更新日:15年10月29日

2015年9月定例会 藤沢加代議員の議案質疑(60分)



2015年9月定例会 本会議 議案質疑と当局答弁(9月10日 木曜日)

藤沢加代議員の議案質疑(60分)

私は日本共産党市会議員団を代表して議案質疑を行います。

最初に2014年度北九州市一般会計決算から、保健福祉費のうち後期高齢者医療制度について伺います。

私は2013、14年度の2年間福岡県後期高齢者医療広域連合の議員を務めました。この間、強く感じたことは、高い保険料が高齢者を苦しめており、保険料を下げるべきだということです。本市は県内でも高齢人口の多い自治体として、保険料引き下げのために積極的に声を上げるべきだとの立場から質問します。

後期高齢者医療制度は2008年4月、自民公明政権のもと発足しました。75歳以上で国保や健保から切り離され、強制加入となる差別医療制度です。制度発足当時「姥捨て山」と批判される程に、本制度は高負担の差別医療制度として国民の厳しい批判にさらされました。2008年5月には当時野党であった民主・社民・共産・国民新党4党が参議院に廃止法案を提出し可決となりましたが、衆議院では継続審議となりました。翌2009年9月、マニフェストに制度の廃止を掲げた民主党政権が誕生し、「廃止」あるいは「抜本見直し」など、制度の存立が問われ続けてきましたが、2012年12月の自公政権の復活により、制度の根幹である高齢人口の増加と医療費の伸びが保険料に反映する問題は温存されたまま存続することになりました。

保険料は2年ごとの見直しです。福岡県広域連合では制度発足以来一部の被保険者を除き保険料が上がり続けてきました。今期も1人当たりの平均保険料は年額79,924円で前期より1、136円の引き上げとなり全国5番目の高さとなりました。所得割率11.47%、均等割額56,584円はいずれも全国1位です。所得割率、均等割額共に全国一高いのに、1人あたり平均保険料が5番目ということは、収入が少ない人が多いということを示しています。年金収入別の保険料では、年額79万円の基礎年金受給者も平均的な年額201万円の厚生年金受給者いずれも、福岡県は全国1の高さです。

今期の保険料の通知が届いた昨年7月、小倉南区のある男性は年額4万円も上がっていることに驚いて区役所に電話をかけ、さらに出向いて説明を受けています。何人もの方が待っておられて時間がかかったそうです。消費税が昨年4月1日から8%に引き上げられました。一方で、年金は一昨年12月支給分から1%の引き下げ、昨年4月からはさらに0.7%下げられたので、収入は減る、消費税は上がる、そして保険料の引き上げで、75歳以上の方々は3重苦を強いられています。さらに、今年度は介護保険料も引き上げられており、これでは、4重苦ではありませんか。

そこで第1に、高齢人口が多く、広域連合の被保険者の21.9%を占める本市の市長として高すぎる保険料についてどのような認識をお持ちですか。答弁を求めます。

第2に来期の保険料を引下げるために市長に国県そして広域連合に働きかけていただきたいということです。全国47広域連合のうち、2014~15年度の一人当たりの平均保険料が下がった広域連合は20に上ります。所得割率を引き下げるか据え置いたところは15、均等割額を据え置いたのが13、所得割率、均等割額いずれも据え置いたところが12あります。

広域連合特別会計の2014年度決算では約150億円の剰余金が出ました。保険料抑制には広域連合の剰余金を最大限活用することと、もうひとつ財政安定化基金の活用があります。財政安定化基金は多額の保険給付が必要になるなど緊急事態に備えるものですが、保険料抑制にも活用できることになっています。国県広域連合が3分の1ずつ負担します。前期まで毎年度積み増しをしてきましたが、今期は昨年度も今年度も1円も拠出しませんでした。基金につみ増しし、保険料抑制のために活用するよう国県及び広域連合に求めるべきです。答弁を求めます。

 

2.次にこども家庭費のうち子どもの医療費の拡充について伺います。

子どもの医療費助成は47都道府県すべてで実施されていますが、わが党は国の制度として実施するよう繰り返し求めてきたところです。本市においてもさらに制度の拡充を図るため、全会派一致により、県に対し、一般市町村なみの2分の1の補助率等を求めています。県知事は本年6月議会において2016年度中に入院、通院とも小学6年生まで助成対象者を拡充することを明言しましたが、政令市に対する補助率の引き上げは困難としました。本市はこの間、県の補助率を2分の1にと求めてきましたが、これが難しいとなると市が独自に対象年齢をどこまで引き上げるか、自己負担無しにできるかどうかが注目されるところですが、私は県の態度がどうあろうと、わが党市議団がこれまで主張してきたように、中学3年生まで、入院通院とも無料にするとともに、所得制限をなくし、現物給付とするよう求め、3点伺います。

 

第1に、県が制度の見直しにより、助成対象を入院通院とも小学6年生まで拡充する方針であることから、これまで県に先んじて拡充を進めてきた本市として、通院助成対象を中学3年生まで拡充するよう求めます。答弁を求めます。

第2に、自己負担を増やすべきではないということです。現在、本市の乳幼児等医療費支給制度においては、通院の助成対象の拡充が最大の課題となっています。県の制度は現行通院入院とも無料としているのは3歳までで、3歳以上の未就学児は通院で月額600円、入院では月7日を上限に日額500円としています。これに対し、本市では、通院入院とも小学校入学前まで無料、入院は一部自己負担で中学3年生までとなっており、通院の助成対象学年拡充が求められています。この間の議会答弁では自己負担の在り方について様々試算検討しているとして、県と同様の負担を設けると1学年拡充に必要な2億2000万円が確保できる、あるいは拡充学年も同等の負担とすると1億7000万円の経費でよいなどとしてきましたが、現在入院通院とも無料の未就学児に自己負担を導入することは絶対にするべきではありません。答弁を求めます。④

第3に、いよいよ所得制限をなくし、現物給付を実施すべき時がやってきたのではないでしょうか。昨年度の所得制限件数は180件で、800万円、事務費は250万円です。費用対効果を考えると所得制限の意味がないということをわが党は繰り返し指摘してきたところです。

また、制度変更はこれまで年度途中の10月からの実施となっていました。これは所得制限があるため、6月の所得の確定を待たねばならないからです。所得制限をなくせば、4月実施が可能です。所得制限の廃止と合わせて年度当初からの実施を求め見解を伺います。

 

次に、子ども家庭費のうち放課後児童クラブについて伺います。本年4月1日現在133クラブ登録児童数は10、551人で初めて1万人を超えました。

放課後児童クラブは1997年に児童福祉法において「放課後児童健全育成事業」として位置づけられましたが、市町村の責任が「努力義務」にとどまり、施設や運営の基準がありませんでした。ようやく国は2007年に「放課後児童クラブガイドライン」を策定しましたが、法的な拘束力を持たなかったため、入所児童が急増するなか整備や運営面で自治体によって様々な問題を抱えてきました。2012年の子ども・子育て関連3法の成立で、学童保育はようやく法的根拠を持つに至ったのです。

本市は2008年度から希望者は全て受け入れる全児童化を実施し、クラブ数も登録人員数も増え続け、施設整備や運営体制の充実が課題となってきました。子ども子育て支援新制度に伴う条例が昨年9月議会において成立し、本市の「運営基準」はほぼ国が示した基準に従っています。2015年度から19年度までの計画を示した「元気発進!子どもプラン第2次計画」において、新制度の基準を踏まえ、運営の基盤強化や内容の充実を図るなどの方向性が示されました。特にクラブ団体からの長年の要求である放課後児童支援員の複数配置や、児童の専用区画についても整備を図ることが示されましたが、現状ではまだまだ不十分です。

第1に大規模クラブの問題です。条例では利用者の数は「おおむね40人以下」としましたが、現状では、クラブの分割ではなくクラスを分けるにとどまりました。名簿上のクラスは分けても、施設設備が従来通りでは改善にはなりません。1人当たりおおむね1.65平方メートル以上の専用区画を確保するという基準を満たせないクラブは現在133クラブのうち9クラブあります。早急に改善が必要です。答弁を求めます。⑥

第2に放課後児童支援員を複数にする課題です。放課後児童支援員の複数化は本市の学童保育関係団体の長年の要望です。条例では、「放課後児童支援員」は児童おおむね40人以下で「2人以上とする」としましたが、「その1人を除き補助員をもって代えることができる」としています。補助指導員はあくまで「補助」的な役目であり、放課後児童支援員の責任と負担が大きくなっています。2人とも放課後児童支援員にする予算措置を求めます。答弁を求めます⑦

第3に保育料の負担軽減を求めます。小学生2人を持つお母さんから、2番目の子どもが今年小学校に入学し学童にやりたいが、1人7000円の保育料で2人分はとても出せないので利用できないとの訴えを聞きました。

本市は独自の保育料減免制度を持っていません。何らかの減免制度を持っているのは109クラブに上りますが、各クラブの自主的な判断に任されており、統一した基準がありません。通うクラブによってその基準が異なるので不公平だとの声が聞かれます。

保育料減免制度を市の責任で創設すべきです。答弁を求めます。⑧

 

4.次に議案第150号北九州市手数料条例の一部改正について伺います。今回の条例改正は、マイナンバー制度に係る個人番号カードの失効や紛失等によるカード再発行の手数料を定めるものです。

本年10月から住民一人ひとりに12桁の個人番号が通知され、2016年1月から利用が始まり、また、任意申請により顔写真入りの「個人番号カード」が交付されます。住民は、今後、必要に応じて通知カードや個人番号カードで提示しなければなりません。

マイナンバー制度は民主党政権時代に検討が始まり、2012年に提出された番号法案が、2013年の第2次安倍政権のもとで、利用範囲の拡大などが付け加えられ、再提出され、同年5月に賛成多数で可決となりました。初期投資3000億円とされる巨大プロジェクトです。わが党は、プライバシー侵害やなりすましの犯罪を常態化する恐れがあること、具体的なメリットや費用対効果も示されないまま、国民負担が強いられること、税や社会保障の分野で、徴税強化や社会保障給付削減の手段とされかねないなどを理由に反対しました。しかも実施前から、預金口座や、特定検診結果、予防接種履歴など、マイナンバーを利用する際、他機関との情報連携が可能となる等、利用範囲の拡大を内容とする改正法が9月3日に可決成立しました。5月の年金機構における125万件という大量の情報流出を受け、年金番号との連携は1年延長となりましたが、今後、戸籍やパスポート、在外邦人情報、証券での利用などにも拡大する方向で、「個人番号カード」も利用促進を図るとされています。利用範囲が拡大すればするほど不正利用や、情報漏えいの危険性が高まります。当然ながら、各方面から反対や懸念の声が上がっています。

制度開始の期日が迫っています。本市担当課は市民周知のための出前講演に力を注いでいると聞きました。10月末までに3000人以上に実施する予定で、9月は講演の予約がどんどん入ってきているとのことですが、人員の制約がある中どこまで周知が進むでしょうか。再発行は自治体が窓口となります。カードについての問い合わせの窓口は各区役所市民課です。住民とのトラブルは大きな懸念材料です。

そこで2点伺います。

第1にマイナンバー制度の実施について、市民周知が出来ていない問題です。混乱が起きて困るのは市民課の窓口です。周知徹底出来るまで、国に対し中止を求めるべきではありませんか。答弁を求めます。⑨

第2に既に実施されている「住基ネット」において、不正取得・偽造・なりすましの犯罪が問題になっています。「住基ネット」はマイナンバー制度と似ていますが、個人情報は、氏名、生年月日、性別、住所の4情報のみで、民間では利用できません。マイナンバーは源泉徴収票への記載など民間でも使用され、量質とも「住基ネット」とは比較になりません。市としてのセキュリティ対策について、漏れることはないと言い切れますか。答弁を求めます。⑩

 

5.最後に世界遺産関連の補正予算について1点伺います。

2014年度に国の補正予算で創設された「地方創生先行型交付金」の上乗せ交付分を活用して世界遺産推進経費7,500万円が計上されました。官営八幡製鐵所関連施設がユネスコ世界文化遺産に登録されたことを受け、市外からの観光客などの受け入れを進めるための経費です。合わせて市費単独の世界遺産関連施設リフレッシュ事業1,200万円も提案されています。世界遺産関連施設である、市指定文化財「東田第一高炉跡」のライトアップ設備のLED化や老朽箇所の点検・修繕等の経費です。

私は今回、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として製鉄所関連施設が世界遺産として登録されたことは、改めて北九州市が日本の近代化においてどのような役割を果たしてきたのか、市民が学び郷土を知る良いきっかけになり、また、全国に、世界にその文化的な価値を発信していくことは大切だと思います。

多くの来訪者を迎えることになるでしょう。来訪者のためにできるだけ利便性の向上を図り、情報発信に工夫を凝らすことは当然のこととして、今回の登録が決定する過程で、世界遺産委員会で、委員国の韓国が「朝鮮半島出身者を強制労働させた施設がある」と強く反対したことを、私たち北九州市民は、真摯に受け止めるべきではないでしょうか。当初7月4日の予定だった世界遺産委員会の審議が5日に延びました。日韓両政府の意見調整ができなかったからです。結局日本政府が、「『1940年代に、意思に反して連れて来られ、厳しい環境で労働を強いられた』朝鮮半島出身者が多く存在したことへの理解を深めるための措置を講じる」、「『被害者を記憶にとどめるため』の情報センターの設置」(産経新聞)も検討するとし、決着しました。

そこで伺います。

韓国と合意した課題についてです。国が適切な対応をしなければならないことはもちろんですが、本市としても独自に対応を考えるべきです。本市は中国を始め韓国、ベトナム、カンボジァなどの国々と古くから友好関係を保ち、近年は環境や水問題をテーマに新たな関係を築こうとしています。過去の歴史にきちんと向き合ってこそ、信頼はさらに深まるのではないでしょうか。こうした国々との関係をさらに豊かにしていく礎になるでしょう。答弁を求めます。

以上第1質問を終わります。

 

藤沢加代議員への答弁(2015年9月10日、本会議質疑)

■市長

(放課後児童クラブについて)

本市では平成20年度から利用を希望するすべての児童を受け入れる放課後児童クラブの全児童化に取り組んだ。23年4月にはクラブの設置が必要なすべての126の小学校区で整備を完了し、待機児童数ゼロを達成するなど本市の放課後児童対策は大きく前進した。

27年度からの子ども子育て支援新制度では、放課後児童クラブについては、量の確保とともに質の向上を図ることとされている。そのため指導員の資格、配置基準、施設設備、開所日時など放課後児童クラブの施設や運営について市町村が国の基準を踏まえて条例で定めることとされ、本年4月から施行したところだ。この条例では、児童一人あたりの専用区画の面積、概ね1.65平方メートルとし、指導員の配置は児童概ね10人に対して有資格者である放課後児童支援員を2人以上配置するとしたうえで、その内1人を除いて補助員とすることができるとしている。

施設の整備について本市では、全児童化の取り組みの中で児童一人あたりの専用面積につき、概ね児童一人あたり1.65平方メートルが確保できるよう条例で定める以前から取り組んできた。また指導員の配置基準についても全児童化の取り組みの中で、児童概ね20人に1人として、新制度が求める基準と同様の配置を概ね確保してきたところだ。

その結果、元気発信子どもプラン第2次計画の策定にあたり、25年に実施した市民アンケートではクラブの施設、環境に対する満足度は約77%、また指導員の配置状況については約87%となっており、一定の評価を受けたものと受け止めている。

議員ご指摘の放課後児童クラブの施設整備については、今後も利用を希望する児童を受け入れることができるよう校区の児童数の将来推計などを十分見極め、必要な施設整備を計画的におこない、待機児童が生じないよう努めていく。また指導員の配置については、新制度のもとで、児童の集団規模を国の基準通り40人以下とし、ソノ児童集団・クラスにたいし常時指導員2人を配置し、そのうちのひとりは放課後自動支援員を配置するよう委託料を増額したところだ。

本誌としては、今後とも条例で定める基準を踏まえながら、ハード、ソフト両面において放課後児童クラブの運営の充実に努めていく。

 

(マイナンバー制度について)

この制度は社会保障、税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平、公正な社会を実現するための社会基盤だ。マイナンバーは地方公共団体、税務署など各機関が管理する個人情報が同じ人の情報であることを正確かつスムースに確認するため活用されるもので、住民票を有する全ての方に付与される。

マイナンバー制度の広報については国がテレビ、ラジオ、新聞など多様なメディアを活用するほか、ポースター配布、コールセンターの開設、外国人向けホームページの公開などさまざまな広報活動を積極的に行っている。

このような広報活動により、マイナンバー制度の認知度は9月3日に内閣府が発表した世論調査においては、マイナンバー制度を知らなかった人が今年1月の28.6%から今年の7月には9.8%まで減少したところだ。一方、本市においても制度の円滑な導入に向け市政だより、ホームページ、出前講演などでの広報を実施している。

まず市政だよりについては、9月1日号の第1面で、マイナンバー制度を特集し、さらに本日から配布される9月15日号ではマイナンバーの通知や個人番号カードの交付などについて掲載している。出前講演やまちづくり協議会や民生委員、児童委員協議会を中心に現在も申し込みが増え続けており、引き続き丁寧に対応していく。

また10月には市政テレビを活用した広報もしている。今後ともマイナンバー制度の周知が進むようさらに広報に力を入れている。

加えて、10月以降、世帯ごとに届けられるマイナンバーの通知には、マイナンバー制度の概要や個人番号カードについてわかりやすく書かれた説明が同封されている。本市としてはこの通知に合わせ、国のコールセンターとは別に新たに市独自のコールセンターを設置し、市民からの問い合わせに備えることとしている。

実施の凍結を求めるべきとのご質問だが、まじかに迫ったマイナンバー制度の開始に向けて、制度の円滑な導入が図れるよう着実に取り組んでいく。

 

■保健福祉局長

(後期高齢者医療制度について)

まず保険料の高さの認識について。後期高齢者医療制度は増加が続く後期高齢者の医療費を国民全体で支え合い、後期高齢者に対する適切な医療の給付などを行うことを目的に創設されたものだ。医療給付費の約5割を公費で、約4割を現役世代からの支援で、残りの約1割を後期高齢者の保険料で賄う仕組みとなっている。このため医療費が増加すると、後期高齢者に応分の負担が生じることとなり、一人あたり医療費は全国で最も高い福岡県はその医療費水準を反映し、保険料率が均等割額、所得割額のいずれも全国で最も高いものとなっている。

所得が少ない方については、所得に応じて均等割額および所得割額を制限する措置が講じられている。本市では平成26年度において約64%の方がその対象となっている。しかしながら、対象から外れているかたを中心に保険料の負担感は決して軽いものとは言えないと認識している。こうした状況を受け、制度の運営主体である福岡県後期高齢者医療広域連合では、医療費を適正な水神に保つため後期高齢者の健康づくりや医療費の適正化に取り組んでいる。

また保険料の改定にあたっては、剰余金や財政安定化基金を活用して保険料の増加抑制に努めるなど、後期高齢者の負担軽減に向けた努力を続けていると理解している。

次に、財政安定化基金を積み増しし、保険料抑制のために活用するよう国、県、広域連合に求めるべきとのご質問だ。

後期高齢者医療の保険料については、2年毎に改定され、来期である平成28年、29年度の保険料は、広域連合が医療給付費の伸びや剰余金の発生状況を見込んだうえで、今年度中に決定することとなっている。保険料改定にあたり財政安定化基金を活用し、保険料の急激な増加を避けることは必要だと考えている。一方で、基金を活用すれば次の保険料改定の際に、抑制分の保険料水準から本来の保険料水準へと大幅な保険料の増加が見込まれるため、継続して基金を活用する必要性が生じること、これによって基金が不足する場合には基金を積み増すために積み立て財源の3分の1を広域連合の拠出分として保険料に上乗せする必要性が生じる事が考えられる。

また現役世代の負担の水準という観点からは、基金の積み立て財源の3分の2が国費および県費という一般財源であることから、現役世代にもさらなる負担を求めることになることや、医療の高度化などにより医療給付費が年々増え続ける中、被用者保険や国民健康保険など他の保険の加入者が拠出する後期高齢者医療制度への支援金も増加をしていることなどから、世代間の負担の公平にも配慮が必要だと考えている。

基金の積み増しや活用については、県が広域連合の意見を聞いて決定している。また広域連合が最終的に保険料を決めるにあたっては、法律の規定により県と協議を行うこととなっている。このため広域連合の構成員である本市が、単独で国や県に対し直接働きかけをおこなうことは差し控えたいと考えている。

本市としては、ご提案の基金の積み増しなども含め、保険料増加抑制のための十分な措置が講じられるよう、広域連合における協議の場において意見を述べることにより、広域連合を通じて県に働きかけていきたいと考えている。

 

■子ども家庭局長

(子ども医療費助成について)

乳幼児等医療費支給制度については、これまで多くの議員、会派のみなさんから拡充の要望が出されたほか、他の政令市や近隣市町村においても助成対象を拡充しているところだ。このため本市としても、通院医療費助成の拡充について検討を進め、先の6月議会において平成28年度中の実施をめざしたいと、答弁したところだ。

一方、福岡県においても当制度の見直しが進められ、先月、県の見直し案が公表された。本市としては、現在、県の制度を勘案しつつ制度全般について鋭意検討を行っているところで、現時点では、現在未就学児までとなっている通院医療費の助成対象を小学校6年生まで拡充することを基本に検討するとともに、また実施時期については県と合わせて平成28年10月から実施したいと考えている。

一方で、持続可能で安定的な制度とするための財源確保等についても、重要な課題と認識している。自己負担などのあり方についても併せて検討しているところだ。さらにご質問にあった所得制限と現物給付についても、しっかりと検討していくべき課題と認識している。

今後とも引き続き、議員の皆さんをはじめ関係の皆さんの意見を十分伺いながら、制度全般について検討をすすめていきたいと考えているところだ。

次に2点目。(放課後児童クラブについて。)

本市の放課後児童クラブは、地域の子どもは地域社会全体で見守り、育てるという相互扶助的な施設として発足した経緯があるため、校区社会福祉協議会など地域が運営委員会を構成し、主体となって運営してきた。このためクラブの運営や子供たちの見守りなどに多くの地域の方々に参画していただいているところだ。このような地域の方々による協力や支援は、地域における連帯感、コミュニティー意識の向上にもつながり、子どもの健全育成にも大きな効果があると考えているところだ。

このような経緯から、保護者負担金についても地域の実情に応じてそれぞれの運営団体が主体的に決定してきた。そのため地域間で負担金に格差が生じたことから、平成20年度からの全児童化の取り組みの中で、月額7000円以下での運営の標準モデルを示し、保護者負担金の高い運営団体に対して見直しをお願いしてきたところだ。

その結果、団体間の格差の是正が進むとともに、平均月額は現在6400円程度と全国的に見ても平均的な額となっているところだ。議員ご指摘の減免制度の創設については、本市では保護者負担金の減免についてもそれぞれの運営団体が主体的に決定しており、平成27年4月現在、133運営団体中109団体、約82%だが、独自の減免制度を設けて保護者負担金の減免を行っているところだ。

減免の種類や要件、減免率も含めて各運営団体が地域の実情に応じて決定することが基本であり、市として統一した減免制度を設ける考えはない。

 

■総務企画局長

(マイナンバー制度のセキュリティー対策について)

マイナンバー制度においては、情報漏えいに関して安全・安心を確保するため、制度面とシステム面の両面から個人情報保護の措置がとられている。制度面では、マイナンバーを収集する際には本人確認を義務付けて、なりすまし防止を図っている。一方、システム面では個人情報は所管している行政機関が従来通りそれぞれ分散管理し、その上で行政機関の間での情報のやりとりにはマイナンバーを直接使用しないこととしている。これによって、仮にマイナンバーが漏れたとしても、芋づる式に情報が漏えいしない仕組みとなっている。

本市においても、情報漏えいの対策に万全を期するため、システム面では市民のマイナンバーを取り扱う業務システムは、インターネットに接続しない、限られた担当者しかマイナンバーを利用できないようシステムで制限する、といった対応を行うこととしている。

また窓口での対策については、なりすまし等を防止するため個人番号カードの交付やマイナンバーが必要な手続きでは厳格に本人確認を行うこととしている。具体的には、マイナンバーの確認に加え運転免許証などの身分証明書により身元確認を行うことで、カードの不正取得やなりすましによる不正の防止を図っていく。さらに窓口で個人番号カードの発行を行う職員やシステムでマイナンバーを取り扱う職員には、研修を実施し個人番号カードやマイナンバーの適正な取り扱いを徹底することとしている。

このように本市においては、マイナンバー制度の開始に向けて着実にセキュリティー対策を進めており、今後もマイナンバー制度の安全・安心の確保に向けて万全を期していく。

 

■地方創生担当理事

(世界遺産関連の質問について)

明治日本の産業革命遺産、製鐵、製鋼、造船、石炭産業は、幕末から明治期にかけて急速に発展していったわが国を、近代産業化の歩みを示した遺産群であるということで、顕著な普遍的な価値があるということで高く評価され、ドイツで開催された第39回ユネスコ世界遺産委員会において、7月5日に世界遺産の登録が決定されたものだ。

今回の遺産群は、8県11市の23資産を一つにつなぎあわせたシリアルノミネーション、これは複数で連続性のある資産の推薦という意味だが、日本政府が推薦したものだ。この遺産群の登録に関して、日本政府が韓国政府と調整を行った結果、登録決定直後に第2次世界大戦中の徴用政策などの実施について、理解できるような措置を講じるなどの発言が日本代表団からなされたことはわれわれも承知している。

この発言は、相手のある中でぎりぎりの調整を行い、丁寧な作業を行った結果政府が出したコメントだ。従って、世界遺産委員会の場で発言されたこの内容については国がその実現に向けて努力されるものと考えている。

 

<第2質問への答弁>

■市長

(世界遺産と韓国との関係改善について北九州市として、市長として見解表明を)

本市としての基本的立場は先ほど理事からお答えしたように、これまでの韓国をはじめとする水面下でも交渉の経過とか、一連の事について私どもは逐一、そういう報告を受けているわけではないし、日本政府、ユネスコにおける代表団の皆さん方が、粘り強く話し合ったうえで一つの結論を得たということなので、このテーマについては国際会議の場での一つの方針なので、日本政府としてもしっかりと検討されて答えを出されたのであろうと。わたしどもとしてもそれをしっかりと見守らせていただきたいということだが。

またこの話題が、メディアを通じて決まるまで報道されていて、いろんな方々の当時のいろんな話を調べていくと、十分ではないが、併合されてから朝鮮半島の出身者の方には選挙権、被選挙権が付与されていたということだ。だから議員の方も、この北九州地区にもどこにもいらっしゃったということで、戦前の世界においていろんなことがあったのではないかと思っている。

また世界史的における官営八幡製鉄をはじめ、明治日本の産業革命遺産の数々あるが、八幡製鐵所は戦後において中国、韓国をはじめとして世界最先端の鉄鋼業の発展のために最大限の技術協力なんかもそうとうに力を入れている歴史があると思う。やはり1901年、火入れ以来の歴史があるので、今回、韓国から指摘をされて話題になったことに加えて、官営八幡というのはそういう大きな歴史を背負った会社であると思う。

それは今後、いろんな方々の研究もあるだろうし、それには関心を持って見守らせていただきたいと思う。

<第3質問への答弁>

■総務企画局長

(マイナンバー制の市民説明状況について)

まず現在の実施状況は、9月7日現在で実施した件数は、いわゆる市民向けは23件合計959名だ。別に事業所向けは10件516名だ。今からまだ公募を続けるが、体制としては市民向けはわたしども総務企画局と、あと市民・文化スポーツ局が一緒になって回っている。今からがちょうど出前講演の山場になっていて、1日に数か所分担して回っている状況だ。見込みというのはわからないが、増えていけばそれの応じて体制を、できるだけきめ細かく対応していきたいと思う。

事業者については、私どもだけでは難しいので商工会議所のいろいろなイベントとか会議の場において実施していただくように、産業経済局と一緒になって進めていく。マイナンバー制度はいまからで、終わるわけではないので、ずっと続いていくのでこういった公募についても段階に応じて進めていきたいと思う。

 

<第4質問への答弁>

■市民・文化スポーツ局長

(住所地にすんでいない人へのマイナンバーの通知について)

DVDの避難者や一人暮らしで施設入所者などの人への対応だが、実際に住んでいるところと住所登録が違う人については、申請書を出していただくようになっている。出していただいたところで実際に受け取れるように市民課の方から郵送するということになっている。

あくまでも市の方で住民票のあるところで発行しているので、通常は、また別のところだと、連絡をいただかないことにはどこに送っていいのかがわからないので、実際に国の方から通知カードがいくが、実際に届かなかったということになると、それは区役所の方に戻ってくる。戻ってきたときに、後日また連絡を取る必要があるので、そこはまたこれからのことになろうかと思う。

 

■総務企画局長

(要するにまだ市でも十分対応がわかっていない。このままで大丈夫なのか)

来月から通知がはじまる。このたび市政だより等で全市的に広報もした。セキュリティーに関しても、100%とはこのセキュリティーの世界ではいえないが、とるべき手段はすべてとっている。制度の開始に向けて着実に進んでいきたいと思う。

 

■子ども・家庭局長

(子ども医療費、所得制限はすぐにもなくせるのではないか)

この制度の拡充については、支給対象、所得制限、あるいはまた現物給付・償還払いということ、自己負担の点もある。こういったものを総合的に勘案して、バランスを見ながら制度の拡充というものを着実に推進していく必要がある。所得制限についても解決すべき大切な視点だという風には認識している。来年10月と申し上げているが、実施に向けて鋭意検討を進めていきたいと思っている。

 

以上

 

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