2016年6月定例会 本会議質問と当局答弁 田中光明議員の質問と答弁(60分)
2016年6月13日(月)
田中光明議員の質問と答弁(60分)
日本共産党の田中光明です。会派を代表して一般質問を行います。
4月に発生した熊本大地震では、関連死も含め69人の尊い人命が失われ、熊本県内の負傷者は6月1日現在で1、736人、住宅被害は12万棟を越えています。おりしも今年4月、本市は7年ぶりに「耐震改修促進計画」を改定しました。その冒頭で「大地震がいつどこで発生してもおかしくない状況」と述べ、小倉東断層の地震による被害想定を行い、死者429人、負傷者3,780人、避難者数21,380人、建物被害約1万棟とし、住宅の耐震化率を95%に引き上げる目標を設定しました。熊本地震を教訓に大地震の備えを強化する必要があります。
第1に公共施設等の耐震化促進について質問します。
熊本市のZ値はほぼ全域が0.9です。今回の地震で、市内171カ所の指定避難所のうち34カ所が使えなくなりました。そのうち26カ所が公立小中学校の体育館や校舎です。天井や照明器具などの非構造部分の耐震化が遅れていたことが主たる原因ですが、中には耐震化した校舎で大きな被害を受けたものもあります。学校はもともと文部科学省の指導で、一般のビルやマンションに比べ1.2倍程度高い耐震性で設計されていますが、壊れた校舎があることは重大な問題を提起しています。国の耐震基準は、一定規模以上のビルやマンションなどの構造強度を、その地域の過去の地震の大きさや被害状況、発生確率などから、0.7~1.0の地震地域係数Z値を定め計算することとしています(右地図)。福岡県のZ値は0.8で、首都圏などより耐震性能が2割低くてもよいことになっていますが、ここに大きな問題があります。
他方、宇土市は独自の取組で地震に備えていました。宇土市のZ値は0.8ですが、「学校は特に安全性が大事なので強度を割り引かないようにした。今回の地震で大きな被害はなかった」と言います。
また、福岡市は警固断層に着目し、断層に近い一定の地域を定め、福岡県のZ値0.8の1.25倍、つまり1.0を用いて構造計算をするように、市建築基準法施行条例を改正しました。努力規定ですが、およそ4分の1で実行されているとのことです。
本市はZ値0.8を構造計算で使用しているとのことですが、不十分ではないでしょうか。市の条例を制定し、少なくとも1.0で計算すべきではないでしょうか。答弁を求めます。①
本市の住宅の耐震化が進まない最大の理由は、北九州は「地震が発生しない」という安全神話があるからです。北九州でも「地震は起こるかもしれない」「起こってもおかしくない」という認識がまず必要です。政府の地震調査研究推進本部の調査を基に、防災科学技術研究所が今後30年以内の震度5弱以上の発生確率を地域別、震度ごとに示しています。配付資料の上の地図は、今後30年以内に震度6弱以上の地震に見舞われる確率です。震度6弱以上は、昭和56年以前に建築した住宅が倒壊する可能性が高い震度です。数字は低く感じますが、その発生確率は、0.1~3%は「やや高い」、3%以上は「高い」とされています。鹿児島本線沿い、小倉中心部や下曽根周辺などは6~26%で「高い」地域です。特に耐震化が重要だと思います。市民に地震の発生確率や土地の液状化に関する情報などを示した地図を用いて丁寧に周知し、耐震化を啓発・促進すべきと思いますが答弁を求めます。②
木造戸建て住宅の耐震性は、建築基準法が昭和56年6月に改正され、それまで震度5まで倒壊しないとされた基準が、震度7で倒壊しない基準に引き上げられました。さらに阪神淡路大震災の発生後、平成12年に再改正され、地盤調査、耐力壁のバランスの良い配置や部材の接合部分の金物仕様などが定められました。昭和56年5月以前の基準で建てられた住宅で耐震補強されていない住宅が、本市には平成26年度末現在62,900戸あると推定されます。一方、昭和56年改正以後、平成12年改正までの間の基準で建てられた住宅は167,800戸と推定されます。しかし、本市は住宅の耐震化を進める対象を、昭和56年の改正を基準にしていますが、それでは不十分です。
住宅の耐震化は、まず耐震診断を行い、次に補強設計をして耐震改修工事を行う流れです。耐震診断は、県建築住宅センターが行っている「耐震診断アドバイザー派遣制度」を活用すれば、3,000円の自己負担で診断ができます。しかし、本市における木造住宅の耐震診断の本制度の利用件数は、平成26年度は11件、27年度は10件です。次に耐震設計と耐震改修工事ですが、木造住宅の場合補助率3分の2で上限80万円の補助制度があります。しかしその活用は、平成26年度は7件、平成27年度は4件と、きわめて少ないのが実態です。
耐震診断に本市が3,000円の補助金を上乗せすれば、無料で耐震診断が受けられるようになります。耐震改修の工事金額は、日本建築防災協会の調査によると、100~150万円が最も多く、新聞報道では平均180万円程度とあります。補助を活用しても数十万円以上の自己負担が必要です。しかし低所得の世帯には大変な負担で補助金の増額が必要です。大地震が起きれば、市民の命と財産が失われ、傷つきます。さらに、ガレキの撤去をはじめ、行政としての大仕事も発生し、多くの費用が必要になります。補助対象を平成12年以前建築の住宅にするとともに、耐震診断、耐震改修ともに補助金額の抜本的な引き上げが必要だと思いますが、答弁を求めます。③
熊本地震ではブロック塀の倒壊も多数ありました。塀が通行人に向かって倒れれば人命にもかかわり、通路をふさぐなどの問題も発生します。通学路のブロック塀の点検、撤去・改修指導を行い、撤去費用を補助する自治体もあります。本市も取り組むべきだと思いますが、答弁を求めます。④
本市は地域防災計画で、「住宅の耐震化と家具固定を各戸訪問により普及を図る」としています。関東、東海地方では、家具固定補助など様々な事業が進んでいます。気象庁は震度5弱で「固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある」としています。配付資料の下の地図は、今後30年以内に震度5弱以上の地震に見舞われる確率を示しています。市民が住んでいるほとんどの地域が、発生確率26%以上の「高い」確率です。家具固定の事業が進んでいる関東、東海地方は特別な地域だからという考えを改め、本市も対策の抜本的な強化が必要ではないでしょうか。とりわけ高齢者、障害者、低所得者など、自助・共助では困難な市民に対する公助が必要ではないでしょうか。答弁を求めます。⑤
家具固定について本市は消防局が「いきいき安心訪問」の中で、高齢者等への啓発と指導をしていますが、チェックシートに家具固定の項目を加え、指導と合わせて統計もとるべきだと思いますが、答弁を求めます。⑥
大地震が発生した場合には、被災建築物の「応急危険度判定」が急務になります。被災した建築物を調査し、余震による倒壊の危険性や、外壁やガラスの落下などの危険性を判定し、緑色の「調査済」、黄色の「要注意」、赤色の「危険」の3種類に分類した紙を張り出して、人命にかかわる二次的災害を防止します。熊本地震では一見大丈夫のように見えた住宅も、余震で倒壊する建築物が相当数ありました。この判定を行う「応急危険度判定士」は県下に約2,400人、本市には433人おり、本市職員も熊本に30人派遣したと聞きました。「応急危険度判定士」は行政職を始め、民間の建築士などに、県と共催で無料で年1回養成講習を行い、5年更新の登録をします。例年20人程度の受講者数とのことですが、大震災の際に迅速に対応できるよう、本市職員はもちろん、市内の建築士等への協力依頼を強めるとともに、市が独自に開催するなどで養成講習の回数を増やし、抜本的に増員をはかるべきだと思いますが、答弁を求めます。⑦
災害対策基本法には「市町村長は災害が発生した場合、被災者から申請があったときは、遅滞なく被害状況を調査し、罹災証明書を交付しなければならない」とあります。罹災証明は、被災者生活再建支援金等の給付、税金、保険料、公共料金の減免や猶予、応急仮設住宅への入居や住宅の応急修理などの支援を受けるために必要です。
熊本地震では罹災証明の交付が進まず、県外から協力を受けているものの、申請数の半分程度にとどまり、被災者からは「一日でも早く交付してほしい」と切実な声が上がっています。また、1次調査の結果に不服として、2次調査の申し立ても数千件に上っています。
本市は罹災証明の交付に必要な「家屋の被害認定調査」の研修を受講した職員が4人、今回の熊本地震において、被災地で調査の支援を行った職員が68人ですが、他の自治体から応援を受けるにしても、あまりにも少なすぎるのではないでしょうか。熊本地震の教訓を踏まえ、調査員の抜本的な増員など、1日でも早く罹災証明を交付できる体制を検討すべきだと思いますが、答弁を求めます。⑧
また、大災害に限らず、罹災証明書が交付された場合、被災者がどのような支援や減免制度等が受けられるのか、市民に分かりやすい説明書が必要だと思いますが、答弁を求めます。⑨
市長は昨年9月決算特別委員会で、わが党の質問に対し「関門トンネルは半世紀以上海水の中にある」「海水が1日4,800トン排水されている」など、関門トンネルの劣化を心配する答弁をしています。
先日、関門国道トンネルと関門橋を管理する、ネクスコ西日本に調査に行きました。関門トンネルについて明らかになったことは、まずトンネルの本体についてです。関門トンネルは硬い岩盤の中にあり、海水の中にあるわけではないこと。トンネル本体は無筋コンクリート製で、鉄筋が入っていないため、水分や塩分などによる劣化の影響はないこと。強度調査の結果、基準強度を大きく上回り、健全であること。地震による影響は、トンネルは地盤とともに動くので影響は少ないこと、などです。排水については、ほとんどがトンネルと岩盤の間に発生しているもので、トンネル本体から海水がしみだしているわけではことはないこと。排水は海水を含んでいるが海水そのものではないこと。1日4,800トンの排水量は想定内で、排水能力はその2倍以上の1日11,000トンであること。排水は4か所で行われ、ポンプはそれぞれ複数設置され、交互運転し、15分稼働して20分停止していることなどがわかりました。
下関北九州道路の必要性と採算性について、わが党は建設の優先度は低く、採算性は無いと反対してきましたが、わが党は関門トンネルが「絶対に壊れない」と言っているわけではありません。将来、いずれは更新の時期を迎えるでしょう。しかし当面大丈夫と、科学的な根拠を示した上で、ネクスコ西日本が説明しているのです。市長も科学的に論じるべきであると思いますが、答弁を求めます。⑩
もう一点、別の角度から質問します。大地震などで、関門橋、関門国道トンネル本体が壊れなくても、その前後の道路や法面(のりめん)の倒壊などで、一時的に関門間の物流が、不通になることはあり得ると思います。その場合の代替策の一つであるフェリー等の活用について質問します。
本市は本市を発着点とするフェリー会社と大災害時の協定を結んでいます。その内容は、現在就航している既存の航路を前提として、フェリーの「空きスペースを利用させていただく」というものです。道路が使えないときに、鉄道でも運べないものを運ぶには、船舶が有効です。現在就航しているフェリー航路は、北九州市側は小倉港と新門司港、航行先は松山、神戸、大阪南港、泉大津、徳島・東京です。関門間を結ぶフェリーはありません。大災害時に備え下関港など山口県側と、本市の新門司以外の港の利用などを研究・準備する必要があると思いますが、答弁を求めます。⑪
本市の「乳幼児等医療費支給制度」は、本年10月から通院助成対象を小学6年まで拡充し、所得制限は廃止、現物支給とし、名称も「子ども医療費支給制度」と改めることになり、わが党は「大きな前進」と評価するものであります。
子ども医療費の助成制度は全国的にも県内においても、短期間の間に驚くほど拡充が進んでいます。福岡県が今年10月から通院助成を小学6年まで拡充するのに併せ、県内自治体では、更に拡充が進みます。今年10月から、芦屋町、水巻町、福智町が入院・通院とも中学卒業まで拡充します。本市と隣接する10市町のうち、6市町の通院助成が中学卒業までになります。追いつくはずが、また引き離された感は否めません。政令市も20のうち9市が通院助成の対象を中学卒業までとしています。本市も通院の助成対象を中学卒業まで拡充すべきだと思いますが、答弁を求めます。⑫
次に自己負担です。今回の改訂で10月から、今まで自己負担が無かった3歳以上就学前の幼児に、新たな負担が発生します。拡充される小学生にも自己負担があります。
群馬県は平成21年10月から、中学卒業まで、入院・通院とも自己負担なし、所得制限なし、現物支給を実施しています。群馬県議会で健康福祉部長がその効果について概略次のように答弁しています。「県内のすべての子供たちが、中学校卒業まで安心して医療を受けられるようになった。平成21年秋以降、新型インフルエンザの患者が急増したが、多くの子供たちがこの制度を利用して受診できた。医師も評価している。特に慢性疾患などは早期の受診による重症化の防止に役立っているのではないか。虫歯の治癒率は全国平均だったのが、5~10ポイントぐらい向上し、ひいては医療費の抑制にもつながると考えている」と述べ、子供が安心して医療を受けられる環境が整えられていると締めくくっています。
子供さんを持つ母親から、「自己負担を無くしてほしい」という切実な声も寄せられています。公立小中学校の全児童・生徒数のうち5人に1人が就学援助を受けています。母子家庭も増えています。貧困の中で、子どもの受診抑制が広がることが、とても懸念されます。
貧困のために子供たちが医療を受けられないという事態を防ぐために、自己負担はなくすべきだと思いますが、答弁を求めます。⑬
田中光明議員への答弁
(地震対策について)
熊本地震による被害の状況をみると、建築物の耐震化を進めることは、本市のおいても市民生活の安全・安心にふかくかかわる重要課題と改めて認識している。地震に強い街を実現するため、平成21年3月に北九州市の耐震改修促進計画を作成し既存建築物の耐震化に取り組んでいる。新たに建築する建築物については、建築基準法に基づき建築され、その構造計算の過程において、過去地震の規模・頻度のどをもとに設定された地域係数を考慮できることとなっている。
福岡市においては、警固断層帯南東部の真上に位置する区域等において、高さが20メートルを超える建築物を新築等する場合、地域係数を1.25倍とする努力規定を設けている。これは国の機関である地震調査研究推進本部が行った97の主要活断層帯の長期評価において、同断層帯南東部の今後30年以内の地震発生確率が0.3~6%と、我が国の主な活断層のなかで、高いグループに属しているとの結果を示されたこと、また福岡西方沖地震の影響により同断層帯南方部の活動を促進すると言われていること、こうしたことが背景となっている。本市の状況であるが、本市で確認されている小倉東、福知山2つの活断層はいずれも地震調査研究推進本部か公表した主要活断層帯に含まれていない。また、北九州市活断層調査結果において、差し迫っている可能性は極めて小さいことが判明したと報告されている。
しかし、熊本地震では4月14日から16日にかけて、震度7が2回,震度6強が2回、6弱が3回と強い地震が高い頻度で発生しており、国の想定していない事態であった。現在国の有識者委員会で熊本地震による建物被害の原因分析が行われている。今後、同委員会における分析をふまえ、建築基準のあり方を含め、建築物における耐震性の確保、向上方策について検討することとしている。本市の建築物の耐震性の確保については、こうした国の議論を受け適切に対応してまいりたい。
熊本地震においての被害状況を見ると、グロック塀の倒壊により車両や方向者の通行の障害となっており、また人的被害も発生している。ブロック塀の安全確保は重要と考えている。本市ではホームページの掲載や年2回実施している建築物防災週間などでのパトロールを通じて、ブロック塀の安全対策や維持管理などの重要性について周知を行っている。市民からの通報により判明した危険なブロック塀については、個別指導を行ってきた。
今回の熊本地震をふまえ、関係部局と連携し通学路にあるブロック塀の危険性などの状況調査に取り組むこととしている。調査では目視によるブロック塀の傾きやひび割れ、控え壁設置状況などを調査する予定である。できるだけ早期にブロック塀の状況調査を実施し、必要に応じ改善・指導を行っていく。
補助制度については、ブロック塀の調査結果や指導の状況を踏まえた上で、他の都市の事例を参考にしていく。
本市の地域防災計画では、基本的な考え方のひとつに自助・共助・公助が連携して、総合的な防災対策に取り組む地域社会の構築を掲げている。共助の風土づくりとして、となり近所との付き合い大切にした街づくりをすすめ、地域住民が助け合う防災対策を促進することにしている。
家具の固定については、自宅で自分の命を守るためのものであるが、年齢者身体の状況から家具の固定が困難な場合に、そのような方を地域の共助でささえるとことも重要である。そうした隣人を思いやる日頃の付き合いが、地域での防災を考えるきっかけとなり、災害が発生した際の支援行動にもつながるものと考えている。
そのため市民や地域の防災意識を高め、主体的な防災対策を促す取り組みとして、これまでに出前公演や防災フォラム、防災訓練での啓発や家具転倒防止版をはじめとする防災啓発品の配布、また、防災ガイドブックでの家具固定を含む地震対策のイラストによる紹介を実施している。さらに地域の特性を踏まえた防災計画を住民が主体となって作成する「みんなで防災街づくりモデル事業」を進めている。
こうした取り組みに加えて、消防局では今年度、消防職員は高齢者のひとり暮らし世帯などを訪問する住宅防火訪問においても、これまでの防火啓発に加え家具固定の重要性について説明するとともに、家具固定の実施の有無を把握する予定である。
今後の取り組みですが、お尋ねの、いきいき安心訪問での家具固定の指導啓発については、7区の消防団の内すでに4区で実施している。家具固定の状況を把握し行われていない場合には、家具固定の必要性や固定器具の設置方法などについて説明している。
本年7月からこの取り組みを、すべての消防団において実施するとともに、訪問時のチェックシートに家具固定の項目を追加し、指導啓発を行う。本市に近い熊本・大分で発生した地震で、市民の地震への関心も高まっている。こうしたさまざまな取り組みを強め、ひとりひとりの備えとともに地域の防災意識の向上を図り、高齢者・障害者にかぎらず、地域住民の協力によって命をまもりぬく災害に強い街づくりをすすめていく。
大規模な災害が発生した場合、1日でも早い被災者の生活再建をすすめるためには、速やかな罹災証明書の発行が非常に重要と認識している。この罹災証明書は被災者から申請を受け家屋の被害認定調査を行い、その被害程度を証明するもので、被災者生活再建支援金などの支給の手続きに必要となるものである。
家屋の被害認定調査を行うためには、特段の資格がないものの固定資産や建築の調査の方法についてある程度の知識や経験を有していることが望ましいわけである。このため本市の地域防災計画では、各区役所の税務や建築にたずさわる部局の職員をあてることとしており、約450人が対象となる。
被害認定調査のノウハウを取得し職員の能力を向上させるために、本年度は講師を本市に招き多くの職員を受講させることを予定している。今後とも調査の力のある職員の要請を行っていくとともに、他の都市からの円滑な受け入れについても体制を整備し、早期に家屋の被害認定調査や罹災証明の交付ができるよう体制を整えたい。
また、災害が発生した場合、大災害にかぎらず災害の見舞金の支給、ごみ処理手数料の減免、市営住宅への入居などさまざまな支援制度があり、この内容を市民の方へわかりやすく伝えることが必要である。本市で災害が発生した場合は、罹災証明書交付の時に支援制度を案内できるよう基本的な情報を掲載したチラシを各区の総務企画課及び消防署で配布することとしている。今後は熊本市作成の冊子なども参考にしながらホームページを整理し、情報が一目でわかり、そのまま印刷できるような工夫するなど、見直しを行いたいと考えている。今後も災害が発生した際には、被災者の一日も早い生活再建をすすめることができるよう職員の育成や被災者への支援情報の提供など、今回の熊本地震の教訓を生かしながら体制強化を図っていく。
(地図を用いた啓発について)
本市の地震対策の基礎資料となっているには、平成24年に福岡県が公表した地震に関するアセスメント調査である。地震の揺れや液状化による建物被害についても想定が示されている。本年改定した北九州市耐震改修促進計画には、このアセスで想定されている小倉東断層による最大震度6強の地震が発生した場合の震度分布と建物被害と棟数を掲載し、地震対策の必要性を訴えているところである。
一方地震については、様々な機関において調査研究が進められており、新たな知見がHP等で報道されている。議員指摘のとおりこうした情報を市民が入手しやすい環境を整えることが必要であることから、今月より市のHPに地震に関する情報をまとめたページを新設している。こうした情報とあわせて防災ガイドブックにも掲載しています。地震後も備えもお知らせすることで、住宅の耐震化を含めて、地震に対する備えを着実に進めていきたいと考えている。
本市の地域防災計画では、陸上交通が途絶した場合には、九州陸運局や海上保安部等の関係機関と協議の上、自衛隊の災害派遣を含めて、船舶・周堤による人員物資等の海上輸送を行うこととしている。
海上輸送を行うためには、災害時に港湾施が機能することが大前提である。北九州港では、緊急物資等の輸送を確保するとともに、社会経済活動の影響を最小限に抑えるために、必要な耐震強化岸壁の整備を進めている。
これまで砂津地区、新門司南地区で耐震強化岸壁2バースの整備を行い、現在西海岸地区で国において耐震化の調査・設計に着手した。なお下関港では、現在のところ耐震強化岸壁の整備は行われていない。
一方大災害が発生した後においても、港湾が継続的に機能するためには、インフラ機能のもみならず海運事業者や港湾運送事業者等の民間事業者や関係行政機関の機能が維持されることが重要である。
昨年3月港湾関係の民間団体と行政機関で構成する北九州港事業継続推進連絡会を開催し、港湾機能を早期に回復するため、連絡体制や行動計画等を示した北九州港事業継続計画(北九州港BCP)を策定しており、同様の取り組みを下関でも行っている。今後は関門地域における広域なBCPの策定について、国などに働きかけていきたい。
大規模災害初期の救命救助や被災者支援には、迅速さが求められることから災害の状況に応じて海路の他陸路を含めて輸送体制を速やかに構築できるよう関係機関と研究してまいりたい。
(木造建築の耐震化補助制度について)
住宅については昭和56年5月以前のいわゆる旧耐震基準で建てられた木造住宅は、近年の大地震で特に大きな被害を受けていることから、これらの耐震化を促進すること重要と考えている。
このため本市では、平成18年8月に旧耐震基準で建てられた木造住宅の耐震改修事業を創設し、その後耐震改修の実情に沿って、国や県の財源を活用しながら、補助上限の引き上げなどの拡充を図ってきた。
耐震改修の平均的な工事費が100万円から150万円程度であることから、平成24年4月に補助額の上限を費用のおうよそ3分の2にあたる80万円に引き上げた。
また耐震診断については、福岡県が平成17年6月より実施している服福岡県耐震診断アドバイザー制度を活用することにより、自己負担3000円で診断を受けることができる。これらの補助内容は他都市と比べても遜色がなく、現時点では補助対象の拡大や補助上限の引き上げ等の拡充は考えていない。
住宅の耐震化の促進には、市民の意識向上は欠かせないことから、今回の熊本地震のような身近ない災害が起き、市民の関心も高まってきている。5月末までに木造住宅の耐震改修の相談が134件となり、昨年度1年間の98件を大きく上回っているところだ。
今後は、現在取り組まれている熊本地震による建物被害の調査結果についても可能な限り市民への情報提供をするなど、より一層住宅の耐震化が促進されるよう努めていく。
応急危険度判定は余震等による倒壊や崩落の危険性を応急危険度判定の資格者が危険・要注意・調査済みの3区分に判定し、その結果を見やすい場所に表示することで、二次災害の防止を図るものである。地震発生時に応急危険度判定をより迅速かつ的確に実施するため、判定の方法、相互支援等に関して事前に調整を行う国土交通省、都道府県等からなる全国被災建築物危険度判定協議会が組織されている。また、広域支援にそなえ地域ごとにブロックが設けられ、本市は福岡県を会長とする九州ブロック被災建築物応急危険度判定協議会の会員となっている。
応急危険度判定士の資格要件は、建築士法に定める1級建築士、2級建築士及び木造建築士の資格を有するもの、建築職の行政職で建築に関し3年以上の実務経験を有するものなどで、被災建築物応急危険度判定講習を受講しているもの。応急危険度判定は被災時に大変重要な役割を担うものであり、毎年本市において判定士の養成するための講習会を開催している。資格要件を満たした本市の建築職員はすべて積極的に講習を受け資格を取得している。
また、民間建築士に対しても建築団体者や市政だより・HPを通じ広く受講を呼びかけ資格者の確保・増員を図っている。合わせて地震発生を想定した全国訓練を行うなど体制の強化にも努めている。
余震などによる二時災害などを防止するために、引き続き機関及び民間建築団体等と連携し、応急危険度判定の体制強化に取り組んでまいりたい。
下関・北九州道路については、山口県、福岡県、下関市、北九州市の2県2市をはじめ、地元の関係者とともに長い間、政府に対して要望してきた歴史がある。市民の生命と財産を守り抜くことは行政の重要な使命であり、防災や減災の考え方に基づき強くてしなやかな地域づくりが求められている。そのため地域間の交流や連携の強化、施設の老朽化対策、代替機能の確保などが必要と考えている。下関・北九州道路は、北九州市と下関市の都心部を直結することで、産業や物流など地域経済の様々な分野において、関門地域の一体的発展を支える都市間連絡道路であると考えている。
地方創世の推進が急務となっている現在、早期実現を必要性は高まっており山口、福岡両県と下関市、議員連盟、経済界とともに国に対し、早期整備の必要性を強く訴えてきたところだ。本市議会においても、これまで国の関係行政庁に対し早期実現に向けた要望活動を行っていただいており1昨年の12月議会でも、下関・北九州道路の整備促進に関する意見書の決議がなされた。
お尋ねの関門トンネルの強度などについて、本市としても関門国道トンネルや関門鉄道トンネル、関門橋は、地域間の交流や連携の強化を推進する大動脈であり、その施設を健全な状態に保ち長期間の使用を図ることは重要だと考えている。トンネルの強度については管理者において適切に維持・管理するなかで、必要な強度を保っていると考えている。
一方で適切な維持・管理を行っていくために、日常的管理に加えおよそ10年ごとに長期間の全面通行止めを伴う大規模補修を実施している。この大規模補修の際に関門橋で事故や災害が発生し同時通行不能の可能性も十分に考えられることから、代替機能の確保を考えていくことは重要である。
今後とも国家プロジェクトとしての下関・北九州道路の早期実現に向けて、さまざまな方法で国に働きかけを行っていきたい。
(子ども医療費助成について)
乳幼児医療費支給制度については、これまでも多くの議員・会派の皆様から拡充の要望がなされたほか、県においても今年の10月から、制度を見直すこととしており、本市としても同じく10月から通院医療費の助成対象を小学校6年生まで拡充している。議員からは中学校3年生まで拡充すべきというご指摘だが、その場合さらに3学年分の経費が必要となるうえ、県の補助対象は小学校6年生までのため、全額一般財源で賄う必要がある。したがって、中学校3年生までの拡充は難しいと考えている。
また、今回の制度拡充にあたっては、持続可能で安定的な制度とするための財源確保については、大変重要な課題と認識しており、自己負担のあり方についても他の都市の動向を踏まえつつ、慎重に検討を進めてきた。その結果、通院の自己負担については3歳以上就学前、1医療機関あたり月600円を上限とし、新たに拡充する小学生は月1200円を上限とするものだ。
議員からは自己負担は、なくすべきとの指摘だが、今回の見直しにあたって、3歳以上、就学前については新たな負担を求めることとした上で、県の800円より低額の600円とし、ささらに保護者の負担感を少しでも軽減するため、平成31年3月まで経過措置を設け月500円としている。また小学生については、新たに通院助成の対象にすることにより、6学年分で約10億と多額の経費が必要となるため、県と同額の自己負担としり一方で、入院については小中学生を新たに無料とすることで出生から中学卒業まで負担なしさせていただいているところであり、このように制度設計についてはできる限りの努力をしている。
今回、本市が新たに小学生を通院助成の対象にするなどの見直しにより、出生から中学校3年生までをトータルで見ると、子ども一人あたり約6万4000円の負担軽減につながると試算している。保護者にとって経済効果が多きいものと考えている。この制度の拡充により子育て世代の負担をやわらげ、子育て支援のさらなる充実を図りたいと考えている。
〈第二質問以降の答弁〉
(地震の発生確率の認識について)
地震の発生確率あるいは頻度等の検討であるが、県の調査、国の調査、先月発表された地震調査委員会の調査などある。いろいろな表現・数字がでている。行った調査の中では、切迫した危険がないという表現されているものもあるし、0.数パーセントといろんな表現がある。いずれにしても地震というものは、いつどこで起きても不思議ではないという認識である。本市の防災計画でも、まずは県の数値が出ている県の想定に基づいた備蓄食糧その他の準備をすすめている。さらにそれを越えることもあり得ることを考えながら命を守る防災に努めていくという本市の考え方である。
いろんな数値、高い・低いの判断がありましょうけれど、かならずどこかで起こりうる、ゼロではない、安心はできないという考え方で防災対策を進めていくことが肝心かと思っている。
(市役所や小倉北・八幡西区役所等の発生確率高いところであるがその認識は)
いろんなデーターがある、この地震調査委員会が出されたデーター、これも一つの研究・検討結果、調査結果だろうと思う。断層の関係、あるいわ地盤の強度関係でいろんな調査ができますけれど、当然赤く濃く出てくるとこというのは、そういう可能性が大きい、一つの検討結果であるので、そういう形で受け止めて、考えていきたいと思っている。
市役所の棚やロッカーがありますが、大部分は倒壊防止の転倒防止の装置をつけていると認識している。
(耐震化の地域係数について)
学校等の施設については、割増係数で1.0となっている。地域係数についても国で被害等の調査会が開かれており、そうした基準関係を見直していくことになっている。市としては注視していきたい。
平成12年の改正については、構造部材の接合方法とか耐力壁のブレスの向きとか、仕様の部分の改正、明確にされてなかったのを明確にした改正になっている。基本は56年の新耐震基準、57年の新耐震基準に基づいた設計になっている。仕様の部分であり本市としてはまずは56年未満のところをしっかりやっていきたいと考えている。
(高齢者・障害者の家具固定について)
阪神淡路の際には、家具等の転倒等で負傷された方がかなりの数のぼったということで、非常に重要な取り組みだと思っている。家具固定にかかわらず、役所で出来ることは役所で一生懸命やっていく。また、地域の取り組みは非常に大事だと思います。消防署員も啓発でまわります。地域でも向こう3軒両隣のコミュティーづくりも重要だと思う。防災の両輪として今後進めていきたい。
以上