2015年12月定例会 波田千賀子議員の一般質問(30分)
2015年12月8日(火)
◎波田千賀子議員の一般質問(30分)
私は日本共産党市会議員団を代表して一般質問を行います
平成27年10月25日、本市初の土砂災害を想定した北九州市総合防災訓練が門司区藤松校区で実施されました。この訓練は、市民防災会・警察・消防・自衛隊・はじめ多くの団体の協力、参加のもと行われました。ご協力いただいた団体の皆様・ご参加の皆様、大変お疲れさまでした。
市が最も土砂災害警戒区域の多い門司区に焦点をあてて防災訓練に取り組まれるということで、私は大変期待し、早速、市の関係部署に同行を依頼して、この地域の土砂災害警戒区域を中心に事前視察を行い住民からの聞き取りや危険箇所の確認等を行いました。
今回の訓練は「土砂災害発生時における関係機関・団体等との具体的な連携体制の構築」「住民参加による地域の防災意識・対応能力の向上」「「官民一体となった取り組みの重要性を市の内外へ発信」を目的として実施されました。土砂災害対策におけるソフト面の対策としての防災訓練は大変重要なことで、今回の訓練では一定の成果があったとおもいますが、一方で、避難行動要支援者に対する支援について、更なる取り組みの強化が必要であると感じました。
平成24年12月議会における、避難行動要支援者の避難支援に関する私の質問にたいして、当時の危機管理監は「自力で避難ができない高齢者、あるいは障害をお持ちの方につきましては、(確実に情報が伝わるように個別の避難支援プラン(だれがどのような方法でその方に情報を伝え、どのような経路を通ってどこに避難をするのか)そういう内容のプランを今つくっている。要援護者の方は避難に時間を要しますから、事前に避難準備情報を発令し、行政内部では、区の災害対策部の中に災害時の要援護者の避難の支援班を組織しており、避難状況を確認する体制をとっている。最終的には、地域の市民防災会の連絡網、あるいは消防団員さん等の個別の訪問などで徹底を期する。)」との答弁がなされました。あれから3年経ちますが、避難行動要支援者に対する支援の取り組みが今回の避難訓練では不十分ではなかったかと思います。防災訓練の計画の途中の8月に台風15号が発生し、大きな被害が生じたわけですが、この時、避難準備情報の発令もれなどが起こりました。今回の訓練では、こうした台風15号の教訓を踏まえ、避難行動要支援者の避難支援についての取り組みに力を入れる必要があったと考えます。
市の平成26年度版災害時における避難支援の手引きにあるように避難行動要支援者要に対するプランが、自治会・町内会で検討がなされているのか、町内会未加入の要援護者へ行政と地域がどのように連携し支援を行うのか、検証して対策を強化すべきだと考えますが、答弁を求めます。・・・①
昭和30年頃の藤松地域の絵が市民センターに残されていますが、この絵を見ると、この地域が約60年の間に山裾から中腹へと次々と宅地造成が行われたことが分かります。
先述のとおり、わたしは、北九州市総合防災訓練を前に土砂災害警戒区域を中心に、数回の視察を行いましたが、その際に、上藤松の住民のみなさんから、土砂災害に対する多くの不安と懸念の声をお聞きしました。その中でも、特に対応が急がれる4点を指摘し、その対策をお尋ねします。
1つ目は、上藤松2丁目7付近の砕石場跡についてです。この場所は、切り立ったがけになっており昨年7月の雨の後、大きな岩の塊が落ちてきて樹木をなぎ倒し、現在も、土砂がぼろぼろ落ちてきて、堆積するなど土砂の崩落の危険性が高くなっていますが、この付近の土砂災害対策について、見解を伺います。・・・②
2つ目に、警戒区域に指定されていない上藤松2丁目2・6・7番にかけての住宅地に隣接した山地では、20年もまえから雨のたびに表土が流れる等の状況が見られます。また、手入れがされていないことから、朽木が増えイノシシが土を掘り荒らし、荒れ放題の山となっており、そこに8月25日の台風第15号の影響で多数の倒木が発生し、付近の倉庫や駐車場の屋根等に木が倒れる被害が生じました。台風の通過後、倒木は消防局や周辺住民で伐採等の対応が行われましたが、
住民の安全確保と再発防止のため、この山の所有者に対し、適切な管理について、市からの指導が求められます。見解を伺います。③
3つ目に藤松市民センター付近についてです。この付近についても、大雨のたびに住宅地に山側から土砂と水が流れてきます。水は急傾斜の道路を下り、土砂や枯葉で埋まった溝から溢れ、家の1階部分が浸水したこともあります。
今回の視察で、市民センターに隣接する住宅に住む方のお話を聞きました。このお宅では、大雨のたび裏の山から流れて来る鉄砲水で、家に上がる石段を登ることもできず、市に土嚢をつみあげてもらったこともあるそうです。さらに、その住宅の近くにある高齢者施設では平成22年の大雨時に、土砂の流入、石垣の一部が崩壊するなどの災害も起きています。長い間に山の荒廃がすすみ地盤の支え、保水能力が失われ、梅雨の時期と台風の季節は特に土砂災害がおこるのではないかと不安の声が寄せられています。こういう状態に市は、「私道ですから・民地ですから手のだしようがない」その一言で対策が取られていないのが現状です。住宅地域に隣接した山から流れ出る水の処理のための側溝を整備する等の対策を講じる必要があると考えます。見解を伺います。・・④
4つ目は、危機管理室が把握したものだけでも過去7年間の藤松校区で発生した土砂災害や倒木などの被害21件のうち、6件が上藤松2丁目で発生しており、さらに、そのうち4件は、上藤松2丁目2から7にかけての地域で発生していますが、この地域の大部分は、土砂災害警戒区域に指定されていません。
上藤松2丁目2から7にかけての地域は土砂災害警戒区域に指定され、必要な土砂災害対策が講じられるべきです。県に対し、同地域の土砂災害警戒区域指定について申し入れるべきと考えますが、見解を伺います。・・⑤
波田千賀子議員の質問への答弁
■市長
災害時に命を守るための適切な行動を行うためには、市民一人ひとりが防災意識を高め、避難の際に支援を必要とする方々に対しても日頃から訓練を行っていることが大切だ。このため、門司区藤松校区で行った今年の市防災訓練では、避難行動、要支援者の方が住んでいる町内会の方が支援者となり、車いすに乗った区役所職員を避難先である門司大翔館高校に誘導した。また各区の防災訓練においても同様の訓練を実施しているところだ。
災害時に支援が必要な方々への取り組みとしては、平成25年6月、一部改正された災害対策基本法において、本市において避難行動要支援者、避難支援事業を行っている。この事業は、避難の際に支援が必要な高齢者や障害者の方々の情報を、町内会への加入、未加入に関わらず行政が名簿として取りまとめ、本人の了解を得たうえで自治会長、民生委員、社会福祉協議会などに提供しておくものだ。
そして実際の災害時には、この名簿を活用し市から受けた避難勧告などの連絡や適切な避難誘導を地域が主体となって行っていただくというものだ。現在、自治会を中心とした地域ごとに、この名簿をもとに要支援者への計画づくりや実際の支援などへの対応を行っていただくことになっているが、このような対応を地域だけで行うことは自治会長や民生委員などの負担が多く、現実的には難しいと考えている。このため市と地位が連携して要支援者への対応を含めた小学校区ごとの地区防災計画を策定する、みんなで防災まちづくりモデル事業に昨年度から着手し、現在、各区、一つの校区づつをモデル地区として進めているところだ。
このような地区防災計画の策定や、防災訓練を行うにあたり、要支援者への対応を含め重要となるのはしっかりとした地域コミュニティの存在だ。先の総合防災訓練では、訓練の実施を契機として地元自治会への加入者が増えるなど、防災力の強化と地域コミュニティの強化は表裏一体の関係ともいえる。今後も防災力の向上、地域コミュニティの向上に向けて努力し、安全で住みやすいまちづくりを進めていく。
■建設局長
上藤松2丁目7番付近の採石場跡、まずこの付近の土砂災害対策について。
ご質問の採石場跡付近は、土砂災害の発生が予想されたため昭和58年に門司区上藤松2丁目6番、7番、8番の一帯を風水害危険区域と定めて、定期的に現地の調査を行ってきた。この地域のうち、西側の住宅地に隣接する崖については福岡県による落石防護柵などの整備が実施され、平成16年度に完了している。
一方、東側の住宅地に隣接する崖については、西側に引き続き県の対策工事の手続きを進めていたが、地権者の承諾が得られず工事に着手できない状況だ。この二つの住宅地の間に位置する採石場跡は、岩盤が露出した急な崖があり、風化した岩盤の一部が崩落してがけ下に堆積している。この崖の崩落の危険性について、平成26年8月に市から専門家、本市の防災アドバイザーだが、に調査を依頼したところ、崖の岩盤は硬質で大規模な崩落を起こすことは考えられない、風化によって表面のはく離があるが部分的である、がけ下の平坦地が広く土砂や岩が直接住宅を襲う危険性は少ない、との見解をいただいている。
今後のことだが、この地域は対策工事が一部完了したことにより、風水害危険区域から継続して調査を行う風水害準危険区域となったこと、また今後時間の経過により、危険性が高まることもあることから、引き続き関係機関とともに定期的な調査を行うなど経過を観察していきたい。
二点目に、藤松市民センター付近の山から流れ出る水の処理のため、側溝を整備するなどの対策を抉る必要がある、とのご質問だ。
藤松市民センター付近の道路は、民地の宅地開発で整備された幅員が3.5mから5mの私道だ。側溝も整備されており日常的な管理も地域の方々が行っていただいていて、通常の水排水には対処できると考えている。議員ご指摘の状況は大雨の際に山側からの水が私道内の側溝に流入し処理できずにあふれているものと推測される。これに対処するためには、例えば既存の側溝の改修や新たな排水施設の設置などが考えられる。ただし現状は私道であり、これらの対策を行うためには道路を市が管理する市道への認定が前提となる。
そしてこの認定には一般の交通の用に供されている公共性や構造基準の他に、無償譲渡による所有権の移転などの条件を満たす必要がある。本地区の私道についても地域から5年ほど前に市道としての管理や舗装の打ち変えについて相談があったため、市道認定に関して権利関係の確認や土地所有者の承諾についての助言などの支援を行ったところだ。
その後、地域と土地所有者との協議が行われたが、合意形成が図られず市道認定に至らなかったという経緯がある。なお舗装の打ち変えについては、平成25年度から26年度に私道舗装の制度を活用して市が実施したところだ。
このように市としても、これまで可能な対応は行ってきていて、今後も地域や自治会からの相談があればどういうことができるか改めて協議させていただきたい。
最後に、県に対し上藤松2丁目2番から7番にかかる地域の土砂警戒区域指定について申し入れるべきという質問だ。
土砂災害警戒区域は、土砂災害防止法に基づき急傾斜地等の崩壊などが発生した場合に、住民の生命または身体に危害が生じる恐れがあると認められる区域として福岡県が指定を行っている。この警戒区域は県が基礎調査を行って急傾斜地であれば傾斜角30度,高さ5m以上の要件に適合した個所について指定を行うものだ。本市においては、平成24年度と平成25年度と警戒区域と特別警戒区域の指定がなされて、現在それぞれ1307か所と1205か所となっている。
また門司区の上藤松地区においては、平成24年10月に県として地元説明会を開催していて、翌年3月には警戒区域の指定がされている。ご指摘の上藤松2丁目で発生した被害6件については、倒木2件、トタン屋根の被害1件、がけ崩れ3件となっており、このうち倒木2件と小規模ながけ崩れ2件の計4件が警戒区域の外で発生していることは承知している。これらの区域を新たに警戒区域に指定することについては、指定要件に照らし合わせると地形上難しと想定されるが、まずは市で現地を確認したうえで警戒区域の指定が可能かどうか、福岡県に相談したいと考えている。
■危機管理官
災害の発生が予想される区域の被害を未然に防ぐためには、民有地においては所有者、管理者等による適切な管理が求められている。本年8月に発生した台風15号では、門司区藤松2丁目のご指摘の山林におい倒木等が発生したため、その時点では消防局が応急的な措置を行っている。
その後、その山林については所有者が、山林の所有者だが、住宅地と隣接する部分の樹木を伐採しており、現時点では当面の切迫した危険性は除去されたものと認識している。
また本年10月には、門司区役所から土地の所有者に対して伐採した樹木の撤去など、所有地の適切な管理について申し入れも行ったところだ。当該区域については、隣接する風水害準危険区域の調査等にあわせて今後も現地を確認し、もし危険な状況になれば再度適切な管理を申し入れたいと考えている。
<第2質問以下>
■危機管理官
避難訓練の中で地域の方からいろんな声があると、いうことだ。現在、アンケートを取っているので、その結果をみながら次の訓練に向けて改善を図っていきたい。
町内会、未加入の方の参加。どれだけ参加したかはつかめていないが、訓練に際して地元の町内会では、町内会未加入の方には記名をいただいている。30数名の記名があったということで、現在、地元の自治会ではその加入促進に向けて働きかけを行っているという風に聞いている。
それから、要支援者の対象が少ないのではないかと、いうことだ。確かに私ども対象を絞り込む際に、マンションなど堅牢な建物の2階以上に居住している方とか、自力非難が可能な方とか、健康な方が同居していると、そういう方が常におられて大丈夫な方、それから医療機関とか介護施設等の施設に入所している方、ということで基本的にどなたか介助ができる、施設自体が安全であろうという方は除外している。真に援助が必要なかたをとにかくしっかりと絞り込んで、その方がたに対処していこうという風に考えている。
■建設局長
(上藤松2丁目の採石場跡地は地盤が固くて大丈夫と言える根拠はあるのか)
小規模なもの(崩落)は起きるだろうという見解は出ている。そして下に平地があるので土砂、岩が直接襲う危険性はないということは専門家には見てもらっている。風水害準危険区域に指定しているので、毎年みている。絶対に起きないとは言えない。自然の現象なので。そういう部分でもちゃんと観察している、見ている。そのなかで危ないという状況を見つけられたら、わたしどもは所有者に対してしっかりと改善を要望していきたい。
■建設局長
現在のところ、土砂災害警戒区域にまるまるかかっているというわけではない。絶対に安全かどうかというのは、その時々の災害による。市民センターとなれば地域コミュニティの核なので、例えばひびが入っているとか、補修もしなければならないということもあると思う。その時々の状況をしっかり見ながら対応していくことが必要だと思っている。
■建設局長
イエローゾーンがある。イエローゾーンの場合は、野外に出ているときに身体等に危険があるというゾーンだ。一般の家屋においても2階に行くとか、崖と反対側にいるとか、そういうことで安全を守れるのがイエローゾーンだ。レッドゾーンの場合は建物に直接被害が生じる恐れがあるということなので、一定の安全性は確保されていると考えている。
■建設局長
これまでも土砂災害対策については県に要望している。特に26年から県要望のなかでも最重点項目としてあげている。当然、法律で県が行うこととなっているし、ソフトは市がやることになっている。しっかりと県、市が土砂対策については対応していきたい。
以上