更新日:17年06月10日

2017年6月定例会 本会議質疑と当局答弁 藤元聡美議員 一般質問(30分)



2017年6月定例会 本会議質問と当局答弁

2017年6月8日(木)

◎藤元聡美議員 一般質問(30分)

日本共産党の藤元聡美です。会派を代表して一般質問を行います。

まず最初に、教育問題について伺います。

本年4月より、県費負担教職員の権限が福岡県から本市に移譲され、学級編制の基準、教職員定数などが独自に行えることになりました。

本年度から国と直接交渉を行なうことが出来るようになり、その結果、加配教員が増えたことで35人以下学級実施の裁量制の範囲が広がり、小学5,6年生と中学2年生にも実施されることになりました。これで小中学校全ての学年で35人以下学級が実施できる条件ができたのは一歩前進です。

本年度は、35人以下学級を裁量制で実施できる対象校が、小学校では58校、中学校では41校となりました。

しかし実際には、35人学級を選択しなかった学校が小学校では14校、中学校では29校にものぼります。

35人以下学級を行う場合、少人数加配教員を担任にするか、少人数指導等の担当として配置するかの判断が求められます。少人数加配教員を担任にしてしまうと、学級担任として勤めを果たすため、少人数指導として他のクラスに入ったり、休んだ教員の代わりを務めることはできません。万が一、休む教員がいた場合、対応できないという心配が増えるのです。

せっかくきめ細かい教育を行うチャンスができたのに、踏み切れない。そこには、35人以下学級が、あくまでも裁量制であり、学校現場では教員数が、絶対的に足りていないという現実があるのではないでしょうか。

中学校では、クラスが増えた分だけ教科別の指導教員が必要となるため、各教科担当が、授業時間数が増えても、こなせる人員がいるという条件整備が必要です。思い切った教員の増員が必要です。ここに力を入れなければ、いつまでたっても全ての学年・クラスで35人以下学級は実現できません。

本市は「子育て日本一を実感できるまちの実現」を謳っております。

権限譲により、本市が独自で教職員定数の配置を決めることができるようになった今こそ、35人以下学級を裁量制ではなく、35人学級を前提とした教員配置を行うべきです。そのために、予算を付けるべきと考えますが、答弁を求めます。①

 

本年5月1日現在の調査では、教員の定数が、小学校では2738人に対し、2724人しか埋まらず14人の欠員、特別支援学校でも定数626人に対し3人の欠員が出ています。これでは教員は、病休や産休、育児休業、年次休暇も安心して取ることができません。

前回の2月議会では、教育長から、正規教職員の比率について正式採用の教員を増やすと40年近く働いてもらわなくてはならない。児童生徒数の見込みも考えて、将来的な見通しの中で判断していくとの答弁がありました。

しかし、講師の採用については、2016年5月の調査では、学校支援講師も含め、予定はしているが講師の配置ができていない講師の数として22人、19校にものぼっています。産休、育休代替教員の不足も慢性的に起こっています。

そのような事態に対して、2月議会の答弁では、加配の教員、あるいは教務主任、あるいは教頭が対応しているので、子どもたちには大きな迷惑はかかっていないと言われましたが、この認識は事態を軽視しすぎではないでしょうか。

何十年も先の教員の需要予測のために、今の現場の児童生徒に向き合う教員が足りない。それを講師でのりきろうという考えはきっぱり改めるべきです。

講師に頼るのではなく、正規教員の大幅な増員をはかるべきと考えますが、答弁を求めます。②

 

次に、旧八幡市民会館の存続を求めておたずねします。

市民の多くの反対の声を押し切って、公共施設マネジメントの総量抑制の考え方などによって、八幡市民会館は2016年3月に廃止されました。

建物の存続を願う日本建築学会や様々な団体・市民からは、保存を求める要望書や署名が次々と出され、ユネスコの世界遺産選定に協力をしている国際学術組織ドコモモジャパンからは、重要建築物の喪失の危機に対して警鐘を鳴らすという趣旨で「日本におけるモダン・ムーブメントの建築184選」として市民会館が選定されました。さらに、本年2月には再度、ドコモモジャパンから市長に対して「八幡市民会館の保存活用に関する要望書」が提出されています。

これらの要望書には、市民会館を設計した村野藤吾氏が、八幡で青春時代を過ごし、文化勲章を受賞した日本を代表する建築家であること、八幡市民会館は、八幡大空襲で大きな被害を受けた八幡の平和復興と、市民文化と社会教育の発展の思いがこめられたかけがえのない建物であること、デザインと音響の良さ、近年の世界的な流れに従い、文化的価値のある建物は修復や補強を行いながら使い続けるべきであることがうったえられています。

このような市民や利用者および建築専門家の声に、真摯に耳を傾け、改めて歴史的建築的価値および市民文化の発展のために、八幡市民会館を存続して活用すべきではないでしょうか。

そこで質問です。市長は「八幡市民会館」の価値についてどのような認識を持ち、日本建築学会やドコモモジャパンの見解をどのように捉えているのか、おたずねいたします。③

 

八幡市民会館の建物は、意匠が凝らされた1400席あまりの大ホールと、工芸教室や染色教室、美術展示室とで構成されています。建築時には、アメリカのアジア財団からの寄付金をはじめ、多くの市民や民間企業からの寄付が寄せられています。当時より、創作活動を通じて市民文化を発信し、民主主義を育てる施設として市民に愛され、街とともに成熟してきたのです。この点にも八幡市民会館には、単なる貸しホールだけではない魅力が詰まっています。このような観点と市民感情を抜きにして、市立病院整備と市の財政事情を口実に、閉鎖の決定を下した市当局に市民は不満を抱いています。リボーン委員会の提案はありますが、それ以外にも、多面的な要望はたくさん出ています。市民団体である「八幡市民会館の活用を求める連絡会」が先日行ったアンケート調査では、こんな声が寄せられています。

「大ホールは市民にとって必要。大勢で集まることができないのは市民活動の低下につながる」「八幡の文化ゾーンとして東田、百三十銀行、市民会館を回遊する遊歩道でつないでアピールしてほしい」「合唱の発表場所がなくなり、困っている」などです。

公共施設マネジメントでは、住民の意見・要望を尊重して住民主体で進めていくことが最も大切なことです。それをふまえてこそ、長く市民に愛され、活用できる施設づくりができるのです。

さらに建築専門家である日本建築学会やドコモモジャパン、早稲田大学も保存活用に向けて学術的観点から協力を惜しまないと言っています。

5月10日に行われた教育文化委員会では、市民文化スポーツ局は建物の取扱いが決まっていないから文化財としての評価ができないとの答弁でした。

翌日の総務財政委員会では、企画調整局は公共施設マネジメントとしての観点からリボーン委員会提案を検討していく。文化的価値の判断は、市民文化スポーツ局の仕事と答弁し、全く共同作業をしている様子がありませんでした。

市民文化スポーツ局と企画調整局は合同で、しっかり連携して検討作業・協議を行うべきです。さらに、建築専門家や市民の代表を入れた検討委員会を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁をもとめます。④

 

八幡市民会館を文化的歴史的建造物として保存・活用していくためには、国の2種類の補助制度を使うことも1つの選択肢です。

一つは、文化庁の「登録有形文化財建造物修理事業」で、築50年以上の建築物を対象とした登録有形文化財建造物に届け出をして登録されれば、設計監理費用が補助の対象となります。

もう一つは、「文化財建造物等を活用した地域活性化事業」で、登録有形文化財等になれば、自治体等が実施する事業や工事に補助が出る制度です。

公共施設マネジメントで財政問題をいうのであれば、この二つの制度などを活用して、市民会館の保存活用を進めるべきと考えますが、答弁を求めます。⑤

以上で、第一質問を終わります。

 

 

藤元聡美議員への答弁

■市長

(旧八幡市民会館について)

本市では地域の歴史文化を理解するうえで、長く受け継がれてきた固有の伝統文化や建造物等は、重要な資産だと認識している。このような貴重な資産は、文化財として国や県のみならず市でも指定をして保存活用を図り、例えば門司港レトロ地区や木屋瀬地区などでまちづくりに取り組んでいる。

文化財以外でも平成16年に国の景観法が制定される以前の昭和60年に、北九州市都市景観条例を制定し、平成25年に北九州銀行門司支店やNTT西日本門司ビル、また若松区の栃木ビルや石炭会館などを景観重要建造物に指定するなど、良好な景観を形成する町づくりにも取り組んできている。

一方で、すべての歴史的建造物を保存することは困難であり、個々の建造物の取り扱いは様々な観点から総合的に判断することとなる。

旧八幡市民会館の取り扱いについては、著名な建築家である村野東吾氏が設計した建物であること、様々な市民の意見、公共施設マネジメントの総量抑制の考え方、さらに保健病院委員会からいただいた所管事務調査での提言などを市全体として総合的に判断し、平成26年3月、平成27年度末をもって市民会館の機能を廃止すること、機能廃止後の建物の取り扱いについては、民間活力の活用を前提にして検討を行うという内容の方向性を定めた。

この方向性に基づき、平成27年3月議会で設置管理条例を改正する議決をいただいて、平成28年3月31日付で市民会館としての機能を廃止したところだ。この八幡市民会館の廃止に向けては、利用している100以上の団体に対して丁寧に説明を行い、市の方向性について概ねご理解をいただいた。

旧八幡市民会館は本市にゆかりのある村野東吾氏の設計で、長年市民に親しまれてきた建築物だ。建設当初の昭和35年に日本国内の優秀な建築作品におくられる日本建設業連合会のビーシーエス賞(?)を受賞し、27年6月にはドコモモジャパンより、日本におけるモダンムーブメントの建築184選に選定された建築物であることは認識している。

 

■教育長

(35人以下学級について)

今年度から校長などからの要望も踏まえて、小学校5,6年生および中学校2年生についても配置される加配教員を活用して、校長の裁量により35人以下学級が実施できるようにした。

実態だが、35人以下学級になっている割合は、小学校では昨年度は91%だったが、今年度は95%程度になっている。中学校は70%前後だったものが約77%ということで増えている。実施校の割合も小学校、中学校ともに増えており制度の拡充を学校現場は十分に活用している。

これまで人員や予算の制約がある中での学校現場などとの意見交換を行いながら、制度の工夫拡充につとめてきたところだ。裁量制については校長から35人以下学級の実施を自ら判断できることはありがたいという意見もいただいている。また35人以下学級を選択しなかった理由だが、例えば児童生徒の状況から少人数指導などを行う方が学校運営をスムースに行えるといった場合、あるいはより充実した授業の実施や教員の負担軽減の観点から、専科指導を活用する方が効果的、こういった判断もあり、教育委員会としては人員配置の状況だけがその判断理由ではなかったと考えている。

本市独自の教員配置による35人以下学級の実施については、現行の40人以下を基準とする国の制度の下では教員の確保や教室の整備に多額の経費を要することから困難だと考えている。本市としてはさらに35人以下学級を推進するためには、国の制度の充実が不可欠と考えており、引き続き国に対しては本市だけではなく、指定都市教育委員・教育長協議会を通じて学級編成基準の見直しや教職員の配置充実について要望していきたい。

もう一点、正規教員の大幅な増員を、という点。

教員の確保は喫緊の課題として考えており、本市としては前年退職者の再任用の拡大、あるいは市内および市の近隣や県外の教員養成課程のある大学への働きかけ、また学校を通じた退職者などの教員免許保持者の掘り起し、こういったことに全力で取り組んでいるところだ。

しかしながら、講師を含め教員が不足しているのは本市に限らず、全国的な課題であることから教員養成の全体的な施策に関わることでもあると考えている。その上で正規教員の毎年の新規採用者数は、学級数、退職者数、あるいは再任用の数、こういったことを総合的に勘案して次年度の欠員予測を立てたうえで決定をしている。

来年度の採用者数だが、今年度よりも約30人多い213名を予定している。その内訳は、特別支援教育及び英語教育の充実、児童生徒の体力向上などに資するため特別支援学校、中学校の英語、中学校の保健体育、こういった教員の新規採用を重点的に増やしている。

正規教員の新規採用のあり方については、児童生徒数、学級数に応じて法により定められている教員定数およびその長期的な見通しの下行わなければならないと考えている。今後とも優れた資質を持つ教員を確保しつつ、全体の年齢構成などを踏まえ新規採用を行っていきたい。

 

■企画調整局長

(旧八幡市民会館問題での各局連携について)

八幡市民会館については、市全体として総合的に判断し市民会館の機能を廃止し、機能廃止後の建物の取り扱いについては民間活力の活用を前提として検討を行うという内容の方向性を定めている。この方向性に基づいて平成27年3月議会で、設置管理条例を改正する議決を受け、平成28年3月31日付で市民会館としての機能を廃止した。

建物の利活用策については、市民や企業、大学、まちづくり団体等によって構成される八幡市民会館リボーン委員会で2年以上にわたり検討が行われてきた。4月13日にリボーン委員会から旧八幡市民会館再生に関する提案とお願いとして、建物の利活用に関する提案をいただいている。市が従前から、リボーン委員会の提案も参考にしながら建物の取り扱いを決めていきたいという方針を示しており、関係局と連携の上公共施設マネジメントの視点を踏まえ、建物の取り扱いについて検討していきたいと考えている。

なお八幡市民会館の機能を廃止する条例案を承認いただき、すでに廃止していること、現在、公共施設マネジメントで公共施設の集約を図っていることなどから、再度市民会館の機能を持った建物として利活用することは考えていない。

現在、リボーン委員会の提案内容を検討している段階なので、ご指摘の外部の検討委員会を設けることは考えていない。

 

■市民文化スポーツ局長

(旧八幡市民会館の活用を国の補助制度も利用して)

国は文化財保護法の趣旨にのっとって、文化財の適正な保存管理とその活用を図り、もって文化財保護の充実に資することを目的に、各種の補助制度を用意している。議員ご指摘の登録有形文化財建造物修理事業については、文化財の修理工事費等の50%が補助される制度だが、補助対象経費は設計料及び管理料となっており、大部分を占める工事費等は対象外とされている。

また文化財建造物等を活用した地域活性化事業については、公開活用して地域活性化を促進するために保存活用計画の策定や設備整備、また耐震対策を行う場合にその工事の50%が補助される制度だ。しかしながら、国の29年度予算によるとこの事業における1件あたりの平均補助額は、500万円程度となっている。

いずれにしてもこれらの補助制度を活用する場合は、その前提条件として所有者の了解のもとに国登録の文化財建造物となることが必要だ。旧八幡市民会館については、建物の取り扱いが決まっていない現状においては、市として国の登録有形文化財建造物への登録を行うことは考えていない。

 

<第2質問以下への答弁>

 

■市民文化スポーツ局長

(八幡市民会館、利活用方法が決まらなければ文化的評価もできないということか)

登録文化財に関しては、所有者の了解のもとにという言葉を紹介させていただいた。文化財保護法上、文化財の保存というものは保存活用を図る所有者の意思が基本になるものだ。八幡市民会館、市が所有者だ。市の所有の建物の取り扱いが方針として決まっていない現状だ。そういう状態なので、建物の取り扱いが決まっていない段階では、文化財保護法上の文化財ということを論じる状態ではないということでお答えしたところだ。

 

■市民文化スポーツ局長

(利活用方法が決まらないと評価できないのか)

文化財保護法上は、所有者の意思がはっきり必要とされる。そういう意味では、仮にということに関しては、いまこの場でお答えするのは控えさせていただく。その場、その場で所有者の意思が確認できないと、文化財としての溯上として乗ることはできない。

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