更新日:17年06月10日

2017年6月定例会 本会議質疑と当局答弁 藤沢加代議員 議案質疑(60分)



2017年6月定例会 本会議質疑と当局答弁

2017年6月定例会の本会議質疑が6月7日~14日まで行われました。日本共産党から8名の議員が本会議質問を行いました。その質問と答弁を日本共産党市議団による音声をもとに文書化したものを紹介します。また、北九州市議会HPで中継録画がご覧になれます。正式には、9月議会で今回の議事録が公開されます。

2017年6月7日(水)

◎藤沢加代議員 議案質疑(60分)

私は日本共産党北九州市会議員団を代表して議案質疑を行います。

1、最初に議案第64号 北九州市債権管理条例について4点質問します。

「市の債権の適正な管理を図ることを目的」に新たに条例制定を行うものです。市税、国民健康保険料、介護保険料、水道料金、市立病院診療料、行政財産目的外使用料、各種手数料など多種多様な本市が保有する金銭債権を、台帳への記録、収納状況の管理、滞納になった場合の督促や催告、滞納処分・強制執行、徴収の緩和措置等金銭債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理の手続全体、即ち「債権管理」を行い、「市の収入確保による財政の健全化と市民負担の公平性の確保」が図られるとしています。

第1条目的に「公正かつ円滑な行財政運営に資する」をうたい、第2条に「市の債権」「強制徴収債権」「非強制徴収債権」を定義し、第4条に市長と公営企業管理者の債権を適正に管理する責務を定めています。第5条には「台帳の整備を義務化」し、第6条に「強制徴収債権」の徴収猶予制度を設け、第7条において「非強制徴収債権」の債権の放棄を可能とし、議会への報告を義務付けます。「強制徴収債権」は市が強制的に債務者の財産を差し押さえ公売し、債権に充当できるもので、市税、国民健康保険料、介護保険料、保育料等があり、「非強制徴収債権」は強制的に徴収するには裁判所での手続きが必要な水道料金、市立病院診療料、市営住宅使用料などです。

本市はすでに2006年3月に主要な13債権を対象に、収入率の向上と収入未済額の縮減を図るため、副市長をトップに「北九州市債権回収対策本部」を設置してきました。2009年1月からは、市税事務所で、市税と国民健康保険料、介護保険料、保育料の一部との一元的徴収を開始しました。しかし、1、所管課の徴収事務にばらつきがあり、統一的な手続きや基準が無い、2、納付や催告の履歴、交渉経過などの情報項目が統一化されていない、3、徴収猶予の規定の無い債権があり債権間の均衡が取れていない、4、回収できる見込みの無い債権の累積で事務負荷が発生している、5、債務者の情報の共有化が進んでいないなど、5項目にわたる課題が残り、また、収入未済額は漸減しているものの2015年度で100億円を超えているとして、さらに債権回収の強化を図るため、今回、債権管理条例を制定します。条例制定を前にこの4月1日からは財政局に債権管理室が設置されました。

そこでお尋ねします。

第1に2006年からの13債権の徴収強化の取り組みについてです。漸減しているこれら13債権の収入未済額は2015年度105億2,428万3,000円のうち市税31億8,390万6,000円、国民健康保険料が50億4,407万8,000円で、2債権で全体の約8割を占めています。問題はどうやって未済額を減らしたかです。国民健康保険料は市民所得の低い本市では市民負担率が高く、わが党市議団は「高すぎる、一般会計からの繰り入れを増やせ」と北橋市政発足以来一貫して求めてきた課題です。国民健康保険料の直近5年間の差し押さえ件数と差し押さえ額を見ると、2015年度の件数は303件で最多、金額は7,860万5194円となっています。前年2014年度は178件5,295万7,776円ですから、件数で1.7倍、金額で1.48倍に増加しています。5年前の2011年度は188件1億1,753万3,057円ですから、件数は1.6倍、金額は逆に減少し66%、1件当たりの金額も62万5,175円から、25万9,423円と41%に減少しています。厳しい取り立てが行われているのではないでしょうか。この傾向を当局はどのように分析していますか。答弁を求めます。①

第2に、今後さらに厳しい取り立てが行われるのではないかとの懸念についてです。債権には先ほど例に挙げた命のセーフティネットとも言える国民健康保険料のほか、水道料金、保育料、市立病院診療料、市営住宅使用料、奨学資金貸付金なども含まれます。しかし、債権の種類や、台帳記載項目、督促状を出す時期や納付期限など詳細は未だ明らかにされていない事項があります。納付や返済が困難になった際、従来通り関係局で分納などの相談を受けるとしていますが、特に生活困窮などで返済の意思がありながら、どうしても払いきれないという市民に丁寧な対応が求められます。答弁を求めます。②

第3に、第8条に、債務者にとって有益になる場合に限り債務者の情報を他の債権の徴収手続に利用できるとしていますが、だれが「債務者の利益になる」と判断するのでしょうか。③

第4にマイナンバー制度が導入され、将来的にマイナンバーは預金口座番号とリンクできます。本人の同意を前提にするとしていますが、同意の有無は確認できるのでしょうか。お答えください。④

 

2、次に議案第79号 指定管理者の指定について5点質問します。

2017年度末開館予定の小倉南図書館の指定管理者を株式会社日本施設協会・株式会社図書館流通センターの共同企業体に指定する議案です。本市は2005年度の門司図書館、戸畑図書館を皮切りに、指定管理施設を拡大してきました。小倉南図書館の新設で全区に地区図書館が揃うことになり、中央図書館を除き全館指定管理者による運営となります。

図書館が単なる公共施設ではなく教育機関であるとして、多くの自治体では、図書館運営の継続性や安定性、専門職員の確保や育成、他機関や地域との連携などが難しいことから、指定管理者制度の導入には慎重です。総務省「地方行政サービス改革の取組状況等に関する調査」によれば、2015年4月1日時点、都道府県で9.5%、指定都市は21.5%その他市町村で14.7%です。この導入率は他の施設に比べて一番低いレベルとなっています。その理由について、昨年、4月26日の衆議院総務委員会でわが党の田村貴昭議員が、 蔦屋書店を運営するCCC、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が指定管理者となっている佐賀県武雄市立図書館を例に質問した際、渕上政府参考人が次のように答弁しました。「図書館などの社会教育施設につきましては、地方公共団体からは、教育機関、調査研究機関としての重要性に鑑み、司書、学芸員等を地方公共団体の職員として配置しているなどの意見がございまして、これも要因の一つではないかと考えております。」指定管理者制度から直営に戻るところ、最初から指定管理者制度は導入せず直営でとしている図書館もある中、本市の指定管理者制度による施設運営の拡大は特異なものと言わねばなりません。

「公益社団法人日本図書館協会」は2003 年の指定管理者制度の導入以来、2005 年、2008 年、2010 年、2016年にそれぞれ図書館における指定管理者制度についての見解を発表していますが、制度の導入はそれぞれの自治体の考え方だとしながらも一貫して、公立図書館は地方公共団体が直接運営するべきで指定管理者制度は「基本的になじまない」としています。その理由は「民間において図書館の管理を安定して行う物的能力、人的能力を有した事業者があるか、指定期間が限られているもとで事業の蓄積、発展ができるか、経費節減により図書館で働く人たちの賃金等労働条件に安定性を欠く事態が招来しないか、など指定管理者制度にある本質的ともいうべき問題点があります」としています。そして、制度発足以来調査研究を重ね、公立図書館の指定管理者制度の検討の視点を提案しています。

地区図書館の指定管理者の募集については近年新たな会社の応募もありましたが、日本施設協会と図書館流通センター2社のどちらかが受けてきました。今回の募集では、両社が共同事業体となって、応募は1団体のみでした。日本施設協会は地元企業、図書館流通センターは全国展開の民間企業です。

図書館の仕事はマンパワーです。職員の高い能力、専門性が求められます。しかし、経費削減がまず前提となる指定管理者制度で職員はどれだけ尊重されるでしょうか。日本施設協会のハローワークでの求人情報には正社員以外の募集がいくつも見られます。14万5,000円から15万円の月給で、司書の資格は問われていません。

そこで、おたずねします。第1に、ここで一度立ち止まって本市図書館における指定管理者制度について、日本図書館協会提案の検討視点を参考に検証すべきと考えます。見解を求めます。⑤

第2に、図書館の指定管理者制度は中止し直営にすべきです。答弁を求めます。⑥

第3に建設場所決定について改めて質問します。未だ地元周辺ではなぜ公園をつぶしてそこに決定したのか、だれがどこで決めたのかの声が聞かれます。地域の祭りなどに使われていた公園です。地元合意をどのように図ったのかお尋ねします。⑦

第4に交通アクセスの問題です。小倉南区役所への公共交通機関は路線バス1路線があるのみです。国道10号方面、322号方面どちらからも行きにくいところにあり、コミュニティバスの要望が根強くあります。新図書館利用者の利便性を図るためにも市が責任をもって公共交通の確保を求めます。お答えください。⑧

第5に、新図書館開館に伴い小倉南生涯学習センター2階にある「企救こどもと母のとしょかん」が廃止になる問題です。近くに新しいのができるからと、有無を言わさず廃止することは問題です。長年親しまれてきた図書館です。愛着を持っている利用者の意見を丁寧に聞くことが必要です。戸畑図書館では戸畑こどもと母のとしょかんを残してとの声が根強いと聞いています。答弁を求めます。⑨

 

3、最後に補正予算1件について2点質問します。

(仮称)平和資料館の建設予定地が勝山公園の一角とされ、埋蔵文化財の調査費等が2,880万円計上されました。

いまなお世界では武力紛争やテロが頻発し、罪なき人々の命が奪われています。特に子どもたちの犠牲が後を絶たないことに、胸を痛めずにはいられません。核保有国はいまだに1万5,000発を超える核弾頭を持ち続けていますが、非人道的な核兵器の禁止と違法化の議論が世界で高まり、6月15日から開催される核兵器禁止条約についての「国連会議」の第2会期を前に、5月22日には同条約の草案が公表されました、こうした世界の動きの中で、本市に平和資料館の建設が決まったことは大変意義深いことです。

(仮称)平和資料館の建設は、昨年12月に市長が表明して以来、「施設のあり方や展示内容等、平和資料館の基本的な方向性を出すため、(仮称)平和資料館のあり方を考える懇話会」が、本年1月に発足し検討が進められてきました。施設のコンセプト、建設予定地や展示内容までその概要が明らかにされています。

日本最大級の兵器工場の一つ小倉陸軍造兵廠があったことで、小倉が1945年8月9日の原爆投下の第1目標であったという事実はよく知られています。日本の鉄鋼生産の中心地であった八幡製鐵所、 大陸輸送の拠点であった門司港、日本で最も重要な石炭の港若松港、八幡・戸畑には火力発電所や化学工場などがあり、本市は戦争とも大きくかかわっていました。こうした本市の歴史を踏まえ、空襲に関する資料や米国国立公文書館が所蔵している資料、長崎市の原爆に関する資料、さらに、幕末からの軍都としての歴史にも触れる展示とともに、戦時下の市民の暮らし、戦中・戦後の市民生活の苦労を、子どもたちが分かる資料の展示が計画されています。

本市では様々な反戦平和の運動が取り組まれています。「侵略戦争による悲劇と罪科を再び繰り返すな」という信条のもと、戦時遺構・遺跡の保存・戦時遺品、戦争下の生活用具などの蒐集を進めてきた北九州平和資料館をつくる会はその代表的な団体ですが、私も参加する新日本婦人の会は、毎月6と9の付く日に69行動と称し、核兵器廃絶署名活動を1962年の創立以来欠かさず行っています。先月24日北九州市内の7支部の代表が副議長を訪問し「ヒバクシャ国際署名」のお願いをしました。市長や副市長、議長にも要請しました。被爆者の声を国連に届け核兵器禁止条約締結の後押しをしようという署名です。2010年の国連NPT再検討会議にも市長と議長は署名をされました。

本市は2010年2月10日非核平和都市宣言を行いました。今一度、私たち議員もこの宣言に立ち帰るために宣言文を読み上げます。

「平和な世界の実現は、人類共通の願いです。 私たちの国、日本は、世界で唯一の核兵器の被爆国として、この地球上で再び広島や長崎の惨禍を繰り返してはならないことを、世界の人々に強く訴え続けてきました。 私たち北九州市民は、長崎に投下された核兵器の第一目標が小倉であったことを重く受け止め、核兵器の恐ろしさ、戦争の悲惨さ、平和の尊さを、次の世代に伝え、核兵器のない、戦争のない、平和な世界を築いていかなければなりません。
よって、私たちは、命と平和の大切さを深く認識し、核兵器の廃絶と平和な世界の実現のために歩み続けることを誓い、ここに北九州市を非核平和都市とすることを宣言します。」

そこで1点お尋ねします。本市の非核平和都市宣言を踏まえ、(仮称)平和資料館を全国に誇るべきものとし、非核平和を世界に発信する拠点として、子どもから高齢者まで多くの市民がかかわるよりよい施設とするため、市民意見を十分反映すべきと考えます。そのためにはさらに広く市民や団体の意見を反映させる仕組みが必要です。答弁を求めます。⑩

最後に、建設予定地の地下に眠る埋蔵文化財についてです。江戸時代の御用屋敷があったとされるところと聞きました。発掘調査によって歴史的に価値の高いものが出土した場合、保存の措置をとるべきと考えますが、見解を求めます。⑪

 

 

藤沢加代議員への答弁

■市長

(債権管理条例について)

詳しくは担当局長から答えるが、まず私から提案している債権管理条例の趣旨および概要について説明する。この条例案は本市の有するすべての債権を対象として、手続きや基準などの債権の管理に関して必要な事項を定め、それによって債権の適正な管理を確保して公正かつ円滑な行財政運営に資することを目的としたものだ。

主な内容としては、市税、国民健康保険料など徴税、徴収債権に共通する徴収猶予制度を整備すること、また水道料金、市営住宅使用料など市徴税、徴収債権について、一定の要件に該当する場合は債権を放棄することができること、また放棄した場合は議会に報告をおこなうこと、また債務者にとって有益であると認められる場合には、市長などが保有する当該債務者の徴税徴収債権に関する情報を、非強制徴収債権(?)の徴収手続きにおいて利用することだ。

この条例の運用によって、市の債権管理を適正に推進していきたいと考えている。

 

(仮称・平和資料館の建設について)

戦後71年が経過し、戦争を知らない世代の方がほとんどとなる中で、戦争の記憶が風化していくことが懸念されている。そのため市民に戦争の悲惨さを訴え、平和の大切さ、命の尊さを考えるきっかけとするため、仮称・平和資料館を建設する考えを昨年の12月議会で表明した。

資料館の検討にあたっては本年1月から5月にかけて、資料館の基本的な方向性についてご意見をいただくため、有識者などで構成する仮称・平和資料館のあり方を考える懇話会を開催した。懇話会の委員には実際に戦争を体験された方や、主に児童生徒や保護者が来館していただくことから元小学校長やPTAなどの学校関係者、また日本でも有数の集客数を誇る公立の平和資料館の関係者、また大学生、報道関係者など幅広い人選をおこない、活発な意見の交換を行ったところだ。

また懇話会では、自主的に資料館を運営している市民グループや大学生グループなどにヒアリングをおこない、北九州市自治会総連合会の方にもご意見を伺った。懇話会は5月で終了し委員からは建設場所や展示内容などについて貴重なご意見をいただいた。今後は、委員の意見を参考にして基本計画などの策定をしていくことにしている。

議員ご提案の市民や団体の意見を反映させる仕組みについては、これまでも懇話会の開催に加え、資料館への要望を持った市民団体との意見交換や市長への手紙をはじめとした広聴制度などをはじめとして幅広く市民の意見を伺い、可能な限り意見を反映させるよう努めてきた。今後も引き続き必要に応じて市民の意見をうかがうことにしており、改めて市民意見を反映させる仕組みを講じることは考えていない。

今回、平和資料館の建設を予定している勝山公園の一角は、幕末の小倉藩士屋敷絵図によると、周囲を堀で囲まれた藩の公務をおこなう御用屋敷にあたる。この場所を含む小倉城下町は、文化財保護法にもとづく財埋蔵文化財包蔵地であり、土木工事を行う時には、文化財についての調査が必要だ。

調査で重要な遺構が発見された場合は、福岡県教育委員会と協議しながら適切な対応に努めていく。

いずれにしても戦争の悲劇や市民の暮らしを後世に伝える最後のチャンスととらえて、仮称・平和資料館の建設に向け鋭意取り組みを進めていく。

 

■保健福祉局長

(国民健康保険料はどうやって収入未済額をへらしたか、厳しい取り立てをしているのではないか等、について)

国民健康保険料は国民健康保険制度の根幹を支えるものとして、保険料を納付している被保険者との公平性の観点から、支払い能力のある滞納者についてはこれまでも差し押さえを実施してきた。滞納者のなかには滞納額が累積したため支払いが困難となる、そういう事例が多くみられるようになったことから、北九州市債権回収対策本部における債権回収の取り組みの一つとして、早期の初期滞納者へは通知するということで滞納額の累積につながらないよう対策を講じてきている。

その結果、平成27年度における国民健康保険料の差し押さえ件数は、303件、差し押さえた額は7860万5194円となったところだ。

収入未済額の減少だが、これは差し押さえなど滞納処分によってのみ減少するというものではない。近年の金額の推移は滞納者に対する文書等での催告、丁寧な納付相談などを含めた総合的な収納対策による結果であると認識している。

そのほか、被保険者数の減少によって保険料の総額そのものが減少したということもある。収入未済額に、そういったことが影響を与えるということだ。

差し押さえを実施するにあたっては、国民徴収法によって滞納者の生活が困窮することのないよう、差押え禁止財産だとか給与を差し押さえる際の額について定めがあり、その規定に基づき滞納者の資産や収入を十分評価したうえで行っている。国民健康保険料の収納対策については、社会保障制度を継続していくうえで重要なことと考えており、支払い能力がありながら滞納している人に関しては、公平性の観点から今後も収納強化に取り組んでいきたいと考えている。

 

■財政局長

(債権を支払えない滞納者への丁寧な対応について)

市の債権は、納付期限までに納付がない場合は、法令にもとづき督促状を送付している。また一部の債権、市税、国民健康保険料、介護保険料、保育料だが、税金・料金お知らせセンターから電話や文章による納付の勧奨を行っている。それでも納付いただけないという場合には、市税事務所の納税課や区役所の国保年金課などにおいては、電話による催告あるいは担当窓口への来所を求め、納付できない事情、生活状況などを詳しく伺って状況に応じた対応をしている。

本条例が制定されても、引き続き丁寧に対応していく。

さらに本条例案によって対象を強制徴収債権の全体に拡大した徴収猶予のほか、非強制徴収債権においては債権放棄や債務者の同意に基づく強制徴収債権の情報利用といった、債務者の状況に応じた新たな対応を講じることとしている。

また遺産分割だとか、過払い金などの法律上の問題があって納付が困難となっている債務者のかたには、弁護士あるいは司法書士など専門的なアドバイスを必要とすることから、このような場合には、区役所の無料法律相談や消費生活センターなどを紹介している。

なお市税事務所の納税課においては、ファイナンシャルプランナー相談窓口を定期的に開設しており、債務者の家計における様々な不安、返済とか借金とか、そういった不安などに適切にアドバイスするといった取り組みも行っている。

いずれにしても納付が困難な債務者に対しては、その事情をよく聞き丁寧に対応するとともに、資力がありながら納付に誠意が見られない滞納者に対しては、市民負担の公平性などの観点から財産の差し押さえなど厳正な対応で臨むことが必要だと考えている。

(債権管理条例での債務者の情報利用について)

債務者に関する情報を債権の担当部署間で共有し、その情報に基づ債務者に対する債権放棄などの緩和措置が行われれば、これは債務者にとって有益な他、市側としてもそれぞれの債権担当部署において同じ調査を重複して行う必要がなくなり、債権管理の効率化につながる。

こうしたことから本条例案においては、債務者の情報について、債務者本人に有益であると認められる場合に、その同意に基づいてほかの債権の徴収手続きにおいて利用するということを規定している。この利用にあたっては、まずは市において債権者に有益であるか否か、判断することになる。有益だと判断した場合には、債務者に制度の趣旨を十分に説明して理解していただいて、その上で徴収手続きにおいて利用する債権の名称がどの債権で利用するということを、それから情報の提供元の債権の名称、どの債権からこの情報を入手しているということ、それからこの利用について同意していること、ご本人が同意していることといったことについて、債務者本人に文書による明確な意思表示をしていただいて、情報の利用を推進する予定としている。

この制度を的確に運用して、債権の適正な管理に活用していきたいと考えている。

 

■教育長

(図書館の指定管理について)

指定管理者制度は多様化する住民ニーズにより効果的、効率的に対応するために、民間の能力を活用しつつ市民サービスの向上を図るとともに、経費の削減を図ることなどを目的として、図書館では平成17年度から導入している。

本市の図書館運営の基本的な考え方だが、まず指定管理者にすべてを任せるのではなく、図書館の運営方針の決定や図書選定などの基幹的な業務は直営で実施している。一方、指定管理者が運営する各区の地区館や分館については、図書の貸し出し、返却、レファレンス、講座開催など管理業務を中心に行っており、市と指定管理者とが役割分担を市ながら推進している。

その上でまず、図書館の指定管理者の選定にあたっては、学識経験者や専門家などによる指定管理者検討会を開催し、サービスの向上や経費削減に関わる安定的な管理運営のための人的、財政的基盤を有しているか、司書の配置を含め十分な運営体制が構築されているか、職員の能力アップや専門性の向上に取り組んでいるか、こういった点を総合的に評価したうえで候補者を選考しており、専門性や継続性が十分確保されていると考えている。

現在、指定管理者が運営する各図書館においては職員のうち、司書資格を有する専門的な職員、これは募集条件としては市として75%以上としているが、実際には85%以上を占めていて、例えば学校向けの団体貸し出しや図書館司書の派遣、他都市の図書館との図書貸し出しなどの連携、ボランティアとの連携、郷土史や医療情報といった各館の特色を生かした講座、こういった様々な事業を行っている。

また市立図書館全体では、八幡西図書館の新設、戸畑図書館や八幡図書館の移転改築、各図書館における返却フリー制度の導入やインターネットの予約、開館時間の延長など市民サービスの向上にこれまで努めてきたところだ。

このような取り組みの結果、直近では29年3月に行った図書館の利用者に対するアンケート調査、これは応対の親切さ、あるいは説明のわかりやすさなど6つの項目だが、この結果が、満足と非常に満足の割合が全体の約9割になっており、利用者の満足度は非常に高いものと考えている。

また指定管理者に対する外部からの評価についても、北九州市指定管理者の評価に関する検討会議や北九州市立図書館協議会からは、適正と認められる、あるいは図書館の利用が全体的に順調であり運営がうまく行われているなどの意見、評価をいただいている。この評価の項目は、日本図書館協会が示した指定管理者制度の検討視点、すなわち施設の設置目的の達成あるいは市民サービスの向上、教育機関としての機能、こういった項目だが、これらと通じるものだ。

このように指定管理者制度に基づく本市の図書館運営にあたっては、日本図書館協会が示した検討視点と概ね同じ考え方で運営を行ってきており、導入した平成17年度から約13年間にわたり、図書館が安定的かつ適切に運営されていることから、今後も指定管理者制度を継続していきたいと考えている。

(小倉南図書館の建設場所決定の経緯等)

小倉南図書館の土地選定にあたっては、平成23年8月に小倉南区議員協議会から示された、障害者スポーツセンター跡地を検討してはどうかという提案にはじまり、合せて小倉皆く区役所周辺の複数の市有地などを対象として、土地利用の過程や建築上の基本的な制約、コスト面などを勘案しながら調査をおこなった。

この調査結果を踏まえ、一定規模の図書館整備が可能な場所として、若園4丁目公園の一部と小倉南特別支援学校の敷地の一部を最終候補地とし、平成25年2月に公表している。この場所については、議員各位からも特に異論はなく地元関係者からも了解を得たと承知している。

この場所は区役所に近く、市民センターや学校などの公共施設、障害者福祉施設などが集積する閑静なエリアであること、また公園の広がりを活用して公園と一体的な、景観に優れた図書館整備が可能であること、特別支援学校や療育関連施設、病院などが立地し、教育関係者や保護者などの利用が期待できること、こういった点で図書館にふさわしい場所であると判断している。

その後市民や図書館利用者、地域関係者、読書ボランティアなど様々な方から意見をうかがい、図書館の機能や建設場所などを盛り込んだ基本計画を策定し、平成26年2月に教育水道委員会に報告している。なお若園4丁目公園は、盆踊りの会場であることから、28年夏、昨年の盆踊りが終わるのを待って着工している。今年は、残念ながら場所を変えていただくことになるが、来年の夏はまたこの場所で盆踊りができることで、地元自治会の了解も得ている。

今後も地元の理解を得ながら、図書館の整備に取り組んでいきたい。

(地区子どもと母の図書館の廃止について、利用者の意見を丁寧に聞くこと、について)

平成26年の2月に発表した小倉南図書館基本計画の中で、至近距離にある地区分館については、公共施設マネジメントの観点から小倉南図書館を作るときに廃止するということを明記している。また児童室の整備やバリアフリー化など子どもから高齢者、障害者まで誰もが使いやすい図書館を整備することとしており、地区分館の機能を十分上回ったものになると考えている。

基本計画の内容については、計画策定の過程においても、あるいは策定後も議員をはじめ図書館利用者や地元関係者などの皆さんに対して、説明会や意見交換の場などで、節々で丁寧に説明してきている。これまで地区分館の廃止について特に反対意見はなく、従って市民の理解は得られていると考えている。

なお戸畑分館については、現在、利用者や地元関係者、読書ボランティアなどの皆さんに対して説明会などを実施し、意見や要望等を受け付けているところだ。説明を重ねる中で、戸畑分館周辺にお住いの方からの反対意見はあるが、戸畑分館を含めた図書館全体の公共施設マネジメントの考え方については理解が広がっていると考えている。

戸畑分館の廃止については、北九州市図書館規則の改正が必要だ。指定管理者の募集が7月に開始予定だ。それまでに教育委員会の責任で判断したいと考えている。

 

■建築都市局長

(新図書館利用者の利便性確保のため、公共交通を確保すべき、について)

新図書館が隣接する小倉南区役所から、JR城野駅までの間では公共連絡通路や南口の駅前広場、城野駅南口線などの道路整備が完了しており、交通基盤の整備がすすんでいる。また交通結節機能を強化するため、バス事業者と協議を重ね、JR城野駅南口広場の供用開始に合わせて平成27年10月から、既存バス路線の駅前広場への乗り入れを開始している。

これにより、鉄道と路線バスの乗り継ぎ環境が改善されたと考えている。

新図書館への公共交通の確保については、現在、最寄りのバス停となる小倉南区役所には、小倉都心部から城野駅を経由して中谷方面に運行するバスが1時間に3便程度停車している。さらに区役所南側に位置する企救中学校前のバス停に、小倉都心部から322号を経由するバスが1時間に5便程度停車し、国道10号曽根バイパスを経由するバスも1時間に5便程度停車しており、他の地区と比較しても少ない便数ではないと考えている。

しかしながらこの地区は、小倉南図書館の整備をはじめ総合療育センターの建て替えなども進んでおり、今後、施設の更新によって新たな人の流れが発生すると予想され、福祉、教育の中心エリアとして大きく様変わりすることが想定される。このため今後とも施設の整備状況やバスの利用状況をみながら、既存バスの増便や新たなバス路線の開設などについて、バス事業者を含めた関係者と協議を行っていきたいと考えている。

 

<以下、第2質問以降の答弁>

■副市長

(債権管理条例案は、国保滞納者の徴収強化を考えているのでは、について)

債権回収対策本部の本部長を勤めている私の方からお答えしたい。平成18年3月に、本市は債権回収対策本部を設置して市税、国民健康保険料など主要13会計について取り組みを進めてきた。市には行政財産目的外使用料だとか各種手数料など各多様な会計があるので、今回の条例によって強制徴収債権、非強制徴収債権、全般を対象に取り組みを進めてまいるということなので、特に国民健康保険料の徴収強化を主眼とするものではない。

 

■保健福祉局長

(国民健康保険料徴収での収納率の目標は?)

そもそも保険者努力支援制度における評価指標というのがあるが、特定健診とかがん検診の受診率向上とか、健康づくり、後発医薬品の利用促進、様々な取り組みがあった、その中に指標としての「収納率の向上」というのが確かに含まれている。このインセンティブを獲得するというのは結果的に保険料の抑制につながるので、我々としても重要だと考えているが、効果的に獲得するというためには医療費の適正化に向けた幅広い取り組みを行う必要があると考えている。

収納率についてはこれまでも、前年度以上の収納を目指すということで頑張ってきているわけだが、このインセンティブのためだけではなくて、これまで同様の考えで収納対策に取り組んでいきたいと考えている。

 

■保健福祉局長

(収納率の目標)

現在示されている保険者努力支援制度における収納率向上の目標というのは、都市規模別で前年度分の収納率や収納率の向上に対してポイントが与えられる。例えば、平成26年度、被保険者10万人の自治体における上位3割だとか、5割の収納率、上位のところに入るということが、一つの目安ということになるので。一方で、本市の保険料算定のための予定収納率というのは、現実的に収納できる額をもとに収納率を設定するというもので、それと考えが異なっているというものではない。

 

■保健福祉局長

(今後、強引な差押え等をしないと約束してほしい、について)

今東京都の例を挙げられたが、福岡県における特別交付金の交付基準には、差し押さえ件数だとか、差押え割合というのは、いまのところ含まれていない。国においてもそのような基準を考えているというのは、いまのところ聞いていいない。

保険料を納付している被験者との公平性の観点というのを先ほど申し上げたが、我々としては支払い能力のある滞納者に対しては、引き続き適正な手続きにのっとって差し押さえも含めた収納対策の強化に努めていきたい。

 

■教育長

(子どもと母の図書館が果たしてきた役割について)

本市の図書館は合併の時に小倉図書館が中央図書館になり、他の5つの図書館が地区図書館に、そういう形で来た。その後、親と子が楽しく読書を楽しめるという意味で、こどもと母の図書館、これは昭和48年に大里にできたのが最初だが、それ以外に計画的に設置してきた。

その後、地区図書館の整備が進んで、若松が平成12年だったと思う、八幡西が平成25年、戸畑が26年、そして八幡西が28年ときた。その際には子どもの読書ということを意識して児童室、あるいはこども読者活動ということを推奨できるような形で、地区館自体での整備、子ども読書ということに力を入れてきた。

本議会で子どもの読書活動推進条例というもの、全会一致で議決しているので、その趣旨に沿って引き続き子ども読書活動を推進すると、そういう観点から子ども図書館を整備している。現在、公共施設マネジメントで分館をいくつか廃止することでいま、そのような計画をしているが、子どもの読書の重要性、あるいはこどもと母の図書館の考え方、それについては引き続き引き継がれて、さらに充実していくという考え方だ。

 

■市長

(長崎市からも被爆者国際署名へのお願いが来ていると思うが、署名すべきだ)

国内外の情勢をよく勘案しながら、立場は本市として、また市長としても明確にしているところではあるが、署名としてどうするかというのは一考を続けている。その過程で、核兵器禁止をめぐる国際社会での議論というのが、微妙な立場にいまなっているというのはご案内の通りだ。

G7、核保有国も参加していないこの禁止条約の交渉を始める決議案が採択されているが、113の賛成だった。それに対して日本政府のとった対応というのは、核兵器の全面的な廃絶に向けて新たな決意のもとでの共同行動で、これは国連総会で、禁止条約をはるかに上回る167の賛成をもって採択されている。

この日本政府の対応については、軍縮大使が国連総会に届いたところだが、核保有国と廃絶を求める国との溝を深めないという、そういった配慮もあると聞いている。この辺の国際社会における議論というのは昨年から今年にかけて非常に微妙な時期に来ている。そういった国内外の情勢を見ながら、非核平和都市宣言をした自治体の長としてどう判断するか答えを出したいと思っている。

 

■市長

(日本政府は、核保有国と一緒になって核廃絶会議をボイコットした。だから、広島と長崎市長が外務省に要請文をおくっている。それに協力するのが北九州市長の役割ではないか)

政府に対しては、核兵器を保有している国と非保有国の橋渡し役として、これまで以上に力強いリーダーシップを発揮してもらえるように、核兵器金条約交渉への参加を、長崎、広島は求めているところだ。先ほど、政府がどういう考えであるかというのは少し申し上げた。交渉の不参加を表明している。

こうしたことから、本市単独での国に対する要請は現時点で考えていない。引き続き情勢を注視したいと思う。戦争がもたらした惨禍、平和の尊さを後世に伝える取り組みを鋭意続けていきたい。

 

以上

 

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