更新日:17年06月10日

2017年6月定例会 本会議質疑と当局答弁 出口成信議員 一般質問(30分)



2017年6月定例会 本会議一般質問と当局答弁

 

2017年6月8日(木)

◎出口成信議員 一般質問(30分)

日本共産党の出口成信です。会派を代表して、一般質問を行います。

まず、はじめに、5月7日夜、小倉北区清水二丁目の共同住宅「中村荘六」が全焼し、6名の方がお亡くなりになられました。改めまして、ご冥福お祈り致します。

 

今回の火災に関し、調査の結果、保健福祉局は「中村荘六」を簡易宿泊所ではなく共同住宅であるとしました。二階の窓から脱出し助かった高齢の方から、私はお話しを伺いましたが、「テレビを見ていたら人のざわめく声がし、部屋が真っ暗になった、熱と煙を感じ火事だと思い、逃げ出す間際、火災警報器が鳴り出した。隣の庭に飛び降り、振り返ったときは火の海だった」と聞き、私は木造共同住宅での延焼の早さを改めて感じています。

 

そこで、今回の火災に関連し、木造共同住宅の防火対策について、3点伺います。

今回のような木造共同住宅の火災事故では、一つの住宅用火災警報器が火事を感知すればすべての警報器が鳴る、無線連動型のものであれば、早期に発見し初期対応につながったと考えます。市はとりわけ、火の回りが速いと思われる中廊下式の木造共同住宅で、無線連動型火災警報器の条例による設置義務化と補助を検討していると報道されていますが、一刻も早い条例改正と公費での助成をするべきと考えます。答弁を求めます。・・・①

 

「中村荘六」は1962年施行の旧小倉市の火災予防条例以前に建てられたと思われる共同住宅のため、市への届け出の義務がなく、消防局の立ち入り検査は行なわれていませんでした。今回の火災を受けて、本市では、「中村荘六」と同規模・150~500平方メートルで、市に届け出ている木造の共同住宅1,135棟の緊急査察とその周辺エリアについて無届けの防火対象物調査を行っています。

 

2017年4月1日現在、本市の消防職員は982人ですが、この人員数は、国が示す基準人員数の1,039人を下回っており、充足率は94.5%です。また、火災の予防のために建物の立ち入り調査などを行う予防要員については、基準人員が132人ですが、実際の充足率は93.9%にすぎません。総務省消防庁は「消防力の整備指針」において、「住民の生命、身体及び財産を守る責務を全うするため、消防力の充実強化を着実に図っていく必要がある」とし、市町村の目標とするべき人員数を定めていますが、本市ではその目標を十分に達成できていません。ここにも、本市の職員8,000人体制の弊害が出ているのではないでしょうか。市は今後、無届の防火対象物を調査し、査察の実施が必要だとしていますが、現在の消防局の査察実施率は届け出されている物件だけでも毎年40%程度なのに、そこに、あらたな緊急査察は大変です。

そこで質問です、消防職員を融通して査察するのではなく、消防予算を増やし、消防職員適正配置のための増員を検討するべきと考えますが、見解を求めます。・・・②

 

「中村荘六」の住民16人のうち4人は生活保護の受給者でした。保護の決定には申請後14日から30日かかりますが、本市では、平均3週間の期間を要しています。保護決定までの一時的な滞在場所として、福祉事務所も「中村荘六」を情報提供していました。

 

今回の事故で、簡易宿泊所的な機能を担っていた「中村荘六」が失われたいま、これに代わる、施設・住居が必要です。

生活保護手帳では、住居のない人に対し、転居費用を支給できる要件として、「宿所提供施設、無料低額宿泊所等を一時的な起居の場として利用している場合であって、居宅生活ができると認められる場合」、また、「住宅が確保できないため、親戚、知人宅等に一時的に寄宿していた者が転居する場合」などを認めています。ということは共同住宅についても、保護決定までの一時宿泊施設として認め、転居費用等が支給できるものと理解していますが、見解を伺います。・・・③

 

次に、北九州モノレールについて質問します

まず初めに「可動式ホームドアの設置について」質問いたします。

全国のモノレール駅は2017年5月末時点で111駅ありますが、うち、ホームドアを設置している駅は52駅・46.8%です。北九州モノレールには13駅ありますが、いずれも可動式ホームドアの設置はされておらず、固定式の転落防止柵の設置のみで、乗降口には柵がありません。

過去5年、北九州モノレールでは、人身事故には至らなかったものの、ホームからの転落事故が4件、故意にホームから降りたケースが4件ありました。現在、モノレールの駅員の配置状況は小倉駅で2人、平和通駅で3人、企救丘駅で2人ですが、他10駅では1人のみとなっており、改札監視、監視カメラ、障害者利用客へのサポート等をすべて1人でこなしています。

ホームドアについては、整備資金や国の補助基準などを理由に設置に至っていませんが、市との勉強会や有効幅員等、駅ごとの検討も行っているという事です。ホームドアの設置費用は、国・地方自治体・事業者各々1/3の費用負担割合で設置することができます。ホームドアの設置により駅員の少ない駅での転落・接触事故等、人命を守る効果が絶大であること、それにとどまらず事故が発生したときの運行停止などの影響の大きさから考えても、早急に取り組むべき対策ではないでしょうか。 ホームドアの一日も早い設置を求めます。見解を伺います。・・・④

 

次に、「障害者が利用する際の利便性向上」について質問します。

現在、障害者が割引運賃でモノレールを利用する際は、ボタンで駅員を呼び出し、障害者手帳を駅員に確認してもらって、割引乗車券を購入する流れです。モノレール小倉駅は障害者も含め、一日約17,000人が利用していますが、一日のうち約90回の、ボタンでの呼び出しがあるそうです。障害者は利用のたびに駅員を呼び出し、手帳を見せなければならず、「精神的に苦痛である」と訴えていますし、駅員も大変です。

また、改札口を通る際は、乗車券のQRコードを改札機の小窓で読み込ませることで通過しますが、視覚障害者にとっては、乗車券は触っても表裏が区別できませんし、さらに改札機の小窓の位置も特定しづらく、大変不便です。

障害者にとって不便なこれらの手続きは、すべて不正防止のためとのことですが、西鉄バスのように、モノレールIC乗車券に障害者割引機能を付ければ、この不便が解消出来ると考えます。合理的配慮の観点からも、見解を伺います。・・・⑤

 

最後に、公園のトイレの洋式化についてお尋ねします。

多くの高齢の方から「公園のトイレは和式が多い、足が悪くしゃがめないし、立ち上がれない、洋式トイレにしてもらいたい」このような声を伺います。

本市は「トイレの設置基準」に基づき、800㎡以上の公園を対象にトイレを設置するとしています。公園トイレは主に公園利用者が利用するために設置されていますが、公園利用者に限らず、公園付近を、通行している方も利用しています。さらに、災害時には多くの近隣住民が集まる場所として、公園を利用することも想定でき、公園トイレは有効に活用されると考えられます。

本市の有料公園を除く都市公園は現在1,707あります。そのうち、トイレのある公園は396、トイレは491棟あります。

2010年7月にはトイレの改修基準を定めて、各区のまちづくり整備課等の関係部署に、周知を図ったという事ですが、まだ多くの公園のトイレが和式便器のみとなっている現状です。また、市は基準のなかで、町内会等地元での合意が得られれば、洋式への改修を検討するとしていますが、例えば、洋式か和式かの取捨選択を迫るような、便器が1基しかないトイレでは、地元の合意を得るのは困難であるのが現状です。

高齢化の進展、今の子供たちの生活様式の変化、ユニバーサルデザイン等、様々な要因の影響を受けて。東京都板橋区では今年3月2日の本会議で「公園・公衆トイレの洋式化を求める」陳情が全会派一致で採択され洋式化が進められています。本市の公園でも、複数の大便器があるにもかかわらず、そのすべてが和式便器のみとなっているトイレ63棟(男女共用で11棟、男子トイレ4棟、女子トイレで48棟)について、地元任せにするのではなく、市の主導で、複数便器のうち1つを洋式便器に変えるべきではないでしょうか。見解を伺います。・・・⑥  以上、第一質問を終わります。

 

出口成信議員への答弁

■市長

(木造共同住宅の火災対策について)

本年5月7日、小倉北区清水で発生した共同住宅の火災は、6名の尊い命を奪った。市民に不安を抱かせる事態となったことにたいし、非常に重く受け止めている。今回の火災原因はまだ特定されていないが、これまでの調査状況から主な課題として、使用開始届けなどが提出されておらず共同住宅として把握できなかったこと、また建物の構造が木造の中廊下式であったため、火炎が急速に拡大したと考えられること、また出火個所が共用部分と推測され各居室での気づきが遅れ、避難行動が遅くなったと考えられることなどと認識している。

このような課題に対し、特別査察による防火指導やローラー作戦による未届け建物の確認など、すでに取り組んでいるものの他、未届け建物を把握する対策として町内、JIS、地理情報システムを活用した検索システムの検討、また火災予防研修を受けたケースワーカーに因る被保護者に対する火災予防啓発や、警報機などの設置状況の確認とあわせて消防への情報提供を行う仕組み作りなど、早急に進めているところだ。

今後の取り組みの方向性。今回の課題を踏まえ自動火災報知設備が法令上設置義務となっていない延べ面積が500平方メートル未満の木造共同住宅にたいし、何らかの火災予防対策の強化を講じていきたいと考えている。

無線連動型の住宅用火災警報器については、一つの警報機が煙を感知したときすべての警報機が一斉に作動するものだ。火災の早期発見と速やかな避難にとって有効性が高いのではないかと考えている。その有効性を検証するため、特別査察において火災があった中村荘6と同じ中廊下式の建物の洗い出し、またモデルハウス、模型を使用した火炎の拡大状況などの確認、また警報機の有効な設置個数を算出するため、実際の共同住宅を使用した音量の測定、これらについて取り組んでいる。

これらの検証結果と、6月30日を目途に進めている特別査察の結果を踏まえ、具体的な対策を取りまとめたいと考える。今回と同様の悲惨な火災を発生させないため、関係部局や関係機関、また消防団などともいっそうの連携を深め、市民の安全・安心の確保に努めていく。

(消防予算増について)

市町村が保有する消防力については、国が示した消防力の整備指針を指標として地域の実情も踏まえ、自主的に整備することとされている。一方、火災予防査察は年度ごとに作成する査察基本計画にのっとって、多数の方が出入りするなど危険度の高い建物など、その建物の用途や違反状況に応じ、1年から5年のサイクルで実施している。

また査察実施体制については、予防担当職員はもとより消防、救急活動を行う警防課職員にも査察を担当させ、効率的に進めているところだ。この結果、本市の査察の実施率は毎年度10%前後で推移しており昨年度の政令市平均の32%を上回っている。さらに社会的影響の大きい火災などの発生に伴って実施する特別査察についても、あらかじめ査察基本計画に想定している。

近年では平成25年に福岡市で発生した有床診療所火災や、平成27年に川崎市で発生した簡易宿泊所火災などを受け実施したところだ。今後とも、必要な部署には必要な人員を適正に配置するという考え方のもとで、効率的かつ効果的な人員の配置に努めていく。

 

■保健福祉局長

(共同住宅と生活保護の一時宿泊所の関係について)

まず住居がない方への対応だが、生活保護の相談窓口には様々な事情でホームレスになることを余儀なくされ、保護の相談申請に来られる方がいる。そのような方に対して本市がホームレスを支援する施設として設置した小倉北区の自立支援センターへの入所をまず進めるということをやっている。しかしながらセンターでの見知らぬ方との共同生活を望まないという方もいる。そういった場合には、居住場所として中村荘のような生活保護基準額以内の家賃である民間住宅の情報を提供することもある。

生活保護の住宅扶助についていうと、そのような住宅に入居するようになった場合、保護開始決定後に家賃等の入居費用を保護申請時にさかのぼって生活保護基準の範囲内で給付している。またその住居から保護開始後の生活の本拠となる住居にさらに転居する場合には、その際に必要な敷金等住居にかかる費用についても、生活保護の基準額の範囲内で給付することとなる。

今後も生活保護申請者の住居にかかる費用については、生活保護制度に沿って適切に対応していきたい。

 

■建築都市局長

(北九州モノレールについて)

まずホームドアの設置について。国土交通省では視覚障害者の転落死亡事故をうけ、駅ホームにおける安全向上のための検討会を設置し、昨年の12月に中間とりまとめが発表されている。その中でホームドアの設置については、1日の利用者が10万人以上の駅を補助対象とし、設置可能な駅から優先的に平成32年度までに完了することとしているが、本市にはこの対象となる駅はない。

また視覚障害者がホームの内側と外側を区別することができる内方線付き点状ブロックについては、健常者にとっても転落防止に有効と考えられ、ホームドアと比べても安価に設置できるため、1日の利用者が1万人以上の駅において原則平成30年度までに設置することとしている。

内方線付き点状ブロックについては、北九州モノレールにおいては全駅で設置が完了している。またこの中間とりまとめでは、ハード面での対策が完了するまでの間は、ソフト面の取り組みも一層力を入れた取り組むこととしている。これを受け北九州モノレールでもかねてより駅員による積極的な声かけを行い、必要に応じてホームまでの介助を実施していたが、今回障害者団体との健退共交換の場を定期的に設けたところだ。

さらに本年当初の3月、酒に酔った方の転落や飛び降り事故を受けて、転落者を発見した際の対応や転落への注意喚起を促す掲示物などを新たにホームに設置するなどの対応を行っている。

ご質問のホームドアの設置についても、破格の低廉化や技術面での改良が進んできたこともあり、昨年度より設置の可能性について勉強会を始めたところだ。本市としてはこの勉強会の動向を注視するとともに、北九州モノレールとともに研究を進めていきたい。

(障害者用IC乗車券の導入について)

モノレールの切符はこれまでは磁気切符で、改札機の不具合によるトラブルが多かったことから、平成27年10月に導入したICカード、モノスゴカにあわせてメンテナンスの手間や費用が軽減できるQR切符に変更した。現在、障害者が割引運賃によるモノレールを利用する場合には、ICカード定期券を購入していただくか券売機で割引ボタンを押していただき、過失や不正防止の観点から駅員が障害者を確認の上で切符を購入していただくこととしている。

また障害者手帳を確認するメリットは、不正防止のみならず乗車時に手帳を確認し介助の必要性を降りる駅の乗務員や支援員に連絡することで、全員で確認することとなりホーム転落等の事件を最大限減らすことができると考えている。これによって障害者の方には不便をかけることとなるため、障害福祉団体連絡協議会において事前に事情を説明し理解をいただいたうえで手帳の掲示をお願いしていると聞いている。

さらにお急ぎの場合などは、切符を購入せずに乗車し降車駅の窓口で手帳を提示することにより、清算の際に割引運賃が適用できるなど柔軟な対応も行っており、このような対応は障害がある方に対する不当な差別的扱いにはならず、合理的配慮はなされていると考えている。

お尋ねのICカードへの障害者割引機能の導入については、モノレールのシステムがJR九州のスゴカであるため、JR九州のシステム改修が必要になる。JR九州とモノレールでは障害者割引の内容が異なるため、独自のプログラムを導入する必要があること、このようなことから多大な費用を要するため現時点での導入は困難だと考えている。

今後とのモノレールが市民にとって利用しやすいものとなるよう、市としても北九州モノレールとともに良好な輸送サービスの提供に取り組んでいきたいと考えている。

 

■建設局長

(公園トイレの洋式化について)

複数便器のある公園トイレは、市の主導で一つは洋式化すべきというお尋ね。

公園トイレの整備や改修については、平成22年に方針を定めており、このうち市民に身近な大規模公園でのトイレの新設は、面積が800平方メートル以上の公園であること、公園愛護会や自治会等からの設置要望があり清掃等の管理が地元で実施されること、などの条件が整った場合に整備することとしており、その際に洋式、和式の選択については地元要望に応じて決定することとしている。

また近隣公園以上の比較的大きな公園については、公園の立地条件、利用形態を勘案し、1公園あたり最低1か所は様式である多機能トイレを設置することしており、これまでに市内全体の無料公園で491か所のトイレのうち多目的トイレを含む洋式トイレを140か所、190基整備している。

一方、既存トイレの改修についても公園愛護会や自治会等の要望があることや、構造上、和式から洋式への変更が可能であることなど、一定の基準を満たすトイレについては洋式化を進めているところであり、複数の便器がある場合にも同様だ。

これまでに曽根公園をはじめ9公園で地元要望を受け和式から洋式に改修をおこなっており、今年度も本城公園での改修を予定している。

このように公園トイレの整備や改修に地元の同意を求めているのは、設置の際に近隣住民の理解やいたずらに対する見守りが必要であり、また一部トイレについては清掃等に協力いただいているためだ。また要望件数として多くないのは、依然として利用者のなかには洋式便座の使用に抵抗感を持つ方がいることや、制度の周知が足りない面もあると考えている。従って公園トイレの洋式化については、改めて現在の制度について公園愛護会や自治会等へのいっそうの周知を図りながら、地元要望にそったトイレの環境整備に努めていきたいと考えている。

 

<第2質問以下への答弁>

■保健福祉局長

(生活保護申請者に紹介できる、中村荘6に代わる施設はあるのか)

まず具体的な話をすると、中村荘6の火災を受けて、同じ中村荘というのは他にも2か所あったわけで、そこの防火上の対策ができているかというのは、一応点検は済んでいる。従って、中村荘6は焼失したが、それに代わる似たような一時的な場所はあるかという質問には、ある、ということだ。

もう一点、住居がない方が生活保護の相談に来られて、場合によっては中村荘のようなところに入っていただくわけだが、中村荘は1日500円とか900円ということだが、そういう金額の設定ではなくても、月額家賃いくらというところでも一時的な滞在場所として、生活保護の中で認めるということはできる。

 

■保健福祉局長

(ホームレス支援センターを支援すべきと考えるが)

ホームレス自立支援センターは、もともと国の事業も活用して北九州市がNPOに事業を委託しているというもので、支援というか市の事業としてもともとやっているものだ。

以上

 

 

 

 

 

 

 

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