北九州市介護保険条例の一部改正について(2001年2月議会)
生活に困窮者等への介護保険料の減免適用を行うため、関係規定を改める必要があるので、一部改正の条例を提出しました。
議員提出議案第2号
北九州市介護保険条例の一部改正について
北九州市介護保険条例の一部を改正する条例を定めるため、議会の議決を求める。
平成13年2月23日
提出者 北九州市議会議員 水町 勝利
〃 〃 原 博道
〃 〃 石田 康高
〃 〃 荒川 徹
〃 〃 橋本 和生
〃 〃 田村 貴昭
〃 〃 柳井 誠
〃 〃 藤沢 加代
〃 〃 原田 里美
〃 〃 野依 謙介
提案理由 市が行う介護保険を円滑に実施するため、関係規定を改める必要があるので、この条例案を提出する。
北九州市介護保険条例の一部を改正する条例
北九州市介護保険条例(平成12年北九州市条例第16号)の一部を次のように改正する。
第15条に次の1号を加える。
(5) 前各号に掲げるもののほか、生活に困窮している等特別の理由があること。
第16条に次の1号を加える。
(6) 前各号に掲げるもののほか、生活に困窮している等特別の理由があること。
付 則
この条例は、平成13年4月1日から施行する。
北九州市介護保険条例の一部改正を提案
日本共産党市会議員 原田里美
日本共産党市会議員団は、北九州市会議員選挙後、はじめて開かれた2月定例会に、北九州市介護保険条例の一部改正を提案しました。
市会議員選挙で、市民要望が強い介護保険について、まず保険料の減免条例の改善へ着手しました。
北九州市の介護保険条例第15条(保険料の徴収猶予)また、第16条(保険料の減免)は、国の準則のみに沿うものとなっており、他の10政令市で定められている「市長の判断による減免」との条項がありません。そこでわが党の提案は市民の実態を少しでも改善するため、本市の条例第15条5項及び第16条6項に「前各号に掲げるもののほか、生活に困窮している等特別の理由があること」を挿入するものです。
昨年4月に介護保険制度がスタ-トし、一年が経とうとしています。この間高い保険料、利用料で必要な介護サ-ビスを受けることが出来ない高齢者の悲惨な状況や、増えつづける特別養護老人ホ-ムの待機者など、「保険あって介護なし」の実態が日々明らかとなり社会問題となっています。こうしたなかで特に市民の強い要望は、65歳以上の第一号被保険者の保険料・利用料の引き下げです。
ご存知のように第一号被保険者の保険料は所得段階別5段階であり、また給付が個人単位であるのに対して、保険料は世帯単位という厳しい賦課条件であることが当初から問題点として指摘されていました。
特に世帯全員が市民税非課税者となっている第二段階層の保険料賦課に矛盾が集中していると言わざるをえません。
昨年10月から始まった保険料徴収は、H12年度は政府の特別対策で半年分の半額ですが、H13年度は年額で今の3倍、特別対策が終了するH14年度は4倍となり、ますます矛盾が大きくなることは確実です。
「介護保障をよくする北九州の会」が今回の市議会議員選挙立候補予定者を対象に実施したアンケ-ト調査結果では、介護保険実施後の現状についての評価では、「改善が必要」という答えが61%で多数となっており、また「おおむね順調だと思う」は29%であり、その半数は「改善の必要がある」と現状に満足しているわけではないと報告しています。特に、保険料の減免については、現在の保険料は「適切な額である」という評価もありますが、「低所得者には負担が重いので、さらに軽減策を取るべき」が回答者の79%。また保険料の軽減策については、「国の制度改善を求めるが、当面の対策として市の独自軽減策もとるべき」とする回答が71%となっています。
こうした結果からも、市の介護保険制度は今後とも改善の必要があること、保険料の問題では会派を問わず改善の必要性を表明されていることが注目されます。
北九州市の第一号被保険者の内、第二段階の被保険者数は全体の37.7%をしめています。
昨年4月から11までの制度に対する市民の問い合わせ・相談状況の数54,456件の内、保険料に関する件数は半数以上の29.281件に上っています。また、サ-ビスの利用状況を見て見ると、第二段階層の利用状況が平均利用率に対してもまた、3,4,5段階層に比較しても低いことは明らかです。
70歳以上の一人暮らしや高齢者だけの世帯の多い団地自治区会では、「一人暮らしの多くは女性であり、少ない国民年金や遺族年金で、また無年金で子供の援助だけで生計を立てている高齢者のほとんどは住民税非課税世帯です。昨年の10月からの保険料徴収は、半額とはいえ団地の高齢者には大きな負担となっています。さらに今年1月からの医療費の負担増が追い討ちをかけました。買い物や出かけるのを控えた。老人会や趣味のサ-クルをやめてしまった。など高齢者の暮らしと社会活動を厳しくしているのです。」とし、今年10月から保険料が全額徴収となれば、せっかくできた介護保険が「弱い者いじめ」になってしまうことを心配し、自治会として保険料や利用料の引き下げを請願する予定です。
本市議会はこうした市民の切実な声に応えるべきではないでしょうか。
介護保険法が成立した1997年12月3日の参議院本会議の「付帯決議」「介護サ-ビスの基盤整備の推進等に関する決議」では、「全ての国民が適切に介護サ-ビスを利用することが出来るよう、低所得者に対する必要な措置を講ずること」とされています。介護保険法の付則2条から5条で「介護保険法は施行後の見直し」を義務づけており、スタ-ト後も不合理や不都合な点を見直すことになっています。併せて介護保険法第142条では、市町村は条例で保険料の減免を行なうことが出来ます。
すでに川崎市では制度スタ-ト時に条例化し要綱に基づき保険料を減免し、市民の評価を得ています。大阪市では昨年10月からの保険料徴収を前にして、保険料の低所得者への市独自の減免を開始しています。
必要な経費については、例えば第一段階の保険料を現在の基準額の0.5倍から0.25倍に引き下げた場合、平成13年度は約5900万円、平成14年度は約7800万円。第二段階の保険料を現在の0.75倍から0.375倍に引き下げた場合、平成13年度は約7億8100万円、平成14年度は約10億4100万円が必要です。
本市はH12年度の予算ベ-スで見た場合、介護保険制度導入に伴う市財政への影響とした当局試算でも、介護保険特別会計3年間の平均の予算額等から単年度約11億1千万円の支出減となっています。この財源を持ってすれば保険料の減免は実施可能です。
したがって、今議会での条例の一部改正で基本的な保険料の減免条件を明確にし、今後関係する規則及び要綱の速やかな整備を進めながら、財源を伴う実施を確定することが必要であることを、本会議提案で説明しました。
【参 考】
北九州市介護保険条例新旧対照表
新 旧
(保険料の徴収猶予)
第15条 市長は、保険料の納付義務者が次の各号 のいずれかに該当することによりその納付すべき保険料の全部又は一部を一時に納付することがで きないと認める場合においては、その申請により、その納付することができないと認められる金額を 限度として、1年以内の期間を限って徴収を猶予することができる。
(1)~(4) 略
(5) 前各号に掲げるもののほか、生活に困窮して いる等特別の理由があること。
(保険料の減免)
第16条 市長は、保険料の納付義務者が次の各号 のいずれかに該当することによりその納付すべき保険料の全部又は一部を納付することができない と認める場合においては、その申請により、保険 料を減免することができる。
(1)~(5) 略
(6) 前各号に掲げるもののほか、生活に困窮して いる等特別の理由があること。
(保険料の徴収猶予)
第15条 市長は、保険料の納付義務者が次の各号 のいずれかに該当することによりその納付すべき保険料の全部又は一部を一時に納付することがで きないと認める場合においては、その申請により、その納付することができないと認められる金額を 限度として、1年以内の期間を限って徴収を猶予することができる。
(1)~(4) 略
(保険料の減免)
第16条 市長は、保険料の納付義務者が次の各号 のいずれかに該当することによりその納付すべき保険料の全部又は一部を納付することができない と認める場合においては、その申請により、保険料を減免することができる。
(1)~(5) 略
議員提出議案の賛否一覧表[平成13年2月定例会]
(2月23日提出・3月28日議決)
議案番号 件 名 提 出 自民市民クラブ 公明党 北九州市民クラブ 日本共産党 自由民主党 社会市民連合 新生市民会議 新しい風 ふくおかネットワーク
2 北九州市介護保険条例の一部改正について 日本共産党 × × × ○ × × × × × 否決