更新日:16年07月07日

2016年6月定例会 本会議質問と当局答弁 大石正信議員の質問と答弁(60分)



2016年6月10日(金)

大石正信議員の質問と答弁(60分)

私は、日本共産党市会議員団を代表して、一般質問をします。

1)熊本地震を教訓にした本市の震災対策の見直しについて

4月14日に発生した熊本地震は、震度7が2回、震度1以上が1600回を超え、2ヶ月が経過した5月30日現在では8231人が避難生活を余儀なくされています。お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りし、被災されたみなさまに心からのお見舞いを申し上げます。また、被災現地、熊本市の要望に積極的に応えてきた市長をはじめ市当局、支援に駆けつけた市職員の皆さんに心より敬意を表するものです。私も被災地に救援物資や救援金を届けるとともに、益城町など被災地を見て言葉を失いました。今回の熊本地震の教訓から本市の防災計画に生かすことが求められています。

◆第1に、いま、日本のどこでも災害が発生する「災害の時代」に入ったとも言われています。熊本県では「過去120年間、M7以上の地震は発生していない」ことをうたい文句に企業誘致を進めてきました。ところが、16日の「本震」を受け、熊本県は「熊本は地震の安全地帯、東北は危険地帯」の記載が含まれた企業立地ガイドのウェブサイトを削除するなど熊本県自身が「地震は起こらない」という安全神話に陥っていた状況がうかがえます。

一方、本市でも企業誘致では「大地震が発生しにくい地域」であることを企業誘致の大きな目玉にしています。これは、熊本県と同様に本市も安全神話に陥っていること示すものです。

政府の地震調査研究推進本部が平成26年に発表した「地震の30年以内の発生確率」では、0.1〜3%未満は「やや高い」、3%以上は「高い」となっています。実際に、熊本の「本震」の震源となった布田川断層帯は、「ほぼ0〜0.9%」で「やや高い」でした。本市には2つの断層があり、小倉東断層は「不明」、福智山断層帯は「ほぼ0〜3%」で「やや高い」となっています。また、「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図」では、本市は「0.1〜3%」、小倉北区の中心部などは「3〜6%」と決して低くありません。ところが本市の防災計画では「差し迫った危険性はない」「発生頻度は極めて低い」としており、見直しが必要です。

今回の熊本地震は、日本中どこでも地震が起こりうる可能性を示しました。本市の「地震は発生しないだろう」との考えを改め、「発生してもおかしくない」と、大地震が起こる可能性を想定した上で「地域防災計画」などの見直しが必要です。答弁を求めます。①

◆第2に、熊本県を中心とした地震が続くなか「このまま原発を動かして大丈夫か」という強い不安が日本全国に広がっています。熊本地震は、震源域がどこまで広がるか分からない状況です。原発事故が起こった際の避難の手段である新幹線や高速道路も熊本地震の際には使えませんでした。現在、電力需要が逼迫しているわけでもありません。もし、原発事故が発生すれば、放射能汚染の影響を本市も避けることはできません。市長は、政府に対して、危険な川内原発の停止を要請すべきです。答弁を求めます。②

 

2)「行革」による職員削減の見直しについて

次に、本市の「行革」で、平成8年度、11,358人いた市職員を平成27年度、8,305人にするなど、約3割に及ぶ3,053人削減しました。北橋市長の就任以降は、直近の過去5年間で、市長事務部局の正規職員を493人削減、一方で、市長事務部局の嘱託職員は62人増加するなど、正規職員を減らして非正規職員を増やし、さらに民間委託を拡大しています。相次ぐ職員削減で、長時間・過密労働は解消されず、平成27年度には長期病休者178人のうち84人を精神疾患が占めるなど市役所の職場では異常な状態が続いています。

◆第1は、本市では平成28年度は、平成26年度比20%カットを目標に「時間外勤務の削減」の取り組みを進めています。しかし、実際は仕事が残っているにもかかわらず、残業をできないことから、一度「退勤扱い」にして労基法違反の「サービス残業」をせざるを得ない実態も報告されています。正規職員が削減され、市民要望の多様化による業務量の増大で多忙を極め「サービス残業」をせざるを得ない状態は大問題です。正規職員を増やせない障害となっている人口1万人あたり職員数70人台の職員削減方針を撤回すべきです。答弁を求めます。

◆第2に、市民の反対の声を押し切って進めたマイナンバー制度において、マイナンバーカードの交付などを担当する市民課では、新たな業務負担に伴い、長時間過密労働が強いられています。いくら臨時職員や委託業者が増えても、最終的に責任をもった仕事を行わなければならない正規職員が増えなければ、仕事は回りません。現場からは悲鳴が上がっています。新たにマイナンバーの東西の事務処理センターを設けるなど事務処理の効率化を図ることや、正規職員を増員すべきとの現場からの要望にきちんと対応できているのか。答弁を求めます。

 

3)奨学金制度・就学援助の抜本的改善について

日本は高い学費にも関わらず、給付型奨学金もない特異な国です。そのため、卒業時に平均300万円もの借金が背負わされ、憲法が保障する「教育の機会均等」が侵されています。わが党は、①給付型奨学金の創設②すべての奨学金を無利子に③既卒者の奨学金返済の減免制度を提案しています。また、就学援助を受けていても入学前後に制服や運動着などを購入しなければならないことから、実際にかかる保護者負担のうち、就学援助は約4割分しか賄えていません。憲法26条では「義務教育は、これを無償とする」としていますが、実際には公立でも保護者に重たい負担がかかり、家庭の経済状態で学びの場に格差が生じています。

◆政府が世論に押されて改善するとした「所得連動返環型奨学金」の見直しは重大な問題です。現行制度では、年収300万円を超えるまでは、無制限に返還猶予が可能で、年収300万円を超えた場合には、年収によらず定額での返還が求められるのに対して、平成28年3月に所得連動型奨学金制度有識者会議から出された第一次まとめでは、所得がない場合など返還困難な場合を除き、所得が一定額になるまでは所得額にかかわらず、月々の最低返還月額を定額2,000円に設定し、完済まで返還させるものです。本市独自の奨学金制度については、給付型奨学金制度の創設や、専門学校も活用できるものにするとともに、政府に対して、奨学金返済者に対する税控除や給付型奨学金制度の創設、無利子の奨学金制度の拡大などを要請すべきと考えますが答弁を求めます。

◆第2に、ある母親から「突然、父親が病気して収入が大幅に減り、中学入学前に標準服代など5万円が足りずに途方に暮れている。せめて3月末に入学準備金を支出してほしい」との訴えを聞きました。つまり、学期が始まってから1〜3ヵ月後に、入学準備金を支給しているのが本市の現状です。福岡市では、入学年度の前年度の市民税課税額で計算し、入学準備金を3月末に支給しています。本市でも、福岡市と同じように給与所得者は源泉徴収票での対応や前年度の市民税課税額で対応すべきですし、自営業者の場合は、確定申告の写しで、3月末に支給できるはずです。本市でも3月末に入学準備金ができるよう努力すべきです。答弁を求めます。

◆第3に、わが党は国会で、「新入学用品費」の単価が小学校で2万470円、中学で2万3550円となっているが、実際は中学校では7万円〜9万円かかっており、就学援助では必要な額の4割しか賄えないなど現実との乖離を取り上げて、就学援助単価の引き上げを要望しています。中学生のお子さんを持つ本市の保護者からは「標準服や通学カバンも高い上に、学年ごとに違う色の体操服も購入しなければならず、経済的負担は大変」との声が出されています。そのために、古賀市などは、自治体として「制服リユース」や市内の中学校での「貸し出し」などの対策を行っています。教育委員会として、まずは、保護者の経済的負担を軽減するための標準服などのあり方を検討すべきです。少なくとも、小学校6年生進級時に入学に必要な金額を保護者にお知らせすることや経済的困窮に伴う保護者の相談に応じる必要があると考えますが答弁を求めます。

 

4)市立病院の独立行政法人化問題について

最後に、これまで本市は、旧市時代の5つの総合病院と第一松寿園・第二松寿園の7つの病院を引き継いできました。しかし、昭和48年第二松寿園廃止を機に、戸畑・若松病院の民間売却、門司病院の指定管理者制度の導入など地域医療を切り捨ててきました。さらに今、地方公営企業法・全部適用の下で、すでに市長と独立した病院経営ができるにもかかわらず、地方独立行政法人化へ突き進もうとしています。

独法化の問題点として第1に、公立病院としての救命救急・小児・周産期医療などの不採算医療が損なわれ、経営の効率化が優先される可能性。第2に、公務員としての身分から非公務員型に変わり、経営効率が優先され、賃金・労働条件の悪化、医療内容の質と患者サービスの低下、安全性確保を後退させる可能性。第3に、議会の関与が大幅に後退する可能性。独法化されれば、議会での予算の議決・決算の認定などが不要となり、数年単位の「中期目標」「中期計画」の策定に関わるだけになってしまいます。議会の関与の後退は、市立病院としての役割を維持・向上させていく上で極めて重大な問題です。以下4点質問します。

◆第1に、第1回「市立病院のあり方検討会議」で、市立病院の運営について「幅広く検討するために開催した」としていましたが、わずか4回の委員会で「地方独立行政法人が最適」と結論を出しました。

メリットをことさら強調し、デメリットの情報は十分に提供されないまま、経営形態の結論だけを短期間に出すなど「まさに結論ありき」であり問題です。病院局が所管の保健病院委員会に第4回会議の内容を報告しない状態で、市長は3月2日の本会議で、独法化の方針を明らかにしました。この議会軽視は、結論を急ごうとする当局の姿勢の表れです。市長と病院局の議会軽視の態度、結論先にありきの態度は改めるべきと考えますが答弁を求めます。⑧

◆第2に、独立行政法人に移行した他都市の病院では、不採算医療の切り捨て、採算性を上げるための差額ベッドの拡大、駐車場の有料化など患者や利用者に負担を転嫁したさまざまな値上げが行われ、診療報酬増に係る在院日数の短縮のための患者の追い出しさえ起きています。独法化で、救急救命・小児・周産期医療などの不採算医療が損なわれ、経営の効率化が優先される可能性はないのか。答弁を求めます。⑨

◆第3に、現在、市立病院は地方公営企業法の全部適用を受けており、病院事業管理者は、予算原案の作成や管理者の判断で一定の契約をはじめ、職員の人事・給与などについても市長の権限から独立した権限が与えられています。今でも全部適用で十分な権限が与えられているにも関わらず、それを行使することなく、しかも、まともな総括もないまま地方独立行政法人への移行など認められません。答弁を求めます。⑩

◆第4に、第3回市立病院のあり方検討会で福岡市立病院機構の竹中理事長は、「デメリットはあまり感じない」「モチベーションが高まった」「時間外勤務が削減された」と講演しました。わが党市議団は、地方独立行政法人福岡市立病院機構・福岡市民病院を調査しました。職員の皆さんから「独法化されて政策医療が特段、進んだ実感はない。診療科目は増えたが医師が掛け持ちで対応している。独法化で年配の職員が大量に退職し、職員は増えたが平均年齢は31歳から20歳代になり人件費も抑制されている。経営を黒字化にするために診療報酬加算の高いICU・HCUに力を入れ、平均在院日数は短く、早期に退院させている。タイムカードもなく、看護師長からは時間外は付けないでと言われ、残業代不払いが強いられている。独法化で、現給保障は5年間だけで、それを過ぎると月8万円、長く勤務した職員は生涯賃金で数千万円も給料が下がった」と聞くなど、講演の内容と大きく乖離した、深刻な実態が明らかになりました。また、平成21年の福岡市議会で、当時の保健福祉局長は「独法化しても市の病院であるので、市が最後まで責任もってやっていくので心配しないでほしい」と答弁しています。しかし、7年が経過した現在、独法化を導入した職員の労働条件は深刻なものです。たとえ、本市の病院局が「職場環境の改善やモチベーション向上が期待できる」と強調しても、それは何の担保もないことは明らかです。答弁を求めます。⑪ 以上で私の第一質問を終わります。

 

大石正信議員への答弁

 

■市長

(市の震災対策の見直しについて)

今回の熊本地震では、現地の避難所を訪問したが、その途上で目の当たりにした、傷ついた熊本城、傾いたマンションなどの光景が鮮明に思い出される。今回の地震のすさまじさ、そして市民の皆さんが感じた恐怖、不安を思うと今でも胸が締め付けられる。改めて、お亡くなりになられた方、ご遺族に哀悼の意を表するとともに、被災された皆さんにお見舞いを申し上げる。

また被災地に復旧、復興を本市も全力で支援し続ける決意をここに表する。今回の熊本地震は活断層を原因とするものだが、本市に被害を与える活断層として小倉東、そして福智山の活断層がある。地域防災計画では、地震に備える必要のある災害として位置づけている。これらの活断層については、本市が平成7年から9年に行った調査では、差し迫った危険はないとされているものの、発生の確率に関わらず地震への備えは当然に行っておくことが必要だ。そのため本市では、福岡県が平成24年に公表した地震に関する防災アセスメント調査での被害想定を、地震防災対策の基礎資料としてこれまでにハード、ソフト両面から防災体制の強化を図ってきた。

地震に関するハード対策としては、地震に強い、まちづくりの推進や建築物の安全化などを掲げ様々な取り組みを進めている。地震に対応した避難所として388か所、約13万2000人分を確保し、平成26年度までに新耐震基準で建設、または耐震改修促進法に基づく耐震改修などを完了している。

また緊急輸送道路に関わる主要な橋梁についても、耐震対策が必要な橋梁の90%についてすでに改修に着手するなど、着実に耐震対策を進めている。

ソフト対策については、平成29年度に完了する非情食料19万8000食、飲料水66000リットルの分散備蓄、また支援物資の一元管理、輸送に関する民間企業との協定の締結などによって、発生直後の避難所の円滑な受け入れに備えている。

一方で、熊本地震の状況を参考に本市の防災体制の検証、あるいは改善が必要な点もあることから、まずは本市地域防災計画の運用面での見直しを行うこととしている。具体的には、直ちに取り組むことのできることとして、避難所の天井、照明などの構造部分以外の安全確認、また被災直後に必要とされる備蓄品の品目、数量の再検討、また建物の応急危険度判定や住家被害認定調査への従事者のリスト化、また他の都市への支援のための派遣者リストの作成などがあり、すでに一部着手している。

今年度中の対応だが、熊本地震での災害関連業務の状況を踏まえた業務継続計画の見直しや、外部からの支援を円滑に受け入れるための計画の策定、プライバシー対策などを含む避難所運営マニュアルの改定などに、今年度中の完了を目指して取り組む。

このほか、支援物資の一元管理や輸送体制、災害ボランティアの受け入れなどについて、関係団体との連携体制を再確認するなど、実効性の向上に向けた取り組みを進める。

今後の見直しだが、こうした取り組みを進め、熊本地震を踏まえた国の中央防災会議での防災基本計画の見直しや、建築基準法の耐震基準に関する議論も注視しながら、地域防災計画全体の適切な見直しを行う。

地震については、地震調査研究推進本部をはじめ様々な機間で調査が進められている。今後も地震の発生確率や強さなどについて、新たな知見が示される。こうした知見を踏まえ、防災対応の充実を図るとともに、防災ガイドブックなどを活用した市民への周知にも努め、市民とともに災害に強いまちづくりを進めていきたいと考えている。

 (職員削減の見直しを、について)

職員の人員体制については、地方自治法の要請である簡素で効率的な人員体制の確立を基本にして、具体的な指標として行財政改革大綱に人口1万人あたり職員数70人台を目指すことを掲げている。職員の配置にあたっては、全体の業務量を見極めながらきめ細かな対応を行っている。市民サービスの維持向上を図り、職員に過度な負担がかからないよう配慮することも重要だと考えている。

こうした基本的な考え方のもと、削るべきとことは削り、強めるべきところは強める、という観点から、事務事業や組織の見直し、民営化、民間委託化などにより、人員を削減するとともに市の成長戦略や市民ニーズの高い分野、権限移譲などで業務量が増大した分野など、必要な部署には必要な人員を配置しているところだ。

一方、時間外勤務の削減については、限られた人員体制の中で最大限の効果を挙げるとともに、職員のワークライフバランスの推進を図り、健康を保持するなど様々な観点から重要課題と認識している。このため組織全体での仕事のやり方の見直しの他、ノー残業マンスの実施や一斉消灯日の設定など様々な取り組みを行ってきた。

なおこのような取り組みを行うにあたっては、業務遂行に支障がないよう留意して進めており、業務上どうしても必要な場合には、当然時間外勤務を行うこととしている。一方で、いわゆるサービス残業については、決して容認されるものではない。明示的にも黙示的にも行わせてはならないことを、各局にもたびたび申し伝えている。

またサービス残業防止の観点から、職員の退勤時間管理を徹底するとともに、時間外勤務申請が適正に出されているかを調査して、各所属にも実態の把握と対策を求めるなどの取り組みを行っている。今後とも、職員に過度な負担がかかることのないよう留意しながら、市民サービスの維持向上に向け、適切な人員配置を行い仕事そのものの見直しなどの取り組みによって時間外勤務の削減に努めていきたいと考えている。

 

■総務局長

 (川内原発停止について)

福島原発の事故を経験し、国民の多くが脱原発を望んでおり、長期的に見た場合原発依存度を軽減させていく方向が望ましいと考えている。ただ一方で、国民生活や産業活動に与える影響を考えると、直ちに原発をゼロにすることには慎重な対応が必要と考えている。

また原発の代替エネルギーとして期待されている再生可能エネルギーは、経済性や安定性においてすぐに原発に取って代われるものではないということもまた事実だ。平成26年4月、政府が策定した新たなエネルギー基本計画においては、できる限り原発依存度を軽減させていくとし、原子力規制委員会が策定した新しい規制基準に適合する原発は再稼働するとしている。

このような状況の中、川内原発については原子力規制委員会において地震の想定を厳しく見直すなど、最新の知見を踏まえ安全上重要な設備の機能が損なわれないことが確認されたため、立地自治体の同意のもと平成27年8月から再稼働が行われている。

今回の熊本地震において、川内原発で観測された最大の揺れは原子炉を自動停止させる設定値よりも小さなものであったことから、原子力規制委員会は川内原発を停止する必要はないとの見解を示している。また政府においても、この見解を受けて現時点では停止する必要はないとしている。

エネルギーの根幹にかかわる問題については、安全対策などの問題も含めて国家が責任をもって決めることだ。本市としては政府に対して川内原発の停止を要請することは考えていない。今後も政府においては、引き続き地震の状況を監視し、原子力発電所の状況について情報発信に努めるとともに、適切な対応をお願いしたいと考えている。

また事業者である九州電力に対しては、安全確保に向けた取り組みを進めてもらいたいと考えている。

 

■市民文化スポーツ局長

 (マイナンバーカード業務について)

本年1月から始まったマイナンバーカードの交付にあたっては、カードを受け取りに来た市民がスムースに受領できるための案内業務や、交付後の書類整理など定型的な業務の委託や業務量の増加に対応するための臨時職員の配置、それにカード交付に必要な端末の増設などの対策を行ってきた。

しかしながら当初から、地方公共団体情報システム機構が運用するカード管理システムに支障が発生し、全国的に交付が遅れている状況だ。5月の16日現在では本市の交付率は31.7%、政令市平均でも26.7%という状況になっている。しかし現在では、カード管理システムの障害はほぼ解消したことから、できるだけ早く市民の方々にマイナンバーカードを渡せるよう取り組んでいく必要がある。その対策として、特に申請数の多い小倉北区、小倉南区、および八幡西区の交付窓口を増設し、またそれに伴う臨時職員の増設を行うこととしている。

今後計画的かつ効率的なカードの交付ができるよう努めていきたい。

なおご指摘の、東西の事務処理センターの設置については、市民にとっては住所地の区役所よりも遠くなり利便性が低下すること、またセンター設置に伴う新たな経費が発生することなどから、これまで通り市民の身近な窓口である区役所で交付したいと考えている。

 

■教育長

(奨学金、就学援助等)

まず本市の奨学金について、給付型制度の創設、専門学校を対象に、政府に拡大を要請する、という点について。

本市の奨学金制度は、日本学生支援機構や福岡県の奨学金制度を補完する制度として運営しており、現行の貸し付け型制度では返還金が、次に奨学金を必要とする人への貸付金の原資なる。毎年度の新規貸付額は380人だ。

給付型の奨学金制度だが、本市では今言った通り、すでに貸し付け型の奨学金制度を運営しているために、給付型の奨学金を創設するとなると新たに大きな財政負担を伴うことになる。これまでのような貸し付け型の奨学金の安定的な制度運営は難しくなると考えている。他都市の状況も調査、研究したが給付型奨学金の場合は、一人あたりの給付額が低くなったり、対象者数を大幅に絞ったような制度になるケースが多いようだ。

以上のことから、市単独で給付型奨学金制度を実施することは困難な状況だが、現在、国において日本1億総活躍プランのなかで、給付型奨学金の創設に向けて検討を進めるとされているので、今後の国での議論、動向を見守りたいと思う。

専門学校を奨学金の対象にすることについては、今後条例改正を行って来年度の募集分から学校教育法第124条に定める専修学校のうち専門課程、いわゆる専門学校についても貸し付け対象とする方向で準備を進めているところだ。

政府、国への要請だが、例えば指定都市教育委員・教育長協議会から日本学生支援機構の大学生などに対する奨学金事業について、無利子である第一種貸与者の対象の拡充などの他、指定都市の奨学事業の拡充を図るための財政措置を講じること、こういったことを例年要望している。今後とも、必要な要望活動を進めていきたいと思う。

 (就学援助の入学金支給を3月末に)

本市の就学援助は、3月末から申請を受け付けている継続申請書については、4月末に支給できるように対応している。4月からの受け付けになる新規の申請者については、早ければ5月末の支給としているが、ほとんどの政令指定都市においては、支給は6月以降となっている。

また本市では、当初の支給の際に新入学学用品費だけでなく、年間分の学用品費などを一括してあわせて支給している。福岡市の例の紹介があったが、福岡市では3月に新入学学用品費を支給しているが、他の学用品費等については7月以降に学期ごとに支給する。こういったことをみると、年間分の学用品費等を含め就学援助費全体で見ると本市の支給時期は政令指定都市のなかで早い方だと考えている。

就学援助の認定においては、できる限り直近の経済状況によって審査する必要があると考えているので、前年の所得を基準としている。入学前の3月に新入学学用品意を支給するためには、前前年、1年前の所得で審査ということで、なかなか難しいとこれまで申し上げてきた。

しかしながら保護者の、なるべく早く支給してほしいという気持ちは十分理解できるし、また本議会でもこれまで度々要望いただいていることから、現行制度を基本としながらどのような方法が考えられるか検討させていただきたいと思う。

 (中学校入学の必要経費額を小6の早い時期に通知を)

市立中学への入学準備にあたっては、あらたに標準服や通学カバン、体操服の購入など保護者には確かにある程度まとまった費用を負担いただいている。このうち、中学校の標準服については、一般的な形式のものにすること、保護者の負担軽減を図るため高価なものはさけること、こういった基準を踏まえて各学校で決定しており、耐久性や素材についても考慮し、3年間の着用に耐えうるものを選定している。

リユース、再利用の話だが、標準服や体操服、カバンなどの再利用は現在、市内のすべての中学校において使われなくなった標準服などの寄付の呼びかけを、生徒の卒業時などにおこなっており、集まった標準服等は個別に相談を受けた時に生徒に貸し出す、こういった形でリユースを実施している。

またPTAや保護者が主体的に寄付活動に取り組んでいる学校も数校あり、PTA主催のバザーなどで標準服を安く販売している例もある。

費用の周知という点だが、現在、中学校の新入生説明会は2月の初旬に開催しており、その際に標準服や通学用カバン、体操服などの学用品、こういった入学準備に必要な案内を行っている。一方で、小学校6年生には学級懇談会や学年通信などで中学進学の準備に向けた情報提供をお知らせを行う機会があることから、そのような機会を利用して、現在よりも早い時期に入学準備に要する費用を紹介するなど、周知の仕方について工夫をしていきたい。

また経済的に困難な家庭から小学校でされた相談については、現在でも小中学校間で連携した対応をとっており、引き続き各学校で随時相談に応じ丁寧に対応したいと思う。

 

■病院局長

 (市立病院の独立行政法人化について)

まず独法化について、結論先にありきではないか、また第4回会議の結果報告について議会軽視ではないかというご指摘だ。

これまで市立病院のあり方検討会議の開催結果については、保健病院委員会で報告してきた。しかしながら、第4回会議の開催結果の報告時期に関して、議員各位より指摘をいただいた。この場を借りて、改めてお詫び申し上げたい。今後も丁寧な報告に努めていく。ご理解とご協力を。

独法化ありきとの指摘だ。市立病院のあり方については国のガイドラインを受け、改革プランを策定するため昨年8月に有識者で構成する市立病院あり方検討会を立ち上げ、白紙から検討を始めた。検討会議では、第1回会議において経営形態に関する課題や意見が多く出されたことから、まずは経営形態のあり方を中心に議論を進めることにした。

第2回以降は、地方公営企業法全部適用、地方独立行政法人、指定管理制度、民間譲渡、という4つの経営形態について制度の違いや、メリット、デメリットなどについて比較検討を行った結果、すでに独法化している他都市の先進事例などについて関係者を招いて理解を深めてきた。

その結果、第4回会議において構成員の創意として、医療センターと八幡病院については独法化に向けた準備を進めるべきとの意見をいただいた。

本市としては、こうした市立病院のあり方検討会における議論や、他都市の先進事例などを総合的に勘案した結果、医療センターと八幡病院については独法化の準備を進めることとしたものだ。決して結論ありきではないということをご理解いただきたい。

いずれにしても市立病院の独法化にあたっては、定款や地域目標など議会の議決をいただきながら進めていくことになる。今後も、適宜適切に報告を行うなど議会の意見を丁寧に伺いながら、独法化の準備をすすめていきたいと思っている。

 (独法化のデメリットについて)

市立病院は市民の命と健康を守る重要な拠点だ。とりわけ不採算部門とされる小児救急を含む救急、周産期、感染症といったいわゆる政策医療は、経営形態に関わらず、今後も地域の必要な医療を提供していく必要があると考えている。またこうした政策医療については、地方公営企業法と同様に地方独立行政法人法においても制度上、一般会計からの繰り入れが認められている。

また独法化した場合、法人が実施すべき政策医療の内容については、議会の議決を経て市が策定する中期目標や、法人が策定する中期計画に明記されることになる。また第3者で構成する評価委員会を市の付属機関として設置することが義務付けられており、政策医療の実施状況等については毎年度、評価委員会による詳細な評価が行われることになる。またその評価結果は、市と議会に報告されることになる。

一方、市立病院の運営にあたっては経営の効率化は大変重要な課題だ。そのため本市ではこれまでも議会や市民の理解をいただきながら、不断の経営努力を続けてきたところだ。今後とも政策医療をはじめとする地域に必要な医療を安定的に供給できるよう公益性、公共性と経営の効率化のバランスを確保しながら、病院運営に取り組んでいく必要があると考えている。

(地方公営企業法と独法化について)

本市では昭和42年に病院局を設置し、地方公営企業法の全部適用のもと約50年にわたり様々な経営改革に取り組んできた。しかしながら今後、少子高齢化や人口減少などを背景に

病院経営を取り巻く環境は全国的にもますます厳しくなることが予想される。本市においても、市民により良い医療を提供するとともに、安定的な病院経営を行っていくためには、市立病院の一層の経営改革が待ったなしの状況だ。

病院局では、地方公営企業法の全部適用のもと、不断の経営努力に努めているところだが、病院局は市の組織の一部であるところから、人事や給与など他の部局との均衡を図る必要があるほか、契約事務等においてどうしても地方自治法による制約があるいうことも事実だ。また他都市の状況を見ると西日本地域の殆どの政令市においては、すでに公立病院の独法化が進んでいる状況だ。

地方独立行政法人は、地方公営企業法の全部適用と比べて、より柔軟で機動的な運営が可能となる。わたしどもとしては、こうしたことを総合的に勘案し、医療センターと八幡病院について独法化の準備をすすめることとしたものだ。

 (独法化と職場環境について)

市立病院のあり方検討会において、平成27年10月に開催した第3回の会議において福岡市立病院機構・竹中理事長と全国地方独立行政法人病院協議会、赤城事務局長を臨時構成員として招き、独法化の先進事例について講演をいただいた。その際、竹中理事長からは独法化のメリットは、職員雇用の自由化と組織構築の自由化であり、医師、看護師の増員や医療技術職等の確保により重要なプロジェクトを組むことができる、一方、独法化のデメリットは、あまり感じないように思うと。また独法化後、多くの人材を採用したが福岡県看護協会のワークライフバランスのモデル病院になるなど、職場環境の改善に積極的に取り組んだ結果、職員の満足度も向上しているという話があった。

また赤城事務局長からは、独法化した34法人へアンケート結果の紹介があった。その中で独法化のメリットとして、職員採用の自由化、意思決定の迅速化、契約方法の多様化のほか、モチベーションの向上が挙げられるという話があった。本市としては、こうした都市の先進事例から職場環境の改善や職員のモチベーションの向上にも期待ができると考えている。

ただしこうした効果は独法化すれば自動的に達成できるというものではない。独法化のメリットである事業運営の柔軟性、機動性、こういったものを最大限に生かすことが大事だと考えている。

いずれにしても市立病院のあり方に関しては、医師や看護師をはじめとするすべての職員が誇りを持って働くこと、そういった環境づくりが大変重要だと認識している。本市としては今後も、福岡市だけではなく他の都市の先進事例についてもより深く分析するとともに、職員との意見交換もしながら独法化に向けた準備を進めたいと考えている。

 

<第2質問以下>

 

■危機管理官

 (震災に対する安全神話)

市内の断層に対するいろんな所見の結果、技術関係で申し上げた。地震に対する考え方については、地域防災計画、この中では地震についてしっかり備えるべき災害であると位置づけている。確かに本市の調査では、差し迫った危険性はないと書かれている部分はあるが、その発生の確率に関わらず、地震の備えは当然に行っておく、これが基本的な認識だ。

そのために県の調査をもとにしていろんな地震対策をしているし、次期防災計画の中ではそれを超えるような、想定を超えるものについてもしっかり対応するようにというのが基本的な精神で、決して本市は少ないから手をこまねいていいんだという認識ではない。ある意味、いつでも起こることを想定して準備をしていく、という考え方であれば、大石議員と同じような考え方であろうという風に認識している。

 

■教育長

 (学校の標準服のあり方)

標準服については、各学校の歴史、伝統等もあるのでなかなか市全体で統一するのは難しいと思うが、現在の標準服でも、一つの学校の標準服でも実は値段がいくつか違うものがある。多少安価なものともう少し高いものとがあって、そこの選択の余地はあると思う。リユースの話があまり知られていなのではないかという話があったが、学校には、小学生も含めて知らしめているつもりだが、改めてこういう制度があるということを子どもたち、保護者に伝えていきたい。

■病院局長

 (福岡市の独法化に関する認識の違い)

福岡市の件だが、私どもも調査をし、私も直接伺って話を聞いている。若干、認識が違う部分は正直ある。しかし、福岡市だけではなくてすでに西日本地域においては多くの公立病院がすでに独法化していると。ぜひその辺をより深く調査をして、ほんとに成功事例というところを取り入れていきたいと考えている。

職員の労働条件に関することについては、当然、職員の士気、モチベーション等、大変重要な問題だと認識している。この点に関しては、今後準備を進める中において労働組合、それから職員としっかり協議をさせていただきたい。

 

■病院局長

 (政策医療)

政策医療については、しっかり担っていくべきものと認識している。その上で一般会計からの繰り入れの制度等々、そういった制度も整っているので今後ともしっかり担っていく覚悟だ。

 

 

 

以上

 

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