2015年6月定例会 八記博春議員の一般質疑(30分)
2015年6月定例会 本会議一般質疑と当局答弁(6月12日 金曜日)
◎八記博春議員の一般質疑(30分)
はじめに、本市の行政情報公開文書のねつ造疑惑について質問します。
本市の情報公開条例、第1条目的には、「この条例は、地方自治の本旨にのっとり、市民の知る権利を尊重し、行政文書の開示を請求する権利を明らかにするとともに、情報公開の推進に関し必要な事項を定めることにより、市の保有する情報の一層の公開を図り、もって市政に関し市民に説明する責務が全うされるようにし、市民の的確な理解と批判の下にある、公正で民主的な市政の推進に資することを目的とする」と定めています。
ところが、ある市民の方から、この条例を活用し「保健福祉局保護課長会議の配布資料と、会議記録のすべて」の行政文書の公開を求めたのに対し、「市民の知る権利が侵害された」との相談が寄せられました。
相談された方は何年も前から、年に4回から6回程度開催される生活保護担当課長会議の情報公開を定期的に求め続けていました。平成26年3月12日開催までの「課長会議」の公開文書は、条例に基づききちんと公開されていたと思われます。
しかし、平成26年4月23日開催以降、4回の「課長会議」として公開された文書は、毎回2~3時間かけて開催しているにもかかわらず、議題は、議会報告とその他の2項目のみになりました。その他の議題も全くありませんので、公開文書によると、北九州市の生活保護課長会議は、議会報告のみという極めて異常な内容です。
平成26年3月12日までの課長会議の中心的な議題になっていた、生活保護法や保護の実施要領の変更に伴う制度変更、厚生労働省や会計検査院等の監査や検査の結果報告、新年度の人事や体制、不正受給の対策強化や就労支援の状況や推進など、課長会議として当然の議題として取り扱ってきたものや、定期的に必要と思われる議題が一切ありません。あるのは、議会報告のみです。
仮に、本当に課長会議が公開された議題だけで開催されたのなら、これまで行っていた議題をどんな方法で関係部署に徹底しているのですか。それとも、意図的に公開文書をねつ造しているのですか。または、課長会議に代わる別の会議を行っているのですか。
もし、意図的に情報を隠しているのであれば、条例が定めている、市民の知る権利と行政文書の開示を請求する権利を侵害し、市の保有する情報の一層の公開を図るどころか、大きく後退させるものです。
また、市政に関し市民に説明する責務を全うせず、説明責任を放棄し、情報を隠蔽することにより、市民の的確な理解と批判の下にある、公正で民主的な市政の推進とは真逆の姿勢であり、情報公開条例違反も甚だしい許しがたい背信行為であります。市長の明確な答弁を求めます。①
本市では、一般廃棄物の実に75%が焼却処理されています。そして、一般廃棄物として焼却工場に搬入されているごみの41%が資源ごみを含む紙類であり、12%がプラステックです。
本市は、「世界の環境首都」を標榜していますが、外国の焼却率は、独25%、蘭32%、仏34%。スイス50%。韓国14%であり、本市の焼却率75%がいかに高い値であるかが分かります。
ごみを燃やすためには多大なエネルギーが必要であるだけではなく、限りある資源の浪費、環境・健康破壊の原因にもなっています。
また、本市ではH21年以降の5年間は、ごみ排出量の減量傾向が止まり、停滞または、増加傾向にあります。こうした傾向を改善するためにも、これから述べる事業系ごみの削減が極めて重要です。
本市は平成16年10月から事業系ごみ対策を始めました。一般廃棄物の中に占める事業系ごみは対策年度では40%を占めていました、しかし、直近のH25年度でも38%を占めており、事務系ごみの対策を強化したとされていますが、ほとんど効果が上がっておらず、事業系ごみの削減と資源化は本市の重要な課題と言わなければなりません。
事業系ごみの実に85%を、ごみ焼却工場に直接搬入される自己搬入ごみが占めています。本市は、H16年から、リサイクル可能な古紙・廃木材の焼却工場への搬入を禁止しています。しかし、古紙なども含め大量の資源化物が自己搬入され、その全てが焼却されています。
この問題を解決するためには、排出事業者と搬入業者への指導強化とともに、搬入時の展開チェック、つまり搬入ごみの内容調査を強化する必要があります。ところが現在の展開チェックは、年に1回、全工場で一斉展開チェックの実施や、週に一回各工場で1~2時間実施する程度のため、展開チェックの実施率は搬入トラック台数のわずか0.17%に過ぎず極めて不十分です。
事業系ごみの資源化問題は、排出事業者の立場から考えますと、廃棄物の発生を抑制する努力をすればするほど、廃棄物の処理経費を節約することができます。しかも、排出事業者こそが廃棄物の組成を一番よく知っているのですから、安全性を確保できるなど取扱いにも慣れているし、同じ種類の廃棄物を繰り返し大量に扱っているため、最も分別や再利用をしやすい立場にあり、分別コストを低く抑えることも可能です。
横浜市では、排出事業者に資源化促進を訴える一方、持ち込み事業系ごみをベルトコンベアー上にひろげる展開チェックを強化し、資源ごみが入っていたら、そのまま持ち帰らせるという措置をとりました。その結果、事業系ごみをH13年から22年までの10年間に39%も削減することに成功しました。本市でもこうした経験に学び、事業系ごみの削減を飛躍的に高めるべきと考えますがいかがですか。答弁を求めます。②
また、本市では、福祉施設や学校・病院などの公共の場での減量もすすんでいません。鹿児島県志布志市などでは公共施設の事業系ごみの調査・把握をきめ細かく行い資源化率を上げています。本市においても、これら事業所に対する減量化を一層進める取り組みが必要ではありませんか。強く要望しておきます。
環境省も、H25年に改訂した「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」で、「特に、事業系ごみに課題があることから、今後は事業系ごみについて、搬入料金の見直し等の対応について検討する必要がある」と盛り込まれています。
ごみ問題に夢のような解決策はどこにもありません。ごみ削減の基本的な解決方法は、「3R」即ち、ごみを出さない。ごみにならないように再利用する。資源化によって資源を有効に活用することであり、そのことをもってごみを減らし、焼却量を減らし、埋立量を減らすことができることは、誰もが知っています。肝心なことはこれを実行するか否かです。世界の環境首都を標榜する本市としての決意を大いに期待しまして質問を終わります。
八記博春議員への答弁(2015年6月12日)
■市長
ごみ問題での基本的考え、これまでの取り組みだが、地球温暖化や世界的な制約など顕在化する様々な地球環境問題に対応するためには、資源の消費を抑制し環境への負荷を低減する循環型社会の形成を一層進めていくことが不可欠だ。本市では平成16年に事業系ごみ対策、18年に家庭ごみ収集制度の見直しを実施した。23年には従来の循環型に低炭素自然共生の取り組みを加えた北九州循環型社会形成推進基本計画を策定している。
この計画の中で32年度までの目標として、家庭ごみ量を21年度比で7%削減する、また事業系ごみを8%削減する、またリサイクル率を35%に向上することなどを掲げて、ごみの減量、資源化の取り組みを積極的に進めている。
この結果、家庭ごみ量については26年度市民一人1日あたり495グラムと過去最少となる見込みだ。概ね計画の目標通りに推移している。この成果により北九州市民の高い環境力を改めて認識している。
一方、事業系ごみだが、制度上排出事業者が処理責任を負っており、適正処理や減量、資源化に取り組んでいただいている。本市としても事業者責任の徹底とリサイクルの促進のため循環型社会形成推進基本計画に沿って、まずリサイクル可能な廃木材や古紙の焼却工場への搬入停止の徹底、家庭ごみステーションの監視強化によるゴミ出しルールの徹底、さらに一定規模以上の事業所に対し条例の基づき減量、資源化に関する計画の策定の義務付けなどの取り組みを行っている。
この結果、事業系ごみは最も少なかった平成21年度には16.8万㌧と15年度比で34%減にまで達している。しかしながら近年増加傾向に転じており、25年度は前年度から9%増の18.7万㌧、26年度はさらに増加し約20万㌧となる見込みだ。こうした事業系ごみの増加は30%を超えていたリサイクル率が26%まで低下した主な原因となっている。事業系ごみの減量、資源化対策が今後の大きな課題の一つと考えている。
展開チェックの状況だが、車両に積み込まれたごみの内容を検査する展開チェックは、ごみが搬入された際に搬入者に的確な直接指導ができるため、ごみの減量、資源化に推進等に効果的な手法だ。そこで本市においても焼却工場だけでなく、埋め立て処分場において展開チェックを実施している。すでに26年度から検査台数を増やすなど検査体制の強化を図っており、引き続き重点的に取り組んでいくことにしている。
また今年度、事業所におけるごみ処理の実態や減量、資源化の取り組みについて全市的な調査を行う。今後の事業系ごみ対策に反映させることにしている。このような事業系ごみを含む一般廃棄物の対策全般を通じて循環型社会づくりをより一層推進するとともに、低炭素社会自然共生社会づくりの取り組みとも一体となって世界の環境首都づくりを目指して取り組む。
■保健福祉局長
保護課長会議は生活保護行政の円滑な運営をはかるため、本庁と各区役所の保護課長により行う事務連絡会議だ。会議の議題についてはその時々の状況において設定してきたが、平成25年度までの会議では、事務的な協議が多く長時間に及んでいたこと、近年保護人員の減少等で保護動向が落ち着いていること、こういったことから平成26年度からは議題を議会報告に絞り、そのほかはたたき台段階の資料を活用して自由な意見交換を行ってきたところだ。
なお議会報告以外の国の制度変更、監査結果報告、不正受給対策や就労支援等の項目については、従来から課長会議以外にも係長会議を開催して資料を配布し周知を図っており、特段の支障は生じていない。
一方、議員ご指摘の公開文書の件だが、議会報告以外の資料については自由な意見交換を行う際の参考資料という位置づけをしていたことから、それが情報公開条例に定義する行政文書という認識がなく、そもそも開示の可否について判断を行っていなかったということだ。しかし担当部局に確認したところ、このような資料も行政文書にあたり、開示の可否について判断を行うべきという見解だった。
結果として情報公開条例の解釈・運用を誤っていた。この点については不適切だったので私から担当課に注意している。
これまでの文書開示請求で開示の可否を判断していなかった資料については、改めて開示の可否の検討を行い文書開示請求を行った請求者にお知らせをしたいと考えている。今後、生活保護行政の情報公開については、このようなことがないように条例に従い適切に対応していく。
<第2質問への答弁>
以下、保健福祉局長との一問一答。
(これまで何種類、何枚が公開されていなかったのか)
手元に資料がないが、平成25年度までに開催して配布していた課長会議の資料と、同種、同様の程度のものだと理解している。
含まれている。
(厚労省の管内の実施期間への指導の徹底を、という文書がなぜ公開の対象にあたらないのか)
第1答弁でも申し上げた通り、課長会議の中でこれまで25年度までの会議の中で、非常に議題の項目が多く時間を要していたということで、係長会議でも同様の資料を提示しているので、そこでとる(?)という認識だった。
各区の課長の意見も聞いたうえで課長会議の運営については判断しているが、非常に議題の項目が多いということで、これについては係長段階でまず議論をして、そして最終的に各区に周知をするということで運営してきた。
26年度からは議題を議会報告に縛ったわけだが、これは本会議はもちろん予算、決算特別委員会、そして常任委員会に諮られた議題すべてを内容として議論している。従って、非常に多岐にわたっている。これだけでも非常に時間をとるということがあったので、係長会議の方で国等からの通知あるいは資料については周知していたということだ。
もちろん国からの指導、書類なども重要と考えているが、これは非常にある意味では実務的なものなので、これはまず係長会議で周知をしてそして各区役所の職場で周知をしていただくという手順にしたいと考えたわけで。議会での議論というのは、現場で保護行政を行っていくうえで、非常にいろんなご批判もいただきながら進めているので、私どもとしては非常に重要なものと考えている。
(保健福祉局の他の課長会議で、議会報告だけしているのはあるか)
局内で各所管の課長会議がどのように行われているかについては、これは課長レベルの判断に任せている。
各課長の実務的な会議については、局内においてはわたしの責任において各課長の判断に任せている。
■市長
議員のそもそものこの問題提起の発端は、公文書公開条例に基づいて適切に行政を運営しているかというご趣旨だと聞いていた。その点でいうと、今回、問題にされている文書の扱いについては、公開すべき情報という認識が足りなかった、その意味で不適切な処理であったと局長が答弁したとおりだ。
それで関係部署にそれをよく通知をしたということだ。そういった意味では、今後、公文書公開条例の趣旨というものを、また公文書の範囲等についてもよく今回の事を認識して今後適切に処理をしていただきたいと感じている。
■市長
(26年4月から変わったのは局長だ。上の方からの市長も含めた何らかの支持があったと疑っているが、どうか)
議員これは、わたしのほうからなにかあったのではないかという、それは全くあり得ないことで、そういう誤解は解いていただきたいと思う。いずれにしても重要な行政上の課題だと認識して、きっちりとこの問題については適切に対処させていただく。
以上