更新日:16年04月19日

2016年2月定例会 荒川徹議員の一般質疑(60分)



2016年3月7日(月)

 

◎荒川徹議員の一般質疑(60分)

 

日本共産党の荒川徹です。会派を代表して質疑を行います。

最初に、本市の高齢者支援施策について尋ねます。

高齢化を背景に、従来から社会保障のいわゆる「自然増」は毎年1兆円近くあるとされてきましたが、政府は、「骨太の方針2015」で示した、年5000億円まで社会保障分野での自然増を抑制するとの基調を、「平成30年度まで継続していくことを目安」とするとしています。

政令市で最も高齢化が進行している本市にとって、政府のこうした社会保障切り捨て方針は重くのしかかってきます。同時に、これに追随することは、福祉充実を求める市民の願いに背を向けることになることを強く指摘するものです。

そのうえで、まず最初に本市の介護保険制度について尋ねます。

本市は、今年10月頃から要支援認定者の訪問介護、適所介護を「新総合事業」に移行させるとしています。わが党は、この「新総合事業」について市内の1,200近くの介護事業所を対象にアンケート調査を実施し、約170の事業所から回答が寄せられました。

集計の結果、昨年4月の介護報酬引き下げにより「以前も厳しかったが、さらに苦しくなった」という意見が49%、今回の「報酬引き下げで苦しくなった」という31%と合わせて8割にのぼっており、「収益の減」が経営を圧迫していることが明らかになりました。

また、経営を厳しくしている理由は、複数回筈で「利用者の確保」が33%、「人件費」が33%、「介護職の確保」が26%と、構造的な厳しさがあることを示しています。

介護事業者が直面している厳しい経営環境にもかかわらず、市が「サービスA」の報酬単価を従来の7割程度に引き下げるとの方向を示していることに、半数が「低い」としており、今回の「新総合事業」への移行に伴う報酬引き下げで経営がさらに圧迫されることに懸念が示されています。

同時に、「サービスA」について、「現時点では内容がよくわからないので判断できない」との回答は67%、「取り組むつもりはない」とする回答が21%となっています。

そこで、これまでも決して楽ではなかった介護事業所の経営が、昨年の報酬引き下げでさらに厳しい経営に追い込まれていることを踏まえ、現在検討中のサービスAの報酬単価を抜本的に引き上げる方向で見直すべきです。筈弁を求めます。

 

次に、さきほど紹介したようにアンケートを通じて、経営を厳しくしている理由として、

26%の事業所が「介護職の確保」をあげています。

通所介護をおこなっているある小規模事業者からは、「介護従事者の離職対策が必要。ス

タッフが足りない状態では、サービスの質どころではない」との声が、別の通所介護の小

規模事業者は、「長年かけて育てたヘルパー職員が、高い給料を提示した大規模施設に移り、

職員不足が深刻だ」とするなど、介護従事者の確保が極めて難しい現状が示されています。

昨年10月、市民団体が行なった主に介護従事者に関するアンケートによると、職員に

占める非正規の割合が高く、多<のところで職員不足の状態にあることと、不足の理由は

「賃金水準が低い」、「社会的評価が低い」、そして「労働がきつい」との回答が高位を占めています。市民が安心して利用できる介護保険制度とするために、介護従事者の確保は極めて重要な課題です。

これまでわが党は、介護従事者不足の問題を解決するため、処遇改善を強くもとめてきましたが、今回のアンケートでも改めて深刻さが浮き彫りになりました。介護従事者の処遇改善について、市として実効ある対策をとるべきではありませんか。答弁を求めます。

 

介護保険に関する質問の最後に、保険料、利用料の負担軽減を求めて質問します。

第6期介護保険事業計画により、平成28年度予算で介護保険料の基準額は68400円

で、月額5,700円となっています。

今年度の第1号被保険者のうち、年金がない又は年金受給額が低すぎる等のために天引きできない人の約3割が保険料滞納という状況であり、保険料負担が重くのしかかっていることを示しています。

また、サービス利用時の負担のために、必要な介護を控えざるを得ない要介護者が多数いることへの対応も重要な課題です。

そこで、所得の低い高齢者の保険料負担の軽減に向けて制度を改善すること、同時に本市独自の「上乗せ」や「横出し」などサービス提供のメニューをつくり、自己負担の軽減をはかることが必要ではありませんか。答弁を求めます。

 

次に、高齢者支援施策の一環として、「おでかけ交通」の取り組みについて尋ねます。

本市の「環境首都総合交通戦略」における今後の取り組みの方向性として、「超高齢社会」への対応をさらに充実するとして、重点項目の一つとして高齢者をはじめとする住民の大切な交通手段となっている「おでかけ交通への支援強化」を謳っています。

「おでかけ交通」事業は、15年前の平成12年10月にハ幡東区枝光地区でのスタート以来、現在廃止路線対策として5地区、高台対策として2地区で運行されています。

そこで、切実な市民ニーズに応え、未実施の地区で実現に向けた流れをつくるために、市がリーダーシップを発揮すること、同時に、実施されている地区において生じる赤字を完全に補てんする制度への見直しを求め、見解を尋ねます。

戸畑区においては、交通事業者の協力のもとで、自治会関係者を含めた「おでかけ交通」の運営員会が作られ、いよいよ試験運行に向けて大詰めの段階にきていますが、今後の見通しについて見解を尋ねます。

 

次に、子育て支援について尋ねます。

まず、「子どもの貧困」対策についてです。

厚生労働省の平成25年の国民生活基礎調査の結果によると、17歳以下の「子どもの

貧困率」は16.3%で、約6人に1人となっていることが明らかになりました。

国や自治体による子ども世帯への経済的支援強化が求められるなかで、2014年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行されました。健康な食生活の確保、学習する権利の支援、大学等の進学機会の保障、そして貧困世帯への経済的支援の必要性が叫ばれています。

ボランティアによる「子ども食堂」が全国各地で生まれ、「十分な食事をとることができない」、「毎日1人で夕ご飯を食べている」という子どもたらを支えようと活動しています。

平成23年度の「ひとり親家庭」の調査で、母子家庭の年収は全国平均の291万円に対し、本市ではそれを大きく下回る231万円と、深刻な状況を示すものとなりました。

平成28年度は、5年毎の「ひとり親家庭」に関する調査が行われる予定ですが、「子どもの貧困」問題へのとりくみが強く求められているなかで、より的確で詳細な現状把握が必要であると考えます。

そこで、本市が今年行う「ひとり親家庭」の調査方法を悉皆調査とするとともに、子どものいる世帯全般について、「子ども貧困」問題の実相を把握するため、本市独自の調査に

取り組むことを求め、見解を尋ねます。

 

次に、子どもの医療費助成制度の拡充について尋ねます。

わが党は、代表質疑でも取り上げたように、子どもの医療費助成制度のうら、通院の助成対象を中学3年生まで拡大することを重ねて強く求めるものです。

一方、今回の提案で市は、これまで無料であった3歳から小学校入学前までの通院につて平成31年3月までは月額500円、平成31年4月からは月額600円とし、新たに適用する小学生は月額1,200円の自己負担を導入するとしていることに、診療に当る現場の医師や、子育て世代の人たちから、一部負担は育ら盛りの子どもの病気の早期発見、早期治療にとって大きなネックになるとして、撤回を求める声があがっています。

「子育て日本一」を掲げる本市として、通院での自己負担導入を撤回し、完全無料とすることを求め、見解を尋ねます。

 

子育て支援の最後に、子どもの虐待防止対策等について尋ねます。

最近の子どもの虐待をめぐる深刻な事件の報道が相次いでおり、多<の市民が心を痛めています。2014年度に児童相談所が対応した児童虐待は、全国で過去最高の8万8,931件にのぼり、大きな社会問題になっています。

児童相談所は、児童虐待の防止、虐待を受けた子どもの心のケアなど、極めて重要な役

割を担っています。また、児童虐待をめぐる事案は、様々な問題が絡み合っているだけに、個別ケースごとに、専門知識をもって経験を積んだ担当者が、関係機関との緊密な連携のもとに適切な対応をとることが求められます。

そこで、児童相談所が担う重い役割を果たすために、子ども総合センターの配置職員のさらなる充実が必要だと考えますが、当局の見解を尋ねます。

 

次に、「18歳選挙権」の実施に向けた“主権者教育”について尋ねます。

今夏の参院選から選挙権が18歳以上に拡大される見通しです。昨年11月から12月にかけて18歳、19歳の若者を対象にNHKが実施した「18歳選挙権」世論調査では、この夏の参議院選挙に、「必ず投票に行<」22%、「行くつもり」38%で、合計60%にのぼりました。また、「自分が投票することに戸惑いや不安がある」という回答は49%で、その理由は「政治についてよ<わからない」36%、「どの政党や候補者に投票すべきかわからない」30%、「選挙の経験がない」22%となっています。

選挙の度に若者の低投票率が問題となっていますが、「18歳選挙権」の実施を前に、学校での政治教育、主権者教育が重要な課題として注目されています。

そもそも戦前の軍国主義教育が、国家の政策に無条件に服従する子どもを育てたことを深く反省し、子どもに政治に関する基本的知識を与え、政治的批判力、判断力を養うために構想されたのが戦後の政治教育です。一人ひとりが主権者として政治にかかわる民主主義社会を築<ために、政治教育を盛んにすることは日本の民主主義の重要な課題です。

ところが文部科学省は、昨年10月29日付で「通知」を出し、高校生の政治活動について、校則によって校内での「選挙運動、政治活動、投票運動を禁止する」にとどまらず、休日に校外の政治活動に参加する場合でも学校への届け出を容認するなど、学校外の活動についても制限しようとしています。これは憲法などで保障された政治的諸権利を侵害し、主権者教育そのものも抑圧するものです。また、教員については、憲法が保障している政治活動の制限や、自分の政治的意見さえ言わないように求めるなど、主権者教育の取り組みを萎縮させかねない内容となっていることは重大です。

そこで、本市教育委員会として、文部科学省に対し、不当な「通知」の撤回を求めること、及び「18歳選挙権」実施を念頭に置いた学校の政治教育、主権者教育に積極的に取り組むことを求め、見解を尋ねます。

 

次に、マイナンバー制度について尋ねます。

日本に住民票をもつすべての人に12桁の番号をつけ、国が個人情報を管理して税や社会保障の手続きなどで使わせようというマイナンバー制度が、この1月から運用開始されました。一部の社会保障の申請、金融機関の窓口などで、番号の提示を求める対応も始まっています。

一方、昨年10月から開始された番号通知の郵送作業は、今年1月15日現在、全国で全発送数の5.7%にあたる約331万通、本市では2月23日現在、4.6%、21,860通の通知が届いていません。

政府が、市民の不安や疑問を置き去りにしてマイナンバーを推進し、カードの普及や利用拡大をすすめているために、制度が周知されていない実態に付け込んだマイナンバー関連詐欺が全国的に相次いでおり、国民のプライバシーを危険にさらす政府の姿勢が問われています。

本市は、マイナンバーを示さなくても各種手続きは可能だとしていますが、制度を熟知

していない市民への説明などで窓口の混乱が続いています。

1月中旬に、希望者にだけ発行される「個人番号カード」交付が始まりましたが、カード交付を全国的に管理する「地方公共団体情報システム機構」のシステムがたびたび不具合を起こし、本市でも個人番号カード交付に想定を大きく超える時間がかかるなどのトラブルが起きています。

この個人情報の管理システムの不調の原因について、政府も機構も「究明中」とのこと

で詳細を明らかにしていません。システムが万全でないのに無理に実施を急いだ弊害であり、そうしたなかでカード交付を推進するのは大問題です。

また、顔写真が貼られ、氏名、住所とマイナンバーが一体で記載されている個人番号カードを、むやみに持ら歩くことは危険です。政府は、個人番号カードに組み込まれたICチップ機能を民間でも利用できるようにするとしてキャッシュカードやクレジットカードの機能まで付けようとしており、カードの紛失・盗難などでマイナンバーて他人に知られ悪用されれば、被害の回復は困難です。

危険性をまともに知らせず、利便性の幻想を広げてカード普及をあおり、利用拡大をすすめる政府のやり方は極めて重大です。さまざまな情報が個人番号カードに集積されることには、国による個人情報の掌握強化・国民監視につながるとの批判の声も上がっています。住民に番号をつけ民間分野でも広<使われているアメリカや韓国で、大量の個人情報漏れや「なりすまし」犯罪が続発している事実を直視すべきです。

そこで、プライバシー侵害が強く懸念されるなど、問題だらけのマイナンバーについて、市として国に中止・凍結を求めるべきではありませんか。同時に、市民に対してマイナンバーを提示しなくても行政手続きには支障がないことを周知するとともに、取り扱いに関する注意と被害に遭わないための啓発を行うべきです。答弁を求めます。

 

最後に、「行財政改革」のうら、各福祉事務所保護課の相談担当の職員配置について尋ねます。

市は、平成26年度まで全区で複数以上、22人配置していた各福祉事務所保護課の相談担当の係長を、今年度から全区で1人ずつ、合計7人減の15人とし、門司、若松、八幡東、及び戸畑の福祉事務所は1人となりました。

各福祉事務所での保護課における相談は、生活に困窮して窓口を訪れた市民に対し、事情を詳しく聞き取るとともに、生活保護を含めた制度の紹介や利用に関する手続きの説明など、長い時は、1回に数時間を要すると聞いています。また、相談者が入院中や施設入所中などの場合は、直接本人のところまで出向いて話を聞かなければなりません。

生活保護行政は、生活に困窮した市民にとって最後のセーフティネットとして、相談に訪れた市民に対し、いつでも親切で温かみのある対応が求められます。

相談担当の係長の削減は、相談業務における重大な市民サービス後退であり、併せて担

当者に業務上過酷な負荷を与えることにもつながります。

そこで、各福祉事務所保護課の相談担当の係長を増員すべきです。答弁を求めます。

以上で、私の最初の質疑を終わります。

 

 

荒川徹議員質疑への当局答弁(3月7日)

 

■市長

(おでかけ交通の見通しについて)

鉄道やバスをはじめとする公共交通は、市民の貴重な足である。また地球環境にもやさしい交通手段であり、その充実を図っていくことは、重要な課題と考えている。そこで本市が平成20年12月に策定した北九州市環境首都総合交通戦略では、利用しやすく安心で快適な交通体系の構築や地球にやさしい交通手段の利用促進、また超高齢化社会における市民の足の確保、この3つを基本方針にかかげ、市民、企業、交通事業者、行政が一体となって取り組んできたところである。

その中でおでかけ交通は、バス路線廃止地区やバス路線のない高台地区などにおいて、地域住民の交通手段を確保するため、地域・交通事業者・市のそれぞれの役割分担のもとで連携し、ジャンボタクシー等を運行するものである。

戸畑区のおでかけ交通の導入については、平成24年9月地域の方から大谷や椎木、高峰といった高台地区とさいが谷や戸畑駅周辺の商業施設等との間を運行する、おでかけ交通の要望があり、まずは市が地域に出向いて事業概要の説明を行った。

更に地域の意向やニーズを把握しるためのアンケート調査や運行ルートや運行ダイヤ案の作成、また運行交通事業者の決定などを地域の方とともに行ってきた。昨年の12月には、自治会をはじめとする地元関係者・交通事業者・市の3者において協議調整がととのい、運賃やダイヤ等に関する実施計画について概ね合意形成が図れた。現在安全運航についての協議を警察と行っているところであるが、協議が整えば運行許可を得るための手続きをおこなっていくことになる。

市としては今後も引き続き、取り組みの進捗状況に応じた対応を図ってまいる。

 

(子どもの医療費助成制度)

乳幼児等医療費助成支給制度については、これまで多くの議員・会派から拡充の要望が出された他、県においても今年10月から制度を見直すこととしており、本市としても同じく10月から通院医療費の助成対象を小学校6年生まで拡充したいと考えている。議員からは、中学校3年生まで拡充すべきとの指摘であるが、その場合さらに3学年分の経費が必要となるうえ、県の補助対象は小学6年生までのため、全額一般財源で賄う必要がある。中学3年生までの拡充はむずかしいと考えている。さらに議員からは通院での自己負担導入を撤回し、完全無料とすべきとの指摘であるが、今回の制度の拡充にあたっては、持続可能で安定的な制度とするための財源確保については、大変重要な課題であると認識している。自己負担の在り方についても、他の都市の動向を踏まえつつ慎重に検討を進めてきた。その結果、通院の自己負担については、3歳以上就学前は県の自己負担額800円よりも定額の一医療機関月600円を上限とし、新たに拡充する小学生は県と同額の月1200円を上限とするものである。尚3歳以上就学前までは新たな負担を求めることから、保護者の負担感を少しでも軽減すため、経過措置として平成31年3月まで月500円とした。

また、入院の自己負担については、現在自己負担がる小中学生ついても、就学前までと同様無料とする。今回新たに小学生を通院助成の対象とするなどの見直しによりまして、出生から中学3年生までをトータルでみると、子ども一人当たり6万4000円の負担軽減につながると試算しており、保護者にとって経済的効果は大きいと考えている。その他今回の見直しでは、所得制限を廃止するとともに、市民にとってより使いやすい制度とするため小中学生に対する現物給付も合わせて行う。当制度の拡充により子育て世代の負担を和らげることで、子育て支援のさらなる充実を図りたいと考えている。

 

■保健福祉局長

(サービスAの報酬単価について)

介護保険の要支援1・2の認定者を対象として、介護予防・生活支援サービス事業、いわゆる総合事業について、本市では平成28年秋から要支援者の大多数の利用が想定される予防給付型及び人員等の基準を緩和する生活支援型サービスAを実施する予定である。

このうち予防給付型については、入浴や排せつの介助などを行う専門的なサービスであり専門職による対応が必要である。したがってサービスを提供する事業者は、従来通り介護事業者を想定しており、人員配置及び事業者に支払うサービス単価は従来と同程度を予定している。

一方生活支援型については、心身の状態が比較的安定している高齢者に対し、掃除や洗濯などの日常生活の一部を支援するものであり、今後も高齢者の増加が見込まれる中、介護事業者のみでは対応できず、NPO・企業などが新たな担い手の中心となることを想定している。なお生活支援型の事業者が確保できるまでの間は、予防給付型を利用していただきこととしている。この生活支援型サービスの単価は、訪問型サービスに従事する職種の平均賃金や通所型サービスの提供時間が1日から半日へと短縮されることを考慮して算定をしている。生活支援サービスの提供実態や他都市の実施状況を踏まえ、現在の介護報酬単価の約78%を予定している。

これらのサービスの単価の考え方は、1月の26日27日に実施した事業者説明会において、介護事業者などに説明し、予防給付型について従来の同程度の単価であるについてはおおむね理解をされたと考えている。一方で生活支援型については、介護専門職の配置を必修としないことや必要な業務時間数を短縮することなどが、一部の事業者に十分に伝わっていない部分があると承知している。今後は生活支援型の区分が創設された趣旨や必要性・サービス内容などについて、事業者向けのQ&Aをまとめ、市ホームページ上に公開するなどの丁寧に説明していくこととしており、引き続き介護事業者などと共通理解を図り、円滑な移行につなげて行きたいと考えている。

 

(介護従事者の処遇改善について

高齢化の進展により、今後ますます増加する介護ニーズに対応するためには、質の高い介護サービスを安定的に提供していくことが必要であり、介護人材の確保は重要な課題である。平成27年4月に行われた介護報酬改定では、介護職員の処遇改善を図るため、国は一人当たり月額12000円相当の効果を見込んだ、介護職員処遇改善加算の拡充を行っている。現在、国は介護従事者の処遇状況やこの処遇改善加算の影響等を評価し、次期報酬改定の基礎資料とするため調査を行っている。この結果も踏まえ、国の社会保障審議会において次期報酬改定の議論がなされるものと考えている。

介護保険制度にかかる費用である介護報酬は、国県市町村が一定割合で負担する公費と市民が負担する保険料、利用者負担額によって賄われている。事業者が従事者の処遇をふくめこの介護報酬により運営を行うべきものであると考えている。介護従事者の処遇を改善するためには、職員の専門性の向上や事業者のマネジメントの向上等により、職場環境を整えることも重要である。このような取り組みを進めることが介護従事者の確保にもつながると考えている。そのため本市では、従事者を対象に介護サービスに必要な技能の取得や資質向上に役立てていただくための多様な研修、経営者等を対象に経営改善や職員のストレスケアなど、労働環境に関するセミナーを実施している。

また、介護事業所の人材確保を支援するため、就労相談や労働就職面談会による求職者と事業所のマッチングや介護の資格を有しながら働いていない方の再就労を支援する事業を取り組んでいる。今後もこれらの取り組みに力を入れ事業所を支援してまいく。

(所得の低い高齢者の自己負担軽減)

本市においては介護保険料の独自軽減制度として、市民税非課税世帯のうち保険料の支払いが困難で、収入や資産など一定の要件に該当する方について、本人の申請にもとづき一番低い第1段階の保険料を適用する制度にしており、平成26年度には約1300人に対して合計1100万円の軽減を行っている。

さらに今年度からの第6期の介護保険料については、介護保険制度にかかる費用が増大する中、所得の低い方に対する配慮として、前5期における第2段階を第1段階と統合し、統合した約74000人の第1段階の方に対して、消費税増税分の公費約2億5000万円投入して、保険料の軽減を実施している。これにより統合前の第1段階から年額840円、第2段階からは7160円、それぞれ引き下げている。このように所得の低い方に対しては、制度の主旨や国の動向などふまえ、さまざまな配慮を行っており今後も継続して実施していくこととしている。また、介護保険制度は負担と給付が明確な社会保険方式を採用しており、独自軽減により保険料の減収は他の被保険者の負担となることから、現時点では独自軽減制度の見直しを行うことは考えていない。

議員指摘の上乗せ等のサービスについては、本市ではすでに高齢者の状態に応じた様々な支援サービスを実施している。平成26年度実績では、安否確認を兼ねた訪問給食サービスについては約1150人に対して、一食当たり最大280円が配食経費の負担、おむつ給付サービスについては約2500人に対して、1か月あたり8000円の助成、さらに介護保険の住宅改修制度の上乗せであるすこやか住宅改造助成については約190人に対して最大30万円の助成等をおこなっており、合計3億円を超える経費を負担している。

こうしたサービスにより自己負担の実質的な軽減を図っていることから、現時点では新たに市独自のサービス提供は考えていない。

 

(生活保護相談員の職員配置)

本市の生活保護行政は、平成19年以降入り口と出口で丁寧な対応を行うなど、保護が必要な人を確実にサービスにつなげるように体制を強化する一方、就労自立支援等の生活保護の適正化に取り組んできた結果、保護廃止件数は平成21年度以降増加し、保護人員は平成24年12月をピークに減少、更に生活保護費は3年連続でマイナス予算となっている。加えて平成27年度からは、各区に生活困窮者相談窓口を廃止するなど、福祉事務所全体としては、きめ細やかな相談体制を構築してきた。

議員指摘の各区の相談担当係長は、平成26年度までは全区で22人おりましたが、平成27年度は各区で1人減の15人となった。これは平成21年度9000件であった相談件数が平成26年度には約600件と3分の2に減少したことによるもの。この相談件数は平成27年度に入ってもほぼ横ばいで推移しており、相談担当係長が1人になった門司区・若松区・八幡東区・戸畑区については、係長や主査が連携して、相談業務のサポートを行っている。このため相談に来られた方に対する相談業務には大きな支障は生じていないが、現場からはさまざまな意見が寄せられていることは承知している。生活保護関係職員については、社会福祉法に基づく配置基準、年度ごとの保護動向や適正化に向けた取り組みを総合的に判断し、必要な人員配置を行っている。引き続き現場の状況や相談件数等の動向を注視しながら相談担当係長の配置については適切に対応していく。

 

■建築都市局長

(おでかけ交通)

おでかけ交通事業は、地域の方々の日常生活を支える生活交通として、地域・交通事業者・市がそれぞれの役割分担のもと、現在市内7地区で運行している。おでかけ交通の導入や継続に当たっては、市が地域に出向きまず事業内容や他の地区での取り組み事例の説明。次に地域の方々で組織する運営委員会の設立。更に交通事業者や交通管理者との協議・調整。また、利用促進のついての地域の方への周知、運行開始後の細やかなフォローアップ等、地域のきめ細やかな対応を行っている。

また、運行確保のための財政的支援としても、当初車両調達など初期費用に対して補助を行うこととしていたが、その後運行に要する費用の一部補助、また試験運行に要する費用の一部補助、さらに小型車両による予約運航形態の導入など、支援の拡充に努めてきた。

市としては、引き続きおでかけ交通の運行を支援していくが、長く継続させていくためには、一人でも多くの方に利用していただくことに加え、地域の方々がおでかけ交通の運行に積極的に関わっていただくことが重要であると考えている。

さらに交通事業者においても、効率的な運行の実施など低コストへの工夫を行い、継続的な運行に一定の役割を担っていただいている。おでかけ交通は地域にとって真に必要な公共交通となるために、地域・交通事業者・市の3者が連携協力しることが不可欠であると考える。このため赤字を完全に補てんする制度への見直しは考えていない。

 

■子ども家庭局長

(ひとり親家庭の悉皆調査)

子どもの貧困対策を推進していくためには、子どもたちが置かれている貧困の実態や子どもたちが実際にうけている各種支援の実態を適切に把握することは、大切であると認識している。本市では独自の調査として、5年ごとに母子世帯等実態調査を行い、仕事や子どもの状況などの生活実態や行政への要望等を把握し、その施策の充実と効果的推進を図る資料としている。

平成28年度は、5年に1度の調査年に当たることから、ひとり親世帯等実態調査と名称を改めて、必要な経費を当初予算に計上している。具体的には、経年変化を見るために必要な調査を継続するとともに、子どもの貧困の実態把握という観点から、国が子ども貧困に関する大綱の中で示している主要のうち、これまで把握していなかったひとり親家庭の進学率あるいは就航率等の項目を新たに加える予定である。

さらに例えば、勉強や宿題を行うのにふさわしい場所はあるのか、また病気やけがで治療が必要な時受診出来ているかなど、子どもたちの日々の暮らしぶりに視点をおいた調査項目を追加することも検討したいと考えている。

議員からひとり親家庭等実態調査を全数調査にすべきとの指摘であるが、23年度に実施した前回調査の回答件数は2254件である。総務省監修の統計実務基礎知識によると全数調査を行った時との差はわずかとなっており、費用対効果の面からも現行の抽出調査を継続したいと考えている。

また子どものいる世帯全般について調査を行うべきとの指摘であるが、国民基礎調査によると大人が2人以上いる世帯の貧困率は12.4%であるのに対して、大人がひとりの貧困率は54.6%と、非常に高くなっている。このことから、まずはひとり親家庭等の緊急度が高い子どもに対して重点的な実態調査が必要だと認識している。

本市としては、28年度のひとり親家庭等実態調査の結果をしっかりと踏まえて、ひとり親家庭等に必要なさらなる支援の充実、そして新たな施策の打ち出し等、関係部局が一体となり子どもの貧困対策の関する主要の改善に結びつくような事業を展開していきたい。

 

(子ども総合センターの職員配置の充実)

子ども総合センターの職員数は、平成27年4月現在で正規職員が66名、非常勤・嘱託員等81名の合計147名。正規職員については児童福祉士が社会福祉士の資格を有する職員、社会福祉や心理の試験区分で採用された職員を重点的に配置するとともに、教育的立場からの援助も必要となるため、現職教員の配置も行っている。

また、職員のうち半数以上を占める非常勤。嘱託員についても、福祉・心理・保育などの専門資格や教員免許を持つものを採用して、高い専門性を要求される業務の中で、大きな役割を果たしていただいている。職員配置については、平成14年の当センター開設以来、児童虐待防止、里親支援などの専属ラインの新設や地区担当の係増設など、体勢強化に向けて7名に及ぶ職員を増員している。さらに近年の児童虐待件数の急激な増加をうけて、平成19年度からは各区役所の児童福祉担当係長を、今年度からは担当課長を子ども総合センターの児童虐待防止担当として、兼務発令することで子どもの安全安心を着実の確保するための体制について、市をあげて強化をしている。

また、職員配置の充実に加えて職員の能力向上についても、子ども総合センター配属後に基礎研修を実施して一刻も早く業務に従事していただきとともに、その後も経験年数等に応じた能力向上のためのステップアップ研修を実施している。

さらに国・県・専門機関などが開催する専門知識・技術習得にむけた研修・セミナーにも積極的に受講している。

加えて複雑多様化する児童虐待事案などへの法的対応能力を強化するため、毎月児童福祉に精通した弁護士による法律研修会を実施するとともに、平成25年度には、福岡県弁護士会と包括連携協定を締結して、高度の法的判断を要する際に、速やかに弁護士の相談できる体制を整備するなど、児童福祉分野の人材育成にも力をいれている。

 

■教育長

(18歳選挙権に向けた主権者教育)

今回の公職選挙法の改正によりまして、高等学校等の生徒が政治や選挙に関する理解を深め、国家社会の形成への主体的な参画がいっそう望まれるところである。他方で学校教育法で学習指導要領にもとづいた教育活動等を行う高等学校においては、生徒による政治活動とは無制限に認められるものではなく、必要かつ合理的な範囲内で制約を受けるものと解されると考えている。

制約の例であるが、文部科学省の通知によると、例えば放課後・休日等に学校の郊外で行われる政治的活動について、違法なもの、暴力的なもの、違法な活動等になるおそれが高いもの、活動に熱中するあまり授業を欠席して集会に参加する等が挙げられている。これら政治活動等が学業や生活に支障を起きないよう留意する必要があると考えている。

また、教員の選挙運動の禁止や指導上の政治的中立性の確保等は公職選挙法教育公務員特例法において規制されている範囲内であり、従来の規定に沿ったものであると考えている。したがって、以上のことから文部科学省通知の撤回を求まることは考えていない。

 

(学校における主権者教育)

小中学校におきます学習を踏まえて、北九州市立高等学校におきましては、副読本であります「私たちが開く日本の未来」の活用をとおした学習の充実を図っている。また、政治や選挙に関する知識・概念の習得とどまらず、政策等についての理解を深める目的で、選挙管理委員会と連携した出前講座の実施も予定している。今後とも自ら考え、自から判断し、自ら行動していく、高い資質を持った主権者の育成に向け、学校・家庭・地域が一体となって主権者教育を推進していく。

 

■総務企画局長

(マイナンバー制度)

マイナンバー制度は社会保障、税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤である。マイナンバー制度では、安心・安全を確保するためマイナンバーを収集する際には、必ず本人確認を行なうことによって、なりすましの防止を図る、個人情報は所管をしている行政機関が従来どおり、それぞれ分担管理を行い情報の一元化入りを行わない。個人番号カードにつては、所得や健康状態といったプライバシー性の高い個人情報は記録しないなど、制度面とシステム面の両方から様々な個人情報保護の措置をとっている。

更にマイナンバー制度の不安を払しょくするために、国においてはテレビ。新聞。インターネット等で制度の周知や詐欺に関する注意喚起を行っている。

また本市においても5回にわたる市政だよりへの掲載、コールセンターの設置、200回以上約8000人以上の方に対する出前講演などを実施ており、カードの取り扱い方法や詐欺への対象方法を含めたきめ細かな周知・啓発に努めている。

なお区役所等の窓口では、マイナンバーンの提示がない場合でも市民への不利益が生じないように、申請等を受け付けるようにしていますが、マイナンバーの提示は法律等で義務づけられたものであり、市政だよりや出前講演などを活用して、通知カード又は個人カードを持参していただくようにお願をしている。

マイナンバー法では、地方公共団体の責務として個人番号の利用に関して、自主的かつ主体的に施策を実施することが求められていることが定められている。今後も引き続き制度の周知啓発と円滑な運用に努めてまいりたい。

 

<第2質疑以下の答弁>

■保健福祉局長

(事業者の意見など聞いて、拙速な事業開始の見直し)

第一質問でも答弁したように、予防給付型事業は、従来と同じサービス単価で考えている。生活支援型は、7割と考えているわけですが、事業者説明会で行ったアンケートというのは、そうした説明の主旨がきちんとみなさんに伝わっているかどうかを確認する意味合いもあったわけだ。繰り返しますが予防給付型というのは従来と同じ専門性があるということでの単価で行う。生活支援については、日常生活の困りごとを支援する、サポートするものであるから、これに要する時間や業務内容はおのずと予防給付型と異なるという考え方でいるので、現行の通り進めてまいりたい。

 

■教育長

(就学援助の周知と支給時期の改善について)

就学援助の周知であるが、市のホームページ、市政だより等々、それから入学前の健康診断際、いろんな機会で周知を行っている。在校生にも周知している。学級担任も気になる家庭にはお知らせしているので現在の方法でと思っている。書類の簡素化について出来ることがあればすすめていく。

入学準備金については、本会議でも何度か議論になっていますが、全体としては、我々は早い方法で支給していると思いますので今の方法で取り組んでまいりたい。

以上

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