更新日:15年06月28日

2015年6月定例会 田中光明議員の一般質疑(30分)



2015年6月定例会 本会議一般質疑と当局答弁

 

2015年6月定例会 本会議一般質疑と当局答弁(6月12日 金曜日)

田中光明議員の一般質疑(30分)

日本共産党の田中光明です。会派を代表して質問します。

(1)まず、建設労働者の労働条件の改善について質問します

建設業の就業者数は、ピーク時から27%も減少し、高齢化も進んでいます。とりわけ若年者が減少し、そのため後継者不足で10年後には住宅や社会インフラの維持も危ぶまれる状況です。受注競争による単価引き下げが、建設労働者の処遇の悪化を招き、他産業の平均に比べても26%低い賃金水準になっていることが大きな原因です。

そのような中、国土交通省は「建設労働者に対する適切な賃金の支払いは喫緊の課題」だとして、「公共工事の設計労務単価」を平成25年4月と26年2月、さらに今年2月の3回にわたって、連続して大幅に引き上げました。「公共工事の設計労務単価」とは都道府県ごとに、職種別に、国が定めた労務単価です。国や地方自治体は、公共工事の金額を積算する際に、技能労働者の賃金を、この労務単価を用いて積算します。

福岡県の労務単価は、全職種平均で、平成24年の15,371円から平成26年の18,819円に、3,448円、22.4%引き上げられました。しかし、実際の現場での建設労働者の賃金引き上げは、少額に止まっているといいます。県内の建設労働者約11,000人余を組織している、福岡県建設労働組合、略称は福建労といいますが、ここの調査では、県内の建設労働者の日当は、2012年から2014年の2年間で、13,623円から14,035円と、わずか412円、3%の上昇にとどまっています。労務単価の引き上げ額に対して、およそ8分の1しか上がっていないといいます。

今年1月30日に、国土交通省が都道府県知事と、政令指定都市市長に対して、「技能労働者への適切な賃金水準の確保について」という要請文を発文しています。その中で「新労務単価の上昇を踏まえた適切な水準の賃金の支払いを指導するなどの特段のご配慮をお願いします」と述べています。本市においても、現場で働く技能労働者の確保・育成は喫緊の課題であり、国土交通省のこの要請は本市にとっても大変重要だと考えます。本市は、現場の技能労働者の実態を把握するとともに、適切な水準の賃金の支払いを指導するなど特段の配慮が必要だと思いますが答弁を求めます。①

次に、本市の建設業退職金共済、いわゆる建退共について質問します。

建退共の制度は国が作った制度です。建設業で働く人たちの福祉の増進と雇用の安定を図り、ひいては、建設業の振興と発展に役立てることをねらいとしています。建設業の事業主が共済契約者となり、建設現場で働く労働者に、働いた日数に応じて共済証紙を支給し、その労働者が働くことをやめたときに、退職金が支払われるというものです。労働者が次々と現場を移動し、事業主を変わっても、その先々で共済証紙をもらい、建設業で働いた日数は全部通算できるようになっています。現場で働く職種のいかんを問わず、また、月給制とか日給制とか、あるいは、工長・班長・世話役などの役付であるかどうかにも関係なく、すべて被共済者となることができます。退職金は、20年で約220万円、40年では約560万円になります。

先月12日に、本市が発注した門司総合特別支援学校の新築現場を、前述の福建労の役員とともに調査しました。建退共について、証紙の受払簿を見ました。下請け業者からの請求に対して、日付け、支給した証紙の枚数、金額が記載されていました。しかし、下請け21業者のうち、8業者しか請求していませんでした。10業者は「建退共証紙の辞退届け」なる書類を提出していました。この「辞退届け」は、建退共証紙を請求しませんというもので、理由は、自社に退職金制度があるとか、対象労働者がいないなどでした。建退共に加入できないのは、事業主と会社役員、事務専用の社員、そして中小企業退職金共済、いわゆる中退共などの公的制度に加入している方です。それ以外は、いわゆる一人親方も含めて加入できます。一人親方とは、あるときは事業主の立場にたち、あるときは技能者として労働者の立場にたつ方です。「辞退届け」を提出しているので、証紙の支給は必要ないというのは、この制度を推進する立場からは看過できないことだと思います。「辞退届」を出している業者を含め、証紙を請求していない業者に対して、丁寧に制度の趣旨や内容を説明し、建退共手帳の発行を支援すべきではないでしょうか。建退共を一層普及する立場での取り組みの強化が必要だと思いますが、答弁を求めます。②

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(2) 次に、教育問題について質問します

教育委員会は今年4月から、中学3年生と小学4年生について、35人以下学級の編制を、校長の裁量により可能にしました。つまり、校長の裁量により少人数加配教員を学級担任に充てるか、少人数指導等にあてるかを選択することができるようになりました。

まず中学3年生ですが、対象となった中学校は21校でしたが、今年4月から35人以下学級を選択した中学校は、わずか3校で、全体の7分の1にとどまりました。なぜ多くの中学校が35人以下学級を選択しなかったのか。最大の理由は、教員がそれでなくとも忙しいのに、35人以下学級を実施すれば、もっと忙しくなるからです。中学校は1学級ふえれば、授業時間が1週間に29時間増えます。10教科ありますので、10人の教員がいれば、平均して1人3時間の受け持ち時間が増えます。時間数の多い科目の教員は週に4時間増えることになります。教員を増やさずに実施するのは、とりわけ中学校では困難であることを、前回の質問で指摘しました。35人以下学級を進めるという教育委員会の方針は評価できますが、教員を増やさないまま、35人以下学級を進めること自体に無理があります。

次に小学校です。わが党はかねてより、小学校については、少人数指導から専科指導に軸足を移すべきだと提案してきましたが、本年度は、校長の裁量により専科指導も選択しやすくなるように要項の見直しが行われました。その結果、専科指導に当たる教員は、平成26年度の27人から、今年度は63人に2倍以上に増えました。専科指導が実施された、とりわけ高学年では、教材研究や生徒指導の時間が増え歓迎されているという声を聞きました。しかし、進んだとはいえ、少人数指導の教員94人に対して、まだ専科指導の教員が少ないのが現状であり、他都市に比べても遅れているのが現状です。今後、専科指導をさらに進めてほしいと思います。

さて、小学4年生の35人以下学級についてです。対象校は28校でしたが、およそ3分の2に当たる19校で35人以下学級が選択されました。9校では実施しませんでした。小学校で1学級増えれば、担任の教員1人が、専任で必要になりますので、今回新たに19学級増えたため、担任が19人増えています。その分、専科指導は進まなかったことになります。教員が増えない中で、専科指導は進めたいが、35人以下学級も進めたいという板挟みになっているのが現状ではないでしょうか。

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以上述べたように、35人以下学級は、市独自の教員を増やしながら、進めるべきではないでしょうか。答弁を求めます。③

わが党は、教員の多忙な状態の改善のために、小中連携の市費講師の活用を提案しました。中学校で授業担当時間が増えて現場で歓迎されていると聞きました。教員の多忙な状態の解消のために、更なる改善を進めてほしいと思います。

今回は、児童生徒支援加配教員にしぼって質問します。児童生徒支援加配教員は、学習指導、生徒指導、進路指導などに当たるということで、平成27年度は小中学校に64人配置されています。児童生徒支援加配教員の平成26年度の授業実施時間数を見ると、最も少ない教員は年間21時間、最も多い教員は580時間で相当のばらつきがありました。580時間といえば、1週間に16.6時間で、中学校における教員の平均授業時間数である16.2時間より多い教員もいることになります。35人以下学級と専科指導を推進し、また、教員の多忙化を解消するために、児童生徒支援加配教員の授業時間数を増やすべきだと考えますが、答弁を求めます。④

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田中光明議員質問への答弁(6月12日)

 

■市長

(建設労働者の賃金問題ついて)

 今後老朽化する社会インフラの維持管理など、将来の公共事業を支える人材の確保は、大変重要な課題と認識している。国におきましても昨年6月「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が改正施行され、発注者の責務として担い手確保のための適正な利潤が確保できるよう、予定価格を適正に設定することが定められた。

公共工事の設計労務単価について、国は労働市場の実勢価格を適切迅速に反映することなど目的に、毎年改定している。本市でも国に合わせて、今年2月に1か月前倒しで前年度比プラス4.8%の改定を行った。現場の技能労働者の実態調査として、国土交通省及び中小企業庁が平成26年度に「下請け取引と実態調査」を実施している。

それによれば、「賃金水準を引き上げた、あるいは引き上げる予定がある」と回答した建設業者は61.2%であった。平成25年度の調査結果の50.2%と比べると、11%改善しており、その理由としては「賃金を引き上げなければ、必要な労働者が確保できないため」というのが最も多くなっている。

また、本市においても今年3月の業界団体との意見交換会において、元受業界側から「適正な下請け金額でなければ、下請け業者を確保できず、元受工事受注の障害になる」といった意見も聞いている。背景として人員確保の賃金引き上げが必要となっていることが伺える。

受注者への指導におきましては、500万円以上の本市工事発注の受注者に対して、工事外注会計画書の提出を求めている。下請け名、工事内容、金額などの把握に努めている。さらに契約時には、不当に低い請負代金で締結しないことを受注者への配布文書に明記し、くわえて議員指摘の国の通知文を契約室のホームページに掲載することで、関係業者に周知徹底を図っている。

また、契約金額5000万円以上の大型契約説明会においても、受注者の適正な下請け契約の締結を直接要請している。いずれにしても本市発注工事において、現場で働く技能労働者に適切な賃金水準が確保されるよう、一層の周知・要請につとめ、他の自治体や国の関係機関の取り組みにも留意してまいる。

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■技術管理室長

(建退共制度について)

建設業退職金共済制度(建退共)は、公共・民間企業を問わず建設業者に転々と雇用されることによる、雇用主の退職金制度が適用されない建設労働者の福祉の増進を図るために発足したもの。そのため本市では、工事の発注時に受注者に対して、下請け業者に対して「建退共の主旨を説明すること」「下請け業者の分も含めて証紙を購入して下請け業者へ交付すること」または「建退共の掛け金相当額を下請け代金中に参入すること」「下請け業者の建退共参加を促進すること」などを指導している。

工事の現場においては、建退共制度に対する事業主と労働者の意識の向上を図るため、受注者が建退共の共済契約者である旨の表示を掲示することになっている。工事監督員は、その標識が現場事務所の見やすい場所に掲示されているかを点検し、掲示されていない場合は是正指導などを行っている。

また、契約締結後1か月以内に建退共の対象となる労働者数の報告を求めるとともに、証紙購入の領収書も合わせて提出させている。さらに工事完了が受注者は証紙貼付状況報告書、受払簿を提出し、工事監督員がこれら交付が適切に行われてかを確認している。

このように工事の受注者に対して、建退共の制度について十分説明するとともに、適切な運営を指導・要請しているところであり、今後とも建設労働者の福祉の増進が図られるよう適切に対応してまいりたい。

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■教育長

(35人学級、専科指導について)

今年度はじめて実施した裁量制度の35人以下学級の実施状況であるが、小学校4年生では28校中約70%の19校、中学校3年生では21校中15%の3校、これは質問にあったとおりである。

そこで中学校3年生が対象となる学校の校長に、35人以下学級をしなかった理由を確認したところ、学級増により、授業実数が増えるために、教科により、教員が余裕を持った指導ができなくなるという人員配置上の理由も上げられましたが、その他には例えば児童生徒が落ち着いているため、35人以下学級を行うよりは、少人数指導などを行う方が学校運営がスムーズに行える。あるいは少人数指導によりここ数年確実に学力が向上しているために少人数指導を継続するのがのぞましい。生徒の状況から個別指導が行える少人数指導が効果的と判断。こういった理由があげられており、教育委員会としては人員配置の状況だけは、その判断理由だけではなかったと考えている。

たしかに35人以下学級の編制の実施が増える可能性があるわけであるが、現在も国の40人を基本とする学級編成基準のもとでは、これ以上学級担任を受け持つ教員を市独自で確保するのはなかなかむずかしい状況があることをご理解願いたい。

その一方で市独自の措置として、35人以下学級の推進だけでなく、学校現場の要望が強い特別支援教育の対応などに、市費講師を配置している。今年度は昨年度に比べ十分増員の予算をお願いしていまして、現在の市費講師制度を導入した平成18年度から比べると予算が約倍になっている。こうした努力をしてきたところである。

今度から実施している裁量性は、少しでも多くの学年で35人以下学級が実施できるよう、学校現場の意見を踏まえて導入したところである。学校現場からは一定の評価を得ている。今後どのようにして35人以下学級を推進していくのかは、引き続く現行現場と意見交換を行いながら検討してまいりたい。いずれにしても、本市としては35人以下学級の拡充では、国の制度の充実が不可欠と考えている。引き続き国に対しては、市だけでなく指定都市の教育長会議などを通じて、すべての学年での35人以下学級の実現に向けた学級編成基準の見直しや教職員の配置充実について要望してまいりたい。

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(児童・生徒支援加配教員の授業時間について)

 児童・生徒支援加配教員は、国が予算を定め県を通じて配当される教員である。今年度は小学校に40名、中学校に24名の計64名が配置されている。国の通知では学習進路が著しく遅い児童または生徒が在籍する学校、不登校、暴力行為、授業妨害など、また生徒の問題行動が顕著に見られる学校などを特にきめ細かな指導を必要とされる学校において、児童・生徒の状況に応じて特別な学習指導、生徒指導、進路指導を行なわれる場合に加配する。本市ではこの通知を踏まえて、児童・生徒支援加配にかかる教諭を活用した指導を行っている。

配置されている学校においては、学習指導、生徒指導、進路指導それぞれ取り組んでいる。学校の実状によりその優先度が異なることから、学校により授業に係る時間数が差が出るのは当然だと考えている。具体的には、帰国外国人児童・生徒の多い学校では、日本語指導や適応指導などを個別指導に、不登校傾向の児童・生徒がいる学校では、別室指導、家庭訪問、学級教育が困難な学級がある場合は学級支援に取り組んでおり、その他いじめなどの問題行動の解決、進学・就職活動等に必要な情報収集の提供、講師間の連携による児童・生徒の情報交換といったさまざまな取り組みを行っており、これらは授業時数にカウントされないものである。

少人数指導や専科指導方法を工夫するための加配教員、あるいは生徒指導を重点的に行うための加配教員、児童・生徒支援加配教員などを、それぞれの目的に応じて国が予算を定め県を通じて本市に配置にされている。今後とも教職員の配置の充実について要望していくとともに、加配教員についてはその目的に応じて適切に活用してまいりたい。

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≪第二質問への答弁≫

■技術管理室長

(建設労働者の賃金について本市調査を)

 現場における賃金水準の検証についてであるが、本市では先ほど市長が答弁した通り、これまでも重点的に外注計画書による下請け賃金の把握や文書や口頭による指導を行ってきており、これは近年の設計労務単価等の上昇により、効果を末端にまで行きわたりつつあると考えている。また、実態調査につては、先ほどの答弁で申し上げたように、国が下請け実態調査行っており、いま市が実施することは考えていない。

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≪第三質問への答弁≫

■技術管理室長

(門司特別支援学校建設現場では下請け会社の半分しか「建退共」証紙を請求していない)

公共工事を受注した時に、元請から下請け一次二次三次と建退共が必要かどうかと言うことに関して、必要ないところは議員指摘の通り辞退届がきちんと辞退届が会社印を押して出ているので、それは出された公式文書であるため、これは嘘ではないかと疑うことはできない。これを信じるしかないと思っている。また、会社に退職金制度があって、それと建退共とダブっていいじゃないかと言われましたが、建退共にしても、これは結果として会社から受注額の中から会社が支出するものであり…(時間がきました)

以上

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