更新日:16年07月07日

2016年6月定例会 本会議質問と当局答弁 柳井誠議員の議案質疑(60分)



2016年6月定例会の本会議質問が6月10日~14日まで行われました。日本共産党から5名の議員が本会議質問を行いました。その質問と答弁を日本共産党市議団による音声をもとに文書化したものを紹介します。また、北九州市議会HPで中継録画がご覧になれます。正式には、9月議会で今回の議事録が公開されます。

 

2016年6月10日(金)

柳井誠議員の議案質疑(60分)

私は日本共産党市会議員団を代表して、質疑をおこないます。

 

1、議案第102号 北九州市養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例、北九州市介護サービス等の事業の人員・設備及び運営の基準等に関する条例の一部改正について、うかがいます。

本市は、介護ロボット等を活用した「先進的介護」の実証実装などに関する提案が認められ、国家戦略特区に指定されました。介護職員の負担軽減と介護の質の向上をめざすとしています。今議会で提出されている条例の改正内容は介護ロボットを活用するために、ユニット型指定介護老人施設等の設備の基準を緩和し、特例を設けるため関係規定を改めるものです。

具体的には、1ユニットに1共同生活室としていたものを、隣接する2ユニットの共同生活室を一体的に利用できるものとし、①食事介助、②団欒・レクリエーション、③認知症予防・重症化予防、身体機能の維持を目的としながら、従来より広い共同生活室を設けることで介護ロボットの活用を可能にしています。実証施設は、広域型特別養護老人ホーム、地域密着型特別養護老人ホーム、各1施設の公募に対して、それぞれ3施設が申し込んでいます。

 

A:第一に、利用者サービス向上の評価と検証についてです。

応募提出書類では、運営方針等について、施設が取り組む内容について提案を求めていますが、選定・公表が6月下旬になるため、応募内容は公表されていません。

そこで、利用者にかかわる評価基準としては、事故・虐待の防止や個人情報保護はもちろんのことですが、利用者一人ひとりへのサービス提供、利用者の尊厳の保持、認知症高齢者ケアについて等が重視されるべきであると考えます。そもそも、職員の手で行ってきた介護サービスを、一部ロボット化してしまうことで、今までどおりのケアやサービスの質が保たれるのか疑問があります。

ロボットに代わっても無事故だったから合格とするのではなく、要介護者の身体状態や認知状態の変化、認知症本人の受け止めこそ、本来あるべき判断基準です。そういった利用者の視点に立った、評価と検証はどのようにするのか、答弁を求めます。

 

:第二に、介護人材の不足の原因の一つ、職員の負担軽減、とりわけ介護労働による腰痛への対応についてです。

腰痛は、看護職や介護職の共通の職業病です。例えば、療養病床・回復期リハ病棟のある市立門司病院の平成26年度の看護師の離職率は33.8%で、全員中途退職であり、抱える作業による体への負担も影響していると考えられます。そもそも、2013年に厚生労働省が「職場における腰痛予防対策指針」を大幅に改定し、「抱きかかえて看護や介護をさせてはならない」と事業主の責任で働き方を変えることが求められています。ノーリフトプログラム、つまり、「持ち上げない看護、抱え上げない介護プログラム」が広がりを見せている今、ロボットを導入するよりもまず先に、市は介護の現場で働き方の改善の状況を把握し、その上での介護ロボット実装の取組みを位置づけるべきです。

まずは、第4次北九州市高齢者支援計画における、「介護サービス事業経営者への研修事業」のなかで腰痛予防対策指針がどのように徹底され具体化されているのか。また、職員の負担軽減という視点に基づいたロボットの製品化、利活用の支援、啓発が重要と考えており、2月補正予算の介護ロボット導入支援事業6,000万円の申請状況を含めた現状の到達点について、伺います。

 

:第三に、本市の介護ロボット国家戦略特区指定のめざす投資効果、本市の成長目標への寄与についてうかがいます。
3月24日に北橋市長が国家戦略特別区域会議でおこなったプレゼンテーションでの介護ロボット等を活用した「先進的介護」の実証実装の年次計画では、規制改革については、平成32年度に第8期介護保険計画への反映をめざすとしています。あと4年間しかありません。介護現場における、作業分析と実証・評価を経ながら介護ロボットを改良し、平成30年に社会実装するには、あと2年間です。介護ロボットの開発製品には、高機能はもとより、事業者が導入できる価格帯、類似の機能のより低廉な福祉機器との市場競争に競り勝つことが必要です。また、介護ロボットを導入することで介護報酬を手厚くするインセンティブも批判を招きます。その上で、今後の投資見込み、介護ロボット分野での成長目標への効果について伺います。

 

2、議案第103号北九州市旅館業法施行条例の一部改正についてうかがいます。

今年4月1日旅館業法施行令の改正が行われ、民泊サービスの広がりに対応して、簡易宿所営業の客室の延床面積の基準が衛生水準の確保が可能な範囲で緩和されました。

本条例一部改正は、簡易宿所営業の玄関帳場(フロント)の設置義務の緩和、政令改正をうける客室面積33㎡未満かつ宿泊者10人未満の施設の客室の定員等を定めるものです。国の動きは、規制改革会議において、一般住宅に旅行者らを有料で泊める民泊の全面解禁が答申されています。

また、本市の国家戦略特区における民泊は旅館業法の規制緩和とは別枠で今後条例制定する予定です。しかし、観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、本市の平成24年の客室稼働率の4期平均59.1%は、平成26年61.9%となり2.8%微増しています。一方、福岡市は、平成24年4期平均73.0%が平成26年80.4%となり7.4%上がっています。訪日外国人増加で全国的にシティホテルの稼働率は年々上がり、平成27年で79.9%と言われている中で、本市での稼働率は全国平均に及ばないといえます。

 

A:ホテル旅館の稼働率と観光客のニーズ、業界に対する説明責任についてうかがいます。

政令改正の理由である違法民泊の広がりに対して、施行令改正にあわせた国の通知では、自治体に法の遵守の徹底を求めています。本市の現在の違法な民泊をどのように把握し、指導しているのか。あわせて、業界への説明責任について、本市市域内で営業のホテル95、旅館69、簡易宿所28施設への市の説明と業界の意見をどのように把握しているのか、伺います。

 

B:政令改正に対して本市の対応のうち玄関帳場(フロント)等の基準について、条例改正案第4条の玄関帳場に代わる機能設備、善良風俗保持の措置、事故発生時等の緊急迅速な対応体制とは具体的に何を指すのですか。国の通知および「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」でも、具体的に示されていません。

私の調査したところによると、市内旅館では、飲み屋や風俗営業関係の人物で風紀を乱す行為をするおそれがある場合は出入りを禁止しており、善良風俗を保てるように気を配っていました。従来から、フロントのある旅館等では、出入りの確認、火災の初期消火を職員が行ってきました。今回規制緩和されたフロントのない簡易宿所についても、同等の条件がなければ公平性に欠けるのではありませんか。
C:今後のさらなる規制緩和、特区民泊は慎重に対応すべきことについてうかがいます。

規制改革会議答申では、今後、一般住宅に民泊を全面解禁するとされています。これに対し、厚生労働省と観光庁の有識者会議は市町村条例などで民泊営業を禁止できることを明確にしました。すでに、違法民泊の広がる東京都特別区では近隣トラブルの増加や既存の旅館ホテルの反対に配慮して慎重な対応がされており、簡易宿所のフロント義務化継続の区が多数です。本市でも同様の問題を抱えることになるのではないですか。また、本市の外国人観光客、ホテル旅館の稼働率をみるならば、連続する規制緩和による民泊推進は供給過剰になる可能性があり、慎重にすべきです。答弁を求めます。

 

3、議案第105号北九州市都市公園・霊園・駐車場等の設置および管理に関する条例の一部改正について、うかがいます。

この改正案は、指定管理者制度を適用できる公園を有料施設から、市が設置する公園施設を含む都市公園全体に広げるものです。条例改正後、建設局はシンボル公園の「勝山公園」と「あさの汐風公園」の指定管理者を公募するとしていますが、街区公園などの身近な公園については公園愛護会など市民ボランティアとの兼ね合いがあり、予定はないとしています。つまり、上記2つの公園の指定管理者による管理運営を可能とするための条例改正です。

市は、「北九州市緑の基本計画」の「緑のまちづくりの現状と課題」で「拠点となる公園のあり方」として、「にぎわいづくりのスポットとしての役割を果たすよう充実を図る」としています。建設局は、そのための指定管理者には、造園業とイベント業との共同事業体などを想定していると説明しています。総務省は平成22年の通知「指定管理者制度の運用について」の中で、指定管理者制度については、①公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに活用する制度、②公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を指定し、単なる価格競争による入札とは異なる、③住民の安全に十分配慮する等、としています。

私は、この通知をしっかりと踏まえて対応することが重要だと考えます。委託料が現在の直営の場合、費用(たとえば植栽の剪定や清掃、電気料金等)ごとに切り分けた契約からトータルで委託できることになりますが、通知にある通り、そのことによる経費削減は指定管理の目的にはなじみません。通知に沿って公園管理と賑わいづくりが「効果的」かつ「安全に」できるかどうかが判断基準です。

そこで、2つの都市公園を指定管理することにより期待できる効果と予想される課題についてうかがいます。

 

A: 勝山公園では、平成27年度広場を占用したイベントが約50回開催され、わっしょい百万夏まつりに代表される賑わいが生まれています。建設局はイベントの繁忙期と閑散期があるとして、さらなるイベントの開催を期待しているようですが、実際に開催されたイベントを見てみると、中には使用の条件を緩めすぎたものもあるのではないかと懸念しています。

例えば、ドイツビールのビアガーデンが、毎年開かれています。第1回の開催の設営では、市庁舎前の幹線道路の歩道上に客席が設営され、歩道とくに点字ブロックの上を塞ぐなど大変危険な状況がありました。都市公園でのイベント等の占用使用の程度は、公園にふさわしい内容、土日祭日の勤労市民と家族の穏やかな休息・休憩、高齢者・障害者など弱者の憩いの機能との調和が必要です。有料公園でのイベント企画とは異なることを加味しても、行政単独ではアイデアが乏しいからとの理由で、指定管理者制度を導入し、安全に係わる調整など、最も大切な部分さえも指定管理者任せにできるのか。行政当局こそ、賑わいづくりそのものと安全な管理運営に責任をもつべきと考えますが、答弁を求めます。

 

:指定管理における事業者の営利の裁量についてうかがいます。

この間、戸畑区浅生スポーツセンターの指定管理では、響灘緑地で管理実績のある企業を含む共同事業体が指定されました。その共同事業体は、提案の中で、平成31年度指定管理料収入の約3割にあたる、2615万円もの自主事業収入を見込んでおり、競争相手の北九州市体育協会とくらべるとその収入見込みは5倍に昇ります。もし、上記の都市公園でのイベントが同様の収益構造になるとしたら問題です。そもそも、指定管理に要する元手に固定資本は必要なく、流動資本などの運転に要する資金で受託は可能です。当然ですが、民間は一定の利益率がなければ参入しません。一体、市は、都市公園の指定管理者の利益率をどのように見込んでいるのか。公園管理に係る管理運営費を下げるために指定管理を導入し、肝心のにぎわいづくりに係わるイベント企画と運営は指定管理者と業者だのみというのは問題ではありませんか、答弁を求めます。

 

4、議案第107号北九州市空き家等の適切な管理等に関する条例についてうかがいます

空家等対策特措法の施行と国が策定した基本指針をうけて、本市は今年、北九州市空き

家等対策計画を策定し、今議会に北九州市空家等の適切な管理等に関する条例案が上程されました。

この条例案は、特措法を補完し、本市の対策計画を円滑にすすめる目的であるとうかがっています。北九州市老朽空き家実態調査では、危険度の高い空き家が651件あり、そのうち指導により所有者が解体したものは平成27年度37件とのことでした。ただし、危険度は低いが危険ありが2700件以上あり、危険度の高いもので部分的対応で終わっているもの約600件とあわせると約3300件が危険状態のままです。条例策定後はより正確な把握と対策が必要です。
そこで具体的な取り組みについてうかがいます。

 

A:条例案第4条(市の責務)では、法の隙間を埋める「空家等の状況把握」「情報を提供するなど市民に対して必要な支援」が規定されています。とくに危険度の高い空き家の新規の把握と調査済みの空き家の実態把握には定期的な現地調査が必要です。平成27年の実態調査では約1年間の期間を要しました。

とくに毎年数回来襲する大型台風や集中豪雨後の点検、今後ありうる震災後の点検などもあわせて考えると、毎年の最低1回の点検が必要と考えます。今後どのように点検をすすめるのか、部署・人員・業務は委託なのか、それとも直営なのかについて伺います。また関係団体や地域との協働の中で双方向の情報共有化の必要性について伺います。
B:条例案第8条(緊急的な危険回避の措置)では、「人の生命、身体または財産に危害が及ぶ場合」とされています。法の特定空家等定義のひとつに「著しく衛生上有害となるおそれのある状態」がありますが、例えば所謂ゴミ屋敷など、感染症予防の観点から同じように対応が求められると考えます。

また、代執行による費用は税債権と同じ扱いですが、「措置に要した費用を当該空家等の所有者等に請求することができる」という条文では、実際には請求されない可能性があり、道義的に批判が予想されます。必要な緊急措置を適切に実施するとともに、所有者負担を免れない対応をすべきと考えますが、答弁を求めます。

 

柳井誠議員への答弁

 

■市長

 (介護現場のロボット導入実証実験について)

介護現場においては、少子高齢化の進展や生産年齢人口の減少による介護従事者が不足し、過酷な労働環境や処遇状況による介護従事者の高い離職率といった課題を抱えている。こうした課題の解決策の一つとして、本市では作業の効率化と介護の質の向上、また介護従事者の負担軽減による労働環境の改善、また高年齢者の新たな雇用機会の拡大、こうしたことなどを目的に介護現場にロボット技術などを導入していきたいと考えており、今年度から特区を活用した実証を行うことにしている。

実証施設の選定については、今回の取り組みを多くの施設に知って頂きたいということ、また施設選定の透明性や公平性を確保することなどを基本に公募とし、現在、選定の作業を進めている。また施設の選定にあたっては、学識経験者や介護の専門家、利用者などから構成される公募選定検討会を設置し、法人運営の状況や苦情や事故の対応状況などを審査することにしている。

特にロボット等の実証に関しては、利用者への情報提供、サービスの維持、利用者の尊厳の保持、認知症ケアなど、利用者の視点も重要だ。この点についても審査することとしている。

施設の選定後は直ちにロボット等を導入するのではなく、介護従事者の意見を聞いたうえで作業の分析を行う。直接介護従事者が行う作業、またロボット等が補助できる作業、こうした分類を行う考えだ。さらにロボットの導入前後には、介護従事者はもちろんのこと入所者やその家族のご意見もうかがいたいと考えている。

今回の実証においては、利用者、本人、家族、介護従事者の視点に立ち、ロボット等の技術導入によって身体的、精神的な負担の軽減にどの程度効果があるのかといった客観的なデータ、そしてそれぞれの立場からの主観的な感想の双方を重視して、評価検証していく。

(介護ロボット導入の効果等)

次に介護ロボットの開発について、今後の投資見込み、成長目標への効果について質問があった。介護現場では、従事者の身体的負担の問題や生産年齢人口の減少に伴う労働力不足が深刻なものになっており、国の試算では2025年までに介護人材が約38万人不足するとみられている。そうして状況の中で、本市としては、介護現場にロボット技術を導入することで従事者の心身の負担軽減による労働環境の改善にもつなげていく、そうした考えのもとで国家戦略特区に提案したところだ。

国の動きだが、お尋ねの投資見込みについて、介護ロボット市場については国が日本再興戦略2016のなかで、2012年現在で10億円と言われている市場規模を、2020年に500億円、2030年には2600億円とする見通しを示している。今後、介護ロボットについて急速な市場拡大が見込まれている。このため、投資を対象として企業にとっても魅力のあるものと思っている。

本市においても、介護ロボットの開発、実証、導入の支援に積極的に取り組んできたところだ。昨年度策定した、まち、ひと、しごと創生総合戦略、新成長戦略改訂版においても、重点プロジェクトとして位置づけている。市内では、地元企業や大学による介護ロボットの開発が活発に行われている。

本市はこうした取り組みを活かして、先進的介護の実現に向けたフロントランナーとしての役割を期待されている。今後も現場のニーズに対応した使い勝手の良い介護ロボットの開発、導入支援をすすめ、市場の成長を後押しすることで普及可能な価格形成にも寄与していくものと考えている。

合わせて国家戦略特区を活用し、介護施設の整備、構造などの規制緩和を要望するとともに、企業や大学と連携しながら先進的なロボット技術の開発、実用化を推進することで、本市の産業振興に効果を挙げられよう取り組んでいく。

 

■保健福祉局長

 (介護現場での腰痛予防対策)

これは社会福祉施設における腰痛発生件数が増加していることから、福祉医療分野における介護作業を含め、広く職場における腰痛予防対策の推進を図ることとし、平成25年6月に職場における腰痛予防対策支援を改定し、介護事業者全般を適用対象とした。それを踏まえ、本市としては平成25年7月に市内約1700か所の介護事業所の管理者に対して、指針の改定の周知と腰痛予防対策に取り組むよう通知を行っている。

なおこの通知は、これ以降に設立された事業所においても参考となるよう、市のホームページに掲載を継続しているところだ。

看護職場における、従事者の安全と健康の確保は、労働安全衛生法等に基づき、事業者の責務とされているが、本市としては、介護従事者の安全衛生の充実が介護サービスの質の確保にもつながっていると考えている。このため年に1回、介護事業所を一堂に集めて実施する集団指導の場において監督官庁である福岡労働局の専門官を講師に、腰痛の防止を含めた労働条件の確保、改善についての指導を行っているところだ。

ご指摘の介護サービス事業経営者への研修については、平成25年度から介護の職場環境改善セミナーとして、経営者や管理者を対象に経営改善や人材育成、職員のストレスケアなどについて実施をしており、腰痛予防対策についても平成26年度に取り上げている。今後もこのセミナーの中で、腰痛予防対策支援について周知啓発を図り、各事業所において従事者に対する腰痛予防にも取り組んでいただくよう働きかけていきたいと考えている。

介護ロボット導入支援事業については、国の事業を活用するものであり、その支援内容はベッドから車いすへの移動や見回り等の5分野を対象に、1施設につき300万円を上限に全額補助をするものだ。本市では本年2月、介護事業者向けに事業説明会を開催するとともに、介護ロボット導入の意向調査を行った。その結果、116施設で合計469名の介護ロボット導入の希望があり、非常に高い関心が寄せられている。

昨日、6月9日、国から事業費の内示があり今後手続きを順次進めることとしたいと考えている。

次に議案第105号について。

 (民泊拡大について)

まず違法な民泊をどのように把握し、指導していくのか、また事業者への市の説明と業界の意向をどのように把握しているのか、について。

厚生労働省が平成27年度に全国の自治体を対象に行ったアンケート調査によると、無許可の民泊サービスを把握する方法としては、近隣住民からの通報が44%と最も多く、続いて保健所の循環指導等が34%、警察、消防等の関係機関からの連絡が14%となっている。無許可の民泊サービスについては、全国で994件が把握されており、そのうち1件が本市の事案だが、これについては保健所の指導により既にサービスは停止されている。

なお民泊サービスについては、インターネット上に宿泊の仲介サイトがあり、市内については少なくとも15件の施設が登録されているが、このような施設については、所在地等の情報がないため現状では指導が困難だ。今後、条例改正を機にインターネット上の画像を分析する等により施設の特定に努め、営業許可を取得するよう指導を行うこととしている。

今回の旅館業法施行令の改正においては、許可を取得せずに実施されている民泊サービスに早急に対応するため、簡易宿舎営業における客室面積の基準が緩和されたものであり、これに基づき本市では北九州市巨漢業法施行条例の改正案を今議会に提出するとともに、国の通知に基づく指導マニュアルを整備し、今後保健所において民泊サービスにおける指導の徹底を図ることとしている。

先般、このように趣旨について市内の旅館、ホテル業の4組合の代表者に個別に説明し、さらに小倉北区では総会が開催された際に、組合員に対して説明を行ったところだ。説明の場においては、民泊サービスが安易に広がることを不安視する意見もあったが、旅館業法施行令の改正を踏まえた本市の考え方や、民泊サービスの行政指導方針については理解をいただいたものと考えている。

今後も、様々な機会を活用して関係事業者等への説明を行っていく。

次に条例改正案第4条の、玄関帳簿に代わる機能設備、善良風俗保持の措置、事故発生時の緊急迅速な対応体制とは具体的に何を指すのか、今回規制緩和されたフロントのない簡易宿所についても、既存の施設と同等の条件がなければ公平性に欠けるのではないかとの質問の答える。

今回の本市条例の改正案により、宿泊者10人未満で客室の延べ床面積33㎡以内の施設では、宿泊者の把握や案内を行う玄関帳場の設置義務を緩和することとしている。なお、緩和するための要件として、改正条例案では玄関帳場等に該当する機能を有する設備を設けること、その他善良の風俗の保持を図るための措置が講じられていること、そして事故が発生したとき、その他緊急時における迅速な対応のための体制が整備されていること、を定めている。

具体的には、宿泊者の名簿の管理や宿泊者の出入りをビデオカメラやカードリーダーで確認すること、火災発生時の初期消火の緊急対応が必要な場合には、職員が迅速に駆けつける等の管理体制が整備されていること等が国の通知で示されており、本市ではこのような内容について指導マニュアルを作成し、保健所による指導を徹底することにしている。

このような対応により、宿泊者の安全面や施設の衛生面の観点から、従前の宿泊施設と同等の条件を付しているものと考えている。

民泊サービスの規制緩和については、国において旅館業法施行令の改正による許可取得の促進、既存の旅館業法とは別の法制度による新たな制度の枠組み、さらに国家戦略特別区域法による旅館業法の規定の適用除外の3つの動きがある。

まず旅館業法施行令改正により民泊サービスの許可取得が促進されることに伴い、今後新たに参入する事業者に対しては近隣住民とのトラブルが生じないよう、賃貸借関係の確認やマンションの管理組合への事前説明を行うべきこと等を盛り込んだマニュアルに基づき対応していく。また規制改革会議の第4次答申を受けた旅館業法とは異なる新たな制度については、本年6月2日にその枠組みが閣議決定されたところだ。その枠組みの中に示されている民泊サービスの提供日数、宿泊者数、延べ床面積等の条件については、さらに今後、より具体的に検討されることとなっており、その内容や運営ルールについては明確化されていない状況にある。

このため本市としては、今後、国の動向を見守りつつ情報収集に努めていきたいと考えている。なお国家戦略特別区域法の民泊サービスについては、旅館業法の適用が除外されるため、今回の条例改正に伴う影響は受けない。現在、関係者等の意見も参考に市の考え方を検討しているところだ。

 

■建設局長

(公園の指定管理者制度導入について)

まず公園の賑わいづくりや安全な管理運営を指定管理者任せにせず、市が責任を持つべきという質問。

本市の都心集客アクションプランにおいて重要なテーマとなっている小倉都心部の公共空間におけるさらなる賑わいの創出を図るため、勝山公園と浅野潮風公園を対象に、他都市の事例調査や民間事業者へのヒアリングを行うなど、民間活力の導入に向けた検討を進めてきた。現在、芝生や樹木の維持管理と賑わいづくりをあわせた指定管理者制度の来年4月からの導入を目指して、本議会で条例改正をお願いしている。ご承認いただいた後、募集などの手続きを開始する予定だ。

指定管理者が実施する具体的な業務としては公園内の除草や剪定、清掃など造園系の維持管理業務、事業者の提案による新たなイベントや花壇づくりなど公園の魅力向上の取り組みなどを想定している。これにより、市としては指定管理者がこの業務遂行に際し、5年間の計画的な維持管理により花や緑などのきめ細やかな手入れや魅力づくりを行うなど、良好な管理運営が図られること、民間の自由な発想やネットワーク、情報発信力などを活かして市民が公園を身近に感じる多彩な賑わいづくりを行うことで、集客力の向上が図られることなどを期待している。

これ以外の賑わいづくりのイベントなど、公園の占用許可の手続きや植栽以外の公園施設の維持管理などは従来通り市が実施するものだ。従って、賑わいづくりを含めた公園の利用調整や安全に係る管理運営については、指定管理者のみがすべての責任を負うものではなく、市とともに管理運用を行うものと考えている。

なお、ご指摘の平成26年5月、勝山公園で開催されたドイツビールのイベント、第1回オクトーバーフェストにおいては、客用のいすやテーブルが点字ブロックにかかることがあった。指導改善を図って2回目以降の開催においては適切に運営されているところだ。

続いて、指定管理者の利益率、運営管理費を下げるために指定管理を導入し賑わいに係るイベント、企画、運営等は指定管理者と業者頼みというのは問題、という点について。

指定管理者制度は、公の施設の管理に広く民間の活力やノウハウを生かすことで、提供するサービスの質の向上とより効果的な施設運営を両立させようとするものだ。この目的を達成するためには、指定管理者のノウハウや創意工夫を最大限発揮させることが重要であり、選定にあたっては単にコスト面だけではなく、指定管理期間を通して一定した適切なサービスを提供できるかという点も重視して総合的な評価を行っているところだ。

指定管理者の公募に際し、市から提示する指定管理料については、過度な管理経費の削減によって住民サービスの質が低下することのないように適正な積算を行ったうえで、上限額を定めている。指定管理者の応募においては、指定管理料のほか、イベントなどの自主事業による収入を想定し、見込まれる利益を考慮した上で適正な収支計画を提案していただいていると考えている。

なおイベントの占用許可の手続きや公園の利用調整については、指定管理者制度導入後も市が主体的に行うこととしている。また指定管理者と市で定期的に協議の場を設けるなど相互の連携を図ることとし、指定先管理者から提案されたイベントについても公平かつ効果的な公園利用を促進する観点から、実施内容を精査することとしており、指定管理者や業者にイベント企画と運営を任せきりにするということは考えていない。

指定管理者とはイベントをはじめとする管理運営について緊密に連携を図り、小倉都心部の公共空間におけるさらなる賑わいの創出を図っていきたいと考えている。

 

<第2質問以下>

 

■保健福祉局長

(職場でのロボット介護と意識改革)

介護は人が行うものということで、リフト、持ち上げることも従来通り行われているということは私どもも認識している。今回の実証実装においては、働き方を改める、そういったことも進めていきたいと思っているし、管理監督者、施設長、こういった方々が率先して働き方を変えるという意識改革を進めていくべきだろという風に思っている。この実証実装のなかで、そういったことは現場において、単にロボット等を導入するということだけではなくて、働き方を変えるということを考えていきたいと思っている。

そのなかでノーリフト宣言ということも、働き方の改革につながるということであれば、今後検討していきたいと考えている。

 

■保健福祉局長

(指定管理者への腰痛対策の指針が徹底されているか)

指定管理を行う条件の中に、そのような条件が含まれているかどうか手元に資料がない。

■保健福祉局長

(腰痛予防対策について介護事業所や市の病院への徹底は)

介護事業者については、研修棟の中で行っている。そして介護事業所等には文書で周知徹底を図っているということだ。病院施設等について行っているかどうかという点については今手元に資料がない。

 

■保健福祉局長

(介護現場での腰痛予防対策、PDCAサイクル)

現場で様々な取り組みが行われていると思うが、ご指摘のように働き方が変わってないということもあると思う。個別に把握することは困難だと思っている。従ってPDCAサイクルの、そういう形で回していくのはなかなか難しいが、今回の実証実装のなかでそういった腰痛防止についても、大きな着眼点としてみていくので、この取り組みを幅広く介護事業者のみなさんに紹介をしていく中で、介護事業者の働き方を変えていく、そのなかでPDCAについても検討していきたいと思っている。

 

■保健福祉局長

(看護職の離職率調査について)

看護職の離職率については、様々な要素があるということはすでにいろんな調査で明らかになっている。その中に個人的な理由、結婚とか出産とかもあるし、腰痛の問題あるいは処遇の問題、非常に様々な問題があるので、本市だけの実態をつかむということは難しいと思っている。

 

■産業経済局長

(国の補助事業について)

機器のお金の件だが、産業経済局が企業、売る方といろいろ協議をしながらなるべく多くの人に効果的に配分できるように私どもの方が助成していく。

 

■保健福祉局長

(労働局所管の補助事業について)

労働局所管の補助事業については、事業者に周知ができるように広報に努めていきたい。

 

 

 

以上

 

 

 

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