・演劇などの鑑賞」などに対するニーズの把握がされています。

障害者差別解消法は、「すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会を実現する」ことを目的としています。

例えば、買い物に行きたいというニーズが一番高いという実態をせっかくつかんでいるのですから、実際に今現在、障害者がその内どのくらい買い物にでかけているかという実態に基づいて改善計画を立て、改善目標と成果、それにより障害者の生活実態がどう変化したのかを検証することが必要ではないでしょうか。

障害者差別解消法の本年4月からの施行を前に、北九州市として強いリーダーシップが求められています。現行計画に改善目標と成果、それにより障害者の実態がどう変化したかを盛り込むべきと考えますが、見解を伺います。・・①

2つ目に、65歳の誕生日を迎えた障害者で、これまで通所サービス、居宅サービス、グループホームを利用して自立した生活を送っていてもこの日を境に介護保険によるサービス提供となるいわゆる「障害者の65歳問題」について伺います。

NHKで「65歳の壁」と題してこの問題を取り上げた番組が放映されました。田川市で一人暮らしをしている脳性麻痺の67歳の女性は、生まれた時から体の自由が利かず、生活には人の手助けが欠かせません。

風呂に入る時も介助が必要ですが、以前は週4回受けられていた通所による

入浴介護サービスが、65歳を境に3回に減ってしまいました。

女性は「夏なんて特に、汗が出るから毎日でも入りたいですが、お金がかかります。64歳までしてもらっていたことがある日突然できなくなりました」と話していました。このほか、主に利用するデイサービスが、障害者向けから高齢者が多い施設に変わったことで、障害者どおしで語らったり、悩みを打ち明けあうこともできなくなったと言います。そればかりでなく新たな費用負担もあり、不安な日々を過ごしています。田川市では、独自にサービスを上乗せするなどの対応に努めていますが、サービスの提供を継続することは困難としています。

本市でも障害者の方から同様の意見が多く寄せられています。

本市としても、障害者権利条約の趣旨を踏まえこの問題の法整備を国に対し求めるべきです。見解を伺います。・・・・②

 

次に、県費負担教職員の給与負担等の移譲について伺います。

現行制度では、市町村立の小・中・特別支援学校等の教職員の給与費は道府県が負担し、その人事権は道府県教育委員会が有していますが、特例として指定都市立の学校の教職員の人事権は指定都市教育委員会が有しています。

このため、指定都市に関しては人事権者と給与負担者が異なる状態にあり、この状態を解消するためには、道府県から指定都市への権限移譲が必要となることから、それに伴う関係道府県と指定都市間で財政措置の在り方について協議が実施されました。これを受け、平成25年11月に財政措置のあり方について両者が合意されました。このことに関連し、2点伺います。

権限の移譲後は、学級編制基準、教職員定数を市が独自に決定することができるようになります。様々な努力で35人以下学級を推進してきた本市だからこそ学級編制基準を小中学校すべての学年で当面35人以下と定めるべきです。答弁を求めます。・・③

二つ目に、教職員の賃金・労働条件について伺います。

地域手当の支給割合については、県費負担教職員は5%となっていますが、北九州市の支給割合は3%です。権限移譲により他の職員との整合性が図れないことから3%に引き下げざるを得ないのではという現実があります。

一方で、多忙化する学校現場では、2014年12月に「日本の教育を考える10人委員会」が行った調査によると、公立小・中学校に勤める教員の46%が月約50時間以上の残業をしています。平成26年度の本市教員の月平均在校時間は小・中学校の平均で約40時間ですが、教職員の勤務形態の特殊性を踏まえ、時間外勤務手当を支給しないこととし、その代わりとして昭和47年から一度も見直されることなく給料月額の4%の教職調整額が支給されています。これは残業時間に換算すると月8時間です。せめて地域手当の引き下げ分を教職調整額に加算すべきと考えますが、見解を伺います。・・・・④

 

次に、城野遺跡について伺います。

平成21年度から22年度の発掘調査で発見された城野遺跡は弥生時代後期、邪馬台国と同じ時代の大規模な集落跡が良好な状態で残っており、学術上重要な遺跡であることが分かっています。特に九州最大規模の方形周溝墓に埋葬された石棺では、当時非常に高価だった真っ赤な水銀朱がふんだんに塗られ、その表面には古代中国の節分の起源と言われる儀式で、鬼や悪霊を追い払う役割を持つ役人である方相氏が描かれているのではないかと言われています。このように本遺跡から発掘された石棺は独自の特徴を示し、その他にも管玉・そろばん玉などを製造していた玉造工房跡は九州で2例目という大変貴重なものです。

本遺跡はもともと医療刑務所の敷地だったため、周辺の市街地化が進む中、小高い丘陵部が奇跡的に当時の状態のままで残されており、そこに立てば、今でも弥生人の息づかいが間近に感じられる数少ない遺跡です。

日本考古学協会も専門家の立場から、国、県、市に「現状を保存し、史跡として整備・活用を図ること」と要望書を今年1月にも再度提出しています。

本市は当初、現地保存すると表明していましたが、土地所有者である国との保存交渉が成立せず、国が公的団体向けの売却手続きに入っても取得等の要望をすることなく、平成26年現地保存を断念しました。平成27年11月20日、国は売却のため一般競争入札を公示しました。

教育日本一を目指し、文化や歴史を大切にすることをうたっている北九州市に本格的な遺跡公園はありません。市民の財産である城野遺跡が民間に売却されつぶされたら取り返しがつきません。国民的文化遺産にふさわしい城野遺跡を現地保存し、市民が歴史体験できる遺跡公園を作ってください、との現地保存を求める声が地域住民の皆さんはもとより、九州考古学会会長や東京大学教授など専門家からも数多く寄せられています。

城野遺跡の後ろにそびえる足立山を見上げながら、遺跡・遺構の配置を想像すると、弥生時代の集落や人々の暮らし、働く姿が目に浮かびます。遺跡の広がりも台地上で完結しており保存するには非常に見栄えのする広さです。

国民的文化遺産にふさわしい、市民が誇れる遺跡公園として整備・活用すれば、市内外の学校の子どもたちも訪れやすく、学校教育にも大いに活用されることが期待されます。

さらに、北九州市で初めての本格的な遺跡公園ができれば、文化と歴史、郷土愛を大切にする都市「弥生人と語り合える遺跡のある北九州」という新たなイメージにつながります。

また、城野遺跡はJR城野駅から歩いて1分の場所にあり、市民はもちろん遠方からも訪れやすい身近な遺跡公園になります。

本市は、記録保存として主だったものを別の場所に移動しましたが、これではそこから感じるロマンや雰囲気は薄っぺらいものになってしまいます。本市は城野遺跡の歴史的価値をどのように評価していますか。また、その評価は現地保存の方針を示していた当初から変わっていないのか、答弁を求めます。・・・・⑤

二つ目に、城野遺跡は医療刑務所の跡地で国の所有地ですが、貴重な遺跡は市民の財産です。本市は、平成23年9月から平成25年5月にかけて10回にわたり国に保存用地の確保を要請し続けたが、国は市に用地の購入を求め、優遇措置や等価交換などの制度の説明に終始した、市と国との合意ができない中、国が売却手続きを開始した、と答えていますが、10回の交渉で国が同じ説明を繰り返したというのは信じがたいことです。進捗があるから回を重ねたのではないのでしょうか。国は、「市が計画を出さなかったのが残念だった」とも言っています。国が遺跡としての価値を否定したのか、市は、買ってまで現地保存する必要はないと判断したのか、市民に知らせるべきではないでしょうか。交渉の経緯について詳細な答弁を求めます。・・・・⑥

三つ目に、1800年もの間手つかずの状態で見つかった貴重な遺跡を何事もなかったかのように簡単に壊してしまっていいのでしょうか。それこそ北九州市にとって大きな損失です。落札した企業から買い戻すことなど、遺跡の現地保存を求める市民や学会等の要望に応えるべきと考えますが見解を伺います。・・・・⑦

 

次に、本市の学童保育について伺います。

放課後児童クラブにおいては、集団の中で子供に保障すべき生活の環境や運営内容の水準を明確化し、事業の安定性及び継続性の確保を図っていく必要があることから、「放課後児童クラブ運営指針」を新たに策定し、国として放課後児童クラブに関する運営及び設備についてのより具体的な内容を定め、平成27年4月1日より適用されています。

新たな運営指針は、①放課後児童クラブの運営の多様性を踏まえ、「最低基準」としてではなく、望ましい方向に導いていくための「全国的な標準仕様」としての性格を明確化する②子どもの視点に立ち、子どもの最善の利益を保障し、子どもにとって放課後児童クラブが安心して過ごせる生活の場となるように、放課後児童クラブが果たすべき役割を再認識し、その役割及び機能を適切に発揮できるような観点で内容を整理する③子どもの発達過程や家庭環境なども考慮して、異なる専門性を有して従事している放課後児童支援員等が子どもとどのような視点でかかわることが求められるのかという共通の認識を得るために必要となる内容を充実する、との観点から策定されています。また、厚生労働省は、各市町村に対して管内の放課後児童クラブが適正かつ円滑に事業運営されているかを定期的に確認し、必要な指導及び助言を行うなど、放課後児童クラブの一定水準の質の確保及びその向上が図られるよう尽力するよう求めています。

この運営指針では、実施主体を市町村と明確に位置づけ、指導員の高いスキルと専門性を求める中で、子どもとの安定的、継続的な関わりが重要であるため、指導員の雇用に当たっては、長期的に安定した形態とすることが求められています。

本市は、放課後児童クラブの運営を各運営委員会に委託料と補助金を交付するだけで、その運営や人事権は運営委員会にあるため指導員の賃金や労働条件、社会保険の有無などバラバラです。

県内に本市以外にこのような運営をしている市町村はありません。それぞれのクラブでその歴史に違いはあれど、今後、実施主体を市町村であることを明確にし、指導員を、専門性を持った常勤職員として位置づけることを示した運営指針に従い、賃金や労働条件などを統一すべきです。見解を伺います。・・⑧

 

次にPCB処理施設におけるベンゼン排出事件について伺います。

PCBの猛毒性を世に知らしめたカネミ油症事件は、1968年にPCB(ポリ塩化ビフェニル)などが混入した食用油を摂取した人々に障害等が発生した、主として福岡県、長崎県を中心とした西日本一帯の食中毒事件です。

本市小倉北区のカネミ倉庫株式会社で作られた食用油「カネミライスオイル」の製造過程で、脱臭のために熱媒体として使用されていたPCBが、配管作業ミスで配管部から漏れて混入し、これが過熱されてダイオキシンに変化した、このダイオキシンを油を通して摂取した人々に、顔面などへの色素沈着やクロルアクネなど肌の異常、頭痛、手足のしびれ、肝機能障害などを引き起こしました。

カネミ油症事件から48年、このPCBの無害化処理施設で起きた市とJESCOが締結している環境保全協定値の11倍ものベンゼン排出事故は、カネミ油症事件と同様に、人的ミスという共通した原因が背景にあると言わざるを得ません。このことが環境省に「これは事故ではなく事件である」と言わしめた最大の理由であると思います。

今回の事故を受けて本市は安全が担保できるまでは施設の稼働はさせない立場をとっていましたが、安全の担保はハード面の整備に加え、そこに働くすべての従業員が小さな問題に気づき全体で共有し、その都度改善する体質に転換することが求められます。

現在JESCO北九州事業所内で実際にPCB処理を行っているのは北九州環境プラントサービスで、268人が従事していますが、そこから6社(山九・吉川工業・アステック入江・日鉄住金テックスエンジ・三島興産・高田プラント建設)に業務を再委託しており、危険な情報を吸い上げ共有し対策を講じることができるのか疑問です。JESCOはリスクアセスメントを徹底することで安全を担保したと言っていますが、現在、PCB処理にあたっている、再委託先6社までリスクアセスメントが徹底できているのでしょうか。答弁を求めます。・⑨

 

最後に、一番重要なのはこの事業を無理やり押し付けられている地元住民の信頼回復です。1月21日に監視会議の後、住民の抗議と要請で行われた住民説明会だけで住民への理解が得られたとは到底思えません。

説明会で市民からは、「導入時、英知を結集して安全対策に責任を持つと市民に約束しておきながら今回の事態である。北九州市はなめられているのではないか」「深冷クーラーを止める判断を誰がしたのか。課長が決めて、所長が知ったのが1~2週間後、市が知ったのは1年半後ということ、なぜこんなことになったのか。」「市が太鼓判を押した27項目の受け入れ条件の違反があってもなぜ、出て行けと言わないのか」など、市の関与の在り方や事実を隠した会社の体質と裏切りに大きな怒りがぶつけられました。

周辺住民には生まれ育った海が思い出せないほどに変貌していく過程で、得体のしれない廃棄物が無造作に捨てられ埋め立てられた現場を目の当たりにしてきたからこそ環境に対する不安は根深いものがあります。市として、今度このような事案が起こった場合、北九州市から事業所を撤退させるとの覚悟を住民にしめすべきと考えますが。見解を伺います。・・・・⑩

以上で、第1質疑を終わります。

 

山内涼成議員質疑への答弁

■市長

(障害者差別解消法について)

本市では障害福祉政策の着実な推進のため、北九州市障害者支援計画を策定し、計画的に事業を行っている。この計画は障害者総合支援法にもとづく障害福祉計画を包含したもので、国の基本指針に基づき今後3年間の障害福祉サービスの目標や見込み量、提供体制の確保策などについて定めている。

平成27年度から29年度までの3年間を計画期間とする現行計画の策定にあたっては、24年度から26年度の前の計画のサービス利用状況や今後の需要見込みなどを勘案し、本市の障害児、障害者等の実態調査の結果などを反映して策定した。実態調査では、市内の障害児(者)約4500人を対象に、アンケート形式による郵送調査を主として、生活意識や実態、今後のサービス利用意向などについて把握を行った。

これらの調査結果の計画への反映については、例えば障害福祉サービスの利用意向で特にニーズが高かった、障害児が放課後、夏休み等に通い、生活能力向上のために必要な訓練や支援を受ける放課後などデイサービスについて、月平均の延べ利用者数が26年度実績で約1万1000人であったものを、今後のニーズの追加を勘案し、計画では29年度の利用見込み量約1万8000人と増加させている。

計画で掲げた目標については、有識者などによる障害者支援計画フォローアップ会議などで毎年、進捗管理をおこなっており、3年後の次期計画を策定する際に毎回、障害児、障害者実態調査を実施し、前回調査結果との比較をしながらどう変化したかや、ニーズの動向などを評価分析し、次の計画に反映することにしている。

加えて計画策定にあたっては、障害者団体からの意見聴取も行っており、実態についてもその声を反映させている。実態を反映させる方法については、今後も障害者団体からの意見を聞きながら工夫していく。

(障害者福祉の「65歳問題」について)

障害者が65歳以上になった際には、サービス内容や機能から障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、原則として介護保険サービスの利用が優先されることになっている。その際、国は一律に介護保険サービスを優先的に利用させるのではなく、まず就労支援や同行援護など障害福祉サービス固有のものと認められるものについては、障害福祉サービスを支給する。

二番目に、介護保険の区分支給限度基準額の制約などから、介護保険サービスの支給量、内容では、十分なサービスが受けられない場合には、障害福祉サービスを支給することができる、いわゆる上乗せだ。このようにして、個々の実態に即した適切な運営を求めており、本市においてもこれに基づいた対応を行っている。

ご指摘の65歳問題については、障害者総合支援法の施行3年度の見直しの中で検討項目の一つにされており、昨年、国の社会保障審議会障害者部会において、関係団体のヒアリングを行いながら幅広い観点からの検討が行われ、12月に見直しについての報告書がまとめられている。

その報告書では、高齢の障害者に対する支援のあり方の項目において、社会保障制度の仕組みとして現行の介護保険優先原則を維持することは一定の合理性があるとしたうえで、障害福祉制度と介護保険制度との連携を推進することが必要と指摘している。その上で例えば、これまで障害福祉サービスを提供してきた事業所が引き続き支援を行うことができるよう、その事業所が介護保険事業所になりやすくするなどの見直しを行うべきと指摘されている。

また介護保険サービスの利用者負担については、一般高齢者との公平性や介護保険制度の利用者負担のあり方にも関わることに留意しつつ、そのあり方についてさらに検討すべきとされている。現在、厚生労働省はこの報告書を受けて、障害者総合支援法の改正などに向けた検討作業を行っている。本市としては今後、示される改正内容に基づいて適切に対応していく。

(放課後児童クラブ指導員の労働条件改善について)

平成27年度からの子ども子育て支援制度のスタートに伴い、国が放課後児童クラブの指導員の資格や配置基準、施設設備、開所日時等の基準を省令で定め、市長がその基準を踏まえて条例で定めることとされ、本市でも平成27年4月から施行したところだ。

また国は省令を踏まえて、従来のガイドラインを見直し、クラブの運営と設備についてより具体的な内容を定めた放課後児童クラブ運営指針を新たに策定した。この運営指針は、クラブ運営の多様性を踏まえつつ、子どもに保証すべき遊びや生活の環境、運営内容の水準を明確化するためクラブにおける育成支援の内容やクラブの運営、施設及び設備、衛生管理及び安全対策などについて定めている。

このうち、クラブの運営の項目の中で指導員の配置基準や勤務時間などについては示されているが、賃金に関する定めはない。賃金について国は、地域の実情、運営の状況に応じ適切に対応することという見解を示している。また運営主体については、放課後児童健全育成事業は、市町村が行うとしたうえで実際のクラブ運営については子どもの健全育成や、地域の実情について十分理解している自治体が継続的、安定的に運営することを求めている。

本市では校区の社会福祉協議会などの役員で構成される運営委員会に委託している。

指導員の賃金や労働条件を統一すべきというご指摘だが、本市では従来から指導員の月額や日額の報酬に加え、1時間当たりの支給額や一時金の支給率の他、児童数に応じた指導員の配置基準、勤務時間などを市の標準モデルとして定め明確に示しているところだ。

毎年2月に開催する運営委員会を対象とする定例の事務説明会において、この標準モデルの内容を詳細に説明し、各クラブにおいて適正な運営がなされるよう運営委員会からの相談に随時応じ、必要な場合は担当職員がクラブに出向いて指導や助言を行っている。なお市が各クラブに示しているのは標準モデルであり、各クラブでは賃金等の処遇についてこの標準モデルを踏まえつつ、各運営委員会の判断によって、例えば児童への手厚い支援を行うのに基準を上回る指導員を配置するなど、地域や登録児童及び指導員の実情に応じて決定している。今後も引き続き、それぞれの運営委員会に理解と協力を求めながら、放課後児童クラブの適正運営に努めていく所存だ。

 

■教育長

(県費教職員の権限移譲に伴う問題について)

まず小中学校すべての学年で、当面35人以下に学級編成の基準を定めるべきという点。

平成29年4月に、県から本市への県費負担教職員の給与負担等の権限の委譲が予定されている。権限が委譲された場合でも教職員定数に関する法律の改正や、国の加配教員の予算の増額が行われなければ、本市の教職員定数は現在と大きく変わらないと考えている。

権限が委譲されても、現在の国の制度の下ではこれまで同様、学級担任を受け持つ教員を確保するのは難しい状況に変わりはないことから、現時点では小中学校すべての学級で35人以下を実施することは難しいと考えている。

しかしながらこのような状況の中で、少しでも多くの学年で35人以下学級編成が実施できるよう、学校現場の意見も踏まえて今年度から小学校4年生と中学校3年生に裁量制を導入したところだ。学校現場からは一定の評価を受けている。

この対象学年の拡充については、校長会とも協議をしたところだが、校長会からは裁量制を導入してまだ1年目であり、まずは各学級の状況を見たうえで今後につなげたいとの意見が出されたことから、来年度については今年度と同様、同様の裁量制を継続していくこととしている。今後、どのように35人学級を推進していくかについては、引き続き学校現場との意見交換も行いながら検討していきたい。

いずれにしても本市としては、35人以下学級の拡充には権限移譲に関わらず、国の制度の充実が不可欠と考えており、引き続き国に対しては市としての要望に加え、指定都市教育委員・教育長協議会を通じてすべての学年での35人以下学級の実現に向けた学級編成基準の見直しや、教職員の配置充実について要望していきたいと思う。

(教職員の権限移譲に伴う地域調整手当減額について)

現在、県の条例や規則などで定められている小学校、中学校、特別支援学校の教職員の勤務条件や教職員定数などについては、権限移譲後は本市独自に条例、規則などで定める必要がある。このため権限移譲後の給与表や諸手当、勤務時間、休暇制度などの勤務条件については、校長会や教職員組合などの学校関係者の意見を聞きながら、市関係部局と連携して検討を進めている。

地域手当の支給割合についても教職員と本市職員との均衡や、これまでの本市人事委員会等の勧告を踏まえて慎重に検討しているところだ。

ご指摘の教職調整額だが、これは教員の職務と勤務対応の特殊性から、効率の義務諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の規定によって、時間外勤務手当等を支給せずに給料月額の100分の4に相当する額を基準とし、条例で定めるところにより支給するものだ。

このため他の手当の引き下げ分を教職調整額で加算ということだが、まず教職調整額は給与の特別措置法で額の基準が定められている。また地域手当は、公務員給与に地域の民間賃金水準を適切に反映させるための手当であり、教職調整額とは手当の趣旨が異なる。こういったことから、ご提案は制度上困難であると考えている。

 

■市民文化スポーツ局長

(城野遺跡について)

城野遺跡は平成21年から22年に発掘調査を実施し、3世紀後半の九州最大規模の方形周溝墓、水銀朱を塗った石棺、勾玉などを製造していた工房などが発見されるなど、弥生時代の大規模な集落跡であることが判明した。今から2000年前の人々の営みが残る大事な遺跡だ。その評価は発見当初と変わるものではない。

遺跡の現地保存での交渉だが、土地の所有者である国と平成23年9月を皮切りに、25年の6月まで合計10回行った。本市は交渉の初期の段階においては、発見された遺跡の内容、その重要性、保存する位置や面積、保存方法等にかかわる市の保存計画案について説明をした。

その中で文化財保護法に示されている国と市の任務を踏まえ、保存すべき土地については国の責任で確保し、市が保存公開することを再三にわたり要望した。国からは第4回目の交渉時に、保存用地を市が購入し確保することを求められた。第7回目の交渉時には、土地購入に際しての優遇措置や等価交換などについての説明が行われたところだ。その後の交渉では、文化財保存の考え方やその方法に関して、それぞれの主張をする質疑や説明、内部検討を踏まえての要望を繰り返しながら進められたが、両者の主張は平行線をたどり、最終的には合意に至らなかったものだ。

そこで本市は専門家の意見を伺い、貴重な水銀朱を施した石棺については適切に保存し活用するうえで、温湿の管理ができる屋内での移築保存、玉造工房跡に関しては現地での詳細な調査に基づき報告書を刊行する記録保存と方針を変更したものだ。

取り上げた石棺は、埋蔵文化財センターにおいて出土した状況を正確に復元した上で、弥生時代の埋葬の様子がわかるような展示を行う予定だ。平成28年度には、埋蔵文化財センターでの公開ができるように、移築展示のための予算を計上している。また展示に合わせて、子ども向けの玉造や青銅器づくりを行う体験講座、大人向けにはシンポジウムや市民考古学講座などを実施する予定だ。

なお城野医療刑務所跡地は、平成28年1月に一般競争入札が行われ、すでに落札していると聞いている。本市としては、城野遺跡については方形周溝墓石棺は移築保存、玉造工房跡は記録保存との方針を決定している。落札業者から土地を購入することは考えていない。

 

■環境局長

(PCB処理施設でのベンゼン漏れ事故について)

まずPCB処理にあたっている再委託先6社まで、リスクアセスメントが徹底できているのかということだ。北九州PCB処理事業では、北九州環境プラントサービス株式会社、通称テックスというが、このテックスがジェスコから運転委託業務を受けており、総勢286名の体制で業務を行っているところだ。

この中にはご指摘の6社も含め、計11社の協力会社からの出向、派遣又は委託により構成された社員も含まれており、作業内容等の指示伝達や社員教育、研修など同社の社員として一元的な管理、指揮命令系統のもと運転業務を行っている。このため、運転会社であるテックスから、さらに協力会社に外注しているような実態はなくあくまで運転業務はテックスが一元的に行っている状況だ。

今回のベンゼン超過事案を受け、日常の運転管理面における情報をジェスコ、運転会社、さらに市が密に共有するため、必要な仕組みの改善を図ることとし、具体的にはジェスコから運転会社への指示内容の明確化や、運行状況を確認する業務フローを見直したところだ。

またジェスコと運転会社が毎月開催しているリスクアセスメント推進会議において、市も同席のもとすべてのヒアリハット事例やトラブル事案も共有し、速やかな対応が講じられるような体制に変更した。

さらにジェスコと運転会社が、処理の安全性に関する事項について定期的に協議を行う場を新たに設置したところで、本市も情報把握のために参加することにしている。このようにジェスコ、運転会社、本市の3者でPCB処理の最前線である現場の情報を確実に吸い上げ、共有し、リスクの予兆をつぶさに把握したうえで必要な安全対策を講じていくうえで、処理の安全性を担保していく所存だ。

最後に、今度このような事案が起きた場合に、北九州市から事業所を撤退させるとの覚悟を示すべきだ、ということだ。

これまでPCB処理施設の設置や処理の延長にあたっては、100%安全はあり得ないという前提に立って、多重の防護柵を講じることでPCBをはじめとする有害物質による被害を防止する、いわゆるフェールセイフ、セーフティーネットの考え方にもとづき、安全対策を講じると市民に説明し理解を得てきたところだ。

今回のベンゼン超過事案は、この観点からはソフト、ハードともに結果として不十分であったことは大変重く受け止めている。このためまず当事者であるジェスコにおいて深い反省の上で安全立て直し、信頼を取り戻すため、設備面ではベンゼンのセーフティーネットを含む多段階の処理設備の導入、管理運用面では日常管理の徹底、環境安全評価ルールの改善、継続的なリスクマネジメント体制の構築など、ソフト。ハードの抜本的改革を行い、またジェスコを監督する国は、本事案を重く受け止め、ジェスコの再発防止策が真に実効性のあるものとなるよう、ジェスコ安全管理体制の強化、ジェスコに対する指導監督の強化、本市と監視会議等への報告など、監視指導強化することとしている。

さらに本市としても、今回の事案を未然に防止できなかったことを重く受け止めて、立ち入り検査、報告徴集や行政測定の強化、軽微なトラブル事象の把握、PCB処理監視会議の機能強化、市民への情報提供の拡充などにより、監視指導体制を抜本強化することとしている。市としては、これら関係者が一体となった安全確保体制を再構築し、二度とこのようなことが起こらないよう、処理の安全性を担保することが何よりも重要と考えており、最善を尽くす所存だ。

 

<第2質疑以下の答弁>

 

■こども家庭局長

(学童保育について。指導員の賃金・条件がバラバラ)

地域でバラバラというか、この放課後児童クラブについては、従来から相互扶助的な制度として発足している。そういった事情があるので、当時から運営委員会、地域が運営委員会を構成して運営にあたっているということで、各地域においてはそれぞれ工夫を凝らして遊び、そして学びアイデアを発揮していただいているところだ。

標準モデルを示してあとはバラバラではないかということではなくて、この標準モデルを基準に運営をしてほしいということで指導助言をさせていただいている。毎年2月の定例の事務説明会で、各クラブに対して詳細に標準モデルの内容を説明させていただいている。そしてまた随時の相談、あるいは必要に応じて各クラブに出向くということをしている。今後も引き続き、各運営委員会に理解と協力を求めながら、標準モデルを踏まえつつ地域の実情に応じた運営をお願いしていきたいと考えている。

 

■市民文化スポーツ局長

(市は城野遺跡の土地を買い取る気があったのか)

第1答弁で訂正。国との交渉で平成25年5月までといったが、正しくは平成25年6月までの合計10回だった。

購入する意思はあったのかということだが、そもそも文化財の保護、保存をするのは土地の所有者だ。国が土地の所有者なので国の方に保存を求めてきた。市の立場としては、文化財を所管するわたしどもの立場としては、国に対してあくまで保存を求めていくということで当初はしていた。国との交渉のなかで、途中、購入はできないかということがあるが、あくまでも保存をするのは、所有者の、保存に努めなければならないという法の規定なので、それに応じた対応を国に対して求めたということだ。

 

■市民文化スポーツ局長

(土地の等価交換まで国が提案している)

市として、そこの文化財を北九州市が保存をしていくことまでは考えていない。あくまでも所有者に保存をする責務があるということだ。

 

■市民文化スポーツ局長

(石棺の絵画の研究は進んでいるか)

ご指摘の絵画というのは、方相氏のことかと思われるが、これについてはいろいろ説があるというか、どういったものかまだはっきりとわかっていないということを聞いている。中国から伝わってきたものなのか、いつもいわれている石棺の絵として、守り神といったものなのかはっきりしていないと、わたしどもは思っている。

 

■環境局長

(PCB処理施設の6社へのリスクマネジメントは誰が責任を持つのか)

テックスの指揮命令のもと、運転業務にあたっているので基本的にはジェスコがおこない、ジェスコと共同した運転業務を行っているテックスが責任をもって末端までは伝えるということになろうと思う。

 

■環境局長

(PCB処理施設事故で責任の所在が不明確)

責任の問題だ。まずは安全を担保すること、これがまずは第1の使命だと思っている。その中で今後、どういうところに責任の所在があって、どこに問題点があったのかということをしっかり洗い出したうえで、責任を明確にしてそこの部分をどういう風に今後やっていくのがいいのか。

例えば今言われたように、責任をとれ、首を切れということではないと今おっしゃっていただいたが、どういう方法になるのかわからない。ただ、責任の所在を明確にするというのは大事なことだ。今後、運転を再開することにもしなった場合でも、この件に関してはどこが責任を負って、誰が責任をもって、どの部署の誰が責任を持つのか、いうことはやはり明確にする必要があろうかと思っている。

 

■環境局長

(今回の事故の責任についてはどう考えているか)

今、報告書のなかにあるように、ジェスコ全体での風土の問題とか、そういった視点が指摘されるところだ。今後、そういったなかで、どこに責任があったのか、いうところもこんご明らかにしたうえで、最終的な判断をしていくことになると思う。

まずは安全がしっかり担保できるのかというところに、今一生懸命に検証しているところなので、もう少し時間をいただきたい。

 

■環境局長

(PCB処理施設で、会社名不開示の求人広告が出ているが、どう思うか)

その事実を、存じ上げていないので、今後調べてみたいと思う。

 

■環境局長

(得体のしれない会社の求人。こういったところに誰がリスクマネジメントの責任を持つのか)

その事実をつかんでいないので、調べさせていただきたい。

 

■環境局長

情報開示については、モニタリングの結果等を踏まえて、会議資料等を全部開示していく方向でいま、改善策を講じているところだ。

 

以上

 

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