孤独死根絶のため市の取り組みと改善を求める申し入れ
2009年6月22日
北九州市長 北橋 健治 様
日本共産党北九州市会議員団
団長 石田 康高
孤独死根絶のため市の取り組みと改善を求める申し入れ
市内で餓死・孤独死が相次ぐなか、「孤独死を一人でも減らしていく取り組みが重要である」と市長が表明した本市において、又しても生活苦から福祉事務所に相談に訪れていた門司区在住の男性(当時39才)が、その後誰にも看取られず遺体となって発見されました。
わが党は、哀悼の意を表するとともに、このような痛ましい事案が今後二度と起こらないよう、行政の万全の対応を求めるものです。
今回の事案は、安否を心配した故人宅の家主が4月8日にわが党の相談所を訪れ、その助言に基づいて同13日に警察官の立会いのもとに家に入ったところ、すでに亡くなっていたことが判明したものです。
故人は、今年1月8日、生活に困窮して門司福祉事務所に相談に訪れていましたが、その際の対応について当局は、同福祉事務所の面接担当者が、「生活保護の説明を行う」とともに、申請意思を確認したところ、本人が「申請は行わない」との意思を示したとして、「その対応に問題はなかったものと考えている」との見解を発表しました。
遺体の検案書には、直接の死因は内因性疾患の疑い、「中バケツ3分の1量の吐血」があったと記されており、末期は極めて深刻な健康状態であったことが窺われます。
室内の冷蔵庫には全く食糧はなかったとの報告は、検案書に「摂食の形跡なし」と記載されていることと符合します。
また、財布に残っていたのはわずか9円のみであり、国民健康保険の資格証明書が残されていたことからも、極めて厳しい体調の中でも医療機関を受診することができなかったことは想像に難くありません。また1月以降、重要なライフラインである電気の供給が止まっていたことも明らかになっています。
すでに当事者は死亡しており、当局が当時の福祉事務所での相談内容等について個人情報であり提供できないとしているため、対応が適切であったか否かを判断することはできませんが、故人が痛ましい孤独死に至ったことはまぎれもない事実であり、そのことを重く見て、わが党は6月の定例市議会において市の見解を質したところです。
市長は今回の事案についてわが党の質問に対し、「保護行政についてしっかり検証していただいて、我々なりに教訓を得て再スタートした。そういうことで窓口も努力していたと思うが、こういうことになったことはたいへん残念だ」という主旨の見解を述べましたが、今年1月8日に故人からの相談を受けていた福祉事務所が、その後の状況を適宜把握し、行政として必要な手立てをとっていれば、このような痛ましい事態を回避できたのではなかったのかと、残念でなりません。
1月8日の相談以降、門司福祉事務所が何らのフォローアップも行っていなかったことは、国の通知に照らしても本市の対応が問われるものと考えます。
そこで、再度このような悲劇を繰り返さないために、福祉行政をあずかる市が今回の事案を十分に検証し、対応を改善することを強く求め、次のように申し入れます。
記
- 1月8日に故人が門司福祉事務所に相談に訪れた際、面接を通じて同人の急迫状態を的確に把握し、必要な助言と援助を行うという「面接の手引き」にもとづいた適切な対応がなされていたのか検証すること。
- その後、門司福祉事務所が市の他の部門や、地域の民生委員などと連携して、故人の生活や健康状態などを的確に把握し、適切な支援を行うなどのフォローアップを行うことが必要ではなかったのか検証すること。
- 以上の検証結果を、1月8日の門司福祉事務所における故人の面接記録とともに公開すること。
以上