更新日:15年10月29日

2015年9月定例会 荒川徹議員の議案質疑(60分)



2015年9月定例会 本会議 議案質疑と当局答弁(9月10日 木曜日)

荒川徹議員の議案質疑(60分)

日本共産党の荒川徹です。私は、会派を代表して質疑を行います。

 

  • はじめに、本市の平和に関する取り組みについて質問します。

日本国民310万人、アジア諸国の2千万人とも言われる大変な犠牲をもたらした太平洋戦争終結から、今年は70年の節目を迎えました。

昭和45年の福岡県調査によると、北九州における軍人・軍属等の戦死者は13,087人とされ、北九州市史などで、空襲など戦災で亡くなられた住民は2,000人以上とされています。さきの戦争で犠牲となられた多くの方々に、改めて心より哀悼の意を表すとともに、二度とあのような戦争の惨禍を繰り返させないため、全力をあげることを表明するものであります。

戦後70年を前にした平成26年度、本市は平和に対する基本的姿勢を示す「北九州市非核平和都市宣言」を踏まえた事業として、市内の公園への「嘉代子桜・親子桜」の植樹、原爆被災資料の「戦時資料展示コーナー」での常設展示、長崎市が開催する「青少年ピースフォーラム」への小中学生の派遣などを実施しました。

一方政府は、平成26年7月1日、「集団的自衛権の行使を容認する」という従来の憲法解釈を大きく変える閣議決定を行いました。それ以来わが党は、この問題について繰り返し取り上げ、市長の見解を質してきました。

昨年9月定例会で市長は、「国民の理解を得ることが何よりも重要であり、国会での議論に合わせ、国民に対する説明をしっかりと行い、国民的議論が深まるよう努めていただきたいと考えている」「私としては引き続き国の動向、国会の論議をしっかりと注視をしてまいりたい」と述べました。

本市は、自衛隊法施行令第119条にもとづき、年に数回「市政だより」に募集広告を掲載するとともに、区役所、出張所をはじめ、自衛隊の要請により市民センターにおいても自衛官募集ポスターの掲示、自衛官募集パンフレット等資料の配布をおこい、区役所ホームページでの「自衛官募集説明会」の開催告知、及び相談者の北九州地区隊への紹介など、「自衛官の募集に関する広報宣伝」を行っています。

市のホームページでは、「国防・災害救助といった国民の生命と財産を守る非常に重要な任務を担う人材を確保するためには、地域の情報を的確に把握でき、かつ多くの窓口を持つ都道府県や市町村がその事務を担う必要」があるとしており、自衛隊への入隊を呼び掛けてきた本市の広報活動によって、少なからぬ若者が自衛隊に入隊していると思われます。

現在、国会ではその自衛隊員の生命と安全に関わる重大な法案の審議が行われており、国会審議を通じて、仮に法案が通れば自衛隊員が「殺し、殺される」という危険性が格段に高まることが強く懸念されています。

法案成立となれば、本市を通じて自衛隊に入隊した若者が、命の危険にさらされるような事態に追い込まれることになります。

8月30日には、国会周辺12万人、全国すべての都道府県で1千カ所以上、数十万人が参加して、大規模な集会やデモで「安保法案反対」の声をあげました。

そこでまず、本市出身者はもとより、日本の将来を担う若者のいのちを守るとともに、「戦争をしない」と決めた憲法9条を守り、生かした平和の取り組みを進めていくために、市長として政府に対し、憲法違反の安保法案の撤回を求めるべきではありませんか。答弁を求めます。①

 

本市のホームページは、平成22年の非核平和都市宣言を契機に、平和に向けた様々な取り組みを進めてきたことを発信するとともに、戦後70年を迎える中で、戦時下の暮らしや市民の苦労など、当時の様子を知っている方々が少なくなり、悲惨な戦争の記憶が風化していくことへの懸念を示しています。今年度は、戦争の記憶を次世代に伝えるとともに、改めて、市民の皆さんと命と平和の大切さを考えるきっかけに繋がる取り組みとして、「戦争体験の記録・保存」の取り組みを伝え、市に寄せられた体験談を原則、冊子にまとめて公共施設等で配布するとともに、応募者の中から、承諾を得た方のインタビューの様子を映像化するとしています。いかにして戦争の悲惨さ、平和の尊さを次世代につないでいくかは、極めて重要な課題であります。

そこで1点目に、これまで議会で何度も議論されてきた(仮称)「平和資料館」の設置について、戦後70年を機に検討を始めることを強く求め、当局の見解を尋ねます。②

2点目に、現在募集している「戦争体験談」については、市民から寄せられた貴重な体験談を、しっかり後世に引き継いでいくために、その内容を広く知らせる“語り部”の養成など、積極的な取り組みが必要であります。見解を尋ねます。③

 

  • 次に、本市の「新成長戦略」における、「北九州市中小企業振興条例」にもとづく中小・零細業者支援の取り組みについて尋ねます。

本市は、平成25年度からの3か年の計画で「新成長戦略」にもとづく取り組みを行っています。市長は昨年2月議会で北九州市新成長戦略について、「昨今の我が国の景気回復傾向を踏まえ、明るい兆しが見えてきた地域経済を活性化し、本市の成長を確実なものとするため、戦略に掲げる地元企業対策の充実、モノづくり、サービス産業の振興、海外ビジネス展開の推進、地域エネルギー拠点の形成に積極的に取り組」むとしました。

しかしながら、経済産業省の統計では、「新成長戦略」初年度の平成25年は、全国の傾向と同様、本市においても工業は、事業所数、従業者数、製造品出荷額の指標は、たいへん厳しい状況となっています。また、平成26年度の市民意識調査では、企業の誘致・成長支援、雇用の促進など産業の振興について、「以前に比べてかなりよくなっている」と評価する意見は全体の21位、「今後、もっと力を入れてほしい」との声は4位となっています。

そこで、以上の点も踏まえて、本市「新成長戦略」における、「北九州市中小企業振興条例」にもとづく地元中小、零細業者の振興に向けた今後の取り組みについて、当局の見解を尋ねます。④

 

  • 次に、本市の高齢社会対策について尋ねます。

まず、介護保険制度についてです。私は昨年6月定例会において、「4つの切り捨て」と言われる介護保険制度の改定について、当局の見解を質しました。

介護保険の予防給付のうち、要支援認定者の訪問介護及び通所介護を、市町村が行う地域支援事業に移行させることについて、本市は平成28年度中に実施するとの方向性を示しています。

昨年度末、本市では要支援1及び2の認定を受けた人は、合計17,385人で、要支援・要介護認定者全体の28.0%と、3割近くにのぼっています。

そこで、地域支援事業の移行に向けた検討にあたっては、サービスを提供する事業者の運営に支障を来すことや、従事者の処遇を後退させることがないよう、配慮が必要と考えます。どのような対策を考えているのか、答弁を求めます。⑤

 

次に、地域における高齢者支援について尋ねます。

本市では、平成20年度から、「いのちをつなぐネットワーク」事業に取り組んでいます。この事業について市は、住民と行政の力を結集し、地域における既存のネットワークや見守りの仕組みを結びつけ、セーフティネットの網の目を細かくしていくことによって、高齢者のみならず、支援を必要としている人が社会的に孤立することがないよう地域全体で見守り、必要なサービスなどにつなげていく。そのために「支援を必要とする人に対して適切なサービスを提供する」個別支援と、「必要なサービスにつなげるまでの気づきや見守りなどの仕組みを確立する」地域福祉ネットワークの充実・強化の2つの取り組みを進めているとしており、わが党もそうした取り組みを評価しています。

その一方、平成26年度に北九州管内において65歳以上の単身者が誰にも看取られることなく亡くなっていた独居死の事案が378件にものぼっているとのことで、ますます深刻な状況となっています。

そこで、いっそうの対策が求められている孤独死防止を含めた、地域における高齢者支援対策の充実について、当局の見解を求めます。⑥

 

  • 次に、公共施設マネジメントに関連して、建設工事がすすんでいる「戸畑D街区」スポ

ーツ施設整備に伴う既存施設の取り扱いについて尋ねます。

建設工事の進捗に伴って、施設の内容、開設時期や利用する際の手続きなどについて、市民の関心が高まってきています。

一方、スポーツ施設の集約化ということで、市当局は新施設の供用開始とともに戸畑区内の九つの既存施設を廃止しようとしています。

これらの施設は指定管理者が施設の管理をそれぞれ別々の団体に再委託し、その指導、監査のもとで、管理運営を行なっています。建設工事の進捗により、新施設の姿がいよいよ見えてきました。

そこで、既存施設の取り扱いに関して2点質問します。

 

まず第1に、長年市民に親しまれ、利用されてきた既存施設を新施設と引き換えに廃止することについて、利用者をはじめ市民に十分説明し、納得を得ることついて。また、管理運営を委託されている団体との協議、調整の状況について、答弁を求めます。⑦

2点目に、新施設の整備に伴い、既存施設を利用していた団体、個人に加えて、これまでは既存の施設を利用していなかった団体や個人による新たな利用希望の調整について、当局の見解を尋ねます。⑧

 

  • 次に、「おでかけ交通事業」について尋ねます。

この事業よって、現在市内の高台地区や交通困難地域7地区で運行が行われています。年々、市民の高齢化が進行し、買い物や医療機関への通院のための交通手段の確保はますます切実な課題になっています。

平成24年の夏、戸畑区の高台地区、交通困難地域の住民の切実な要望が1,200筆を超える署名を添えて市長に提出され、同年9月定例会本会議において、「きめ細かに支援を行ってまいりたい」との市長の見解が示されました。あれからすでに3年以上が経過しています。

早期の実現を願う市民の声を受けて、この間戸畑区選出の全議員が協力し合って取り組みをすすめることを確認しました。

そこで、試験運行に向けて、いよいよ最終段階に到達しているとのことですが、現在の進捗状況と、試験運行が始まる具体的時期について、答弁を求めます。⑨

 

  • 次に、原発の再稼働について尋ねます。

本市の地域防災計画では、市民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、災害の予防、災害応急対策及び災害復旧・復興の事項を定めており、原子力災害対策についても発生時の対応が示されています。

平成26年度予算の審議において市長は、原発を含むエネルギー政策について、「国の責任において具体的な議論が進められているところであり、その動向を注視してまいりたい」との見解を示す一方、「国民の原発に対する不安が今なお大きいという現実を踏まえて、政府においては原発の安全性の確保はもとより、国民に対する説明を十分に行い、理解を得た上で成案をまとめていただきたい」としました。

九州電力は8月11日、川内原発の再稼働を強行しました。事故が起きれば深刻な被害が及ぶことが予想される九州3県の5市5町の議会による住民説明会の開催要求をまったく無視して、再稼働を強行したことに、強い批判が広がっています。朝日新聞社の8月22日、23日の電話全国世論調査で、九州電力川内原発の運転再開について、「よくなかった」が49%で、「よかった」という30%を大きく上回ったとのことです。同時に、川内原発以外の原発の運転再開についても、「反対」が55%で、「賛成」は28%にとどまったとされています。また原子力発電の今後については、「ただちにゼロにする」が16%、「近い将来ゼロにする」が58%で、22%の「ゼロにはしない」を大きく上回ったと伝えています。

そこで、市長として、国民の多くが反対している現状を踏まえ、原発を再稼働しないことを政府や関係機関に求めるべきであります。市長の見解を尋ねます。⑩

 

  • 最後に、文化財保存・継承の取り組みについて尋ねます。

市長を先頭に、他都市と連携した活発な取り組みを行なった結果、本市の市内に存在する施設を含む産業遺産群が、幕末から明治時代にかけて日本の近代化に貢献したということで、本年7月5日の第39回ユネスコ世界遺産委員会において「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として、世界文化遺産に登録決定されました。

一方、本市の国指定重要無形民俗文化財である戸畑祇園大山笠行事を含む全国の「山・鉾・屋台行事」が、ユネスコ無形文化遺産登録に向けて昨年文化庁からユネスコに提案されましたが、提案件数が多数にのぼったため、1年先送りとなりました。

その後、国の文化審議会において、ユネスコに再提案することが決定され、現在必要な準備が取り組まれています。

そこで、本市の国指定重要無形民俗文化財、戸畑祇園大山笠行事の登録に向けたこれまでの本市の取り組み、及び今後の見通しについて、市長の見解を尋ねます。⑪

 

以上で、私の第一質疑を終わります。

 

 

荒川徹議員への答弁(2015年9月10日、本会議質疑)

 

■市長

 (平和施策について)

国においては、近年の我が国を取り巻く状況として国際テロの脅威、弾道ミサイルの開発などにより、アジア・太平洋地域において緊張が生み出されるなど複雑かつ重大な安全保障上の課題に直面しているとしている。

そのため国は、わが国及び国際社会の平和および安全のための切れ目のない体制の整備を目的に、集団的自衛権の行使などが盛り込まれた平和安全法案を国会に提出し、ことしの7月16日に衆議院を通過した。現在、参議院で審議を行っている途中だが、法案に関しては各地で、でも、集会が開催されている。少なからず国民の中に不安があることは承知している。

そうした中、国会の会期末が近づいてきたことから、間もなく参議院での採決を目指すなど新聞の報道も出されている。これまでも申し上げてきたが安全保障の枠組みに関わる重要なものだ。国民にとって極めて重要な案件だ。このため政府においては、最後まで国会で慎重かつ十分な議論をしていただきたいと考えており、わたしも国会での議論を注視していきたいと考えている。

平和への取り組みについては、これまで原爆犠牲者慰霊平和祈念式典の開催、戦時資料展示コーナーの運営など、市民に身近でわかりやすい取り組みを行ってきた。このような中、平成22年2月10日、平和に対する本市の基本的な姿勢を示す、北九州市閉鎖都市宣言をおこない、平和市長会議に加盟した。そして、この宣言を契機にかよこ桜、親子桜の市立長学校などへの植樹や長崎市が主催する青少年ピースフォーラムへの本市小中学生の派遣など、様々な取り組みを行っている。

今年は戦後70年という節目の年を迎え、年々政争の記憶が風化していくことが懸念されており、本市では前年度より予算を増額し平和の取り組みを進めている。新たな取り組みとして、親子で平和の大切さを考えるきっかけづくりとするため、8月9日の長崎平和記念式典への参列や現地の語り部の講話、原爆資料館の見学などを行う親子約150組の派遣を実施した。参加者からは、改めて原爆の恐ろしさを実感できた、家族にこの体験を伝えたいと思った、あるいは原爆資料館の他にも城山小学校の被爆校舎など貴重な被爆建造物を見ることができ、親子で平和を考える良いきっかけになったなど、平和に対する理解が深まったという声が多く寄せられた。

また長崎市の田上市長は、原爆の第一投下目標だった小倉の市民が長崎市民と平和への思いを共有し悲惨な戦争の記憶を語り継ぐことは、大変意義のある事業だと高く評価されていた。現在設置している戦時資料展示コーナーについても、今後、館内で放映している市民の戦争体験の証言を編集したDVDや資料などを説明するパネルの更新をおこない、展示内容の充実を図る予定だ。

平和資料館の設置を検討してはどうかというご指摘だったが、平和の大切さを次世代に伝えていくためには、子どもたちや若い世代に戦争の悲惨さや平和の尊さを深く心に刻んでもらうことが重要だ。そのためには、原爆が投下された長崎市などの都市を訪問し、平和関連施設などの見学や体験者などの声を聴くことが平和の取り組みを進める上で効果的と考えている。

今ある戦時資料展示コーナーの充実をはかり、今後もこのような事業に力を注いでいきたいと考えている。

次に、戦争体験談の募集については、ことしは市民の貴重な体験を募集するラストチャンスととらえ、体験談の募集を行っている。応募いただいた体験談については今後冊子に求め、市民センターなど公共施設での配布や、応募者のなかから10名程度のインタビューをDVD化し、戦時資料展示コーナーでの放映や市政テレビでの放送、市ホームページでの映像の公開、また冊子やDVDの小中学校などにおける平和学習での活用などに取り組んでいきたいと考えている。

戦争体験の記憶については、八幡東区のボランティアグループが八幡大空襲の体験談をまとめた冊子を平和学習に活用するため、教育委員会に贈呈した。また本市が開催した八幡大空襲による講演会で、この冊子に掲載された体験者による語り部の座談会を行うなど、民間とも共同で行っている。

本市としては、引き続き市を挙げて戦争の悲惨さ、命と平和の大切さに触れるチャンスの充実を図り、市民のみなさんとともにかけがえのない平和を求め続けていく。

 

 (文化財保存について)

戸畑祇園大山笠行事は1803年、地域で流行した疫病の終息を祝って始められたと伝えられたといわれている。200年を超える歴史をもつ郷土を代表する伝統文化だ。国の重要無形民俗文化財に指定されており、提灯山の愛称で広く親しまれている。この戸畑祇園が候補となったユネスコ無形文化遺産は、無形文化遺産の保護に関する条約に基づき、芸能、社会的慣習、儀式および祭礼行事など無形文化遺産を、その保護を目的にユネスコが登録するものだ。現在、全世界で、314件、うち日本の遺産としては平成20年に能楽、人形浄瑠璃、歌舞伎が初めて登録され、その後、雅楽、日立風流もの、アイヌ古式舞踊、和食、和紙など22件が登録されている。

今回登録を目指している山鉾・屋台行事は、国が平成21年に秩父祭りの屋台行事と神楽などの申請を行った際、既に登録されている行事との類似性を指摘されたことから、山鉾・屋台行事をグループ化してユネスコに再提案することになったものだ。その際、本市としては戸畑祇園大山笠振興会と協力をしてユネスコへの提案に対する同意書の提出やユネスコの審査に使用される映像資料の提供、また登録に向けた意見交換会への出席、情報収集などを行ってきた。

その結果、本年3月、ユネスコに対し京都祇園祭の山鉾行事をはじめ、戸畑祇園大山笠行事などを含む33件の国指定重要無形民俗文化財が一つのグループとして申請された。今後の登録に向けたスケジュールは、来年10月頃にユネスコ評価機関による事前審査の勧告があり、11月頃にユネスコ政府間委員会において審議される見通しと聞いている。

登録が決定すれば、八幡製鐵所旧本事務所などの世界遺産と同様に本市の歴史文化が世界に認められたことになる。これにより本市の貴重な伝統文化の情報発信力が高まり、郷土の文化を誇りに思う意識の醸成などにも寄与すると期待される。このため本市としては、戸畑祇園大山笠振興会などの地元の要望を踏まえ、どのような協力ができるのか考えていきたいわけだが、まずは無形文化財への登録を目指し文化庁や他の都市などとも連携して取り組んでいく。

 

■産業経済局長

 (中小零細企業支援の取り組みについて)

本年4月、中小企業振興条例が施行されたことから、条例の趣旨を実現するために中小、小規模企業振興に全力で取り組んでいるところだ。条例施行後の取り組みとしては、条例の周知、PRに加え、中小企業者、中小企業団体等に対するヒアリング調査、中小企業振興協議会、これは8月26日に開催しているが、それ等に努めてきている。

また中小、小規模企業振興のための新たな事業として、小規模企業者支援資金、小口事業資金の融資利率引き下げ、及び小規模企業相談窓口の開設、貸与支援資金融資に女性、若者、シニア特別枠を創設し、融資利率の引き下げなどを実施。地域経済の活性化を図るため、市や商店街等が実施するプレミアム付き商品券の発行、高校生や大学生等を対象に中小企業を含む地元企業への就職を促進するキャリアイベント、北九州ゆめ未来ワークの開催などに取り組んできた。

このように、新規事業の実施に合わせて中小、小規模企業の声を吸い上げているところだが、企業や団体からは人材育成や人材確保、販売ルートの開拓や海外展開などの課題が指摘されている。本市としては、例えば要望の強い人材確保については、地元の企業でのインターンシップやU,Iターンの強化など、課題に対して機動的な対応を心がけていきたいと思っている。

また中小企業団体等との意見交換会、個別企業へのアンケート調査、5000件を考えている、やヒアリング調査300件などを実施し、中小、小規模企業が課題の把握に努め、関係機関とも連携を強めながら新成長戦略による中小企業振興策を積極的に実施していきたいと考えている。

 

■保健福祉局長

 (高齢社会対策について)

まず介護保険制度における地域支援事業の検討にあたり、事業者の運営への支障、従事者の処遇への後退がないような配慮が必要という質問だ。

平成27年度の介護保険制度改正では、要支援者やそれに準じる状態の高齢者の多様な生活支援ニーズに対応するため、訪問介護および通所介護は保険給付から市町村の地域支援事業に移行することになっている。地域支援事業のサービスを提供する介護保険事業者には、移行後も依然と同じように介護保険で財源が確保され、市町村が単価や委託料を定め支払うこととなる。

サービス単価や委託料については、国がガイドラインを示しており、従来の給付相談のサービスについては、従来の給付相当の単価を維持する、そして緩和した基準のサービスについては、従来の給付相当を下回る単価とする、そして保健医療等の専門職による短期集中型のサービスについては、必要な経費とされている。

今回の移行については、介護保険事業者等による継続的で円滑なサービス提供が必要と考えており、アンケート調査や説明会を行い、市内すべての事業者に対して意向の確認を行ってきた。具体的には、平成26年度介護保険サービス意向調査の実施、これは26年の7月に行っている。それから平成27年度介護保険制度改正説明会の開催、これは26年12月に行っている。そして今年に入って7月には、介護予防日常生活支援総合事業に関する事業者説明会の開催、こういったことを通じて従来の給付相当などのサービスの制度改正の内容については、概ね理解を得ていると考えている。

また緩和した基準によるサービスの報酬単価については、これは従来の給付相当を下回る単価というガイドラインが示されているので、事業者の皆さんの関心が特に高いと認識している。現在、平成28年度中の円滑な事業開始に向けて準備を進めているが、単価及び委託料の額については、引き続き事業者の声をよく聞くとともに生活支援サービスの提供実態や他都市の実施状況も踏まえて検討を更に進めたいと考えている。

 

(孤独死等地域高齢者対策について)

福岡県警によると、自殺や事故を含めた北九州管内、これは遠賀4町、中間市を含む、これの65歳以上の独居の死亡者は平成26年度の1年間で387人と報告されており、ここ数年増加傾向にある。また本市の高齢者世帯の状況は、平成22年の国勢調査では高齢者のみの世帯が9万5000世帯、その内一人暮らしの世帯が5万2000世帯となっている。その数は今後ますます増加すると予想されることから、高齢者の見回りや支援の充実強化は非常に重要な課題であると考えている。

これまで、命をつなぐネットワーク事業では、民生委員や福祉協力員などの地域活動を中心に、地域包括支援センターなどと連携して地域で気になる高齢者などには迅速な対応を実施し、福祉サービスやその他さまざまな生活支援サービスへとつないできた。また市民と接する機会の多いライフライン事業者や宅配事業者、コンビニエンスストアなどの、命をつなぐネットワーク事業の協力者は、当初の21会員から現在75会員へと大幅に増加しており、高齢者の異変に気が付いた場合に速やかに区役所に相談や通報をしていただく体制を構築をしている。

さらに今年度から、自治会やまちづくり協議会など関係機関と連携し、地域の見守りや生活支援の中心である民生委員や福祉協力員とともに、事例対応をおこなう地域支援コーディネーターの配置、そして地域包括支援センターが個別相談はもとより、地域住民との連携により地域の見守り、助け合いを支援するため市民センターを巡回して行う高齢者いきいき相談の実施、そして近燐とな関わりの拒否など孤立をしている支援困難者について取り上げ、介護事業者などの関係者と連携支援を行う地域ケア会議の立ち上げ、こういった支援体制の強化を図ることとしている。

今後とも、本市の特徴である地域福祉の取り組みを生かしながら、高齢者を孤立させないきめ細やかな対策を官民一体となって講じたいと考えている。

 

■市民・文化スポーツ局長

(D街区整備に伴う既存施設の取り扱い)

戸畑D街区スポーツ施設は、戸畑区内に点在する老朽化した9つのスポーツ施設を区役所近隣に隣接する学校跡地に集約し、体育館、屋内プール、従剣道場、弓道場およびテニスコートを備えた本市のスポーツ拠点として提供するものだ。

この整備は施設の集約、拠点化という取り組みにおいて公共施設のマネジメントの趣旨を先取りしたものとなっている。現在、体育館や柔剣道場等の建築工事を精力的に進めており、平成28年度の供用開始に合わせて順次既存施設を廃止する計画だ。既存施設の廃止については、平成22年度から24年度にかけて3年間にかけて、56団体のべ300人の地元住民やまちづくり団体の方々に事業内容を丁寧に説明し、意見交換をしてご理解をいただいてきた。

また平成26年度に実施した北九州市総合体育館等34スポーツ施設の指定管理者の募集に際しても、その要綱に既存施設の廃止を盛り込むとともに、各施設の管理運営委員会等に対しても説明をしてきた。

戸畑D街区スポーツ施設は交通利便性の高い場所に整備されることから、近隣をはじめ多くの市民の方々の利用が見込まれる。施設の使い方についても工夫が必要と考えている。すでに体育館では、アリーナでの半面利用制度の導入や、弓道大会ではテニスコートを遠的場として活用することなどを予定している。

今後とも利用者の要望に応えられるような工夫や施設の利用調整を行って、効率的な運用に努めていきたいと思っている。

 

■建築都市局長

(戸畑区のお出かけ交通について)

お出かけ交通は、バス路線廃止地区やバス路線のない高台地区などにおいて地域住民の交通手段を確保するため、地域の方、交通事業者、市それぞれの役割分担のもとで連携し、マイクロバスやジャンボタクシーなどを運行するものだ。平成20年9月、地域の方から大谷や椎木、高峰といった高台地区とサイガタニや戸畑駅周辺の商業地域の間を運行するお出かけ交通の導入に関する要望があった。

まずは、市が地域において事業概要の説明を行った。さらに地域の意向やニーズを把握するためのアンケート調査や運行ルート、運行ダイヤの案の作成、また運行ルートに関する戸畑警察署との事前協議、さらに運行を実施する交通事業者の決定などを地域の方とともに行ってきた。

現在の進捗状況と試験運行の実施時期だ。現在、運行ルートの案について最終的な調整を行っているところであり、このまま引き続き自治会をはじめとする地元関係者、交通事業者、市の3者により運賃やダイヤなどに関する実施計画などについて協議、調整が必要となる。このため現在、合意形成に向けた協議を重ねており試験運行の実施時期について、現時点では示せる状況ではない。

市としては、今後引き続き、取り組みの進捗状況に応じた対応を図っていきたいと考えている。

 

■総務企画局長

(原発再稼働について)

福島原発の事故を経験し、国民の多くが脱原発を望んでおり、長期的に見た場合原発依存度を低減させていく方向が望ましいと考えている。ただ一方で、国民生活や産業活動に与える影響を考えると、直ちに原発をゼロにすることには慎重な対応が必要と考えている。また原発の代替エネルギーとして期待される再生可能エネルギーは、経済性や安定性においてすぐに原発に取って代われるものではないのも事実だ。

原発を含むエネルギー政策は、国家運営の基本となる重要なものであり、国民の安全・安心の確保はもとより資源の乏しい我が国の生活基盤や経済基盤を支えていくため、いかにして電力を確保するかといった点について適切な対応が求められる。

昨年4月、政府が策定した新たなエネルギー基本計画においては原発は安全性の確保を大前提に、安定的なエネルギー需給に寄与する電源と位置づけるとともに、気象エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、できるかぎり原発依存度を低減させていくとし、原子力規制委員会が策定した新たな規制基準に適合する原発は、再稼働するとしている。

このような状況の中、原子力規制委員会が策定した新規制基準に適合すると判断された川内原発については、立地自治体の同意のもと先月の11日から川内原発1号機の再稼働が行われている。再稼働中止を働きかけるべきというご指摘だが、エネルギーの根幹にかかわる問題については、安全対策なども含めて国家が責任をもって決めることであり、政府の選択と国民への説明を見守るというのが地方自治体の基本的姿勢だと考えている。

今後も政府においては、原発の安全性の確保はもとより、国民に対する説明を十分に行い、理解が得られるよう考えていただきたいと考えている。また九州電力においては安全確保を第1に万全を期していただきたいと考えている。

 

<第2質問への答弁>

■総務企画局長

(原発再稼働に対して、市は何も言わないのか)

繰り返しの答弁になるが、エネルギー政策は国家が責任をもってするものと思っているので、従来通り地方自治体は見守っていきたいと思っている。

 

<第3質問への答弁>

■市長

(戦争法案への見解ついて)

役所にも憲法については様々な意見があるし、国民の間にもそうだと思う。市議会においてもしばしば議論されてきたところだ。ただ市長として具体的に政府に対してどう対応するのかという風に問われると、民意を代表する市議会において、この法案の廃案を求める動き、あるいは憲法に関する解釈については、採択に至っていない。やはり市民の中にも両論があるのではないかと推測している。

ただ非常に重要な国民生活に関わる根本的なテーマなので、政府、国会においては十分に慎重によく議論をして説明責任を果たしてほしいと、そのように申しあげているところだ。

 

<第4質問への答弁>

■総務企画局長

(市内の戦没者数について)

北九州市史においては、5市の状況の中で死者は2251名と記載されている。

 

<第5質問への答弁>

■総務企画局長

(戦時資料展示コーナーの充実について)

(各局の)連携をということだが、これまでも平和関連業務を所管する3つの局の課長会議を開催するなどして、関係局とは連携を図りながら円滑な事業を遂行してるところだ。とくに今年は戦後70年ということで、それぞれの局で何ができるかを考え、工夫しながら事業を展開している。今後とも関係局との連携を密にしながら、全市的に取り組みを進めたいとおもう。

 

<第6質問への答弁>

■産業経済局長

(雇用対策の充実について)

高校生については地元企業の支援というところで、実績からすると雇用の部分がまだまだ不十分なところがある。一部、生産性が上がって、最近では賃金を上げたという一部の声も出てきたところだ。中小企業振興条例に基づくアンケート、実態調査もやっていくのでその中でいろんな声を聞きながら、次の雇用をさらに増やす施策につながるようなことを検討したいと思っている。

 

以上

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