更新日:15年10月29日

2015年9月定例会 山内涼成議員の一般質問(30分)



2015年9月定例会 本会議一般質問と当局答弁(9月14日 月曜日)

山内涼成議員の一般質問(30分)

議場のみなさんこんにちは。日本共産党の山内涼成です。会派を代表して一般質問を行います。

まず、産業廃棄物処理業者の相次ぐ火災問題について、お尋ねします。本年7月24日19時ごろに若松区響町で火災が発生しました。

この火災は、野積みされた金属スクラップが何らかの原因で発火し、約4000リュウベを焼き、鎮火までに実に16時間40分を要しました。幸いけが人はなく、風向きも幸いして隣接する工場への延焼はありませんでしたが、風下ではかなり鼻を衝くにおいがしていました。この会社は、過去に平成18年、平成25年、そして今回と3回も同様の火災を起こしています。また、本市ではこのような廃棄物処理施設等における火災が平成17年1月以降で95件も発生し、その内、火災原因の不明なものは24~25%にのぼっており住民から不安の声が多く寄せられています。

昨今、この金属スクラップが関係する火災は社会問題化しています。

金属スクラップは、「ミックスメタル」や「雑品」とも呼ばれ、主に中国に輸出され、現地で手作業で分別し、金属類は再利用されています。その輸出量は年数百万トンに及ぶと言われています。

その金属スクラップがなぜ、火災を起こすのか、それは「雑品」と言われるとおり、金属スクラップの中には正規ルートで処理されなかった家電4品目のほか、炊飯器、バッテリーや灯油缶、コピー機のトナーや電線などが混在していますが、これが野積み状態で積み上げられ様々な原因で発火し火災になっています。野積みされたことによる圧力や摩擦、重機作業中に残油やオイルから出火したもの、さらに、バッテリーやリチューム電池、コピー機のトナーも破損することで発火することも実験で明らかになっています。

また、消火活動においても、その中にどの様なものが含まれているのか判別できないことから、消火作業を慎重に進めざるを得ないために鎮火までに長時間を要しているのが実情です。

実際に今回の火災現場でも、野積みされたスクラップの中央部分にコンテナがあってその中に何が入っているのかわからないとのことでした。

本来「家電4品目」などの電化製品は、家電リサイクル法に基づき、小売店から指定引き取り場所を経て、家電メーカーのリサイクル工場で処理されます。しかし実態は、この正規ルートで処理される廃家電は、2012年度では、総排出量の67%にとどまり、3分の1が不正処理もしくは「有価物」として処理されたものです。

「有価物」として取引すれば、廃棄物処理法上の廃棄物を担当する環境省や自治体の監督が及びにくくなるという盲点があります。そして、最近では金属スクラップ業者に売却される事例が増えていることも金属スクラップが雑品化した原因の一つと考えられます。また、これらの輸出の際の船舶火災も増加し海の環境汚染にもつながっています。

このような法の抜け道をなくし、適正な処分を行わせるために業者や施設を把握し、「有価物」の流通の現状をつかみ、処分目的の「有価物」に対するルールと規制を設けるため早急に国に要請すべきと考えますが、これらに関連して2点お尋ねします。

第1に、金属スクラップの火災の原因となりうるバッテリーや廃家電などを指定可燃物に指定するよう国に要請し、消防法のもとに立ち入り検査や行政指導ができるようにすべきと考えますが見解を伺います。・・・・①

第2に、頻発する金属スクラップ火災防止と住民の不安を払拭するために市として、金属スクラップの仮置き場での保管ルールに関する条例をつくり厳しく管理する必要があると思いますが見解を伺います。・・・・②

 

次に北九州市環境首都総合交通戦略について伺います。

北九州市環境首都総合交通戦略は、「鉄道、バスをはじめとする公共交通や自転車は、通勤、通学、買い物や通院など、無くてはならない市民の足となっている。さらに、地球環境にも優しい交通手段であり、その利用促進や充実を図っていくことは重要な課題である」として平成20年12月に策定されました。

平成26年8月に総合交通戦略の改定(中間見直し)が行われ、今年2月に改定された戦略の交通施策に基づく実施計画が策定されました。

その中で、戦略の目的として市民、企業、交通事業者、行政の各主体の理解と協力により積極的に公共交通を利用促進していき、公共交通の衰退がもたらす「負の循環」を、公共交通が維持・存続できる「正の循環」に転換するとしています。

そこでいくつか伺います。

この総合交通戦略において、現状における課題が挙げられています。

第1は、交通利用者が、再び減少に転じ、公共交通空白地が拡大する恐れがある、という点です。確かに公共交通分担率は、平成20年当初の基準値に比べ平成24年末の数値は1.4%増加していますが、これは、バス事業者の努力による一過性のものであり伸び続けるものではありません。また、モノレール、筑豊電鉄、JRはほぼ横ばいとなっています。

この数字を見ても公共交通利用者数は下げ止まりになりつつあると言わざるを得ません。また、公共交通人口カバー率は微増となっており、公共交通空白地の改善はほぼ、お出かけ交通にしか手段を見いだせていないのが現状ではないでしょうか。

公共交通が維持・存続できる「正の循環」への転換を図るためには、現状維持ではなく、さらに公共交通利用者を増やし、人口カバー率を引き上げる必要があります。

私は、そのために有効な手段として戦略の中で触れられている、幹線と支線の充実、いわゆるフィーダーバスの発想を広げるべきと思います。幹線の充実で定時制を確保し、支線で広く地域を網羅することで人口カバー率を引き上げるといった利用しやすい交通網を考えるべきと考えますが見解を伺います。・・・③

第2は、高齢化の進行により、自由に自家用車を利用できない人々の増加、という課題です。

本市では、全国平均を上回る速度で高齢化が進行しています。急速に進む高齢化に対し公共交通の更なる充実が求められています。

昨今、高齢ドライバーによる事故が年々増え続ける中で、運転免許の返納を促す意味でもマイカーに代わる公共交通がより利用しやすい移動手段とならなければなりません。計画の見直しのポイントとして挙げられている、効果を実感できる事業展開とは具体的にどのような政策を考えているのか伺います。・・・④

 

最後に、義務教育における遠方からのバス通学の問題です。この問題は六月議会でも取り上げましたが、同じ義務教育であるにも関らず、遠方から通学する児童・生徒の一部に通学支援を受けていない児童・生徒がいることはやはり不公平です。学校を統廃合した場合には3キロを超えて遠方通学する児童・生徒への通学を支援する制度があります。平成20年の道原小学校と山本小学校の統合によりすがお小学校となった際にこの制度ができたと聞いています。その後中学校でも、平成22年に風師中学校が門司中学校に統合されたことにより、この制度が適用されることになりました。学校の統廃合という憂慮すべき理由があったにせよ、遠方から学校に通うということに違いはありません。

通学費補助の基準については、学校統廃合による3キロを超える遠方通学者という基準のほか、就学援助においても小学生は4キロ以上、中学生は6キロ以上とその基準は明確になっています。

これら明確な基準の決定にあたっては、子どもの足で歩ける距離なのか、学校の始まる時間や終わる時間に、どのような環境の道を通学するのかなど、おそらくは児童・生徒の立場に立った議論があったうえで定められたはずです。

居住する地域がたまたま学校から遠かった、学校の統廃合で学校までの距離が遠くなった、家庭の経済的理由で就学援助を受けている等、事情は様々ですが、どの生徒も遠方通学を強いられていることに変わりはありません。教育を受けさせる義務を負う保護者負担の是正について見解を求めます。・・・・⑤   以上で、私の第1質問を終わります。

 

山内涼成議員質問への答弁(9月14日)

■市長

 (総合交通戦略について)

本市では元気発信北九州プランに示すまちづくりの目標を実現するため、都市交通分野の取り組みを戦略的に推進する基本計画として、平成20年12月、北九州市環境首都総合交通戦略を策定した。その中で公共交通人口のカバー率について、現状の80%を維持、また公共交通分担率について現状の20%を維持することなどを計画目標として、まちづくりと一体となった持続可能な市民の足の確保を行うこととした。

この戦略は概ね平成30年度までの10年間を目標としており、中間年にあたる平成26年度、PDCAサイクルに基づく事業の評価、検証を実施し、見直しを行った。その中で計画目標である公共交通の人口カバー率、分担率が策定当初と比較して増加し、公共交通利用者の減少傾向に歯止めがかかっていること、また利用者アンケートにおいても満足度が増加していることなどから、一定の効果が得られたものと認識している。

また戦略に基づく実施計画の見直しにおいて、利便性をさらに向上させるフィーダーパスなどの導入や、高齢化に対応した高齢者モビリティーマネジメントを新たに追加したところだ。今後、人口減少などによる利用者の減少により既存のバス路線では存続が難しくなる地域などで、必要に応じ既存バス路線と接続するフィーダーバス等の導入を検討することとしている。

路線バスをはじめとする公共交通の維持、存続のためには、より多くの方々に利用していただく、市民の皆さんが支えるという観点についてのご理解、ご協力も不可欠と考えている。また公共交通への転換を促す高齢者向けの政策として、すでに市営バス、西鉄バス、モノレール、タクシーの一部において、高齢者を対象とした独自の格安定期券の導入や運賃割引が実施されている。

市としても、高齢者モビリティーマネジメントなどの政策により、これら格安定期券などの周知や公共交通のPR活動などに取り組み、バス停における上屋やベンチの整備などによる待合環境の改善や、低床式バス、LRTの導入、さらには駅などのバリアフリー化の推進などと組み合わせ、高齢者が安全かつ安心して移動できるための方策の展開に努める。

このような取り組みに加え、交通の結節機能の強化や観戦バス路線の高機能化など、複数の政策を組み合わせ事業の効率化が図れ、相乗効果も得られることになり効果を実感できると考えている。

今後とも公共交通が市民の皆さんにとってさらに利用しやすいものとなるように、引き続き市民や交通事業者と連携、協同してこの戦略を着実に推進していきたいと考えている。

 

■消防局長

 (金属スクラップ火災について)

指定可燃物は火災が発生した場合に、その拡大が速やかで消火活動が著しく困難となる物品、数量を消防法で定め、その貯蔵、取り扱いについては市町村条例で定めている。バッテリーや廃家電については、その部材であるプラスチックやゴムが指定可燃物に指定されているが、貯蔵数量が把握できないなどのため規制ができていない。また金属スクラップは、多種多様な物品が混在しているため燃える物品の特定や規制数量の算定が非常に難しいという課題があり、自治体で対応するのは困難だ。

このようなことから、金属スクラップの規制は全国的な課題となっており、すでに全国消防長会を通じて統一した基準づくりを国に要請し、現在総務省、消防庁において火災予防対策等の研究が進められているところだ。

一方、●●についてはこれまでも指定可燃部の規定を準用し指導してきたところだ。具体的には、消火器の準備や大量に集積されたスクラップの適正な量への小分けなどだ。さらに今回、若松区での火災を受けた緊急対策として区内すべての事業者にたいし再調査を開始しており、スクラップを大量に集積していると認められる場所については繰り返し現地を訪問し適切な保管となるよう改善を促すこととしている。

今後も国の研究の進捗状況を注視し、関係機関と連携を図りながら金属スクラップ等の出火防止や被害軽減に努めていきたいと考えている。

 

■教育長

 (遠方からの通学児童への支援について)

現在、本市における通学支援としてはいくつかの制度がある。まず経済的に困窮している世帯を対象に片道の通学距離が小学生については4キロ以上、中学生については6キロ以上ある児童生徒の保護者に対し、通学費として交通費実費分を支給する就学援助制度、次に小中学校の特別支援学級に就学する児童生徒の保護者に対し通学費として交通費実費分を支給する特別支援教育就学奨励制度、また学校統合に伴い片道の通学距離が3キロを超える児童生徒の保護者に対する通学費の補助、あるいは公共交通機関がない場合はスクールバスの運行による通学支援制度、さらにバス路線の見直しに関して北九州市地域公共交通会議においてお出かけ交通など地域を限定した料金体系が認められたバス路線に変更することにより、児童生徒の通学に要する運賃が著しく値上がりした場合、保護者に値上げ幅の2分の1を補助する、特定路線にかかる通学支援制度、こういった制度がある。

通学に要する経費は従来から保護者に負担していただくことを基本に考えている。その中で、公共交通機関により通学している児童生徒には、保護者の経済的事情などに配慮し一定の支援を行っているところであり、公共交通機関を利用するすべての児童生徒に通学費の補助を行うことは難しいと考えている。

 

<第2質問への答弁>

■環境局長

 (廃家電が有価物として取り扱われていることについて)

廃家電製品においては、少し分けて考える必要があるかと思う。家電4品目、いわゆる家電リサイクル法で特定されている家電4品目については、有価で取引されるということはリユースとして取り扱われることを前提にしたものと認識している。ですから有価で取り扱われるということについては、多少なりとも廃棄物として適正処理を行わなければならにと我々は考えている。

 

 <第3質問への答弁>

■消防局長

 (金属スクラップ火災に対応する条例の必要性について)

法令で防止策を定める場合は、危険性の度合いを明確にして、どのような基準を適用することが妥当であるか、そういう判断をしなければならない。しかし、保管されている物品の特定や火災危険性を客観的に評価すること、これは非常に難しいため残念ながらそういうことができといないという状況だ。われわれとしては、いまやっている指定可燃物の規定を準用した指導を、これからも一生懸命していきたいと思っている。

一方で、国に対して継続してこの問題を提起し、全国消防長会を通して機会があるごとに統一した基準を作るように要請していきたいと考えている。

 

 <第4質問への答弁>

■建築都市局長

 (フィーダーバスができない理由について)

フィーダーバスの導入については、どのような運賃体系などについて今後検討していくということなので、これから検討する中で示していきたいと思う。

 

 <第5質問への答弁>

■教育長

 (児童生徒の交通補助、3キロ以上、という根拠について)

3キロ以上という根拠だが、平成18年に当時、現在の菅生小学校に統合するときに、統合という外的環境によって距離が遠くなるわけだから、3キロ以内が適当だろうということで、それを超える場合に支援するという議論だった。

 

 <第6質問への答弁>

■教育長

 (3キロ以上、という規定は学校統廃合でも子どもの身体的負担でも同じはずだ)

市内の人口分布でどうしても通学距離が長い児童生徒がいることは事実だが、市としてはその中で、先ほど言ったような経済的困難な方への補助、それから特別学級の子どもさんへの助成、それから学校統廃合あるいはバス路線の見直し、こういったことで外的環境が変化したときにそれに対して助成すると、いうのが現時点での我々の考え方だ。

 以上

 

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