新型コロナウイルスに関する申し入れ
7月7日、日本共産党市議団は、北橋市長と田島教育長に対して「PCR検査など検査体制の抜本的強化」「医療供給体制の支援」「暮らしと営業の補償」「少人数学級など教育条件の整備」などを中心に61項目の申し入れを行いました。これまでPCR検査は、濃厚接触者全員に広げる前進はあるものの、検査を必要とする市民全員を検査対象とした、更なる体制の抜本的強化が必要です。また、患者減少による医療機関の経営危機(3割~5割減少)への支援対策が急がれます。今回で市に対する申し入れは5回目となります。党市議団は市民の命と暮らしを守るために引き続き全力を上げています。
申し入れの全文は別紙の通りです。
2020年7月7日
北 九 州 市 長
北 橋 健 治 様
北九州市教育長
田 島 裕 美 様
日本共産党北九州市会議員団
団 長 石 田 康 高
新型コロナウィルスに関する申し入れ書
新型コロナウィルスから、市民のいのちと安全、生業を守るための関係者のご尽力に心から敬意を表します。
また、九州を中心に多くの尊い生命を奪い、浸水等により甚大な被害をもたらした記録的豪雨で被災された皆さまに、心からお見舞いを申し上げます。本市においても警戒を緩めることができない状況のもとで、市民のいのちと安全を守るために頑張っておられる関係者の皆さまに、深く感謝いたします。
さて、5月25日に新型コロナに係る「緊急事態宣言」が解除されて以後、一定の落ち着きを見せているように見えましたが、首都圏ではここ数日連続して三桁の陽性者が確認され、予断を許さない状況となっています。本市においても、5月23日以降7月6日までの感染者数は176人にのぼり、そのうち半数近くの85人は感染経路が不明となっているなど、感染実態の把握が困難な状態となっています。
わが党は、感染拡大を防ぎ、市民の命と健康、暮らしと営業、子どもと教育を守る立場から、市内の医療機関、福祉施設、中小・小規模事業者、学校、労働者、学生等の実態を把握するための活動を行ってきました。その結果を踏まえて、今後懸念される「第二波」に備えるために、市として以下の内容について早急に検討し、実行することを要請いたします。
Ⅰ.相談体制の拡充と更なる対応の改善について
1.感染を心配する市民の相談へのより懇切丁寧な対応を行うこと
・市民の相談にいつでも、懇切丁寧に対応できるよう、帰国者・接触者相談センターの体制
をさらに強化すること。
2.各種補助金、給付金の申請に係る相談窓口を拡充すること
・国の持続化給付金、福岡県及び本市の持続化緊急支援金の相談、申請援助の体制を拡充
すること。
・持続化給付金の申請手続きに不備があった場合、速やかにその内容が申請者に通知され
るよう国に改善を求めること。
3.国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険等の保険料減免に係る相談について
・必要とする市民の現在の状況に即して適用すること。
4.本市が所管する税及び各種公共料金の支払い猶予や減免について
・市民の相談に対しては、懇切丁寧な対応に努めること。
5.保険料軽減制度の申請手続きの簡略化について
・引き続き感染予防の観点から、窓口に来なくても各種申請手続きが行えるよう郵送などの
方法について配慮すること。
6.特別定額給付金の申請について
・申請手続きにモレがないよう市民への働きかけを徹底すること。特に、生活保護受給者の
申請手続きについて、保護課の担当ケースワーカーが個別にチェックし、確実な給付につ
なげること。
Ⅱ.市民の医療・健康を守る体制拡充について
1.PCR検査を積極的に実施すること
①感染者の〝濃厚接触者〟全員のPCR検査実施への方針転換は評価していますが、さらに
その周囲にいる「健康観察者」についても、PCR検査の対象とすること。
②発熱などの症状がある患者について、医師が必要であると判断した場合は、検査につなぐ
ルートができましたが、本人が希望しても容易には検査につながっていない状況を一掃し、
有症状者で検査を希望する人は検査する方向へ方針転換すること。
③帰国者・接触者相談センター(保健所)として、感染への不安を感じた市民からの相談に
おいて、有症状で検査を希望する場合はすべて検査を行なうよう改善すること。
④クラスター発生が懸念される学校、医療機関、福祉施設等の従事者について、希望者全員
を対象に検査を実施すること。
⑤市内の協力16病院でもPCR検査が行えるよう、検査機器の購入のための補助金を速や
かに交付し、要請があれば実際に検査を行うにあたっての技術指導に対応すること。
⑥保健所、保健環境研究所への十分な人員を配置し、感染防止対策を強化すること。
⑦検体採取時の飛沫感染の危険を回避するため、唾液によるPCR検査、及び血液抗体検査
の実施を検討すること。
2.医療体制について
①医療機関での感染が広がっている状況を踏まえ、体制の抜本的改善をはかること。
②感染外来を拡大するとともに、市内に複数の発熱(味覚・嗅覚障害含む)外来、ドライブ
スルー外来を設置(濃厚接触者含む)すること。
③軽症、中等症の入院者に対応するため、市内16病院において100床規模の病床を引き
続き確保すること。
④軽症の感染者のため、「東横イン北九州空港」以外の宿泊施設も確保すること。
⑤医療センターを中心に行っている重症者(挿管以上)について、産業医科大学病院、九州
病院、製鉄記念病院でも対応ができるよう、体制を整えること。
⑥発熱外来設置医療機関に対し、引き続き、防護服、医療用マスク、消毒剤など、感染防止
資材を供給すること。
⑦新型コロナ対策によるすべての医療機関の空床確保に対する支援金を大幅に増額するよ
う、国に強く働きかけること。
⑧新型コロナ陽性者受け入れ病院に対する国の給付金(患者1人につき30万円)、及び感
染者の診療にあたっている医療従事者への慰労金(国:1人20万円・福岡県:1人10
万円)を速やかに支給するよう関係機関に働きかけること。
⑨医療、福祉、教育等の関係者の「心の健康相談」体制を強化するとともに、感染が心配さ
れる場合の宿泊施設を確保すること。
⑩新型コロナに感染した人が陰性になってから後遺症に苦しむ事例があるとされており、陰
性になった後の患者の状況についても追跡し、必要な支援を行うこと。
3.介護施設、保育所、放課後児童クラブなどの感染防止対策の強化と支援について
①感染防止対策に必要な消毒剤、ペーパータオル、トイレットペーパーなどの確保、充足に
むけて、メーカーなどへの働きかけを行うよう国及び関係機関に要請すること。
②感染防止のために必要な経費を賄うため、更なる財政支援を行うこと。
Ⅲ.災害に備えて避難所の感染防止対策を徹底すること
万一の災害発生に備えて、万全の準備が求められています。避難指示等が発表された際、避
難所での「3密」を防止するために、学校施設の活用を含めて、十分なスペースを確保するこ
と。合わせて、学校体育館にエアコンを設置すること。
また、避難所にマスク、消毒剤、アクリル板など、必要な資器材を配置すること。
Ⅳ.子どもたちが安心して学べる環境整備について
1.教育条件の整備について
①早急に少人数学級の完全実施をはかること
全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体が、現在の小・中学校の40人学級
では新型コロナウィルスの感染予防ができないとして、少人数学級の実現を求める緊急提
言を発表しました。
本市においては、小学校1、2、3年生、中学校1年生において学級規模を35人以下
とし、その他の学年についても校長裁量により35人以下の学級編成を選択することがで
きるとしていますが、何よりも子どもたちのいのちと安全を守るために、本市の小・中学
校のすべての学年において、早急に35人以下への学級規模の改善を実現すること。更に、
1クラスの人数を20人程度とする少人数学級の実施に向けて取り組むこと。
②子どもたちの授業の進め方については、単に遅れを取り戻す詰め込み学習ではなく、科学
的見地を踏まえ、合理的な目安で個々の実情に即した計画にすること。
③長期の休校による子どもたちの心身のケアを大切にすること。
④本市独自の従来型の学力テストは中止すること。
⑤「3密」の回避ができる環境を整え、感染症防止対策に万全を期すこと。
⑥放課後児童クラブなど、関連事業への対策に万全を期すこと
2.学校給食について
①夏場の熱中症から調理現場で働く人たちを守るために、給食室へのエアコン設置を進める
こと。当面、スポット型の冷風発生装置を設置すること。
②学校給食費の値上げを中止するとともに、更なる負担軽減をはかること。
Ⅴ.学生への支援強化について
1.北九州市立大学について
①新型コロナウィルス感染拡大によるアルバイトの減少などで、生活苦の困難に直面してい
る学生の現状を把握するため、大学として学生の実態調査を行うこと。
➁多くの学生がオンライン授業や部活の休止等で大学生活に戸惑いを感じているとされて
おり、率直な学生の声を聴いて大学の運営にあたること。
2.市内の大学で学ぶ学生の支援について
①より多くの学生に支援が届くように、国に対し、支援金の要件緩和を働きかけること。
➁国の措置による、授業料・入学料の減免、給付型奨学金の支給を周知し、各学校へも徹底
すること。
③内定取り消しに関する相談窓口を設置し、是正させること。
Ⅵ.事業者、労働者への支援強化について
1.事業者への支援強化をはかること
①事業者への自粛要請は、補償とセットで行うよう国に要請するとともに、本市独自の補償
(協力金)を行うこと。
②家賃、従業員の給与、リース料など、固定費の補填を行うこと。
③手続きが煩雑で融資まで時間がかかり過ぎている特別貸付制度は、改善すること。
④国及び福岡県の家賃支援給付金に加え、本市独自の上乗せを行い拡充すること。
2.労働者のくらしを応援すること
①雇用調整助成金の手続きを簡素化するよう国に要請すること。
②雇用保険の対象とならないフリーランスなどへの、所得補償制度を国に要請すること。
③収入減少世帯への国の施策は、世帯主の収入が対象で金額も内容も不十分であり、パー
ト、アルバイトなど非正規雇用者の収入減対策と合わせ、改善を国に要請すること。
④休業手当を受けられない人を対象とする国の「休業支援金」の申請手続きについて、市と
して援助すること。
3.文化・芸術関係団体、フリーランス支援を実施すること
①イベントや演奏会等の中止、延期による損害の補償、観客の入場制限に伴う会場使用料の
減免措置を講じること。
②社会保険料、住民税、法人税などの減免措置を講じること。
4.消費税を5%に緊急減税するよう国に要請すること
Ⅶ.制度の改善について
1.国民健康保険、後期高齢者医療の改善について
①国の特別調整交付金による保険料の減免制度を、全加入世帯に周知徹底すること。
②令和2年度の国民健康保険料引き上げは、中止すること。
③国民健康保険の資格証明書交付世帯には短期保険証を交付する措置がとられていること
を、市民に周知徹底すること。
④保険料軽減制度の申請手続きを簡略化すること。
2.介護保険制度の改善について
①感染者やその家族をはじめ、感染拡大の影響により廃業、失職や賃金の減少などで保険料
納付が困難となった市民について、その事情を十分に勘案し、国の通知による負担軽減に
加え、本市独自の負担軽減をはかること。
②保険料軽減制度の申請手続きを簡略化すること。
Ⅷ.市民への周知、啓発について
1.感染防止対策の周知・啓発について
インターネット、市政だより、テレビ、ラジオ等により、市民に知らせ、啓発すること。
2.各種制度の周知徹底について
雇用調整助成金、生活福祉資金(緊急小口資金、総合支援資金)、税・保険料・公共料金・
市営住宅家賃などの減免、支援制度などの周知徹底をはかること。
Ⅸ.以上の施策を実施するために必要な財源の確保について
1.国に十分な財政措置を求めること
2.本市の不要・不急の事業について厳しく精査するとともに、コロナウィルスにより凍結又
は中止した事業の予算を有効活用すること
以上、申し入れます。