北九州市2008年度予算編成にあたっての要望書
2007年12月20日
北 九 州 市 長 | 北 橋 健 治 様 |
北九州市教育委員会委員長 | 川 原 房 榮 様 |
日本共産党北九州市会議員団
団 長 石 田 康 高
自民・公明政権がすすめてきた「構造改革」の名による弱者切捨て政治によって、国民のくらしと福祉、地方自治体の財政は極めて深刻な事態に直面しています。
税制「改正」の名で各種控除の縮小・廃止、定率減税の廃止等が強行され、所得税・住民税が大幅に負担増となったことに加え、国民健康保険、介護保険の保険 料の引き上げ、医療費や、介護・障害者福祉サービスの利用に伴う負担増などにより、二重、三重の苦難が国民におそいかかっています。
今夏の参議院選挙では、悪政に対する国民のきびしい審判によって、参議院で与野党が逆転し、行き詰まった前安倍内閣が政権を投げ出すという前代未聞の事態となりました。
それを受けて発足した福田内閣のもとで、収賄容疑で守屋前防衛事務次官が逮捕されるなど、防衛省をめぐる一連の事件は一大疑獄事件の様相をみせるととも に、消えた年金記録問題では、「最後の一件まで解決する」という国民への約束を反故にしようとする福田内閣に、公約違反という批判が高まっています。
一方本市の市民所得は、2006(平成18)年度決算でも政令市で最低の状況が浮き彫りになりました。三年連続で発生した痛ましい餓死・孤独死事件によって、困窮し、孤立した市民にとって最後の拠り所であるべき生活保護行政の歪んだ実態が明らかになりました。
さらに、負担能力を超えている国民健康保険料の軽減、子育て支援の中心課題となっている子どもの医療費無料化制度の拡充、負担増と高齢者差別の後期高齢者医療への対応など、市としてただちに取り組むべき問題が山積しています。
また、前市政による大型開発偏重の市政運営の結果、昨年度末で1兆4000億円を超えた市債残高に伴う元利償還は、本市財政に重くのしかかるとともに、完成したハコ物もその多くが破綻や行き詰まりに直面し、新たな財源投入を余儀なくされている状況です。
この間、学校給食調理業務の民間委託の拡大、保育所の民営化など、市民に最も近い業務において、市が直接責任を負う立場の後退や公共料金引き上げによるいっそうの市民負担増など、大型開発の破綻や行き詰まりのツケが、市民と市職員に転嫁されてきました。
市民のくらしと福祉、安全を守り、安心して生活できるまちづくりをすすめることは市政の基本的な課題であり、目指すべき発展方向です。
今 年4月の暴力団幹部による前長崎市長の銃撃・殺害事件をはじめ、本市においても暴力団関係者によると思われる連続発砲事件など凶悪な事件が相次ぎ、暴力を 許さない世論が大きく広がっています。わが党は、民主主義の名において絶対に許すことのできないこうした行為を、怒りを込めて糾弾するものです。
我 が党は、本市の2008年度予算編成にあたって、市が不要・不急の大型事業を中止し、市民が納めた大切な税金のムダ使いをなくすこと。公共事業は福祉施設 や学校等、市民にとって真に必要な事業に限定するなど、予算配分を根本から変えること。政府による地方交付税削減や社会保障制度の改悪に抗して、市民のく らしと福祉を守るとともに、市財政を健全化するため全力をつくすことなどを求め、本要望書を提出致します。
◎優先して取り組むことを求める重点要望 |
- 食育の観点から、中学校完全給食は自校直営方式を中心に検討すること。
- 市立小・中学校の学級編成は30人以下を基準とし、必要な教職員を増員すること。
- 憲法25条および生活保護法の趣旨に基づき、生活保護行政を抜本的に改善すること。
- 国民健康保険料を1世帯1万円引き下げること。また、後期高齢者医療制度の中止・撤回を政府に求めること。
- 子どもの医療費無料制度の対象を当面小学校6年生まで拡大し、さらに中学校卒業まで延長すること。
- 早急に医師・看護師を確保し、市民が安心して受けられる医療体制を整えること。
- 中小企業の仕事と雇用確保のため、販路拡大に向けた支援を強めるとともに、公共事業は福祉施設・市営住宅建設など市民生活に役立つものに重点化すること。
- 市内に進出する企業に対して市の助成等を行う場合は、正規雇用を交付条件とすること。
- 北九州空港アクセス鉄道構想は凍結すること。
- 地球温暖化防止対策を実効あるものとするため、その具体策を強化すること。
◎市民の医療と福祉を守る市政の実現のために |
■安心できる高齢者・障がい者福祉のまちづくりへ |
長年、社会のために貢献してきた高齢者ならびに障がいをもつ市民が、健康で安心して生活できるよう保障することは、自治体の責任です。
市が毎年行っている「市民意識調査」では、「高齢社会対策」がほとんど毎年市民要望のトップとなっています。しかし、市の高齢社会対策への取り組みは評価が低く、市民の要求に応えていないことが示されています。
*高齢者福祉
(1) | 高齢者の社会参加を促進するため、路線バス、モノレール等の公共交通機関を対象とする敬老優待乗車制度を、計画的に実施すること。 |
(2)
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訪問給食サービスを拡充し、高齢者などの食の確保を図るとともに、孤独死防止対策の一環として機能させること。 |
(3) | 緊急通報システムの設置基準を見直し、対象を拡大すること。 |
(4) | 高齢者医療制度に対して、市独自の負担軽減制度を検討すること。 |
(5)
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家庭・職場など、日常生活の場からバリアをなくすとともに、公共交通機関など移動手段の整備・拡充を図るなど、高齢者福祉計画、障がい者福祉計画を見直すこと。 |
*介護保険
今回の介護保険制度の見直しによって、保険料の大幅引き上げと「介護予防強化」の
名目によるサービス利用抑制、「ホテルコスト」や「食事代」などの負担増が強行され、
施設からの退所やホームヘルパー利用中止など、利用の抑制というかたちで利用者と家
族が苦しめられています。
(6) | 介護保険制度の改悪による車いす、介護ベッドの取り上げ、家事援助サービスの停止をやめ、必要な人が、十分サービスを受けられるよう、政府に改善を求めること。当面、市として独自に必要なサービスを確保する対策を実施すること。 |
(7)
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介護保険料の減免制度を改善し、政府の負担増政策に苦しんでいる市民の負担を引
き下げること。 |
(8) | だれもが、必要な介護サービスを安心して受けられるよう、介護サービスの利用料
減免制度を創設すること。 |
(9) | 特別養護老人ホーム、小規模介護老人福祉施設など施設増設をはかり、極めて遅れている地域密着型サービスを推進するとともに、在宅福祉サービスの充実を図ること。 |
(10)
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地域包括支援センターは、スタッフを拡充し、ケアプラン対応強化など、利用者の不安解消をはかること。また、住民の声を反映したものとなるよう、各区に地域包括支援センター運営協議会を設置すること。 |
*障がい者福祉
障害者自立支援法の施行によって、障がい者福祉サービスを利用できない事態が生じています。同時に多くの障がい者施設の経営が困難に陥っています。適切な 支援制度実施は待ったなしの状況となっており、障がいをもつ人が、安心して生活できるよう、市独自の対策が求められています。
(11) | 障害者自立支援法施行にともなう負担増・サービス利用中断などの事態に対応するため、応益負担をやめ、応能負担にもどすよう、政府に改善を求めること。また、市独自の更なる負担軽減策を実施すること。 |
(12)
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重度障害者医療費給付制度の所得制限をなくすこと。 |
(13) | 障がい者が地域で生活出来るよう、グループホームなど必要な施設を設置すること。あわせて、地域での社会参加やスポーツなどの余暇活動を保障するために、余暇活動を行っているボランティア団体などへの支援を行い、障がい者の社会参加を促進すること。 |
(14) | 障がい者小規模共同作業所に対する支援をいっそう拡充すること。 |
■いのちと健康を守る医療の充実したまちづくりへ |
だれでも安心してかかれる医療の実現、健診受診率の向上や健康相談などによって、早期発見・早期治療の促進に力を入れるなど、市民の健康を守る市の施策が求められています。
本市の国民健康保険加入者は、高齢者と低所得者が多く、所得に対する保険料負担率は政令市のなかでもっとも高くなっています。2007年7月現在、保険料 が払えず保険証(短期証を含む)を交付されていない市民が19648世帯と、加入世帯の9.3%を占めています。また、リストラ、解雇によって被用者保険 から国民健康保険へ移行する就労所得のない加入者も増えており、「高すぎる保険料引き下げ」は切実な要求となっています。
来年4月に始まろうとしている後期高齢者医療制度は、重たい保険料負担、高齢者へ
の差別的な医療内容など、極めて問題のある制度として、実施の中止を求める世論が市内でも大きく広がっており、市としてその声に応えることが求められています。
*医療
(1) | 国民健康保険については、高すぎる保険料を当面一世帯1万円引き下げること。さらに、減免制度を加入者の実態に合ったものに改善すること。保険料が払えない加入者に対しては、その実情を踏まえて柔軟に対応し、原則としてすべての加入者に正規の保険証を交付すること。 |
(2) | 市民の健康づくりの取り組みをすすめるため、特定健診・がん検診体制の改善、自己負担の無料化や個別健診の促進、保健相談・指導の充実を図ること。また、それを担うスタッフとして、市の保健師を増員すること。 |
(3) | 政府に対し、後期高齢者医療制度の中止・撤回を求めること。 |
(4) | 国保から後期高齢者医療への移行で保険料負担増となる世帯に対し、市独自の減免制度を創設すること。保険料滞納世帯に対する資格証明書・短期保険証の発行はしないこと。 |
(5) | 2008(平成20)年4月以降、75歳以上の後期高齢者医療の対象となる市民に対し、はり・きゅう施術補助を実施すること。 |
(6) | 市立病院を充実すること。
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(7) | 夜間休日急患センターの深夜帯の診療を再開すること。 |
(8) | 九州厚生年金病院を公的医療機関として存続させるため、必要な対策を講じること。 |
■一人の餓死者も出さないあたたかい市政への転換を図ること |
(1) | 憲法25条および生活保護法の趣旨に基づき、申請権を保障し、必要な人に迅速に
保護が適用されるよう抜本的な改善を行うこと。相談者・受給者への人権を尊重した対応や援助、就労支援など、本来の意味での自立支援に取り組むため、ケースワーカーを増員するなど体制の見直しを行うこと。 |
(2) | 予算編成にあたっては、抑制された世帯類型別保護人員の掘り起こしや生活困窮世帯の保護捕捉率の調査を行い、十分に余裕ある予算を組むこと。 |
(3) | 現 業員一人当たり75ケース(2007年度当初)の担当数は、精神疾患・障がいなど担当ケースの実情に合ったものに改善するとともに、申請意思あるすべての 相談者の申請受付に対応できるよう余裕ある人員体制に改善すること。女性ケースワーカーと福祉専門職を積極的に採用すること。 |
(4) | 生活困窮者やホームレスへの援助を強めること。生活保護の適用と医療単独扶助の促進、緊急入院した場合の日常生活費の支給、救護施設やホームレス自立支援センターの拡充、雇用相談などを充実すること。 |
(5) | 市の公的役割と責任を明確にして、新たな孤独死防止対策を実施すること。 |
(6) | 政府に対し、生活保護の母子加算の縮小・廃止の不当な制度改悪を中止し、老齢加算を復活するよう強く求めること。また、生活扶助基準の引き下げについて断固反対を表明すること。 |
◎真に「子育て日本一」をめざす施策に取り組むこと |
■胸をはって「子育ては北九州市で」と言える施策に取り組むこと |
いま、若い世代が、仕事と子育てを両立する難しさや、子育てへの不安などから、子どもを生み育てることにためらいがあると言われています。本市における2005年の出生数が1986年比で31.8%も減少していることは、その具体的な表れです。
また、いじめ・不登校・高校中退など、深刻な事態が続いています。
こうした不安をなくすため、病気になったら安心してかかれる医療、多様化する保育ニーズへの対応、ゆとりがもてる教育環境の充実などが求められています。
*医療
(1) | 子どもの医療費(初診料を含む)を、義務教育期間である中学校卒業まで無料化す
ること。当面小学校6年生まで無料化すること。 また、制度適用に関する所得制限は撤廃すること。 |
(2) | 児童・家庭相談を充実するため、各区の子ども・家庭相談コーナーに常勤の相談員
を増員し、子育てに関する相談体制を強化すること。 |
(3) | 公費による妊婦無料健診を早期に5回以上実施すること。 |
*保育
(4) | 保育行政を拡充すること
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(5) | 学童保育クラブの充実を行なうこと。
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(6) | 地域子育て支援センターの配置を見直すこと
実績にばらつきのある既存の地域子育て支援センターのあり方を見直し、地域に開かれた事業とすること。新規増設のセンターは、誰もが立ち寄りやすい公的施設に設置すること。 |
*教育
(7) | 競争教育をなくし、全ての子どもたちがわかる授業、いじめをなくす教育を実現するために、小・中学校とも低学年から順次1クラスの人数を30人以下に改善するため
の条件を整備すること。 |
(8) | 教員管理のための教員評価システムや、競争教育に拍車をかける学校評価システムを廃止すること。 |
(9) | 全国いっせい学力テストの実施をやめること。 |
(10) | 子どもの可能性を伸ばすため、小学校に専科教員(音楽・体育・理科の実験など門的知識を有する教員)を配置すること。本を読む楽しさを伝えるため、小・中学校に図書司書を計画的に配置すること。 |
(11) | 学習障害(LD)及び注意欠陥多動性障害(AD/HD)の児童・生徒の発達を保障するため、専門家の配置など取り組みを強めること。 |
(12) | 特別支援教育を充実させるため、学校の増設、学級の増設・整備をはかるとともに、
専門職の配置など人員体制を強化すること。 |
(13) | 子どもたちの食育に責任をもった学校給食を実施するため、小学校給食の民間委託を中止し、直営を守ること。また、給食用食器を陶器・強化磁器などに改善すること。
地元農産物を活用した、安全でおいしい給食の取り組みを進めること。 |
(14) | 中学校における自校方式による市直営の完全給食を早期に実施すること。 |
(15) | 中学校の教室暖房を直ちに実施すること。小・中学校の冷暖房化、老朽校舎の改修や耐震補強を計画的にすすめること。 |
(16) | 学校のトイレについては、悪臭対策、男女完全分離化、洋式便器の設置など、改善計画を完全実施すること。 |
(17) | 保護者の病気、失業、リストラなどの緊急事態にも即応できるよう、就学援助制度
を改善・充実すること。 |
(18) | 私学助成を拡充し、公私の格差是正、父母負担の軽減をはかること。 |
(19) | 市の知的財産として、北九州市立大学の充実・発展のために支援を強めること。
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(20) | 唯一の市立高等学校である北九州市立高等学校を充実・発展させること。
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(21) | 小中学校の学校夜間警備については、教育的観点から有人警備を基本とし、機械警備を見直すこと。 |
*権利保護等
(22) | 市内に、児童自立支援施設を設置すること。シンナー、薬物乱用など、青少年の非行防止のため、必要な対策をとること。 |
(23) | 子育て世代の住宅確保を支援するため、市営住宅の増設や、家賃補助などの拡充を
はかること。 |
(24) | いじめや児童虐待の問題への対策を強化するため、現行の「新・新子どもプラ
ン」を見直すこと。特に、児童相談所の充実、児童養護施設の拡充をはかること。子 どもの権利オンブズマンを設置し、子どもの問題全般に積極的に取り組むこと。 |
(25) | 市民に開かれた教育行政を進めるため、教育委員の準公選制の導入を検討すること。 |
(26) | 政府による児童扶養手当制度の改悪に反対すること。 |
◎市民の知恵と力を活かせる市政を |
■仕事と雇用をふやし、地域経済の元気なまちづくりへ |
北九州経済の主役は、中小企業です。事業所数で99.8%(2001年・事業所統計)、従業者数で89.0%(同)を占めている市内の中小企業に活力を与えることが、北九州の地域経済を活性化する決め手です。
地域経済の再生にむけ、老朽化した小・中学校の建て替え、不足している市営住宅や福祉施設の増設など、公共事業を市民生活に直接役立つものに切り替え、融資対策や販路拡大など、地元中小企業振興のため、有効な対策を取ることが求められています。
また、大企業の身勝手なリストラ、下請けいじめが、労働者と地元中小企業に打撃を与えています。行政として、大企業に社会的責任を果たすよう求めることが重要です。
トヨタをはじめとする自動車関連企業などの進出を、地元中小企業の振興や正規雇用の創出に結びつけることができなければ、真の地域経済の再生につながるものとはなりえません。そのための施策の実施は喫緊の課題です。
(1) | 企業誘致インセンティブの助成金・補助金の交付については、
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(2) | 北九州経済の土台である、地元中小企業の育成・振興を強力に推進すること。
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(3) | 「リストラアセスメント条例」をつくり、大企業の進めるリストラ(合理化)計画を把握するとともに、それが地域経済に悪影響を及ぼさないよう規制・指導を行うこと。 |
(4) | 市内の全事業所訪問による実態調査を行い、中小企業・商店の支援を強化すること。
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(5) | 公 共事業は、浪費型の大型事業を全面的に見直し、特別養護老人ホームなど福祉施設や市営住宅の建設、教室冷暖房、学校施設の整備・改築など、市民に役立つ生 活密着型に転換すること。市の福祉・医療・教育施設の工事、物品等は、基本的に100%地元企業発注をめざすこと。また、人件費を含め、受注企業への適正 な発注を確保するため、公契約制度の創設を検討すること。下請企業が採算割れするような事態を生じさせないよう、適正な単価設定を行うこと。 |
(6) | 中高年者の就業機会を増やすため、ハローワークなど関係機関との連携を強めるとともに、シルバー人材センターをいっそう充実させること。公園や遊休地の除草・清掃、廃品・古紙の回収など、特別な技術がなくてもできる公的緊急失業者対策事業を起こすこと。 |
(7) | 地元農林水産業の振興のため積極的な対策を講じること。
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(8) | 若者の正規雇用を拡大し、将来に展望が持てる雇用環境を実現すること。
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(9) | 市場・商店街への支援を強めること。
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(10) | 市職員の長時間・過密労働と成果主義賃金導入を中止し、市民サービス低下につながる職員削減は中止すること。市の業務において、安易な指定管理者制度の導入や業務委託などにより、低賃金雇用が拡大しないよう十分配慮すること。 |
■自然と環境を大切にし、市民参加の住みよいまちづくりを |
これまで本市は、“なんでも焼却”を前提に、他都市からのゴミ受け入れにも対応できるよう大型のゴミ焼却施設を建設するなど、ゴミの減量化や地球環境を守る世界の流れに反する環境行政を行ってきました。
地球温暖化防止のため、二酸化炭素の排出削減を示した京都議定書に続いて、インドネシア・バリのCOP13の提案の実施は世界の要請です。市長を先頭に、 市民との対話を強め、幅広い市民の協力を得て、ゴミ排出抑制・リユース・リサイクルを促進してゴミの減量化をはかるとともに、環境保全を重視し、市民の健 康と安全を最優先する環境行政に転換することを求めます。
(1) | 地球温暖化防止対策を実効あるものとするため、その具体策を強化すること。 |
(2) | ゴミ減量化に本格的に取り組むこと。
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(3) | ゴミ処理と減量化の公的責任を明確にすること。
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(4) | 光化学スモッグ、降下ばいじん、自動車排ガス、悪臭対策を強め、クリーンな大気を実現すること。 |
(5) | ダイオキシンをはじめとする化学物質、アスベスト、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)などの実態調査と情報の公開を行い、必要な対策を実施すること。 |
(6) | 曾根干潟など自然環境をまもり、生態系保全の計画をつくること。 |
(7) | 市内の産業廃棄物処分場の環境管理体制を強化すること。現行法に照らして適正な管理を行うよう強力に指導すること。 |
(8) | 洞海湾の水質及び底質の改善対策、ひびき灘の企業埋立地等の土壌汚染対策を実施すること。 |
(9) | PCB処理施設への他県からの持込を中止し、安全性を最優先に見直しを行うこと。 |
(10) | 保育所・学校など、市の施設に太陽電池パネルの設置を推進し、地球温暖化防止に 努めること。 |
(11) | 住民の声を生かした街づくりを行なうこと。
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■交通体系を整備し、市民の足を守ること |
(1) | 市民の足を守る公営バスの使命を果たすために、不採算路線を走行せざるを得ない市営バスに対して、必要な補助を実施し経営の安定をはかること。 |
(2) | 交通結節点の混雑解消、バス停、電停、JR及びモノレール各駅のバリアフリー化を進めること。 |
(3) | 交通不便地域や、市場・商店街、官公庁、医療機関等を巡回する地域循環バスを市の責任で運行し、市民の足を守ること。おでかけ交通に対する運営補助を行なうこと。 |
(4) | 若戸大橋及び新若戸道路の通行料の無料化を実施すること。 |
(5) | 国道3号黒崎バイパスの07年度暫定供用及び全体工事の早期実現を図ること。 |
(6) | 八幡西区永犬丸・三ヶ森地域と折尾地域を連携するバス路線を新設すること。都市計画道路12号線の八幡西区浅川台地域の路線を見直し、水巻町に連携する道路計画に変更し、早期に事業化すること。 |
◎憲法の精神を活かし平和と人権を守るまちづくりをすすめること |
■市民の安全と平和を大切にするまちへ |
北九州市は、アジア外交の玄関口として重要な地域に位置しています。
いま政府が、憲法を変え、戦争する国づくりをすすめようとしている重大な情勢のもとで、市として、政府の言いなりになることなく、平和と市民のいのちを守るため、全力をあげることが求められています。
また、住民のいのち、財産、安全を守る自治体の使命にもとづき、犯罪の防止・抑止、暴力追放の取り組みは極めて重要です。前長崎市長銃撃・殺害事件などで市民の間に広がっている暴力追放世論をしっかり受け止め、暴力団対策をいっそう強化することが急務となっています。
阪神・淡路大震災からやがて13年、福岡西方沖地震から3年が経過しようとしていますが、最近も中越沖地震により大きな被害が出るなど、地震を含めた自然災害への備えと災害時の危機管理体制のありかたが問われています。
(1) | 憲法9条の改悪に反対するとともに、改悪された教育基本法の具体化に反対し、平和と人権を守ること。 |
(2) | かつて原爆投下の目標となった準被爆都市として、戦争の惨禍を繰り返させない決意を示すため、北九州市として「非核平和都市宣言」を行うこと。 |
(3) | 平 和推進のための基本条例をつくること。同条例に基づいて、戦争の悲惨さを伝え、近現代の市の歴史を学び、平和教育にも役立てるための「平和資料館(仮 称)」を設置するとともに、学校現場での平和教育の推進、核兵器廃絶運動の促進等に努めること。また、戦時資料展示コーナーにおいては、平和学習の促進や 戦時資料研究など、その機能と役割を強化すること。 |
(4) | 在日米軍基地の再編・強化に反対し、政府に自衛隊基地の撤去・縮小を求めること。
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(5) | あらゆる暴力を許さない取り組みを推進すること。とりわけ、福岡県警察とも連携して、暴力団追放運動をいっそう強化し、公共事業への暴力団の介入を排除する対策を徹底すること。民事暴力相談センターの存在を市民に周知し、活用をすすめること。 |
(6) | 日頃から、地震、台風、豪雨など自然災害への十分な備えを行なうこと。
?木造戸建て住宅の耐震改修工事の現行基準を緩和し、旧耐震木造住宅すべてを対象とし、居間、寝室等の簡易耐震工事にも助成を広げること。 ?全ての公共施設の耐震診断を早期に実施し、改修計画を具体化すること。 ?マンションの耐震診断・工事の負担軽減のため、助成制度をつくること。 ?市内急傾斜地及び高潮等による災害について、防止対策を強化すること。 |
(7) | 市内に存在する廃屋については、火災の危険や、少年非行の場所となることなどが懸念されており、所有者の確認、危険性の回避など、対策をさらに強化すること。 |
(8) | 防犯灯の増設を図るとともに、設置および電気代の町内会負担をゼロにすること。 |
■市民の自主的・民主的な教育、文化、スポーツ活動を支援する市政へ |
(1) | 八幡西区、小倉南区に地区図書館を設置すること。図書館、博物館などの社会教育施設を直営に戻し、必要な予算と人員を確保して、運営を充実させること。 |
(2) | 市民センターの開館日・時間を拡大し、日曜日・国民の祝日も使用できるよう改善するとともに、各施設のバリアフリー化をすすめること。 |
(3) | 市民要望の強い地域においては、市民サブセンターの新設を積極的にすすめること。 |
(4) | 文化・スポーツ予算を大幅に増やし、誰でも文化・スポーツに親しみ、楽しめるよう施設を拡充すること。各区の市民会館や生涯学習センターなどの整備、改修をすすめるとともに、学校施設を開放するなど、地域住民が利用できる施設を増やすこと。 |
(5) | 空き店舗施設の活用など、市民が身近なところで音楽や演劇などを鑑賞し、自ら練習・発表できる場の確保などを支援すること。 |
(6) | 九州厚生年金会館を存続させるため、必要な取り組みを行うこと。 |
(7) | 市民の財産である市内の伝統文化・芸能・まつり等の保存・継承・振興のために、市としての支援を強めること。 |
(8) | 乱開発から文化遺産を保護するため、調査・保存対策をすすめること。 |
(9) | 北九州市に一定期間滞在する外国人や定住者、その子女、帰国子女等、日本語に関してハンディを負っているすべての人たちに、地域生活に関する情報と当面必要な日本語教育の機会を保障すること。 |
■男女平等、女性の地位向上をすすめる市政へ |
女性の地位向上をはかり、男女平等を推進する市政を実現するために、憲法と女子差別撤廃条約、および「北九州市男女共同参画社会の形成の推進に関する条例」に基づき、広く市民、女性団体の意見を活かした施策を実施することが求められています。
(1) | 地元からの女性副市長を登用し、総合的な男女平等のための施策を推進すること。 |
(2) | 市政に関する企画・立案部門をはじめ、広く女性幹部職員の登用率を高めること。 |
(3) | 各種審議会委員の任用にあたっては、女性団体に広くよびかけ透明な基準で女性の登用を促進すること。 |
(4) | 「改正」男女雇用機会均等法に基づき、女性への採用差別や賃金格差、妊娠・出産差別や昇給・昇進差別などをなくすよう、関係機関と連携して、企業への働きかけを強めるとともに、相談・救済のための対策をすすめること。 |
(5) | 民間の職場を含めて「セクシャル・ハラスメント」防止対策を徹底するよう働きかけるとともに、相談体制の充実を図ること。 |
(6) | DV法、ストーカー規制法などにもとづき、相談体制の充実、シェルター設置など被害者の自立支援体制を強化し、女性への暴力根絶に取り組むこと。あわせて、民間支援団体への助成金の充実など、支援を強めること。 |
(7) | 母子寮の整備・増設をすすめること。 |
(8) | 学校教育を通して男女平等の教育を徹底し、性別役割分担意識や男女差別をなくす積極的な学習内容への改善に努めること。 |
■公正で民主的な、市民に開かれた市政へ |
税金の使い方など、市政に対する市民の関心が高まっており、市民に開かれたガラス張りの市政実現と、誰もが納得できる市政への改革が必要です。
公共工事や各種事業など市の事業については、関係者の意見をよく聞き、住民合意をはかりながらすすめることが求められています。
(1) | 現在1期4年毎に約3800万円支給することになっている市長の退職金制度を、完全に廃止すること。 |
(2) | 公正で民主的な、市民に開かれた市政を実現すること。
?市民の個人情報保護と情報の悪用を防ぐため、住民基本台帳ネットワークシステム(=住基ネット)の凍結・中止を政府に求めること。また、市として、住基ネットへの登録について、個々の市民が選択する自由を保障すること。 ?市職員の資質・専門性の向上を図ること。職員間のコミュニケーションを向上させて連携を強めるなど、職場環境の改善をはかること。公益通報制度の適切な活用を通じて、不祥事防止を徹底すること。 ?市長室を市役所本庁1階に移すとともに、市長の行動日程を表示し、公開すること。?各種審議会の委員構成は、公募による市民の割合を増やし、原則として委員会を全 面公開すること。 ?市長交際費の使途を市のホームページに掲載し、全面公開すること。 ?市政上の重要な課題、地域や市民生活に重大な影響を及ぼす問題について、市民が意思を表明する機会を保障するため、永住外国人を含む18歳以上の住民投票制度の創設を検討すること。 ?法的根拠を失った同和行政は“終結宣言”を行い、全面的に終結させること。 ?指定管理者制度を導入した施設については、施設の設置目的を十分に果たすことができるよう、情報公開を徹底し、運営の透明性、市民の利便性を確保すること。 |
(3) | 各区の特性を生かした施策をすすめるため、各区役所の機能と裁量を拡大するとともに、それを保障するため予算の増額をはかること。 |
(4) | 市民が気軽に問い合わせできるよう、市役所に代表電話を設置すること。 |
(5) | 市民の参画を保障するため、監査委員の選出に準公選制の導入を検討すること。 |
(6) | 市民団体や住民組織の意向を市政に反映させるため、(仮称)「お出かけ市長室」などを通じて市民との日常的な対話をすすめること。また、正確な情報を市民に広報するため、情報公開をさらに徹底すること。 |
(7) | 永住外国人の地方参政権を保障するため、政府に制度改善を要請すること。 |
(8) | 悪徳商法や、振り込め詐欺、多重債務などの被害から市民を守るため、相談体制を充実すること。 |
(9) | 外郭団体の組織・業務を抜本的に見直して整理・縮小し、情報公開を徹底すること。 |
以上
マンション耐震化対策についての申し入れ
北九州市長 北橋 健治 様
2007年12月20日日本共産党北九州市会議員団
団 長 石田 康高
1995年1月の阪神・淡路大震災で犠牲となった6400人を超える人々の8割が建物の倒壊によるもので、この教訓から建築物の耐震改修の促進に関する法 律が制定されました。その後、2004年10月に新潟県中越地震、2005年3月には福岡県西方沖地震が発生、我が国において、大地震はいつどこで発生し てもおかしくない状況にあるとの認識が広がりました。
国は、今後想定される大規模地震による人的被害を2015年度までに半減させるため、住宅や多数の者が利用する特定建築物の耐震化の目標を定め、2006 年1月には「耐震改修促進法」を改正施行、県及び市町村単位で耐震改修促進計画を策定し、建築物の耐震化を計画的に促進することを規定しました。福岡県は 2007年3月「福岡県耐震改修促進計画」を策定、本市も今年度中に策定予定です。
わが党市議団は、耐震偽装問題が起こった2005年12月、末吉市長(当時)に対して、5項目にわたる「住宅・建築物の耐震診断の費用助成制度の改善」を 申し入れました。翌2006年8月、市は1981年6月以前に建築された旧耐震基準の木造住宅を対象に、耐震改修工事助成制度を設けましたが、マンション にはまったく補助を行っていません。政令市でマンションの耐震診断・耐震改修に補助制度がないのは、本年10月現在本市のみとなっています。1998年か ら国や全国に先駆けて無料で簡易耐震診断を行ってきた横浜市は、旧耐震基準マンションの88%が診断を終えています(2007年1月)。マンションの耐震 改修には、多大な費用負担とともに、住民の合意形成が必要なことから旧耐震基準マンションの本格的な耐震化は進んでいません。国もこうした事情を踏まえ、 本年6月「マンション耐震化マニュアル」を策定しました。
本市の旧耐震基準マンションは約2100棟と推定されていますが、市として正確な実態を把握していません。耐震化を進めるためにはまず正確な実態を把握 し、定期的な調査を行う必要があります。国は現在、耐震診断、耐震改修工事への補助、融資制度、税制優遇、債務保証など助成制度を設け、補助を実施する自 治体に財政的な支援を行っていますが、市として助成制度を実施していない本市では、国の現行制度を利用できません。ついては早急に以下のように対策をとる よう申し入れます。
記
1 旧耐震基準マンションの実態把握のための調査を行い、定期調査を実施すること。
2 簡易耐震診断を無料で実施すること。「耐震偽装問題」の教訓を踏まえ、1981年6月以降建築のマンションについても対象とすること。
3 国の現行助成制度を利用し、精密耐震診断に助成をおこなうこと。
4 国の現行助成制度を利用し、計画策定費用(事業計画作成・地盤調査・建築設計等)に助成をおこなうこと。
5 国の現行助成制度を利用し、改修が必要と診断されたマンションの耐震改修工事に助成をおこなうこと。
6 新耐震基準建築物でも基準のない部分への助成制度を設けるよう、国・県に働きかけること。