2017年9月定例会 本会議質疑と当局答弁 藤沢加代議員 議案質疑(30分)
2017年9月8日(金)
◎藤沢加代議員 議案質疑(30分)
私は日本共産党市会議員団を代表し、議案質疑を行います。
- 議案第83号一般会計決算について3点質問します。
(1)第1に歳入決算のうち市税収入の特徴についてです。2016年度予算は、「未来を拓く、まち・ひと・しごと創生予算」と銘打ち、①「ものづくり、環境など本市の強みを活かした『しごと』を創出」②「女性・若者の定着やアクティブシニアの移住など、新しい『ひと』の流れをつくる」③「安心して子どもを生み育てることができる『まち』の実現」④「健康で活き活きと安心して暮らせる『まち』の実現」等4つの柱を重点的に取り組むべき課題として掲げました。安倍内閣の提唱する「地方創生総合戦略」に沿ったものです。
昨年の予算議会においてわが党はこの予算案に対し代表質疑で、2006~7年度以降人口は減り続け、従業者数や、人口1人当たりの課税対象所得、製造品出荷額等、小売業販売額の全ての指標で後退していることを紹介し、「本市再生のためには、その要因を明確にし、対策を出発点にすべき」と指摘しました。
依然として本市の人口減と若年層の流出には歯止めがかかりません。
昨年度の市税収入は、1,561億2,700万円で対前年度4億5,100万円、0.3%の減となりました。国の税制改正に伴い、法人市民税の法人税割税率が引下げられ、120億400万円に止まりました。2年連続の減少です。個人市民税は、所得割納税義務者が前年度より約4,100人増となり、0.8%の増467億5,900万円となりました。その他の市税では固定資産税は前年並み、軽自動車税は税率引き上げで15%増、市たばこ税は売渡し本数の減少により、1.8%の減となりました。そして、地方交付税は、臨時財政対策債260億1,900万円と合わせて、総額765億2600万円で、対前年度45億6,700万円5.6%の減となっており、苦しい財政といわねばなりません。
市税収入を当初予算との比較で見ると、法人市民税は減収となっても個人市民税や固定資産税などにおいて増収が見込まれるとして、前年度に比べ7億10万円0.4%の増としていました。個人市民税も所得の増加が見込まれることなどから、対前年度比5億2,700万円増としていましたが、467億5,900万円で予算に対し3億6,000万の減となりました。市民所得は予算通りには上がりませんでした。市民1人当たりの課税対象所得は124万7,000円で、20政令市中熊本市と並んで最低レベルです。
法人市民税も予算を下回りました。業種別課税額をみると建設業で13%、卸小売り・飲食業で9%の伸びは見られるものの、製造業では約5億円の減、金融・保険業も4億7,000万円29%の減となるなど景気の回復は道遠しです。軽自動車税の増収はほぼ予算通り、市たばこ税は予算以上の減収となりました。
一方、市税収入率は97.9%で6年連続上昇し過去最高です。6月議会の債権管理条例の議論でも明らかになったように、2006年3月以来収入率の向上と収入未済額の縮減を図るため、差し押さえ等の処分で徴収強化を図ってきた結果です。
そこで質問します。このような市税収入の特徴から市長は市民の生活をどのように感じておられますか。私の目から見れば、安倍内閣の国民いじめともいえる消費増税を始めとする税制改悪の結果生じた収入の減を、庶民の軽自動車税や市たばこ税の増税、そして市税の徴収強化によって補おうとしているようにしか見えません。答弁を求めます。①
2015年度に港湾整備特別会計の埋立事業が破綻し、同年度末で埋立地造成特別会計は廃止、404億円の第三セクター等改革推進債の発行等により市債残高が過去最高に膨れ上がりました。三セク債の発行額は2015年度末の市債残高420億円から基金残高16億円を差し引いた金額、向こう20年間でこの404億円の元金と利息を償還することになりました。市債利子も含め総額452億円、今後の売却地のインフラ整備に60億円を見込み、今後の一般会計からの支出は512億円の見込みとなります。残りの未売却地の資産は、未竣工地も含め148ヘクタール311億円、貸付収入や特別交付税等を見込んでも、差し引き186億円の不足は今後市民の負担とされました。
2016年度決算では、分譲地の売り払い収入9億円は予算の17億円の53%、約半分しか売れていません。土地貸付収入も同様に予算額7,695万円に対し、決算額は6,759万円で、予算額の88%です。これらの収入を元利償還の27億円から差し引いた一般会計の負担は18億円となりました。今後19年間こうして一般会計の負担が続くことになります。元利償還と予算目標に到達しない土地売却や貸付収入が毎年度一般会計を圧迫することについての認識をお答えください。②
2016年度は教育委員会制度が大きく変わりました。安倍内閣の教育委員会制度の改悪によって、教育委員長と教育長を統合した「教育長」職が設けられ、元は教育委員会にあった教育長の任命権は市長が持つことになり、市長の権限が大きくなりました。
2016年度の教育予算は、市長出席の総合教育会議で策定した「北九州市教育大綱」の「本市が誇る文化芸術・スポーツ、歴史などの特性を活かした教育の推進」や「特別な配慮を必要とする子どもの支援」そして市長の政策意図を反映した「少子・高齢化社会を踏まえた公共施設マネジメント」など4つの柱に基づいて編成されています。
近年、子どもの貧困、不登校、いじめ、自殺、教員不足、多忙化など学校を取り巻く課題が複雑・困難化していることは文科省も本市教育委員会も認めるところです。学校が抱える様々な課題解決のためには、何よりも教職員増が望まれます。ところが、2016年度もそして今年度も、定数内の教員を配置できない状況が生じています。昨年度は11人の教員が配置されない状態で新年度がスタートし、産前産後休暇や育児休業の代替教員25人が配置されないままに年度末を迎えました。本年4月から教職員の給与負担等が政令市に権限移譲となり、学級編制基準を本市独自で設定できることになりましたが、今年度も17人が未配置でスタートしました。今年度の予算議会においてわが党田中議員の新規採用増を求めた質問に対し、教育長は「児童生徒数、学級数に応じて法により定められている教員定数、及びその長期的な見通しのもと行わなければならない」と答弁しました。要するに、将来子どもの数が減るので教員は増やさないということです。今の子どもたちにしわ寄せがあっていいのでしょうか。定数は法律で決まっていると言いますが、今年7月1日現在で定数内の講師は小学校305人、中学校134人合わせて439人もいます。1年契約の非正規の教員です。期限付きの配置は働く側にとっては非常に不安定で講師不足は深刻です。
2年連続の未配置は許されません。正規の教員を増やすしか解決の道はありません。答弁を求めます。③
2.議案第116号「北九州市自動者事業使用料及び手数料条例の一部改正について」1点質問します。
本議案は、運転免許証を自主返納した75歳以上の高齢者と妊婦及び6歳未満の子ども、そして精神障がい者の運賃を5割引きあるいは無料にする提案です。運転免許証を自主返納し運転経歴証明書を交付された75歳以上のすべての人に、市営バス路線のうち、「北九州市内区間」で75歳以上が利用できる「ふれあい定期」運賃を5割引きにする、妊婦のバス料金を5割引きにし、1歳から6歳までの子ども運賃を現行の2人まで無料から全員無料にする、さらに精神障がい者の割引は福祉優待乗車証制度により既に市内居住者には適用されていましたが、市外の方も追加するものです。いずれの支援策も一歩前進と歓迎すべきものです。
そこで運転免許証返納者への支援に限定しておたずねします。交通局の試算によれば、市内の免許証自主返納者の割合は平成28年推計で約3.3%です。今回の支援策で自主返納率が1.5倍に増加することを見込み、これまでバスを利用していなかった免許証自主返納者の増収分が妊婦、幼児、精神障がい者支援の負担分を約126万円上回ると見込んでいます。昨年の本市の交通事故発生件数は、一昨年と比較して、減少していますが、高齢者の加害事故は増加しています。
運転免許証自主返納者への支援策は全国で広がっています。本市も他自治体の情報を収集しているとのことですが、今回の改正案による支援は市営バスの利用者しか受けられません。全市への拡大が求められます。全国では、自治体の交通費割引等の支援のほか、民間の金融機関や企業や商店など幅広い支援が広がっています。そこで、本市においてもモノレールやJR、既に65歳以上のグランドパスの1,000円割引を行っている西鉄グループや、10%の割引支援を実施しているタクシー会社も含めた公共交通機関、さらに他の企業団体にもサービスの実施・拡充を呼び掛けるよう求め、見解を伺います。④
藤沢加代議員への答弁
(3セク債について)
港湾整備特別会計の埋め立て事業については、平成27年度に3セク債を活用して埋め立て事業を清算するという抜本的改革を行った。それにより一般会計に多大な負担が生じることとなった。このため平成26年度に設置した北九州市臨海部産業用地分譲推進本部のもとで、市役所一丸となって戦略的なセールス活動を展開し、分譲地の早期売却に鋭意努めることで一般会計の負担の軽減を図っているところだ。
具体的には、東九州自動車道などの全線開通などにより、物流拠点として優位性を高めつつあるマリナクロス新門司では、物流事業者や中古車関連産業、また環境エネルギー産業の集積を進めているひびき灘地区では、風力関連産業やバイオマス発電関連産業などをターゲットにして誘致を進めている。
この結果、平成26年度から28年度までの3年間で、新門司とひびき灘東の二つの地区において20件、金額にして34億7000万円の売却に至っており、さらに4件の貸し付け契約を締約している。なお7平成28年度の土地売上収入が予算を下回る結果になったことについては、購入を検討したものの成約に至らなかった案件や、今年度に契約がずれ込んだ案件があるためだ。
本年度に入り、近年の好調な引き合いを反映した新規の案件など平成8年度に予算を下回った分はもちろんのこと、さらに上乗せできるよう営業活動に注力しているところだ。
本市としては経済環境の好転により、企業の投資意欲が上昇しつつあるこの機会を逃すことなく営業活動を更に強化していきたいと考えている。
臨海部の多くの企業を立地させることは税収増や雇用の創出につながり、ひいては一般会計に負担軽減にもなるものと認識している。いずれにしても土地の売却を推進していくことが肝要であり、市役所一丸となり早期売却に鋭意努めていく。
(市税について)
市税は市の歳入の根幹をなすものであり、その適正な課税と徴集に取り組み、収入の確保に努めることは本市の安定的な財政運営を支える上で非常に重要なことだと考えている。昨年度、平成28年度の市税決算は、2561億2700万円と、対前年度4億5100万円、2.3%の減だったが、これは国の税制改正により法人市民税の税率が引き下げられたことなどの影響によるもので、仮に法人市民税が改正前の税率であれば、市税全体の決算額は前年度を上回ったと見込まれる。
なお軽自動車税とたばこ税については、軽自動車税は負担水準の適正化を図るために税制改正が行われ増となっており、たばこ税についてはたばこ離れによる減収となっている。市を取り巻く環境だが、個人市民税については給与所得等の課税所得や、納税義務者数が前年度よりも増加しており、市民所得に上昇傾向がみられている。
日本銀行北九州支店が平成29年8月に発表した北九州・京築地区の金融経済概況においても、景気は緩やかに拡大しているとされており、市を取り巻く環境は決して悪くないと考えている。また収入率との関係だが、市民負担の公平性などの観点から、市税収入確保のため徴集面においても努力をしており、市税の収入率は97.9%と前年度に比べ0.1ポイント上昇し、本市発足以来最高となっている。今後とも市税の適正な課税と徴集に引き続き努力を重ねていきたい。
(講師不足について)
まず現場で講師が不足しているという背景だが、ここ数年の正規教員の大量の新規採用のなかで講師経験者が多く採用されている。その一方で新規の講師希望者が少ないために、講師希望者全体の数が減少しているわけだ。
大量採用によって、若年者、特に女性の採用が増えているので、産休、育休の所得者が増え代替講師の任用件数が増加していると、こういった背景があると考えている。
本市を含めた教員の確保は、喫緊の課題ととらえており、本市としてもまず定年退職者の再任用の拡大、市内および市の周辺や県外の教員養成課程のある大学への働きかけ、学校を通じた退職者などの教員免許保持者の掘り起し、こういったことに全力で取り組んでいるところだ。
ただ講師を含め教員が不足しているのは本市に限らず県内全域さらには全国的な課題でもあることから、教員全体の養成に関わることでもあると考えている。
そのような中で来年度の採用予定者数だが、今年度よりも約30人多い213人を予定している。内訳としては、特別支援教育の充実を図るために、特別支援学校の教員を20名増やし、また小学校での専科指導も視野に入れて英語教育の充実や、さらに児童生徒の体力向上等に資するという観点から、中学校の英語、中学校の保健体育の教員をそれぞれ5名ずつ増やす予定だ。
正規教員の正規採用の予定については、児童生徒数、学級数に応じて法により定められている教員定数、およびその長期的な見通しの下に行わなければならないと考えている。今後とも優れた資質を持つ教員を確保しつつ、全体の年齢構成などを踏まえ新規採用をしていきたい。
(運転免許返納者への支援について)
国においては、高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議より、運転免許の自主返納については促進に向けた広報・PR活動の強化や、本人が納得して自主返納できる運転適性相談の充実強化など、今後の取り組みの方向性が今年6月末に示されたところだ。
本市では今年4月に、市内の高齢ドライバーの方を対象にアンケートを行った。その結果、週に3日以上運転する方が多いなど、運転頻度が高いなど自主返納を検討した人は2割以下であることなど、運転の継続を望む人が多いことがわかった。
また自主返納を検討するきっかけでは、家族や医者などの身近な人からの助言や、返納した後の代替移動機関となるバスやタクシーなどの運賃割引を回答するなど、多様な支援策が必要なこともわかってきた。
このような状況を踏まえて検討を重ねた結果、本市においてはまず自主返納等に関する相談窓口を設置することや、高齢者運転シュミレーター体験教室を実施することに加えて、民間による支援サービス情報の提供を実施し、さらに高齢者モビリティマネジメントの実施をすることなどの施策を年度内に順次、実施していくこととした。
民間による自主返納者への支援サービスの実施、拡充の呼びかけについては、本市で検討したこの支援策の中で実施していく。具体的には、市が公共交通や宿泊や飲食などの割引というサービスを市内で提供していただける多くの事業者を募集、登録し、その登録された情報をパンフレットやホームページなどで広く周知することなどを予定している。
今後とも高齢者の免許証の自主返納を促進することで、高齢ドライバーの交通事故の防止に努めたいと考えている。
<第2質問以下のやりとり>
(免許自主返納者への支援事業は、自治体の支援とは言えないのではないか、について)
交通局の事業だ。公共交通機関の交通事業者ということで交通局の事業は考えている。
(高齢者の免許返納向上は返納率等目標を持つべきではないか、について)
計画を具体的にせよというご指摘だ。北九州市の交通安全計画だが、毎年度実施計画を策定しないといけないことになっている。この実施計画が具体的な施策ということになるが、今回のこの事業の取り組みは、わたしどもの取り組みは、平成29年度の実施計画に具体的な施策ということで盛り込まさせていただいた。
返納率のアップだが、この事業の取り組みによって、それを支えていく中で運転される高齢者の自発的な返納につながっていくものと考えている。
(高齢者の交通支援策では、ほとんどの自治体が65歳以上。北九州市も引き下げるべきではないか)
今回、75歳以上にしているが、まずはそこからスタートして、全体を検証していきたい。
以上