北九州市情報公開条例の全部改正(2001年6月議会)
行政機関の保有する情報の公開に関する法律との整合性を図るとともに、市民意識の高まりによる情報公闘の一層の推進を図るるため、早急に関係規定を改める必要があるので、条例案を提案しました。
日本共産党北九州市会議員団提出
北九州市情報公開条例の全部改正についての提案理由説明
行政機関の保有する情報の公開に関する法律との整合性を図るとともに、市民意識の高まりによる情報公闘の一層の推進を図るるため、早急に関係規定を改める必要があるので、この条例案を提出する。
2001年6月8日
議員提出議案第23号、北九州市情報公開条例の改正についての提案理由説明を行います。
今年4月から、行政機関の保有する情報の公開に関する法律―いわゆる情報公開法が施行されています。行政機関の保有する諸活動を国民に説明する責任が明文化され、公文書の規定は、行政機関の職員が職務上作成・取得した文書とされ、電子情報を含めて、その対象が格段に広がっています。この法の雄行と前後して、札幌、横浜、千葉、名古屋、仙台・大阪・広島・川崎の8政令市が既に条例を改正し、また、神戸市が今年度中に条例改定の予定となっていまます。
これに対して、本市の状況は、市長が今年1月25日にようやく情報公開審査会に条例改定について諮問し、秋頃の答申をもって判断するとのことでありますが、他都市と比較してその改善の取り組みは遅いと言わねばなりません。今年3月に発表された、全国市民オンブズマン連絡会議による第5回政令指定都市の情報公開度ランキングによれば、本市が公文書の閲覧手数料を、いまだ徴収しているため、依然として不名誉な「失格」の烙印がおされています。市民の行政に対する信頼構築と市民の知る権利に答えるために、本市情報公開条例は直ちに改正すべきであります。
いま、日本国憲法の定める地方自治の本旨を十分に実現するため、地方分権の確立とともに・市民の市政参加に基づく住民自治の充実が求められています。そのためには、行政運営の透明性を確保するとともに、市民が必要とする市政情報が的確に公開され、市民の市政参加を促進することが必要であります。
以上の状況を踏まえ、国の法律との整合性をはかり、北九州市の保有する情報は公開を原則とすること、及び個人に関する情報は最大限に保護することを基本とし下、21世紀の北九州市にふさわしい情報公開制度を確立するため、ここに、本市情報公開条例の全面改正案を提案するものです。
以下、条例改正案の主な特徴について述べます。
前文で、いわゆる市民の知る権利を明記しました。この「知る権利」は、既に広く使われている文言であり、行政に対する市民の関心を喚起し、これまでの情報公開制度の発展にとって象徴的な理念としての役割を果たしてきました。そこで、「行政の説明責任」「市民の市政に対する監視及び参加」「住民自治の理念」とあわせて、新たな条例の理念として盛り込みました。
第2条で、実施機関に、議会を加えました。もとより議会は、選挙により住民から選出された議員で構成される独立した議決機関であって、その独立性、自主性が十分尊重されるべきでありますが、議会活動に要する原資は市民の税金に負うところから対象としました。全国671市のうち81%にあたる541市が情報公開の対象機関として拡大の方向にあり、うち、政令市は、実施予定の神戸市を含めて、すでに10都市が対象となっています。
同じく第2条で、対象公文書の範囲を拡大しました。行政情報の電子化の進展にともない、情報が記録されている媒体の種類にかかわらず、公開請求の対象としました。また、現行条例では、決済、供覧等、一定の事務手続きが終了していない文書は、公文書には含まれませんが、市民に対する説明責任及び市民による行政への参加の観点から、実施機関の職員が職務上作成し、保有している組織的共用文書を含むこととしました。
第5条で、請求権者の範囲を限定せず、「何人も」公文書の公開を請求することができるようにしました。行政の広域化にともない、市の活動自体が市民以外にも影響を与えていること、北九州市が世界の都市の一員として活動して行く点を考慮してのものです。
第7条では、実施機関の公開義務を規定し、現行の「公開しないことができる」旨の規定を改め、原則公開の考え方を明確にしました。同時に、個人のプライバシーを最大限に保護するため、個人に関する一切の情報は、現行のとおり非公開を原則としています。
第16条の費用の負担では、現行の手率料を廃止しました。
第18条では、不服申し立てにおける情報公開審査会への諮問の期限、また、審査会の答申から
実施機関の決定・裁決までの期限をそれぞれ30日以内としています。本市においては、市民が請求した公文書の公開請求を非公開とした実施機関が、その不服申し立てに対して、理由説明書を2年も送付せず諮問しなかった例があり、こういうことが起こらないよう、定めるものです。
第3章では、市政に関する情報を政策形成過程にあるものも含め、積極的に市民に公表することを定め、実施機関の置く付属機関等の会議を公開すること、また、市が出資する団体の経営状況の文書、その他の文書の公開に市が努めることを規定しました。
第4章、情報公開審査会の章では、審査会の権限を高め、不服申し立て人の権利の拡充も定めています。
以上が、主な特徴点でありますが、そのほとんどは、現在他政令市の情報公開条例に既に明記され、実施されているものであります。
行政運営の透明性を確保するとともに、市民が必要とする市政情報が的確に公開され・市民の市政参加を促進するために、本条例案への議員各位のご賛同を心からお願い致しまして、提案理由の’説明を終わります。
北九州市情報公開条例
北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号)の全部を改正する。
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 公文書の公開(第5条―第19条)
第3章 情報公開の総合的な推進(第20条―第22条)
第4章 北九州市情報公開審査会(第23条―第28条)
第5章 雑則(第29条―第34条)
付則
日本国憲法の定める地方自治の本旨を十分に実現するため、地方分権の確立とともに、市民の市政参加に基づく住民自治の充実が求められている。
このような要請に応えるには、行政運営の透明性を確保するとともに、市民が必要とする市政情報が的確に市民に公開され、市民の市政参加を促進することが必要である。
情報公開制度は、開かれた市政の推進に不可欠の基盤的な制度であり、市政に対する市民の理解と信頼を確保するため、公文書の公開制度に加えて、情報提供施策の積極的な推進など、情報公開制度全般にわたるより一層の整備、充実が求められている。
以上の状況を踏まえ、北九州市は、市民の知る権利が情報公開の制度化及びその発展に大きな役割を果たしてきたことを十分に認識するとともに、北九州市の保有する情報は公開を原則とすること及び個人に関する情報は最大限に保護することを基本として、21世紀の北九州市にふさわしい情報公開制度を確立するため、ここに、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨にのっとり、公文書の開示を請求する市民の権利を明らかにするとともに、情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定め、もって北九州市(以下「市」という。)が市政に関し市民に説明する責務を全うするようにし、市民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な市政の推進に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 実施機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会、地方公営企業管理者、消防長及び議会をいう。
(2) 公文書 実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるものを除く。
(実施機関の責務)
第3条 実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たっては、公文書の公開を請求する市民の権利を十分に尊重するとともに、個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない。
(利用者の責務)
第4条 この条例の定めるところにより公文書の公開を請求しようとするものは、この条例の目的に即した適正な請求をするよう努めるとともに、公文書の公開により得た情報を適正に利用しなければならない。
第2章 公文書の公開
(公文書の公開請求権者)
第5条 何人も、この条例の定めるところにより、実施機関に対して公文書の公開を請求することができる。
(公開請求の手続)
第6条 前条の規定による公文書の公開の請求(以下「公開請求」という。)をしようとするものは、次に掲げる事項を記載した請求書(以下「公開請求書」という。)を実施機関に提出しなければならない。
(1) 公開請求をするものの氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
(2) 公文書の名称その他の公開請求に係る公文書を特定するに足りる事項
2 実施機関は、公開請求書に形式上の不備があると認めるときは、公開請求をしたもの(以下「公開請求者」という。)に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。この場合において、実施機関は、公開請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない。
(実施機関の公開義務)
第7条 実施機関は、公開請求があったときは、公開請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、公開請求者に対し、当該公文書を公開しなければならない。
(1) 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあると認められるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
ア 法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
イ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ウ 公務員(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員をいう。)の職務の遂行に係る情報(当該情報が当該公務員の思想信条に係るものである場合で、公にすることにより、当該公務員の個人としての正当な権利を明らかに害すると認められるときは、当該公務員の職、氏名その他当該公務員を識別することができることとなる記述等の部分を除く。)
(2) 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
ア 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの
イ 実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供された情報であって、当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
(3) 公にすることにより、人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められる情報
(4) 市並びに国及び他の地方公共団体の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
ア 不服申立ての審査、あっせん、調停その他これらに類する紛争処理に関する情報であって、公にすることにより、意思決定の中立性が不当に損なわれると認められるもの
イ 公にすることにより、特定の者に不当に利益を与え、又は不当に不利益を及ぼすと認められるもの
(5) 市又は国若しくは他の地方公共団体が行う事務又は事業に関する情報であって、次に掲げるもの
ア 監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関する情報であって、公にすることにより、正確な事実の把握を困難にし、又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にすると認められるもの
イ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関する情報であって、公にすることにより、市又は国若しくは他の地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害すると認められるもの
ウ 調査研究に係る事務に関する情報であって、公にすることにより、その公正かつ能率的な遂行に著しい支障を及ぼすと認められるもの
エ 人事管理に係る事務に関する情報であって、公にすることにより、公正かつ円滑な人事の確保に著しい支障を及ぼすと認められるもの
オ アからエまでに掲げるもののほか、事務又は事業の性質上、公にすることにより、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすと認められるもの
(6) 法令若しくは他の条例の定めるところにより又は実施機関が法律上従う義務を負う国の機関の指示等により、公にすることができないと認められる情報
(公文書の一部公開)
第8条 実施機関は、公開請求に係る公文書の一部に非公開情報が記録されている場合において、非公開情報に係る部分を容易に区分して除くことができるときは、当該非公開情報に係る部分以外の部分を公開しなければならない。ただし、当該非公開情報に係る部分を区分して除くことにより公開請求の趣旨が損なわれることが明らかであるときは、この限りでない。
2 公開請求に係る公文書に前条第1号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。
(公益上の理由による裁量的公開)
第9条 実施機関は、公開請求に係る公文書に非公開情報(第7条第6号に該当する情報を除く。)が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、公開請求者に対し、当該公文書を公開することができる。
(公文書の存否に関する情報)
第10条 実施機関は、公開請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、非公開情報を公開することとなるときは、当該公文書の存否を明らかにしないで公開請求を拒否することができる。
2 実施機関は、前項の規定により公開請求を拒否したときは、速やかに、規則で定めるところにより、その旨を北九州市情報公開審査会に報告しなければならない。
(公開請求に対する決定等)
第11条 実施機関は、公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開するときは、その旨の決定をし、公開請求者に対し、その旨並びに公開する日時及び場所を書面により通知しなければならない。
2 実施機関は、公開請求に係る公文書の全部を公開しないとき(公開請求に係る公文書を保有していないときを含む。)は、公開しない旨の決定をし、公開請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
3 実施機関は、前条第1項の規定により公開請求を拒否するときは、公開請求を拒否する旨の決定をし、公開請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
4 第1項又は第2項の規定により公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開しない旨の決定(当該公文書を保有していないときの決定を除く。)をした場合において、当該公文書の全部又は一部についての公開が可能となる時期が明らかであるときは、実施機関は、その旨をこれらの規定による書面に付記しなければならない。
(公開決定等の期限)
第12条 前条第1項から第3項までの決定(以下「公開決定等」という。)は、公開請求があった日の翌日から起算して14日以内にしなければならない。ただし、第6条第2項の規定により補正を求めた場合にあっては、その補正に要した日数は、この期間には算入しない。
2 実施機関は、やむを得ない理由により、前項に規定する期間内に公開決定等をすることができないときは、公開決定等をすべき期間を、同項に規定する期間の満了する日の翌日から起算して30日を限度として延長することができる。この場合において、実施機関は、速やかに、公開請求者に対し、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。
3 公開請求者は、実施機関が第1項に規定する期間の満了する日の翌日から起算して30日を経過した後においても、公開請求に係る公文書の全部又は一部について公開決定等をしないとき(次条第1項の通知があったときを除く。)は、当該公開決定等がされていない公文書を公開しない旨の決定があったものとみなすことができる。
(公開決定等の期限の特例)
第13条 公開請求に係る公文書が著しく大量であるため、公開請求があった日の翌日から起算して44日以内にそのすべてについて公開決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条第1項及び第2項の規定にかかわらず、実施機関は、公開請求に係る公文書のうちの相当の部分につき当該期間内に公開決定等をし、残りの公文書については相当の期間内に公開決定等をすれば足りる。この場合において、実施機関は、同条第1項に規定する期間内に、公開請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
(1) 本項を適用する旨及びその理由
(2) 残りの公文書について公開決定等をする期限
2 公開請求者は、前項の規定による通知があった場合において、実施機関が同項第2号に規定する期限を経過した後においても、公開請求に係る公文書の全部又は一部について公開決定等をしないときは、当該公開決定等がされていない公文書を公開しない旨の決定があったものとみなすことができる。
(第三者保護に関する手続)
第14条 公開請求に係る公文書に市、他の地方公共団体及び国並びに公開請求者以外のもの(以下この条、第17条第2項及び第18条第3項において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、実施機関は、公開決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、意見書を提出する機会を与えることができる。
2 実施機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、第11条第1項の決定(以下「公開決定」という。)に先立ち、第三者に対し、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
(1) 第三者に関する情報が記録されている公文書を公開しようとする場合であって、当該情報が第7条第1号イ、同条第2号ただし書又は同条第4号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。
(2) 第三者に関する情報が記録されている公文書を第9条の規定により公開しようとするとき。
3 実施機関は、前2項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者がその公文書の公開に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、公開決定をするときは、公開決定の日と公開する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、実施機関は、公開決定後直ちに、当該意見書(第17条において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、公開決定をした旨及びその理由並びに公開する日を書面により通知しなければならない。
(公文書の公開の方法)
第15条 公文書の公開は、文書、図画、写真又はフィルムについては閲覧又は写しの交付により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を考慮して実施機関が定める方法により行う。
2 実施機関は、前項の規定により公文書を閲覧に供し、又は公文書の写しを交付する場合において、当該公文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他合理的な理由があるときは、当該公文書を複写したものを閲覧に供し、又はその写しを交付することができる。
(費用の負担)
第16条 前条の規定により公文書(これを複写したものを含む。)の写しの交付を受けるものは、その写しの交付に要する費用を負担しなければならない。
(不服申立てに対する諮問等)
第17条 公開決定等(第12条第3項又は第13条第2項の規定により公文書を公開しない旨の決定があったものとみなされた場合における当該あったものとみなされた決定を含む。以下同じ。)について行政不服審査法(昭和37年法律第160号)の規定に基づく不服申立てがあったときは、当該不服申立てに係る処分庁又は審査庁は、次に掲げる場合を除き、不服申立てがあった日から30日以内に、北九州市情報公開審査会に諮問しなければならない。
(1) 不服申立てが不適法であり、却下するとき。
(2) 決定又は裁決で、不服申立てに係る公開決定等(公開請求に係る公文書の全部を公開する旨の決定を除く。)の取消し又は変更をして、当該不服申立てに係る公文書の全部を公開することとするとき。ただし、当該公開決定等について反対意見書が提出されているときを除く。
2 前項の規定により諮問をした処分庁又は審査庁(以下「諮問庁」という。)は、次に掲げる者に対し、諮問をした旨を通知しなければならない。
(1) 不服申立人及び参加人
(2) 公開請求者(公開請求者が不服申立人又は参加人である場合を除く。)
(3) 当該不服申立てに係る公開決定等について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が不服申立人又は参加人である場合を除く。)
(不服申立てに対する決定又は裁決)
第18条 諮問庁は、不服申立てについて決定又は裁決をする場合は、その諮問に対する北九州市情報公開審査会の答申を尊重しなければならない。
2 不服申立てに対する決定又は裁決は、答申を受けた日から30日以内に行わなければならない。
3 諮問庁が、第三者に関する情報が記録されている公文書の公開決定等に関する不服申立てについて、次の各号のいずれかに該当する決定又は裁決をした場 合において、実施機関が当該決定又は裁決に基づき公文書の公開をしようとするときは、当該決定又は裁決の日と公開する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、実施機関は、直ちに当該第三者に対し、公開する旨及びその理由並びに公開する日を書面により通知しなければならない。
(1) 公開決定に対する第三者からの不服申立てを却下し、又は棄却する決定又は裁決
(2) 不服申立てに係る公開決定等(公開請求に係る公文書の全部を公開する旨の決定を除く。)を変更し、当該公開決定等に係る公文書を公開する旨の決定又は裁決(第三者である参加人が当該公文書の公開に反対の意思を表示している場合に限る。)
(他の制度との調整等)
第19条 この章の規定は、法令、他の条例その他の規程に定めるところにより、閲覧若しくは縦覧又は謄本、抄本その他の写しの交付の手続が定められている公文書については、適用しない。
2 この章の規定は、図書館その他の市の施設において一般の利用に供することを目的として管理している公文書については、適用しない。
第3章 情報公開の総合的な推進
(情報提供及び情報公表)
第20条 市は、市民の必要とする情報を的確に把握して、市政に関する正確で分かりやすい情報を市民が迅速かつ容易に得られるよう、情報提供施策及び情報公表施策の充実に努めなければならない。この場合においては、市が作成する諸計画の中間段階における案その他の政策形成過程にある情報について、積極的に市民に対して提供し、又は公表するよう配慮するものとする。
2 実施機関は、公開請求のあった公文書について、これを公開することが通例となっている場合等で、市民の利便の向上に資すると認められるときは、当該公文書を公表するよう努めるものとする。
(会議の公開)
第21条 実施機関に置く付属機関及びこれに類する合議体の会議は、これを公開するものとする。ただし、その会議における審議の内容が許可、認可等の審査、行政不服審査、紛争処理、試験に関する事務等に係るものであって、会議を公開することが適当でないと認められるときは、この限りでない。
(出資団体等の情報公開)
第22条 市が出資又は補助その他の財政的援助を行っている団体であって規則で定めるもの(以下「出資団体等」という。)は、経営状況を説明する文書その他のその保有する文書の公開に努めるものとする。
2 実施機関は、出資団体等が保有する文書であって実施機関が保有していないものに関し閲覧、写しの交付等の申出があったときは、当該出資団体等に対し、当該文書を実施機関に提出するよう求めるものとする。
3 前項の規定により出資団体等に対して提出を求める文書の範囲その他必要な事項については、実施機関が定める。
第4章 北九州市情報公開審査会
(設置等)
第23条 この条例の規定によりその権限に属することとされた事項を処理するほか、市長の諮問に応じて情報公開制度に係る重要事項を調査審議するため、北九州市情報公開審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会は、必要があると認めるときは、情報公開制度の運用又は情報公開制度に関連する事項に関し、実施機関に意見を述べることができる。
3 審査会は、委員7人以内で組織する。
4 委員は、情報公開制度に関し優れた識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。
5 委員の任期は、2年とし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
6 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審査会に臨時委員を置くことができる。
7 委員及び臨時委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(部会)
第24条 審査会は、必要に応じ、部会を置くことができる。
(審査会の調査権限)
第25条 審査会は、第17条第1項の規定により諮問を受けた事項を調査審議するため必要があると認めるときは、実施機関(不服申立てのあった公開決定等に係る実施機関に限る。以下この条において同じ。)に対し、当該公開決定等に係る公文書の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、審査会に対し、その提示された公文書の閲覧又は写しの交付を求めることができない。
2 実施機関は、審査会から前項の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない。
3 審査会は、必要があると認めるときは、実施機関に対し、不服申立てのあった公開決定等に係る公文書に記録されている情報の内容を審査会の指定する方法により分類し、又は整理した資料を作成し、審査会に提出するよう求めることができる。
4 第1項及び前項に規定するもののほか、審査会は、不服申立てに係る事件に関し、不服申立人、参加人又は実施機関(以下「不服申立人等」という。)に意見書又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実を陳述させることその他必要な調査をすることができる。
(意見の陳述等)
第26条 審査会は、不服申立人等から申出があったときは、当該不服申立人等に、口頭で意見を述べる機会を与え、又は意見書若しくは資料の提出を認めることができる。
(提出資料の閲覧等)
第27条 不服申立人等は、審査会に対し、審査会に提出された意見書又は資料の閲覧又は複写を求めることができる。この場合において、審査会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は複写を拒むことができない。
2 審査会は、前項の規定による閲覧又は複写について、その日時及び場所を指定することができる。
(規則への委任)
第28条 この章に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第5章 雑則
(公文書の適正な管理)
第29条 実施機関は、情報公開制度の適切かつ円滑な運用に資するため、公文書の分類、作成、保存及び廃棄に関する基準その他の公文書の管理に関する必要な事項について定めを設け、これに基づき公文書を適正に管理しなければならない。
(公文書目録の作成等)
第30条 実施機関は、迅速かつ容易に公文書を検索することができるよう、公文書の目録を作成し、一般の閲覧に供するものとする。
2 前項に規定するもののほか、実施機関は、公開請求をしようとするものが容易かつ的確に公開請求をすることができるよう、当該実施機関が保有する公文書の特定に資する情報の提供その他公開請求をしようとするものの利便を考慮した適切な措置を講ずるものとする。
(実施状況の公表)
第31条 市長は、毎年度1回、各実施機関の公文書の公開等についての実施状況を取りまとめ、これを公表するものとする。
(市長の調整)
第32条 市長は、この条例による情報公開制度の円滑かつ統一的な実施を図るうえで必要があると認めるときは、他の実施機関に対し、報告を求め、又は助言をすることができる。
(委任)
第33条 この条例の施行に関し必要な事項は、実施機関が定める。
(罰則)
第34条 第23条第7項の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
付 則
(施行期日)
1 この条例は、平成13年11月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際この条例による改正前の北九州市情報公開条例(以下「改正前の条例」という。)第8条の規定により現にされている公文書の公開請求は、この条例による改正後の北九州市情報公開条例(以下「改正後の条例」という。)第6条第1項の規定による公開請求とみなす。
3 この条例の施行の際現にされている改正前の条例第13条に規定する行政不服審査法の規定に基づく不服申立ては、改正後の条例第17条第1項に規定する同法に基づく不服申立てとみなす。
4 前2項に規定するもののほか、この条例の施行の日前に改正前の条例の規定によりした処分、手続その他の行為は、改正後の条例中にこれに相当する規定がある場合には、当該相当する規定によりしたものとみなす。
5 改正前の条例第14条第1項の規定により置かれた北九州市情報公開審査会は、改正後の条例第23条第1項の規定により置かれた審査会となり、同一性をもって存続するものとする。
6 付則第2項から前項までに掲げるもののほか、この条例の施行に関し必要な経過措置は、市長が定める。