2015年9月定例会 波田千賀子議員の一般質問(30分)
2015年9月定例会 本会議一般質問と当局答弁(9月15日 火曜日)
◎波田千賀子議員の一般質問(30分)
私は日本共産党市議団を代表して一般質問を行います。
さる8月25日、台風第15号の影響により、本市では12人の負傷者、315戸の住宅被害、5箇所で崖崩れが発生するなどの被害が生じました。
今回の台風接近では、接近前夜から公共交通機関が運休を決定するなど、事前の台風情報から各方面で一早い対策が進められていました。25日の7時頃、私は娘を車で小倉北区の職場まで送りましたが、風雨が激しく、大変危険な状況でした。そうした中、市は、8時30分に土砂災害に伴う避難準備情報を発令しましたが、門司区松ケ江南、西門司、藤松、大里柳、田野浦の5小学校区への発令を漏らし、1267世帯2511人に避難準備情報が伝わらないという重大なミスが発生しています。このことに関連して数点伺います。
1点目に、今回の台風の進路は事前に予測されていたにもかかわらず、避難準備情報の発令そのものが遅すぎたかのではないかということです。25日当日、既に風雨が激しくなっていた8時30分に避難準備情報を発令した基準と、発令のタイミングが適正だったと考えているのか、当局の見解を伺います。
2点目に、門司区における避難準備情報の発令漏れに関連してお尋ねします。
台風が去った後、避難準備情報の発令が漏れた上藤松校区の住民数人から私のもとに市に対する苦情を訴える電話がありました。その内容は、25日当日、藤松校区の住民が、台風の避難情報について、門司区役所と危機管理室に問い合わせたが、避難情報をどのように周知したのか、どの地域を巡回したか答えてもらえなかったというものです。住民の問合せに対して、門司区役所は、「公用車で風雨の中を巡回させたが、強い雨音に避難の呼びかけが消されたのではないか」と答えたようですが、私が後日上藤松2丁目の住民の方に25日当日の区役所のよびかけについて聞いてみたところ、避難のよびかけは聞こえなかったとのことです。そこで、門司区5校区への発令が漏れた原因と、全ての住民に避難情報が行き届くため、今後どのような対策を行っていく考えなのか、答弁を求めます。
3点目に、JCOM九州の災害時の連絡体制に関してお伺いします。今回避難準備情報の発令漏れがあった藤松地域において、25日当日、本市が出資しているJCOM九州のケーブル接続が切れ、加入している多くの世帯において、7時15分ごろからテレビが見られず、電話も通じない状態が発生しました。JCOM九州に問い合わせても営業は9時からですとのメッセージが流れるだけで、大里柳市民センターに避難されたJCOM九州加入世帯の住民からは、「台風情報がわからず、不安が募り避難した」との声をお聞きしました。災害時は、情報取得が何よりも重要です。住民の安全を守るため、JCOM九州に対し、災害時の利用者との連絡体制について改善を求めるとともに、市とJCOM九州の間で災害時における連絡体制を整備する必要があるのではないでしょうか・・答弁を求めます。
平成27年に公表された公立幼稚園の今後の方向性では、配置見直しの基本的な考えの中で、「特別な教育的配慮を要する幼児への対応に関する教育・研究実践に取り組むためには、特別支援学校等の関係機関との連携が図りやすい立地条件を検討の視点とする」「小学校への円滑な接続に関する教育・研究実践に取り組むためには、小学校との連携が図りやすい立地条件を検討の視点とする」「市内の全ての私立幼稚園で3年保育を導入していることを踏まえ、現在3年保育の公立幼稚園を存続の対象として検討する」等の視点をあげています。
閉園が予定されている松ケ江幼稚園は、門司区唯一の市立幼稚園で、これまで地域の幼児教育の中心的役割を担うとともに、本市の教育・研究実践の場としても大きな役割を果たしてきました。また、松ケ江幼稚園の周辺状況を見ると、平成28年度には大里東部に門司総合特別支援学校が開設され、特別な支援の必要なこどもの教育について連携が図れること、松ケ江南小学校に近接し、幼小連携も図りやすいなど、今後も教育・研究実践の場として、大きな役割を果たすことが期待されます。加えて、周辺では宅地造成が進んでおり、子どもの数の増加が見込まれる地域でもあります。保護者を中心に存続を望む多くの市民の声にも耳を傾け、今後も門司区の幼児教育の中心的役割を果たすことが期待される松ケ江幼稚園を存続させる必要があると考えますが、見解を伺います。
平成26年7月より、ごみステーションにごみを出すことが困難な一人暮らしの高齢者等を対象に、玄関先でごみを収集するふれあい収集が始まりました。事業開始当初の利用者見込みでは、札幌市や、神戸市の実施状況から、①要介護2以上の単身世帯と②障害福祉サービスの受給認定を受けている単身世帯の全世帯数の2.4%程度の約700世帯~800世帯を見込んでいるとの説明でしたが、平成27年7月末現在、サービスの利用者は129人です。今後、さらなるサービスの周知が求められます。
要介護度別の利用者数をみると、要介護度4・5の方の利用は、129人中10人ですが、要介護2・3の利用者は93人となっており、要介護度の低い方ほどサービスを利用している状況です。
政令市で類似の事業をおこなっている10市中、本市よりサービス利用の対象要件となる要介護度の基準が緩やかな自治体は8市にのぼります 私の近所にお住まいのある高齢者の方は、要介護1の判定を受けていらっしゃいます。急な坂道を杖をついてゴミ出しを行っておられますが、「雨の日は特に滑りそうで恐ろしい」といわれます。坂道や階段のある高台地区に住む高齢者の方には特にごみ出しの援助が必要であると考えます。ふれあい収集の対象者を現行の要介護2以上から要支援以上の方に拡大すべきと考えます。・・答弁を求めます。
最後に、介護保険料の滞納問題について伺います。
介護保険料を滞納し、保険料が時効となった場合、その期間に応じて、利用料自己負担が1割から3割に引き上げられます。
平成27年3月末時点における本市の要介護・要支援認定者のうち介護サービスを受けている方の割合は約73%です。一方で、平成27年5月の本市における平成26年度分介護保険料の滞納者数9240人のうち、給付額減額の対象とされている方は142人で、そのうち、サービスを利用されている方は48人の約34%です。この数字から見て取れるように、給付制限にはサービスの利用を抑制させる機能が働いています。
保険料の滞納は、経済的理由など様々ですが、ある1例を紹介します。市内に住む75歳女性は高齢夫婦世帯で、夫の長期入院に加えて自らも癌の末期で闘病中です。入退院を繰り返す中、介護保険料を払ったり払えなかったりしていたようです。
8月のある日、「尿の出が少ない。病院につれて行って欲しい」と言われ、私があわてて病院につれていくと、脱水と栄養不足でした。1週間、近所の医療機関で点滴をうけ少し元気になりましたが、介護なしでの生活は困難な状況です。この方は、最近、要介護・要支援認定を受け、介護サービスの利用を希望していますが、滞納期間が長期にわたるため、サービスの利用にあたっては、給付制限を受けることになります。必要なサービスが利用できるか大変心配です。命にもかかわるこうした事態を避けるためにも、滞納が長期にわたる場合は、単に督促状などを送付するだけでなく、行政が積極的に出向いて、介護保険料の減免制度や、その世帯の状況に応じた福祉施策を案内するなど、きめ細やかな対応が必要と考えますが、見解を伺います。
波田千賀子議員への答弁(2015年9月15日)
(台風15号関連について)
今回の台風15号では、大雨による土砂災害、河川浸水等のおそれがあったため、門司区をはじめ5つの区において、延べ14000世帯。約28000人の方々を避難勧告などを発令した。この中で門司区の18の校区の内5つの小学校区で、避難準備情報の発令漏れが発生した。市民のみなさまにご心配・ご迷惑をかけたことを改めて深くお詫び申し上げます。
発令漏れの主な原因は、発令にかかる情報整備の段階で、充分なチェックが行われなかったこと、及び情報の配信の段階で、追加の発令と言う重要情報が適切に管理されなかったことである。今回の事態は直接人命にかかわる事案であるから、直ちに原因究明と事務の改善に着手し、すべての区を対象に訓練をすすめるなど、再発防止の徹底に努めている。
なお市民の方々にお伝えする避難情報であるが、テレビ・ラジオなどの放送要請や携帯電話の緊急速報メール、登録制防災メールなどの配信、市ホームページへの掲載、広報車などの広報や自治会長・市民防災会への電話連絡など、さまざまな手段を用いて広く周知を図るようにしている。広報車による広報も暴風雨の中では伝達範囲や巡回区域に限界が生じる。
停電が発生した場合には、テレビも見られなくなる恐れもあります。今後市民の方々に対して、避難情報の入手については必ず複数の手段を用意して災害に備えていただきたいと思います。また、出水期や台風シーズンにおいては気象情報の入手を心がけていただくことなどについて啓発を強化し、人的被害の防止に努めてまいりたい。
ふれあい収集は敬老祝い金の見直し伴う高齢者支援の強化策の一環として、昨年の7月から開始し現在129人の方が利用している。対象者は、ひとり暮らしの世帯で、高齢者については歩行困難な要介護度2以上の方、障害者は、障害福祉サービスの受給認定を受けておられる方とている。
ご指摘の要介護度の要件については、歩行はゴミ出しに必要な動作であること、歩行が困難となる目安は要介護2と整理されていることふまえて決定したものである。
この制度の利用者からは、将来のごみ出すに不安があったが、安心できる制度ができたと好評である。また、ケアマネなどの福祉関係者からは、担当している方の中にゴミ出しがむずかしくなってきた人がいるので、制度を紹介したい。という声も伺っている。
一方、市内には、高齢者などのごみ出し支援として、介護保険のホームヘルプサービスとして実施されているもののほか、社会福祉協議会のふれあいネットワーク(これは無料)、またシルバー人材センターのワンコインサービス(10分100円)があります。特にふれあいネットワークの利用者は、平成26年度で2,413世帯となっている。この利用者からは、近所づきあいのなかで支援をしてもらい話し相手となってもらうのでありがたい、という声があった。また、関係者からは、自治会未加入者にも自治会加入につなげているという声もあった。こうした地域による支えあいは、本市の地域の力の強さを表すもので財産であると考えている。ふれあい収集の要件を緩和すべきとの提案であるが、ゴミ出し支援は地域や民間事業者の活動もあり、利用者が自分の状況に合わせて選択していだくことが、適切ではないかと考える。このため、ふれあい収集の要件については現行のままと考えている。
今後ともこの制度が市民のみなさんに、広く浸透するようさまざまな機会を捕えてPRに努める。ステーションが自宅から遠いといったケースに対して、地域の同意があれば新設や移動など柔軟に対応している。
(台風15号関連について)
残りの2点について答弁する。避難準備情報の発令基準、あるいは発令のタイミングについての質問についてであるが、8月25日の朝から昼にかけて通過した台風15号は、市内に土砂災害警戒情報や記録的短時間大雨情報が発表されるなど、近年まれに見る強い台風であった。この台風に対する福岡管区気象台の予測は、暴風域にはいるのは朝6時から9時ごろ、最接近の見込みは昼前9時から12時ごろとなっていたことから、本市においては、前日24日の午後10時に災害警戒本部をたちあげ、翌25日の午後9時まで、全市的な対応を行った。
今回の門司区における避難準備情報は、発令基準の一つである土砂警報・土砂災害に関するもので、これが発表され、且つ土砂災害警戒判定メッシュ情報で、大雨警報の土壌雨量指数基準を超過した場合、これに該当した時点で発令したものである。議員指摘のとおり台風が接近している際、暴風雨の中で家を出ての行動は2次災害の恐れがあり危険な場合もある。今後市民の方々が早い段階で安全適切に避難行動が起こせるように、避難の呼びかけのタイミングや避難準備情報について、関係部局と連携して検討する。また、土砂災害の危険性のある地域で、家の中にとどまる場合はできるだけ上の階の崖から離れた場所に退避することについても、啓発を強化していくこととしている。今後とも台風災害については急激な天候の変化も十分加味しつつ早め早めの対応を行い人的被害の軽微に努めてまいりたい。
現在本市では、避難勧告等の情報が広く速やかに、市民へ周知できるようテレビ・ラジの報道機関12社と災害時の放送要請のための協定を締結している。その中にはケーブルテレビJCOM九州も含まれている。テレビは家庭における普及率も高いことから災害時における重要な防災情報の入手手段の一つとなっている。8月25日の大風15号では、市内において延べ約1100世帯が停電しており、JCOM九州のケーブルテレビを含め相当数のテレビが一時的に見られない状態になったものと考えている。
JCOM九州に対しては9月8日に本市への状況報告を求め、その際、当日の窓口対応の状況や今回の教訓を踏まえて今後の対応・方針等について、会社のホームページなどを活用し、利用者や市民の方々に説明するよう申し入れを行った。今後ともJCOM九州をはじめ協定を締結している報道機関各社との連携を密にし、災害における被害の軽減に努めてまいりたい。
(松ケ江幼稚園の閉園について)
改めまして今回の公立幼稚園の見直しの背景と方針であるが、まず第1に少子化の進行に伴い幼児の数が減少していること。また公立幼稚園の園児数も大幅に減少しており、市内幼稚園児の約98%を私立幼稚園が担っていること。そして園児一人当たりの本市の負担額が公立と私立との間で大きな格差を生じていること。こうした現状がある。
一方、行財政改革のおいては、民間にできることは民間にゆだねるとの視点から、研究実践機能を担うために必要な園数で運営する方法としており、検討の結果、研究実践機能を担うためには、半数の4園が必要であるとの結論に達したところである。今後は存続する4園で幼児教育の課題解決に必要の教育研究に取り組み発進普及に努めることとしている。
廃止・見直しの考え方であるが、まず教育研究実践に取り組み環境として一定数の園児数が見込まれること。また、特別支援学校など関係機関と連携が図りやすいこと。小学校との連携が図りやすいこと。そして3年保育の実施園であること。また、地域的なバランスに配慮し、市域の東西に各2園とすること。閉園による園児の影響。施設の状況。こうした視点から総合的に検討したものである。
これらの検討視点を個別に見れば、様々な意見があろうかと思うが、松ケ江幼稚園は東部地区で、最も園児数が少なく園児数の減少傾向がつづいていること。そして小学校や特別支援学校との近接性においてあくまで8園の相対的比較でありますが、比較して特に良いということではない。こうした理由から閉園対象としたものである。
(介護保険料の滞納問題について)
介護保険制度では被保険者間の公平を図るために、保険料を滞納した場合にはその期間に応じて保険給付の一部を制限することとされている。
具体的には1年以上の滞納がある場合は、いったんサービスの利用料を全額支払い後日保険給付額の払い戻しを受ける保険給付の償還払い、2年以上滞納すると保険料徴収権が時効により消滅するため、その消滅期間に応じて通常は1割の自己負担割合が3割となり、さらに高額介護サービス等の給付は制限される。
本市では平成27年3月時点で、保険料の滞納による給付額減額の対象者142人の内、サービス利用実績がない方が95人いる。その内4割以上は医療機関に入院しており、必ずしも給付制限によりサービスの利用が抑制されているとは言えない。区役所の窓口では給付制限とならないように、丁寧な対応を行っており、保険料の軽減は分割納付等の相談に丁寧に応じている。なお督促状や催告状を送付する際にも、保険料の軽減制度や給付制限の内容、相談窓口を周知するリーフレット等を同封している。
また、議員指摘の事情のように給付制限の適用を受け利用料を支払うと生活費が必要になるほど困窮する場合には、給付制限の解除等により負担を軽くする制度が設けられている。それでも生活が困難であれば生活保護の案内を行っている。さらに認知症等により特別な支援が必要な場合は、地域包括支援センターが出張訪問を行い適切なサービス担当窓口につないでいる。今後とも必要な時に安心してサービスが受けられるように、保険料納付の適切な指導と制度の案内を行ってまいりたい。
■教育長
(松ケ江幼稚園の閉園について)
松ケ江幼稚園は確かにこれまで、自然に恵まれた地域でもあり、地域の高齢者等、非常にいい教育をやってきていると思う。我々も自負している。しかしながら、先ほど申し上げたいくつかの理由により今回閉園ということでさせていただきたいと思っております。延長保育については、私立はそれをやっていますが、その状況の中で、私立の充足率は門司区でいえば60%ということである。その中で公立がやることは考えていない。また子どもの数であるが、確かに門司区から小倉南区の境にかけて団地開発を進んでいるが、その中で子どもの数は減ってきている。園児数は減ってきているのが現実である。経済的な問題については公立も含めて応能負担であり、一定の配慮がある制度となっていると考えている。
■危機管理官
(避難勧告・指示などの情報周知について)
避難の準備情報、勧告、指示の問題であるが、耳が不自由な方などハンディーをもたれた方への情報の伝達は重要な問題であり、これからもいろいろと研究してまいりたい。あわせて早めの避難をしていただく、役所の呼びかけ以外にも自主避難という形もございます、そういうのもふくめて市民の方は命を守るために早め早めに避難していくのはどうすればいいか、これについても今後研究していきたい。
■保健福祉局長の答弁
(福祉避難場所の確保について)
福祉避難所については、保健福祉局から障害者福祉施設、高齢者福祉施設等にお願いしている。60か所
(時間がまいりました)