更新日:17年06月10日

2017年6月定例会 本会議質疑と当局答弁 高橋都議員 一般質問(30分)



2017年6月定例会 本会議一般質問と当局答弁

2017年6月8日(木)

◎高橋都議員 一般質問(30分)

日本共産党の高橋都です。会派を代表して一般質問を行います。

まず、はじめに、旧門司競輪場跡地活用についてお尋ねします。

門司港地域と大里地域は特に老朽化が進んでいる公共施設が集中しているとして、平成28年2月策定の「北九州市公共施設マネジメント実行計画」で、公共施設の集約に関する考え方が示され、具体的な取り組みが進められています。

大里地域では旧門司競輪場跡地を活用した公園広場ゾーン・スポーツ施設ゾーン・居住ゾーンの計画が示され、平成28年8月、11月、平成29年3月と3回の意見交換会が行われ、延べ142人の地元住民が参加しました。その中では「居住ゾーンとして跡地を民間売却する事に反対」との意見が3回とも多く上がりました。

主な意見として、

「大里地域に大きなイベントが実施出来る場所がない。」

「大規模災害時の一時避難所としてのオープンスペースが必要ではないか。」

「近隣にはマンションや戸建て住宅が増え、敢えて民間に売却してまで住宅ゾーンにする必要はない。」

「住宅ではなく専門学校や介護施設を誘致してはどうか。」

「反対の意見が多いのに、計画内容が変わらないのは計画の押し付けではないか。」

などです。

また、民間事業者9社のヒアリングでは、計画地の立地ポテンシャルの高さを評価する一方で、市内のマンションマーケット状況は販売スピードが鈍く完成在庫も多いと、問題点もあがっています。競輪場跡地を居住ゾーンとして民間に売却する事に反対の声が多い中、敢えて計画を急いで進める必要があるでしょうか。

市民に身近な公共施設を今後どうしていくかという問題は、単に建物の維持管理費の問題ではなく、その地域の今後20年、30年先を見通したまちづくりの課題として捉え、地元住民を主人公として考えるべきです。公共施設を日常的に使用している住民の声をしっかりと受け止め生かすべきです。見解をお尋ねします。…①

 

平成7年と平成28年の20年間の門司区の人口推移を見ると17%もマイナスとなっており、特に20歳から24歳までの人口は51%マイナスと最大となっています。一方で、85歳以上は2.8倍と増加しています。特に若者の流出は門司区では深刻な問題であり対策をとることが必要です。

北九州市都市計画マスタープラン門司区構想では、門司駅周辺を地域拠点として位置づけ、区の誰もが利用しやすい生活支援機能、文化・交流機能などの充実や、区外からも多くの人が訪れて楽しむことができる魅力的な賑わい空間の形成を図っていく地域と位置付けています。大里地域意見交換会での多くの意見にあるよう旧門司競輪場跡地を民間に売却するのではなく、市が所有したまま医療・介護の専門学校や介護施設への利用を認めるなど、若者の雇用につながる施設や高齢者のための場所として有効活用すべきだと考えます。見解をお尋ねします。…②

 

次に、「学校規模適正化」の名による伊川小学校統廃合についてお尋ねします。

本市教育委員会は「北九州市立小・中学校の学校規模適正化の進め方」に基づき、早急に取り組む学校として門司区では伊川小学校をあげています。伊川小学校は明治5年に「集成校」として開校した歴史のある学校です。その後、変遷を経て、昭和53年松ヶ江北小学校の分校から小学校として分離した時、生徒数は160人でしたが、現在は18人になっています。学級は、1・2年、3・4年、5・6年が複式学級で計3学級です。修学旅行や自然教室は松ヶ江北小学校と合同で行っています。

運動会は地域のみなさんと一緒に行われ、100人の参加で地域行事にもなっており、その準備のために50~60人の地域の方が草刈りに参加されるそうです。また地域の伝統行事の天疫神社のお祭り相撲にも伊川小学校の子どもたちが参加しています。小学校がなくなることで地域のコミュニティを壊すことになります。伊川地域の高齢化率は50.1%、0歳~14歳の子ども人口は6.8%で、来年度の入学予定者はゼロです。実際には、地域に2人、来春入学者がいるのですが、統合を見越して松ヶ江北小学校を考えているとのことです。小学校が無くなるということは、新たな子育て世代の増加が難しくなり、益々過疎化につながるのではないでしょうか。見解をお尋ねします。…③

 

また、政策研究大学院大学 教育政策プログラムによる「小学校における学校統廃合が学力に与える影響について」横浜市の学校統廃合を行った4校と、統廃合を行う前年度の児童数が近い学校5校程度を比較対照した分析結果では、統廃合のあった小学校における児童の学力は、他の学校に比べて平均的に低いこと、また家庭での学習時間は平均的に短いことが分かりました。

研究では、「学力の指標である平均正答率と家庭学習時間を分析した結果、統廃合を行った小学校は統廃合を行わなかった小学校に比べて、平均正答率が低いこと、また家庭学習時間も、ほとんどしない、もしくは家庭学習時間平均値と比べて少ないと回答した児童が多い事が分かった。よって、学校統廃合を行った学校の方が、行わなかった学校に比べて学力の指標である平均正答率が低かった要因の一つとして、家庭学習時間が短いことが考えられる。」としています。

こうした分析結果から、統廃合については、児童生徒の学力への影響が少なからずあります。見解をお尋ねします。…④

 

保護者や先生方は、統廃合の事を突然3月28日付けの新聞報道で知り、5月11日の市教育委員会からの説明会まで1か月以上も何の話もなく不安な日々を過ごしていました。「もう、どうにもならないのか。柄杓田小学校のようにフレンドリースクールにはできないのか。」という保護者の意見もあります。計画ありきで決まったこととして押し付けるのではなく、今回のような大事なことは、まず関係当事者に知らせ、意見を聞くことが必要であり、一度白紙に戻し検討すべきです。見解をお尋ねします。…⑤

 

以上第一質問をおわります。          以上

 

高橋都議員への答弁

■市長

(旧門司競輪場跡地の活用について)

公共施設マネジメントでモデルプロジェクトにしている大里地域における公共施設の再配置計画については、門司競輪場跡地約4.8ヘクタールを有効活用し、跡地の西側約3.4ヘクタールでは大里公園を拡張する形で広場の整備とスポーツ施設の集約などをおこない、東側の約1.4ヘクタールでは、居住ゾーンとして利用することとしている。

居住ゾーンの導入の背景については、大里地域の人口が最近の20年間で約13%減少し、住宅開発が進展しているJR門司駅北側のサッポロ工場跡地を除いた場合は約16.7%と大幅に減少している現状がある。定住人口の増加対策は重要と考えている。そこで大里地域の活力を維持するため、貴重な場となった跡地である門司競輪場跡地の一部において、まちづくりの観点からも居住ゾーンの導入を図るものだ。

計画の推進にあたっては、市民や議会への説明と意見交換、また有識者や利用者団体の代表などからなる懇話会での意見把握、また公共事業評価の手続きの中での意見聴取など、住民参加の仕組みを活用して対応可能な意見を計画に反映させながら進めていく考えだ。

昨年は、市民や利用者団体などとの意見交換会を21回、有識者懇話会を3回開催するなど、意見の把握に努めたところだ。本年3月の市民との意見交換会で提示した公園部分の整備イメージについては、それまでの意見交換会で寄せられたイベントや災害時の一時避難所として活用できる十分なオープンスペースを備える公園、また   や多様な道路など子どもが楽しく遊べる公園、またウォーキングコースなど高齢者などの健康づくりに活用できる公園、また桜などの自然や眺望を楽しみ、憩える公園、といった要望や意見を反映したものとなっている。

居住ゾーンの導入に関して、方向性に関する市民アンケートを平成27年8月から9月にかけて実施しているが、そこでは競輪場跡地は公園や住宅として活用を図ること、への賛同は81%、方針である余剰資産は民間売却等を基本とすることへの賛同は86%だった。また地域にお住まいの方や、近隣の商業者の方との意見交換会をはじめ、市に直接届く声についても地域内で住み替えたいが土地がなく困っているとか、商業者にとって地域の人口が増加することはうれしい、といった住宅を求める意見をいただいており、居住ゾーンの導入は多くの市民から賛同をいただいていると認識している。

その一方で、競輪場跡地すべてを公園として残してほしいという意見があることも認識している。

市としては現計画が、大里公園を大幅に拡張し既存の公園部分もリニューアルする計画であることや、居住ゾーンが地域の活性化や街の魅力向上に寄与することなどわかりやすく説明し、理解を求めていきたいと考えている。

現在、居住ゾーンのあり方についても検討を進めている。その中で良好な住宅供給とともに一部地域や社会のニーズに合ったサービス機能を導入することや、地域のイメージアップにつながる提案など、多様な観点から民間事業のヒアリングを行っているところだ。

大里地域のモデルプロジェクトは、公共施設マネジメントの先導的な事例となる。このことからマネジメント視点を基本としつつ、懇話会での議論や市民、議会の意見を聞きながら街の活性化にもつながるように進めていきたいと考えている。

 

■教育長

 (伊川小学校の統廃合について)

全国的な少子化の中で本市でも児童生徒数が減少を続け、クラス分けができないような小規模な学校が増加している。義務教育の段階の学校では児童生徒の学力や体力を伸ばしつつ、集団の中で多様な考えに触れ、認め合い切磋琢磨することを通じて社会性や規範意識を身につけさせることも重要であり、そうした教育を十分に行うためには小中学校では適正な集団規模が確保されていることが必要だと考えている。

このため教育委員会では、児童生徒にとってよりよい教育環境を提供する観点から、今年3月末に学校規模の適正化に向けた方向性をとりまとめ、北九州市小中学校の学校規模適正化の進め方の方針を策定し、今後着手する小規模な学校名と合わせて公表したところだ。

伊川小学校の現状だが、今年度全校児童は18名だ。1年生3人と2年生3人が複式学級、3年生4人と4年生1人が複式学級、5年生4人と6年生3人が一緒に勉強する複式学級、こうなっており、教育上の課題が大きいと考えている。

修学旅行や自然教室は、松ヶ枝北小学校と合同で行っている。さらに、もともと昭和53年に松ヶ枝北小学校から分離した学校だ。修学旅行や卒業アルバムなど保護者の数が少ないこともあって一人当たりの負担も大きくなっている。さらに放課後児童クラブがないことから、最新の情報では18名のうち8名のお子さんが、授業が終わった後に松ヶ枝北小学校にバスなどで通うと聞いている。教員がバス停まで送っているということだ。

伊川小学校の統合については、統合の相手となる松ヶ枝北小学校も含めてこれまでに地域の代表者への事前説明や、保護者への説明会を8回行っており、延べ36名に参加していただいている。当初は、保護者への説明に至るまでの不満や、統合による児童への影響を心配する意見もあり、また現在も様々な意見があるが、子どもたちの教育環境を向上するためには、学校統合はやむを得ないとの理解が広がっていると考えている。

近じか、保護者や地域の代表による統合を進めるための準備委員会を発足することへも理解が得られている。伊川小学校の学校行事が地域の交流の場の一つであることは当然認識していて、統合による地域の皆さん方の不安は確かにあろうと思う。しかしながら、学校規模の適正化は、子どもたちの教育環境の整備を図ることにより、教育効果を向上させることが目的であり、そのためであることをご理解いただきたいと思う。

統廃合で児童の学力が下がるのではないか、という点。

学力に影響を与える要因は様々で、例えば学校長のリーダーシップや効果的な学校運営というのがある。あるいは教師一人ひとりの指導力、指導方法ももちろんだし、さらには家庭や地域の状況、教員配置や教育施設の整備の状況など、様々なものが学力に与える要因と考えている。

ご指摘の政策研究大学院大学の論文だが、私どもも読んでみたが、これは一人の学生がいわば研修の一環として取り組んだものであり、著者本人も一面部分のみの分析であり、長期的な視点での実証ではないこと、サンプル数が少ないこと、こういった問題があるといっている。

また横浜市教育委員会に直接確認したところ、学生の自主的な研究による論文で、教育委員会としてそのような見解は全くないということだった。本市教育委員会としても、この論文はよく読んでみると、統廃合した4校と比較対象として児童数が近い学校5校を横浜市内で選んでいるが、そもそも学力に与える影響というのは様々要因がある。にもかかわらず児童数が近いということだけをもって比較分析をするのは問題があると思っている。

本市の状況で例は少ないが、平成20年に統合した菅生小学校においては、通学時間が長くなったにもかかわらず、統合前に比べて児童の家庭学習時間が増えている。他の統合校においても統合そのものによって、学力が低下したという事実はない。

ただ一般に、統合される学校の児童生徒にとっては、学習環境が大きく変化することは事実だ。一人ひとりによりそって学校生活の不安を取り除くとともに、様々な観点から児童生徒の学力向上の取り組みの充実を図っていきたい。

 

<第2質問以下への答弁>

■教育長

 (地域全体で子どもたちを育んでいる伊川小学校を、どう評価しているのか)

伊川小学校に何度もうかがっているが、いまいわれたような地域の方が地域ぐるみで子どもたちを支えている点に関しては全くその通りだし、私どもも頭の下がる思いだし感謝もしている。そういう中で学校がなくなるというと、地域の方も落胆というか、そういうのもわかる。

ただ現実に、複式学級というのは具体的に小学校でいうと45分の授業に1年生と2年生御教室の半分半分に真ん中で仕切ったりして、半分半分に1人の先生がやると、実質授業は半分しかないということ、半分は自習という状況だ。これはやはり課題があると思うし、また委員会活動とかクラブ活動も昨年度でいうとクラブは一つ、委員会活動も二つという形で、児童活動も限られるということから、それなりの規模が必要な、そういう取り組みを進めさせていただきたい。

 

■こども家庭局長

 (松ヶ枝北小学校の児童クラブは基準からみても狭すぎるが、について)

児童クラブの面積、施設の基準については、児童一人あたり1.65兵平方メートルということになっているが、国の基準でも利用の実態を考慮してということで、必ずしも定員ということではなく、実際にどれくらい利用されているか、というところで基準を満たせばいいということになっている。その上で基準を下回るような児童クラブがあれば、施設整備にしっかり取り組んでいるところだ。

 

■企画調整局長

 (旧門司競輪場跡地利用に関する市民アンケート結果は、市長の説明と違うのではないか)

アンケートでは公園と住宅という形で(質問を)取らせていただいている。ご指摘の内容ではあるが、そのあとの意見交換会、懇話会の中でもいろいろ意見をいただいている。反対意見があるというのも承知している。

一方でこの計画については、町の魅力向上、人口増、というところにも寄与するという認識をもっており、その辺を含めて今後ともわかりやすく住民の方に説明をしていきたいと思っている。

以上

 

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